関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

佳人礼讃-うるわしの姿を描く- 【ホテルオークラ アスコットホール】

お盆休み期間の平日に、ホテルオークラの地下にあるアスコットホールで、「佳人礼讃-うるわしの姿を描く-」を観てきました。

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【展覧名】
 秘蔵の名品 アートコレクション展
 佳人礼讃-うるわしの姿を描く-

【公式サイト】
 http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/events/art/

【会場】ホテルオークラ アスコットホール
【最寄】六本木一丁目/溜池山王/神谷町

【会期】2017年7月31日 (月) ~ 8月24日 (木)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
それほど混むこともなく、自分のペースで観ることができました。

さて、この展示は毎年この時期に行われているチャリティイベントで、今年は「佳人礼讃」というタイトルで9割くらいは美人画が占める内容となっていました。作品同士に特に繋がりがあるわけではなく単純に美人画を愛でるという分かりやすい内容で、3つのテーマで章分けされていましたので、各章ごとに簡単にご紹介しようと思います。

<第1章 肖像画のまなざし>
まず最初の章は洋画のコーナーで、多くは日本の近代画家によるものでした。最初にギョーム・セニャックによる写実的かつ明るい画風のミューズの肖像があり、瑞々しい印象を受けます。また、モディリアーニやキスリングといった有名画家の美人像も近くにあり、美人と一口に言ってもそれぞれ個性的な表現を楽しむことができます。
その後は黒田清輝や岡田三郎助といった白馬会の作品が並んでいます。黒田清輝の門下の画家達の作品は黒田清輝そっくりの画風でちょっと可笑しいくらい似ていました。 また、その先には小倉遊亀や東郷青児などの作品もあり、特に小倉遊亀の「若いひと」がこの章でも特に気に入りました。

<第2章 美人画にみるうるわしき佇まい>
続いては日本画のコーナーで、ここが一番充実しているかもしれません。上村松園5点、鏑木清方8点(清方は3章にもあります)、伊東深水3点、伊藤小坡2点といった感じで、明治以降の美人画の名手たちの共演となっています。やはり一番人気は上村松園かな。多くの人が集まって感嘆の声をあげていました。ここでちょっと面白かったのが伊東深水で、初期作品の「香衣」という作品がありました。妖艶なまでに白い肌をした女性が座っている様子が描かれていて、よく観る伊東深水の画風よりもリアルな細密描写となっています。これはこれでもっと多くの作品を観たいと思わせる画風でした。

<第3章 人物像の魅力に出会う>
最後は物語中の人物像や風俗画といった、人物の背景を感じさせる作品が並ぶコーナーで、日本画と洋画が並んでいました。まずは鏑木清方による雨月物語の一連のストーリーを8枚で表した作品があり、この展覧会でも見どころと言えそうです。宿を貸した美女と侍女が実は蛇の化身という妖しい話にぴったりの妖艶な雰囲気が出ていました。また、鏑木清方は他にも金色夜叉の舞台の看板用の作品などもあり、当時の人気作を題材にした作品も手がけていた様子が分かります。
この辺にはこの展覧会で唯一の風景画とも言えそうな洛中洛外図などもありました。

最後の部屋は再び洋画です。ラファエル前派のジョン・エヴァレット・ミレイや、エコール・ド・パリの藤田嗣治、マルク・シャガール、マリー・ローランサンなど豪華な面子が並びます。日本からも小磯良平の踊り子を描いた作品や多田北鳥によるキリンビールのポスターなど、様々な作品が並んでいました。


ということで、今年も充実の内容となっていました。毎年観てるので割と知っている作品も多かったですが、傑作も多く含まれていると思います。美人画という分かりやすい内容ですので、幅広い人が楽しめる内容だと思います。



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評価




オープン・スペース 2017 未来の再創造 【NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)】

前回ご紹介した東京オペラシティアートギャラリーの展示を観た後、同じ建物内にあるNTTインターコミュニケーション・センター(ICC)で「オープン・スペース 2017 未来の再創造」を観てきました。

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【展覧名】
 オープン・スペース 2017 未来の再創造

【公式サイト】
 http://www.ntticc.or.jp/ja/exhibitions/2017/open-space-2017-re-envisioning-the-future/

【会場】NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)
【最寄】初台駅

【会期】2017年5月27日~2018年3月11日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
お盆前の土曜日に行ったのですが、子供向けの企画展も行われていることもあり予想以上にお客さんがいました。とは言え、夕方になると家族客が一気にいなくなって快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は毎年模様替えを行っているICCの常設で、3月まで長い会期で行われているものです。科学技術を使った体験型の作品ばかりで、子供が科学に興味を持つきっかけとなりそうなものが多いので家族連れが多いのも納得です(私も子供の頃から地元のこういう施設に入り浸ってましたw) 今回はいくつか異なる会期の企画展も同時に行われていましたので、それぞれ分けてご紹介しようとと思います。

<オープン・スペース 2017 未来の再創造>
まずはタイトルにもなっている常設についてです。中は写真が撮れるところと撮れないところがありましたので、撮れたところは写真を使ってご紹介しようと思います。

緒方壽人(Takram)「Oto-megane」 ★公式サイト
まず入り口に謎の白いモニタが3つあります。
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これは裸眼では何も見えません。何やら楽器の音のようなものは聞こえます

実はこれは偏光レンズを使って観ると映像が観られます。
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この虫眼鏡みたいなのが備え付けてあります。ディスプレイにあるフィルムと虫眼鏡は同じ性質のフィルムで、2枚が揃うと観られる仕組みのようです。

こんな感じの映像でした。
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カメラにも写るのがちょっと意外。


カイル・マクドナルド「群衆を書き尽くす」 ★公式サイト
これは監視カメラに映ったロンドンの映像を観て、そこに映った人や物を選択してコメント(タグ)を付けて投稿するような作品。この人は何してるとか、この車はどうだとか、今まで書き込まれたタグが画面のあちこちに表示されます。私もいくつかタグ付けしてみましたが、英語のタグなどもあって投稿しているのはここだけでないのかも。フランスの作家,ジョルジュ・ペレックの『パリのひとつの場所を書き尽くす試み』という作品にちなんでいるとのことですが、監視社会への警鐘のように思えました。


徳井直生+堂園翔矢(Qosmo)「The Latent Future-潜在する未来」 ★公式サイト
こちらは今話題のAIを使った作品で、現在流れているネットの情報から、「ありえる/ありえた」かもしれないニュースが生成されるものです。私はデータサイエンティストの領域の仕事をしているのでこれは中々興味の湧くものでした。恐らくテキストマイニングして重回帰分析や主成分分析のような処理をしているのだと思いますが、出て来る結果よりも似た情報を3Dで銀河のように可視化している方が面白かったです。(ユークリッド距離を3次元的に表してるのかな?)


nor 「herering」 ★公式サイト
こちらは壁に向かって動くと、自分の動きが光と音によって表されるインタラクティブな作品。動きによって音楽的な感じになったりして、ちょっとしたテクノみたいw これは子供にも大人気でした。

三原聡一郎 「  鈴」 ★公式サイト
こちらは写真を撮ることができました。不規則に鈴がなる謎の作品。
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実はこれ、ガイガーカウンターとなっているようで、放射線を検出すると鳴るようです。連打されるとちょっと怖いかもw 自然界にも割と放射線がありますが、普段見えないし感じないのでこうして可視化されるのが面白いです。

他にも色々とありましたが、割愛。(公式サイトでもそれらの概要を観ることができます。)勿論、無音室やジャグラーといった不動の常設作品も健在です。


<リサーチ・コンプレックス NTT R&D @ICC>
続いてはNTT研究所の取り組みを紹介するコーナーについてです。
 公式サイト:http://www.ntticc.or.jp/ja/exhibitions/2017/research-complex-ntt-r-and-d/

こちらは未来予想をしているコーナー。
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未来の体は貸し借りできるようになる といった予想などが書かれていました。攻殻機動隊の世界みたいになりそうw

こちらは振動を伝える電話。
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2人1組の体験型で、お互いが押した擬音が体のセンサーに反応して伝わるというものでした。ここは混んでたので人がやってるのだけ観てきましたw


<エマージェンシーズ!031>
こちらの内容は、この記事を書いた時点で既に終了してしまっていますが、写真がとれました。

 公式サイト:http://www.ntticc.or.jp/ja/exhibitions/2017/emergencies-031-gushiken-yusuke/
 期間:2017年5月27日~8月13日

具志堅裕介 「ミキキキキミミ」
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これはヘッドフォンを付けて画面に出てくる文字を観ていると、だんだんその文字が聞こえている音の擬音に思えて来るというものです。結構単純なのは確かにそう思えるのですが、この写真くらい長いと作者との主観の相違が大きいかもw とは言え発想が面白い作品でした。


<ICC キッズ・プログラム 2017 オトノバ 音を体感するまなび場>
こちらは子供向けの音を体感する企画展となっていました。夏休み期間限定となります。

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 公式サイト:http://www.ntticc.or.jp/ja/exhibitions/2017/icc-kids-program-2017-oto-no-ba-sound-digging-with-the-senses/
 期間:2017年7月15日~8月31日

会場はこんな感じで、すべて体験できます。
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この部屋は撮影可能でした。

和田永 「ストライプト・セッションズ(ボーダーシャツァイザー)」 ★公式サイト
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これはストライプの服を身に着けて体験する作品。

体験方法はこんな感じ。
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きゅ~~~という音がするのが、近づいたり動いたりすると野太くなったり高くなったりします。ラジオの局あわせしてるような感じかなw 分かりやすくて面白いです。


スズキユウリ 「響き花の植物園」 ★公式サイト
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これは体験してもよくわからなかったのですが、ラッパの口みたいなのがパイプを通っていて、そのパイプを通して伝わる音の違いを感じるという意図のようでした。


パフューマリー・オルガンせいさくプロジェクト 「パフューマリー・オルガン」 ★公式サイト
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こちらは手前のオルガンを弾くと、それに呼応して各音に対応した小瓶の蓋があいて香りが漂うというもの。

こんな感じで小瓶がセットされています。
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どれも良い香り。

音階と香りの対応はこんな感じ。
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自分で弾いた曲がどんな香りか試すことができます。ごく一部の人しか持たない「共感覚」を体験できた気分ですw

金箱淳一 「タッチ・ザ・サウンド・ピクニック」 ★公式サイト
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これは音を遮断し、手に持った音を振動に変える装置を持って音を感じるというもの。割と色んな震え方をしていて、ヘッドフォンを外すと何がどういう震え方をするかちょっと分かるかも。

金箱淳一 「ラタタップ」 ★公式サイト
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これはエリア内で楽器を使って大きな音を立てると、地面に音のキャラクターが出て来るというもの。より大きな音をたてるとデカイ玉のようなキャラクターも出てきました。この部屋で子どもたちが一番夢中だったのはこれかも。



ということで、多種多様な作品を楽しむことができました。とかくアートは歴史や文化など文系的な要素が多いですが、こうした理系的アートも知的好奇心を刺激してくれて面白いと思います。 いくつかは夏限定の企画ですので、気になる方はお早めにどうぞ。


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評価




静かなひとびと 【東京オペラシティアートギャラリー】

前回ご紹介した展示を観た後、東京オペラシティアートギャラリーの常設も観てきました。今回は「収蔵品展059 静かなひとびと」というタイトルで期間も設けられていました。

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【展覧名】
 収蔵品展059 静かなひとびと 寺田コレクションより

【公式サイト】
 https://www.operacity.jp/ag/exh200.php

【会場】東京オペラシティアートギャラリー
【最寄】初台駅

【会期】2017/07/08(土)~ 09/03(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていて快適に鑑賞することができました。

この展示はオペラシティ周辺の造園にも携わった収集家の寺田小太郎 氏のコレクションを基にしたもので、約100点あまりの現代日本の作家の作品(主に絵画)が集められたものです。タイトルの「静かなひとびと」は寺田小太郎 氏の人となりを表したものでもあるようで、「植物と私は同格」と語ったり自然に任せて木々の命を見守るなど、独特の哲学を持っていたようです。コレクションも静けさが漂うものが多くこの展示にぴったりのタイトルのように思えました。特にメモしていませんが、簡単に気に入った作家などをご紹介しようと思います。

有元利夫
まず最初の辺りに有元利夫 氏の作品が何点かありました。フレスコ画のような質感で、どことなくアンリ・ルソーを思わせる素朴さがあり、超現実的なところがあり といった感じの独特の画風が面白い。どことなく親しみがわくのも特徴です。
 参考記事:有元利夫展 天空の音楽 (東京都庭園美術館)

五味文彦
超リアルな写実を描く五味文彦 氏も2点だけありました。静物のガラスの表現などは写真のようにも思えますが、単にリアルなだけでなく絵画的な構図がありつつもガラス器の重なりを表現しているのが面白かったです。(記事冒頭の写真は五味文彦 氏によるものです)
 参考記事:現代の写実。ホキ美術館名品展 感想前編(ホキ美術館)

長谷川潔
この画家は点数が多く、水彩やドライポイント中心でした。裸婦や少女などが簡潔かつ優美な線で描かれていて、藤田嗣治の作品を観た時と似た感覚を覚えました。しかし顔はルネサンスのボッティチェッリなどを想起させ、優美なポーズもそれを連想させるかな。いずれの作品も女神のような高貴さと静けさをたたえていました。

この近くには加藤清美という画家の作品も結構ありました。

河原朝生
この画家の作品が最も好みかな。平坦で単純化された部屋を描いた大型作品など10点程度が展示されていました。デ・キリコの形而上絵画のようでありながら、深い暖色系のせいか温かみを感じる画風で、不思議と心休まるような感じです。この画家の個展を是非やって欲しいw

この辺りには河内良介という画家による鉛筆で描いた細密な作品などもありました。

小杉小二郎
この画家も単純化された風景をシュールな雰囲気で描く画風で、静物や風景画などがありました。特に「六区のメトロ駅」という作品はどこか寂しげな雰囲気で、駅や大きなトンネルの入り口や比率が小さすぎる人など、不思議な光景が広がります。怖いわけでもなく、何処か懐かしい心象風景といった感じでした。

この近くにはミロスラフ・ムッシャという画家の作品などもありました。

難波田史男
この画家は水彩の作品が数点ありました。具象のような抽象のような画風で、強いて言えばパウル・クレーに似た雰囲気に思えます(最近観たヴォルスもちょっと近いかも?) 水彩の淡めの色彩感覚が楽しげで、踊るような躍動感がありました。

奈良美智
この画家は説明不要かなw 悪戯っぽい顔した少女の肖像がとてもユニークで、どこか憎めない愛らしさがあります。ファンも大変多い画家です。

他にもユニークな画家の作品が何人も並んでいました。やはりテーマに沿ってシュールで静かな作品が多かったように思います。

<project N 68>
常設展の後の廊下には「project N」というコーナーがあります。こちらは東京オペラシティアートギャラリーのコレクションの中心画家である難波田龍起 氏の意志を継いで、若手作家の育成・支援を目的としたコーナーです。今回は森洋史 という画家の作品が並んでいました。
 公式サイト:https://www.operacity.jp/ag/exh201.php

森洋史
この画家の作風を一言で言うならアニメ風パロディかな。レオナルド・ダ・ヴィンチの受胎告知やフェルメールの真珠の耳飾りの少女、他にもモネやクリムト等などの有名作をアニメの女の子みたいに描いています。また、そうしたパロディの中にスーパーマリオやマクドナルドのドナルドなど現代のアイコンを混ぜ込んでいたりして、カオスな感じw 背景には「せっそうがない…ただのパロディのようだ…」とドラクエからの引用らしき言葉もあったりします。さらにそれらをオプアートのような多重にぼかす効果をしていたりと色々混ぜ込んでいるように思うのですが、これらは「イメージの亡霊」を表現しているそうです。ちょっとやり過ぎな感じもしますが、割と細部まで記憶に残っているので印象深い画家と言えそうです。


ということで、多彩なコレクションを見ることができました。特に河原朝生と有元利夫の作品はもっと観たい気持ちにさせられました。オペラシティに行く機会があったら、常設展も是非どうぞ。


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評価




荒木経惟 写狂老人A 【東京オペラシティアートギャラリー】

先週の山の日に、初台の東京オペラシティアートギャラリーで「荒木経惟 写狂老人A」を観てきました。この展示および当記事には過激なヌード写真も含まれていますのでご注意ください。

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【展覧名】
 荒木経惟 写狂老人A

【公式サイト】
 https://www.operacity.jp/ag/exh199/

【会場】東京オペラシティアートギャラリー
【最寄】初台駅

【会期】2017年7月8日(土)~ 9月3日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
それほど混むこともなく、快適に鑑賞することができました。

さて、この展示はアラーキーこと荒木経惟 氏の個展で、1000点を超える新作が並ぶ内容となっています。タイトルの「写狂老人A」は70代半ばの葛飾北斎が「画狂老人卍」を号したことに擬えていて、同様に旺盛な創作を続ける荒木経惟 氏に合ったものと言えそうです。先日、写美でも荒木経惟 氏の展示を観てきましたが、写美は奥さんとの関係を深掘りしていたのに対して、こちらは最近の多彩な作品があり、中でも「人妻ヌード」などアラーキーが得意とるすエロスがやや多めとなっているように思います。この展示は撮影可能となっていましたので、各章ごとに写真を使ってご紹介していこうと思います。
 参考記事:荒木経惟 センチメンタルな旅 1971-2017- (東京都写真美術館)

<1. 大光画> ★この章の紹介
まずは大型作品が並ぶコーナー。初っ端から人妻たちのヌード写真(白黒)がずらりと並んでいます。恐らく40代以上の女性たちのヌード写真で、お腹が出ていたり肉が垂れてるなどあまり見たいものではないですw 割と挑発的なポーズの写真もあったりしてちょっと私にはキツいものがありましたが、笑顔で撮られている女性が多く楽しんで撮られている感じがありました。老いても太っても自信を持ってさらけ出す姿を女性から引き出すアラーキーは凄い…。この性と生への眼差しはロートレックやシーレに通じるものがあるように思いました。解説では「美とは何か?」というアンチテーゼと言えるとのことで、確かにそうかも。

この章には何故か楳図かずお氏とのツーショットもありましたw
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<2. 空百景> ★この章の紹介
こちらは空を撮った写真のコーナー。こちらも新作です。

隣の花百景と共に壁面を埋めるように並んでいます。
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この空は自宅から撮ったものらしく、富嶽百景にちなんだタイトルになっているようです。
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写美の展示でも空の作品を見ましたが、こちらはより多彩な空の様子が並んでいるように思えます。


<3. 花百景> ★この章の紹介
続いては花を撮った写真のコーナー。こちらも新作で、伊藤若冲の百花図に触発されて撮ったそうです。

沢山の花が並んでいます。
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白黒ならではの強いコントラストと立体感があるように思えますが、ちょっとグロテスクなくらいの「生」も感じました。花と聞いて思い浮かぶ可憐なイメージではなく、懸命に生きている感があるような。


<4. 写狂老人A日記 2017.7.7> ★この章の紹介
こちらは2017年7月7日に撮った白黒写真がずら~~~っと並んでいます。この日は奥さんの命日らしく、淡々と進む日常と死の両面を想起させる一日の様子といった感じの作品でした。

時系列順に並んでいるようで、最初の方には草間彌生 氏を撮った写真なんかもありました。
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その他にも、渋谷や新宿界隈の風景や広告、様々な食物、空、人形や花を使った静物など様々なものが写されています。1日でどれだけ活動しているんだ??という疑問が真っ先に来るくらい大量の写真があって驚きました。特に何でもない日常が視線が独特で切り取られていて面白い。


<5. 八百屋のおじさん> ★この章の紹介
この章は小部屋になっていて、スライドで初期作品(電通に勤務していた頃)の「八百屋のおじさん」を流していました。この作品は制作から半世紀経って初公開となるそうです。

おじさんのナイス笑顔w 
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気さくな人柄が伝わってくるようで、素晴らしいシリーズです。


<6. ポラノグラフィー> ★この章の紹介
こちらは2002年から制作し続けているポラロイドによる作品を映像で紹介していました。ちょっと写真は撮り忘れましたが、エロティックな人形を使った静物などは2017.7.7の章でも観られた作風と同様に思えました。

こちらはこの章の前にあった卓に置かれた作品。この後出てくる「切実」と同様の技法のように思えます。
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この卓には過去の写真集もあったので、しばらくそれらを観てきました。


<7. 非日記> ★この章の紹介
こちらも小部屋でのスライドショーで、2014年のカルティエ現代美術財団でのプロジェクトから発生したデジカメのシリーズを流していました。

3画面同時に写っているので観るのが結構大変w
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日記であって日記に非ず という意味のようですが、日常の風景が撮られていたように思えます。ちょっとタイトルの真意は分かりませんでした。


<8. 遊園の女> ★この章の紹介
こちらは遊女をモチーフにしたコーナーで、ヌード多めの妖艶な内容となっていました。

縄で縛られていたりエロティックな感じの作品もあります(念のため小さめの写真にしておきます)
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笹紅つけて江戸時代の遊女っぽいけど一般女性とのこと。熟女の人妻って感じかな。


<9. 切実> ★この章の紹介
こちらは切り取った2枚の写真をくっつけるコラージュ作品のコーナー。「写真は真実」であり、それを切り取るから「切実」という意味や「切ない真実」という意味を重ねているそうです。

無数の作品が並んでいます。
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この組み合わせを考えるのも大変そう。

特に気に入ったのがこちら。
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お互い違うものを1つの円にしているのが面白かったです。


最後に今まで出版された荒木氏の写真集がいくつか並んでいました。
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センチメンタルな旅の1000部限定の私家版なんてのもありました。


ということで、ヌード多めでしたが多彩な作品を観ることができました。性や生を主題にしているようにも思えましたが、どことなく死も連想させるところもあったように思えます。ちょっと大人向きの展示だと思いますが、アラーキー好きな方は是非どうぞ。


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評価




タイ ~仏の国の輝き~ 【東京国立博物館 平成館】

記事にするまでちょっと間が空きましたが、7/30に東京国立博物館で日タイ修好130周年記念特別展「タイ ~仏の国の輝き~」を観てきました。

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【展覧名】
 日タイ修好130周年記念特別展
 タイ ~仏の国の輝き~

【公式サイト】
 http://www.nikkei-events.jp/art/thailand/
 http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1848
 http://www.tnm.jp/modules/rblog/index.php/1/category/87/

【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅

【会期】2017年07月04日(火)~08月27日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
意外にもそれほど混むこともなく快適に鑑賞することができました。たまに人だかりが出来ている作品もありましたが、特に列を作ることもなく自分のペースで観ることができました。
さて、この展示はタイトル通りタイをテーマにした内容で、特にタイにおける仏教美術を中心に紹介していました。メモなど取らなかったのでちょっとうろ覚えなところもありますが、構成に沿って各章ごとに簡単にご紹介していこうと思います。


<第1章 タイ前夜 古代の仏教世界>
ここはまず最初に12世紀末頃の「ナーガ上の仏陀坐像」がお出迎えしてくれました。これは仏陀が修行している時に蛇の神ナーガが己の体を傘の代わりにして風雨から仏陀を守ったという逸話を主題にしたもので、7つの頭を持つ蛇が光背のようになっているのが非常に面白い仏像です。展示の最初からタイの仏教美術の粋を見せて貰った感じです。

そしてこの章ではタイの歴史の始まりをテーマにしていました。様々な国や民族が複雑に入り乱れていてこの展示を観ただけで歴史を把握するのは難しいですが、7世紀にタイにあったドヴァーラヴァティーという国から唐まで使者が来ていたという記録があるようです。かつてはこの国の存在を示す証拠が無かったのですが、銀貨が出てきて証明されたらしく、その銀貨なども展示されています。また、ドヴァーラヴァティーも仏教国だったのですが何故か法輪が厚い信仰の対象になったらしく、巨大な法輪が展示されていました。これが中々に装飾が細かく、大きさも相まって威厳が感じられます。(FFのボスにこんなのがいた気がする…w) 法輪は車輪が転がるように教えが広まることを示すそうですが、これほど法輪ラブな国は古今東西でもこの国だけじゃないかなw
他には8~9世紀始めころのプレ・アンコール時代と言われる時期の仏像などもありました。その時代の呼び名から分かるようにカンボジアの影響が強かったようで、カンボジアのクメール族が信仰していたヒンドゥー教の神が、タイにも伝わっていた様子が分かります。シヴァとパールヴァティーが合体した像とか、もはや仏では無いのもありましたが、日本に限らず仏教は各地の宗教と習合し取り込んでいるので、このような受容は割と納得できました。

ちなみにタイの仏教は上座仏教と呼ばれる出家して修行するスタイルの仏教で、大乗仏教が主流の日本とは異なります。現在でも成人すると出家して托鉢している僧はタイの街に沢山いるそうです。
 参考リンク:上座部仏教のウィキペディア


<第2章 スコータイ 幸福の生まれ出づる国>
こちらは「幸福の生まれ出づる国」を意味する「スコータイ」という1238年にタイ族がひらいた王朝についての章です。この王朝ではスリランカから来た上座仏教を厚く信仰していたようで、その仏像などが並んでいます。
この時代の仏像を観ると、日本の仏像と違って面長で、頭の上につぼみのような炎?があるのに驚きます。また、体も平面的というか滑らかな感じで、日本にある仏像とは趣が異なります。しかし微笑みを浮かべているアルカイックスマイルなどは古代日本の仏像に共通しているようにも思えました。割と日本と対比すると同じ所もあれば違う所もあって面白いです。
ここには一歩踏み出すような「仏陀遊行像」もありました。優美な姿でちょっと腰をくねらせて歩く姿が印象的です。これはこの章でも見どころじゃないかな。


<第3章 アユタヤー 輝ける交易の都>
ここは恐らく今回の展示でも最も豪華絢爛な作品が集まった章です。タイでは14世紀半ばから400年ほどアユタヤーという国が栄えたそうで、海洋貿易の拠点として中東や西洋とも盛んに交流をしていました。その貿易で莫大な富を築いたのですが、ここにはその輝かしい時代を象徴するような精巧で完成度の高い金色に光る仏具が並んでいました。いずれもラーチャブーラナ遺跡にある仏塔から出てきた出土品で、仏像、舎利塔、象の形の置物、金靴、金冠などなどどれも素晴らしい技術で作られています。この時代には上座仏教でありながらインドのバラモンの制度を取り入れるなど集権的な制度が整えられたそうで、そのせいか仏具もここまでの時代の作品に比べて一気にクオリティが上がったように思えました。


<第4章 シャム 日本人の見た南方の夢>
ここは日本とタイの繋がりについてのコーナーです。歴史に詳しい方はご存じかも知れませんが、江戸時代が始まった直後くらいに沼津藩の家臣だった山田長政は1612年に朱印船でタイ(シャム)に渡りました。山田長政は現地で日本人町を作っただけでなく、スペインとの戦いで武勇を上げアユタヤーの王の信頼を得て王女と結婚したという伝説もあるようです。しかし後に政争に巻き込まれて暗殺され、日本人町も反乱の恐れがあると焼き払われてしまうのですが、ここにはそうした時代の遺物が展示されていました。当時の世界地図や、渡海の朱印状、タイで作られた漆器など山田長政の時代の日本とタイの繋がりを感じさせる品々があります。この後の章に出てくるタイで作られた日本刀のように日本からタイへの影響もあれば、タイから日本に伝わった更紗のような品もあるようで当時の文化交流の様子が伺えました。


<第5章 ラタナコーシン インドラ神の宝蔵>
最後はラタナコーシン(インドラ神の宝蔵 という意味)という章で、タイとビルマ(ミャンマー)の戦争でアユタヤーの町が灰燼と化した後の復興の時代についてです。タイはアユタヤーの復興のために新しい都を現在のバンコクに置きクルンテープ(天人の都)と呼んでいたそうです。ここには19世紀頃の仏画や日本刀を模した装飾刀、象の上に座る為の鞍など多彩な品があるのですが、この展覧会で最も注目すべき「ラーマ2世王作の大扉」という作品がありました。この作品だけは撮影が可能なので、写真を撮ったのでご紹介。

とにかくデカいのに細かい! 5.6mもあるそうです。
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様々な動植物が彫られているのですが、欄間のようにくり抜いてあります。一歩間違えば崩壊しそうな繊細さ。

裏面も撮影可能。裏面は鬼神が描かれています。
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こんな巨大で見事なものを国王自ら作れるの?とちょっと疑いの目で観てしまうレベルw 中の方はくり抜いてあって、どうやって作っているのかも不思議に思えるのですが、他に同じようなものを作らせないために国王は使用した道具を全てチャオプラヤー川に捨てさせたという逸話もあるそうです。いずれにせよこれだけのものを観られるのは滅多にない機会だと思いますが、修復に日本も尽力しているそうでこうした機会に恵まれたのかもしれません。こちらはこの夏でも必見の作品だと思います。


ということで、タイの歴史と仏教についての展示となっていました。同じ仏教でも仏像の表現が日本とは異なっているのが面白かったです。造形も豊かで特にラーマ2世王作の大扉には圧倒されました。会期も残り少なくなってきていますので、ご興味ある方はお早めにどうぞ。

おまけ:
この日はちょうど上野公園でタイ・フェスティバルが開かれていました。
20170730 133726
私は地元でタイ料理を食べてから行ったので買いませんでしたが、タイ料理の屋台などもあり美味しそうな香りがしていました。


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