関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

レオナルド×ミケランジェロ展 【三菱一号館美術館】

前回ご紹介した出光美術館の展示を観た後、歩いて三菱一号館美術館まで移動して「レオナルド×ミケランジェロ展」を観てきました。(この展示は7/16に観てきました。)

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【展覧名】
 レオナルド×ミケランジェロ展 

【公式サイト】
 http://mimt.jp/lemi/

【会場】三菱一号館美術館
【最寄】東京駅/有楽町駅

【会期】2017年6月17日(土)~9月24日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
非常に混んでいて、チケット売り場も10分くらい並びました。中は列を組んで観る感じで、たまに人だかりができるような混雑でしたが展示の最後の方になるにつれて混雑が解消されていました。

さて、この展示は誰もが知るルネサンス時代の2大巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロ・ブオナローティの「素描展」です。油彩もありますが、帰属作品や模作なので基本的には素描と資料が中心です(65点程度)。特に時系列になっている訳でなく、題材ごとに章立てされ2人の仕事や価値観を比較して行く内容となっていました。特にメモを取ってこなかったので簡単に章ごとの様子をご紹介しようと思います。

<序章:レオナルドとミケランジェロ─そして素描の力>
ここにはレオナルドの自画像(ファクシミリ版という精巧なコピー)やミケランジェロの肖像(マルチェッロ・ヴェヌスティに帰属)がありました。また、レオナルドの代表作「岩窟の聖母」のための天使の素描などもあり、精密かつ綿密な素描による準備の様子が伺えました。一方のミケランジェロは「レダと白鳥」の為の素描があり、どう観ても女性のようでしたがモデルは男性とのことです。こちらも目鼻だけを隣に描き直しているなど、入念な素描となっていました。この2点は今回の展示でも特に見どころになっていると思います。

レオナルドもミケランジェロも素描を非常に重要視していたらしく、この辺ではその言葉なども紹介されていました。

<I.顔貌表現>
ここは顔を題材とした作品が並んでいました。レオナルドは老人を描いたものや、顔や目の比率を計算しているメモのようなものがあり、人体工学的な研究が確認できます。また、レオナルドは面白いと思った顔の人に会うと一日中付け回して顔をじっくり観て、後で帰ってから素描するという逸話もあり、相当に研究熱心というか常人離れした観察力が垣間見えるエピソードでした。

<II.絵画と彫刻:パラゴーネ>
ここでは「パラゴーネ」という当時盛んに論じられた「絵画と彫刻はどっちが優れた芸術か?」という論争をテーマにしていました。レオナルドは平面を立体に見せるので絵画の方が上だと主張していたようですが、ミケランジェロは優劣をつけることはなく、自然を母として建築・彫刻・絵画の3姉妹がいるとして、お互いの争いは無意味であると考えていたようです。
ここにあった作品はやはり人物像の準備素描が多かったかな。ミケランジェロのほうは蝋で出来た彫刻の構想を練るためのものもあり、素描と同様に彫刻においても様々な検討をしていたようです。ミケランジェロはやはり彫刻家としての側面も強いだけあって、絵もレオナルドよりも肉感的というか筋肉隆々な印象を受けます。

<III.人体表現>
この章ではレオナルドとミケランジェロの直接対決とも言えるフィレンツェ政庁舎(ヴェッキオ宮殿)の壁画について紹介していました。この壁画はレオナルドが「アンギアーリの戦い」、ミケランジェロが反対側に「カッシーナの戦い」を描くという美術史上の大事件だったのですが、ミケランジェロの方は素描だけ完成したものの壁画は未完に終わりました。(その素描も今回の展示に出品なし) ここで面白いのはレオナルドも実はミケランジェロのダヴィデ像に触発されていたらしく、「アンギアーリの戦い」のための素描などには立派な肉体の人物像などが描かれていました。
一方、この章のミケランジェロの見どころは壁一面に並んだ「最後の審判」の素描群でした。これは本人が描いたものでなくジョルジョ・ギージという画家による模作ですが、キリストやマリアを中心に天使たちや天国に行く人々、地獄に行く人々、死者たちの復活など様々な場面が描かれています。その表情や肉体表現などが劇的で、これはかなり見応えがありました。

この辺で上の階は終わりで、休憩室で写真を撮ることができました。
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<IV.馬と建築>
ここから下の階となります。ここには実現しなかったレオナルドによる建築の設計図や、馬を描いた作品が並んでいました。レオナルドは馬が大好きだったらしく足や筋肉だけを描いた作品などがあり、人物像と同じくらいの情熱が感じられます。一方でミケランジェロは点数も少なめで、レオナルドほどの馬への熱意は無かったようでした。

<V.レダと白鳥>
ここは代理対決みたいな展示で、どちらもオリジナルが失われた「レダと白鳥」の模作が並んでいました。
 参考リンク:公式サイト「レダと白鳥」に見る2人の対比
ミケランジェロのほうは割と物語に忠実で、白鳥に化けたゼウスがレダと絡み合うような官能的で優美な雰囲気の作品になっています。一方、レオナルドの作品は立った裸婦として描かれたレダが、ちょっと黒めで大きな白鳥を抱いている姿で描かれています。白鳥がどこかオッサンっぽくてゼウスのイメージそのものw 傍らには2組の双子が描かれているなど、物語のその後の顛末も暗示しています。立った姿で描くという発想に感心させられる1枚です。
ちなみにレオナルドの完成作は後の時代に不道徳ということで燃やされたのだとか。ミケランジェロの作品も意図的に失われたらしいので、時代の価値観によってどんな名画でも憂き目に合う可能性はありますね…。

<VI.手稿と手紙>
ここにはレオナルドの発明品の案をイラスト化したものや、両者の私的な手紙がありました。レオナルドは万能の天才と言われている通り、軍事や土木関係にも携わっていたのですがここには鎌のようなもので攻撃する戦車や、水車のようなものを描いたものがありました。しかし、戦車は「味方も傷つける」みたいなコメントを書いているようで、実用には向かないと考えていたようです。
ミケランジェロは手紙があり、かなり年下の男性と恋人同士みたいな内容を取り交わしていたようです。同性愛者という説があるのも納得の内容です。

<終章:肖像画>
最後はまた肖像画の素描が数点並んでいました。しかしそれだけではなく、いつもはショップとなっている1階に、ミケランジェロの未完成作(17世紀の彫刻家によって完成)が展示されていて、ここでは写真を撮ることもできました。

こんな感じ。
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この展示を観る時はスマフォ等撮影できるものを持っていくと良いと思います。


ということで、貴重な内容で2人の対比がよく分かる構成となっていました。とは言え、素描中心なので美術初心者にはややハードル高めかもしれません。 レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロ・ブオナローティが好きな方向けの展示と言えそうです。


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評価




水墨の風 ―長谷川等伯と雪舟 【出光美術館】

週末にネタを補給したので最近の展示の記事に戻ります。この展示は最終日間近の7/16に観てきました。既にこの展示は終了しています。

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【展覧名】
 水墨の風 ―長谷川等伯と雪舟 

【公式サイト】
 http://idemitsu-museum.or.jp/exhibition/schedule/

【会場】出光美術館
【最寄】有楽町駅

【会期】2017年6月10日(土)~7月17日(月・祝)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
最終日が近かったこともあって、結構混んでいて列を組んで観るような盛況ぶりでした。

さて、今回は長谷川等伯と雪舟という日本画でも屈指の絵師2人の名前を冠した展覧会となっています。しかし美術好きの方ならピンと来ると思いますが、そんなビッグネームの2人の作品だけで展覧会が成立する機会は滅多にありませんw 大半は他の絵師の作品です。 今回はテーマが「風」ということで、風をテーマにした作品というだけでなく雪舟風だったり等伯風といった水墨の歴史の流れを観るような趣旨で、どちらかと言うとこの2大絵師の作風を知っている人向けの内容だったと思います。既に終了しているし、ごく簡単な章ごとの展示内容だけ振り返ろうと思います。

<第1章 雪舟を創りあげたもの-「破墨山水図」への道>
この章は雪舟の「破墨山水図」を中心に、雪舟が留学し影響を受けた中国の玉澗や浙派(せっぱ)、牧谿(牧谿は長谷川等伯が特に影響を受けた)、後の時代に雪舟から影響を受けた雪村や谷文晁などもありました。雪舟は大胆さと繊細さが同居していると思いますが「破墨山水図」は大胆さが強めに出ていて、近代西洋の印象派よりもずっと前に単純化され筆跡を残す手法で描かれているのが面白いです。玉澗の作品は確かにそれに似た感じがあり、雪舟のルーツが伺えました。

<第2章 等伯誕生-水墨表現の展開>
ここは等伯を中心に、牧谿1点と狩野探幽などがありました。叭々鳥(ははちょう)を主題にした作品がいくつかあったかな。等伯は自身を五代雪舟と名乗っていましたが、空気感などは牧谿からの影響のほうが強いように思います。後期展示で竹鶴図屏風は観られませんでしたが、「松に鴉・柳に白鷺図屏風」など叙情的な作品を観ることができました。

<第3章 室町水墨の広がり>
ここから先は雪舟も等伯も出てきませんw この章は室町時代に描かれた様々な水墨画が並んでいました。この辺は軽く着色もあったりしたかな。強い輪郭と繊細な濃淡の表現をしている作品などは雪舟と共通するものを感じました。

<第4章 近世水墨-狩野派、そして文人画へ>
ここは桃山以降の近世の作品がならんでいました。日本の漢画は狩野派が主流となって行きましたが、狩野派はそれだけではなく大和絵との融合など独自の展開を見せていくのでやはりどこか雅な雰囲気があるように思います。一方、文人画とか南画はあまり好みではないのでサラッとw 描き込む割に緩いのでゴチャゴチャしている印象があるのでいまいち好きになれない。


ということで、雪舟と等伯の作品はそれほどありませんでしたが、水墨の歴史を中国から江戸時代まで観ることができました。全部 出光美術館の自前のコレクションなので、これだけの展示が出来るのは凄いことだと思う一方で、展覧会のタイトルはちょっと大袈裟だったんじゃないかなとw それさえ気にしなければ参考になる展示でした。



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評価




世界遺産ポン・デュ・ガールとアヴィニョン近郊の村 【南仏編 アヴィニョン近郊】

前回に引き続き、南仏のアヴィニョン周辺についての記事です。今回は世界遺産の水道橋「ポン・デュ・ガール」とアヴィニョン周辺の美しい村々をご紹介しようと思います。

ポン・デュ・ガールには先日ご紹介したゴッホゆかりの地のオプショナルツアーで行きました。中々濃厚なツアーです。
 参考リンク:アヴィニョン発 ベストセラープロヴァンス ポン・デュ・ガールとゴッホゆかりの地(みゅうのツアー)


実際に周った順は無視して早速ポン・デュ・ガールからご紹介。
 ポン・デュ・ガール日本語サイト:http://jp.france.fr/ja/discover/35026



こちらはポン・デュ・ガールの入口。
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多分、今回の旅行で一番チケット売り場が盛況で、駐車場も沢山の車がいましたが その訳はこの後すぐに分かりました。

遠くからでも分かるとてつもなくデカい水道橋。京都の南禅寺の水道橋の何十倍もデカいw
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こちらはローマ時代(紀元前19年頃)に作られた橋で、ユゼスという湧き水の出る街からニーム(結構大きな街)まで続く水道の為に作られました。全長50kmもある水道なのに、高低差は12mしかないという驚きの精度となっていて、2000年も前のものとは信じられないほどです。中世の頃にはこんなものが人間に作られるわけがない!ということで、悪魔が作ったと信じられていたという話もあります。ローマの偉大さと中世の暗黒時代っぷりが伺えるエピソードです。

逆光だったので反対側からも撮影。写っている人たちと縮尺を比べると大きさが分かるかも。
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単に機能だけではなく3層になっている美しさも見事としか言いようがない。これが出来た頃の日本は弥生時代です。

一番下の階層は実際に渡ることもできます。
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ここは川遊びの人たちが大勢来ていて、橋を観ながら泳いだりボートを漕いだりしていました。写真とは裏腹にラップを大音量で掛けてるパリピがいましたw しかしこれを観ながら水浴とは本当に贅沢。 またゆっくりと訪れて一日過ごしてみたい。

続いて、アヴィニョンの南、アルル近くのレ・ボー=ド=プロヴァンスをご紹介。これも同じツアーです。

プロヴァンス語で岩だらけという意味で、「ボーキサイト」は元々この辺で取れたのでその名前となったそうです。

村の入口はこんな感じ。
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歩いても20~30分くらいで廻れる小さな村ですが、昔は周りの村を治める一大勢力の拠点だったようで、急な崖などもあって難攻不落の城があったようです。

街の中はこんな感じ。
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白い石の建物が続きます。フランスには「美しい村」という制度があり、それに認定された村の1つです。

リアルにドラクエみたいな街並みが続きます。今は完全に観光地で、お土産物屋さんやカフェが沢山あり公衆トイレ等もあります。
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教会の中は厳かでステンドグラスもありました。

こちらは教会の辺りから観た光景。
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本当に岩だらけの絶景でした。

続いてはアルル近郊フォンヴィエイユにあるドーデの風車をご紹介。

レ・ボーとアルルの中間くらいのところにあります。

こちらがドーデの風車。
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何故この風車が有名かと言うと、ドーデの著作「風車小屋だより」という短編集の名前はこの風車にちなんでいる為です。私は事前に読んで行きましたが、この短編集の中には「アルルの女」という短い話があり、この話が後に戯曲化され、それに作曲家のビゼーが曲をつけました。
 参考リンク:風車小屋だより(amazon)

ビゼーの「アルルの女」はメヌエットを聴けばピンと来るかも。

戯曲の方は観たことないですが、小説の「アルルの女」はこんな清らかさも明るさも全くありませんw

そしてこれを聞いてハットリくんの音楽じゃん!と思った当時のファミコンキッズも多いはずw

こんな所まで来てハットリくんを思い出すとは…w

こちらは風車小屋からの眺め。現代の風車が見えますが、あの辺にゴッホも通ったひまわり畑があります。
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風車があるのは風が強いためです。アヴィニョンに着いた時にかなりの強風が吹いていて驚きました。これは「ミストラル」と呼ばれる風で、遠くアルプス山脈からの吹き下ろしだそうです。

ここまではゴッホゆかりの地めぐりと合わせて日本語ツアーで観たところですが、ここから先は別の日に英語のオプショナルツアーで周ったところになります。大体はアヴィニョンの東の方向で、リュベロン地方自然公園の中の村です。

まずはソー村というところでラベンダー畑を観ました。
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こちらは10分くらいしか滞在しませんでしたが、丁度見頃で非常に良い香りが漂っていました。この6月は南仏のあちこちでラベンダーを観ることができます。

続いてゴルドの村に行きました。

ここの歴史はちょっと複雑で説明しきれないのでwikipediaへのリンクを貼っておきます。
 参考リンク:ゴルドのwikipedia 

これがゴルド!
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この光景を観るために多くの観光客が来ていました。

ゴルドの中に入ると、大規模な市場が開催されていました。
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売っているものも様々で、食べ物もあれば名産品もあるという感じ。お土産にコットン製の鍋敷き(お店の人にフランス製を強調されたw)を買い、南仏名物のラタトゥイユも買って持ち帰りました。

村の中は結構細い路地ですが、ここも美しいところです。
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何しろ山の上にある村なので、こうした光景を観ることができます。
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最後に、ゴルドの東にあるルシヨンに寄りました。


今回の旅で最も美しかったのはこの村かも。
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英語のガイドだったのでうろ覚えですが、この地で浮気関連の悲劇があったそうで、その血の色に染まってるみたいなことを言っていました。とは言えそれはお話の中のことで、実際には黄色顔料の原料となる「オークル」を含んだ丘の上にあるのでこうした色になっているようです。

異国情緒たっぷりで、とても美しい街並みです。
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ここも歩いても30分あれば十分でしたが、印象深かった…。街の中でラベンダーのアイスが売っていて、非常に美味しかったです。一緒に周ったカリフォルニアのご夫妻もめっちゃオススメしてくれましたw


ということで、アヴィニョン周辺には非常に美しい光景が広がっていました。この辺で最も大きな都市はマルセイユですが、観光の拠点としてはアヴィニョンかエクスが良いと思います。(オプショナルツアーの発着が充実しているし、城塞都市で雰囲気が良く治安も安心) 南仏に行くことがあれば、こうした村々に訪れることも検討してみるとよろしいかと。





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評価




アングラドン美術館 【南仏編 アヴィニョン】

今日も引き続き南仏編です。前回ご紹介したアルル等のゴッホゆかりの地を巡った日に、宿を取ったアヴィニョンにあるアングラドン美術館に行ってきました。たまたま開催されていたデュフィ展も観ることができました。

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 日本語公式サイト:http://angladon.com/japanese-version/



この美術館はオート・クチュールの開拓者でありパリの名コレクターであったジャック・ドゥーセ(1853-1929)の収集品を相続したアングラドン・デュブルジョー夫妻が開いた美術館です。コレクションはルネサンス期から近代に至るまで多岐に渡り、日本や中国の品などもあります。この美術館でもフラッシュ無しなら撮影することができましたので、写真と共にご紹介していこうと思います。

まず1階はエコール・ド・パリの頃の画家の作品がありました。こちらはピカソ
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近くにはピカソらが影響を受けたアフリカの彫刻などもあり、キュビスムへの転換が感覚で分かる展示になっていました。

モディリアーニもありました。
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この作品では目は普通に描かれていますが、モディリアーニもアフリカの彫刻からの影響を感じさせます。

こちらは藤田嗣治(レオナール・フジタ)
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平面的で壁画みたいで面白い。

少し進むと時代がちょっと戻ります。

こちらはセザンヌ
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セザンヌらしい立派な静物画で驚き。良いコレクションです。

こちらはゴッホ。この辺で観られるゴッホは実はこれだけらしいです。
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アルルの時代に描かれたものらしいのでアルピーユ鉄道かな? 今でもアルル近郊のひまわり畑を走る鉄道だと思いますが、爽やかな雰囲気です。

1階は他にもドガ、ドラン、ドーミエ、ルドン、ヴュイヤールなども1~2点くらいずつありました。数は多くないですが良いコレクションばかりです。

階段と2階の展示室。
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2階は一気に貴族の館っぽい雰囲気ですが、アングラドン夫妻は画家だったらしいです。展示物はルネサンスから近代まで幅広い感じです。(でも好みは近代なので近代中心にご紹介していきますw)

一見するとフランドル絵画のような主題ですが、マネの作品
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離れて観ると精密に見えますが、結構大胆な筆致なのが流石です。

この辺にあった古い絵は主に宗教画や肖像画でした。

こちらはポール・ヨウーヴェという動物画で名を馳せた画家の作品(1925年頃)
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虎の筋肉と尻尾に緊張感があって目を引きました。

1600年代半ば頃のオランダのハールレムの画家Frans de Hulst
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オランダのメイヘーレン辺りを描いた作品らしいですが、明暗の柔らかな表現が好み。

こちらは書斎かな?
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壁紙も含めて洒落た雰囲気。

こんな感じで、部屋と一体化するように展示されているのも魅力です。右の写真は日本の蒔絵。
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他にも日本や中国の陶器、江戸時代の絵(屏風を切り取ったようなの)もありました。

続いて3階はラッキーなことにデュフィ展が開催されていました。
 期間:2017/4/7~8/27
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1915年頃の各国の兵士たちを描いたもの。
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日本も真ん中にいますが、ここまで黄色くないだろw 背も低いし割とステレオタイプ。

これはポール・ポワレとのコラボの服飾デザイン
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他にも数点あり、デュフィならではの軽やかさと華やかな雰囲気がありました。

これは北フランスのサン=タドレッスの海を描いた作品。
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強い色彩が特に印象的でした。

デュフィがよく題材にした競馬場を描いた作品。
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賑わいと社交場の華やかさがよく出ています。グワッシュだと一層軽やか。

こちらもお得意の音楽を題材にした作品。
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勢いを感じる線がリズミカルで題材にぴったり。

こちらはニースの風景。
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今回の旅で観てきたばかりの風景なので、テンションがあがりました。

一番奥は超大作「電気の精」のリトグラフ
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これの本物はパリ市立近代美術館で観られます。
 参考記事:【番外編 フランス旅行】 パリ市立近代美術館


ということで、予想以上に素晴らしいコレクションと、デュフィの展示を観ることができて大満足でした。アヴィニョンはあまり広くないものの見どころが多い街ですが、もし訪れる機会があったらここも見逃せないと思います。




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評価




ゴッホゆかりの地めぐり 【南仏編 サン・レミ/アルル】

ネタが切れたので南仏編を再開しました。今回はフィンセント・ファン・ゴッホに関連する地を訪れたので、まとめてご紹介しようと思います。
アヴィニョンから日本語のオプショナルツアーに参加して、車でサン・レミ・ド・プロヴァンスとアルルに行ってきました(それ以外の場所も行ったので、それはまた別の記事でご紹介する予定です)
 参考リンク:アヴィニョン発 ベストセラープロヴァンス ポン・デュ・ガールとゴッホゆかりの地(みゅうのツアー)

まずはサン・レミ・ド・プロヴァンスにあるサン=ポール・ド・モゾル修道院を訪れました。街中からちょっと離れた所にあります。

ちなみにこの街出身の有名人にノストラダムスもいますw

こちらがサン=ポール・ド・モゾル修道院。ゴッホは1889年~1890年にこちらにあった精神病院で療養していました。
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ゴッホは2箇所ほど精神病院に入っていますが、こちらは後に入った方の病院です。

着いたのが早かったので、しばらく修道院が開くのを待ちつつ病院前の風景を眺めていました。
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この辺りの風景も勿論ゴッホが絵にしています。

門を抜けるとこんな感じの小道があります。
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この道でもアイリスを描いた作品などを残しています。

こちらが修道院。12世紀に建てられたロマネスク様式の建物で、18世紀以降に精神病院となっていました。
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今は観光地になっていますが、近くには今でも精神病院があるそうです。

中庭がある美しいところです。これなら精神も休まりそう。
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2階の奥の方にゴッホが入院していた部屋があります。結構簡素な感じですが、ここで数々の名画が生まれました。
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この部屋の入口に黄色い家の寝室の絵が飾ってありましたが、実際はこちらではなくアルルの部屋を描いた絵です。

中は10分くらいで見終わるので、外に出て修道院の裏手も観てきました。
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裏手はラベンダー畑になっていました。
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あちこちにゴッホの絵のパネルがあり、ここで沢山の絵が描かれたことが分かります。静かなところですが、セミや鶏の声が絶え間なく聞こえましたw

この後、レ・ボーの村などを回ってからアルルに向かいました。


こちらはアルル付近にある跳ね橋。
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この絵のモチーフになった橋と言いたいところですが、実際には老朽化して架け直されたレプリカです。
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しかもこの絵とは場所が違うらしいですw

さらに移動してアルルの中心街あたりで降りて自由行動となりました。

まずはゴッホが耳切り事件後に入った精神病院に行ってみました。
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こちらが最初に入った精神病院です。

中は綺麗な花園となっていました。
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ここでもゴッホは作品を残しています。
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ちょっと日差しが強すぎてうまく撮れていませんが絵と同じ場所
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ここは10分くらいあれば観られるかな。

精神病院からすぐ近くに市庁舎があります。
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実はこの建物の地下にはローマ時代(起源40年頃)の広大な地下回廊があります。

そして、市庁舎の裏手あたりに有名な「夜のカフェテラス」のカフェがあります。
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ここはアルルに来たら絶対に見ておきたいポイントの1つかな。昼でしたが今でも当時の光景が広がっていて嬉しい。
今でもカフェをやっていて、一緒に回った日本人のご夫婦がここでお昼を食べたらしくお話を伺ったところ、観光客向けといった感じの味と値段だったそうです。それでも良い思い出になりそう。

カフェの先を更に進むとローマ時代の円形闘技場があります。
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アルルは小さな田舎町と思っている人もいるかもしれませんが、ローマ時代から交通の要所として栄えたところで、今でもこうした遺跡が多くのこっています。ここでコンサートも開かれるようです。

この円形闘技場から更に北東方向へ進んでゴッホとゴーギャンが住んだ「黄色い家」を目指しました。


有名なこの絵の場所です。
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そしてこれが現在の黄色い家! …の跡地ですw この写真の左側の木陰になってる家にゴッホのメダイヨンが掛けられていて、その辺に住んでいました。
第2次世界大戦の時に壊れたらしいので、ここも戦場だったのかも。右奥には鉄道の橋が残ってるのがちょこっと写っています。
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この写真を撮った辺りにラウンドアバウトがあり、それが耳切り事件を起こしたラ マルティーヌ広場となります。ちなみにこの近くにパン屋さんがあります。そこでパンを買ってこの辺りの公園で食べました。


有名な「ローヌ川の星月夜」は黄色い家からほんの50mもないところで描かれました。かなり近くて驚き。
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絵を観ると海みたいですが川です。

こちらが絵と大体同じ場所
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昼なので全く雰囲気が違いますが、この絵の場所に行ってみたいと思っていたので非常に満足。


ということで、一気にゴッホゆかりの地をめぐることができました。アルル自体はそれほど広くない街ですが、サン・レミ・ド・プロヴァンスと合わせて行こうとするとちょっと電車やバスでは厳しいので、レンタカーやオプショナルツアーを利用すると効率的に回れるかと思います。ゴッホが好きな方は是非いつか訪れてみてください。



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■2012/1/27
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■2011/11/21
海の見える杜美術館の公式紹介サイトに掲載されました
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  → 掲載場所

■2011/9/29
「週刊文春 10月6日号」に掲載されました
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■2009/10/28
Yahoo!カテゴリーに登録されました
  → 絵画
  → 関東 > 絵画

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美術鑑賞のお供
細かい美術品を見るのに非常に重宝しています。
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入門用デジタル一眼
入門にもってこいのデジタル一眼レフカメラ(レンズ付)です。
現在の最安順に10万円以下で絞ってみました。 自分もこの辺で迷いました(><) 一眼を比較検討の際はこちらのリンクからどうぞ。。。
複製名画
名画の複製です。意外とお手頃みたいです。
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