関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

アーティスト・ファイル2010 現代の作家たち 【国立新美術館】

FUJIFILM SQUAREで「海中散歩」写真展を観た後、国立新美術館へ移動し、アーティスト・ファイル2010を観てきました。この日は六本木アートナイトの一環で無料で観られました。(無料期間は終了しております)

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【展覧名】
 アーティスト・ファイル2010―現代の作家たち

【公式サイト】
 http://www.nact.jp/exhibition_special/2009/03/af2010.html

【会場】国立新美術館
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅
【会期】2010年3月3日(水)~5月5日(水・祝)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
現代アートは苦手なほうですが、この展覧は去年行って面白かったので楽しみにしていました。
 参考記事:アーティスト・ファイル2009 (国立新美術館)

今回紹介されていたのは7人で去年にくらべ2人少なかったですが、1人1コーナーという感じで、いずれも個性的な作家の作品が並んでいました。解説はあまりないので、作品が意味するものを理解するのは難しかったです。とりあえず、感じたことだけですが作家ごとにご紹介。 この日だけは無料だったせいかお客さんも結構入っていました。

南野 馨
この人の作品は美術館の表に展示されていました。
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見た目は金属っぽいですが、実は陶器です。よーく観ると焼き跡があるのが分かりました。この幾何学的で工業的な見た目がそう思わせるのかも? 意外性が面白かったです。


桑久保 徹
まずは壷の油絵が10枚ありました。絵の具がゴッホ並に厚く塗られ、色は原色が多く鮮やかです。壷は画面いっぱいに描かれていて力強い印象がありました。中には「おはようございます~」とメッセージも書き込まれている作品もありました。

部屋の中には大きな絵画が8枚あり、いずれも波打ち際の浜辺の絵なのですが、どれもシュールな雰囲気をしています。浜辺に家具が散らかっている絵、浜辺に大量の本が積まれた絵、墓石だらけの浜辺の絵、壷が置かれ空には花火が花開いている浜辺の絵、空からシャンデリアが垂れ下がり、その下でダンスをしている人たちの絵など、なかなか意味ありげな感じです。私には何を意味しているかわかりませんが、印象深い作品でした。

福田尚代
今回の展覧の中で一番面白かったのがこの人です。いくつも気に入る作品がありました。

まずは年賀状が置かれているのですが、文字が刺繍で書かれていてよく読めませんw 素朴で生活観溢れる手紙は親しい人同士のやりとりのようでした。この年賀状以外にも名刺の文字を刺繍にしている作品もありました。

壁面に「不忍 蜘蛛の糸」という横4m×高さ1.8mくらいの抽象画のような絵があったのですが、これが近くで観ると驚きの作品です。1cmに満たない「蓮」という字を様々な色で書き、それを離れて観ると抽象画のように見えるというものでした。何千?何万? とにかく「蓮」の字で埋め尽くされている根性が凄いw 驚嘆です。

消しゴムで作られたミニチュアなどもありました。机、舟、墓、道具類など、沢山のミニチュアが並ぶと意味深な感じもしました、消しゴムで作る発想が面白いです。

文庫本を開いてページを半分に折り曲げ、それを扇状にした作品がいくつも並んでいました。それぞれの本は1行だけ読めるように折られていて、いずれも会話部分でした。元の本はなんだか分かりませんが、一言のセリフが印象に残る作品郡でした。また、これ以外にも本を切断したり、本に彫刻をした作品などもあり、身近な本が別のものに生まれ変わったような新鮮さがありました。

最後に非常に長い回文がいくつか並んでいました。10行くらいの回文で、軽くストーリーが出来るくらい長かったw これも驚きです。

アーノウト・ミック
2点の映像作品です。結構長いので全部は観ませんでしたが、営業中の薬局の中で土木作業をしている映像や、空港職員が乗客の荷物をどんどん掻き出してバッグの内壁までひっぺがす映像など、現実の世界のようで少しずつおかしなところのある映像でした。

O JUN
高いところまで壁一面に飾られた絵画作品に圧倒されました。単純化された家や車、人などが描かれ、図形のようなものもあるかな。何を描いているかわからないですが、白地が多くスタイリッシュな雰囲気の作風でした。

斎藤ちさと
気泡越しに見る様々な物や風景の写真が並んでいました。気泡は銀の玉のようで美しく非常に鮮やかに写っているのですが、背景はぼやけていて何かよくわかりません。普段観るようなものも気泡越しに観ることで別物に見えるのが面白かったです。

アニメーションのような作品もありました。

石田尚志
アニメーションと言えばいいのかな?? この間観た まずは白地に流れるように模様がついていく様子の映像作品。その動きの滑らかさと華やかな色合いが綺麗でした。その映像の前には巻物のような作品があり、これが実際に塗られた作品のようでした。

他にも実写とアニメが混ざったような作品があり、以前観たウィリアム・ケントリッジと同じような面白さがありました。

ということで、今回の展示も楽しめる内容でした。特に福田尚代の作品が好みでした。
この後、少し休憩してから六本木アートナイトを観てきました。


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評価




「海中散歩」写真展~中村征夫のお魚ワールド~  【FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)】

この間の土曜日に六本木アートナイトを観に、六本木をうろうろしてきました。ちょっと早めに行って、しばらく他を周ることにして、まずはフジフイルム スクエアで「海中散歩」写真展を観てきました。

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【展覧名】
 「海中散歩」写真展~中村征夫のお魚ワールド~

【公式サイト】
 http://fujifilmsquare.jp/detail/10022701.html

【会場】FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア) 1Fギャラリー「PHOTO IS」
【最寄】六本木駅/乃木坂駅
【会期】2010年2月27日(土)~4月7日(水)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間15分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時半頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
意外なほど混んでいて、特に家族連れが多かったかな。やはり魚の写真は人気なのかも。 いくつかのテーマに別れていて、それに沿った色鮮やかな写真が展示されていました。いつもどおり小さな展示ですので、ごく簡単にご紹介。

顔面:
正面を向いた魚達の顔の写真です。可愛いらしい顔の魚を楽しめるコーナーでした。

かいじゅう:
結構、グロいコーナーw 特に毒々しい感じの貝が怪獣っぽさがありました。

東京湾:
ここは結構写真が多かったかな。クラゲやイソギンチャクなどが幻想的でした。

映像コーナー:
船の丸窓のようなものの中を覗く映像のコーナーです。ホホジロザメの映像は幕が下がっていて心臓の悪い方などは避けてくださいと書いてありました。特に怖いシーンとかなかったですけどw

原寸大:
これは原寸大の大きさの写真が展示されているコーナーでした。どでかい頭の魚とか面白かった。

新入生:
これは魚の赤ちゃんのコーナー。どんな生物でも生まれたては無垢で微笑ましい光景でした。

ということで、ちょっとグロイものから可愛いものまで、様々な海の生物の写真が並んでいました。凄い美しい!というよりは生態観察のような視点かもしれません。子供の教育とかにも良さそうな展示でした。

この後も少し六本木をうろつきながらアートナイトの時間を待っていました。


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評価




宇都宮美術館の常設 【2010年03月】

大原美術館名品展を観た後、(ジョワ・デ・サンスお茶する前)に宇都宮美術館の常設展も観てきました。何と言ってもマグリットを観たかった^^

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【展覧名】
 第3回・コレクション展

【公式サイト】
 http://u-moa.jp/jp/exhibition/index03.html

【会場】宇都宮美術館
【最寄】宇都宮駅
【会期】2010年2月13日(土)~2010年3月28日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
この日の展示は2010年3月28日までの内容となっていました。常設は意外と少なく30点くらいしかないので、早い人なら30分かからないかも。一応、5つのコーナーに別れていたのでそれに沿ってご紹介しようと思います。

<日本美術1 女の人?>
陽咸二 「女と猫」
膝に猫を乗せている裸婦の彫刻です。半楕円の窓枠のような枠にちょうど収まるように首を垂れている女性の姿が優美でした。古代彫刻のような雰囲気かも。

里見勝蔵 「裸女」
観た感じでヴラマンクの影響を伺わせる色彩で描かれた裸婦です。ちょっと暗めの色ですがインパクト大でした。体の形も円や曲線が多いようで、絵葉書くらいの解説書(自由にもらえる)によると、あえてバランスの悪さを感じる配置で絵の表現力を強めているそうです。

<世界の美術/デザイン1 この女(ひと)は誰?>
ここが今回のお目当てのコーナー。シャガールとマグリットが2枚ずつのみですが、好きな作品が観られました。

マルク・シャガール 「青い恋人たち」 ★こちらで観られます
透き通るようでありながら深い青で描かれた2人の男女です。横向きの裸婦と、上から裸婦を抱くような男性が描かれていて、右上には細い月が出ています。この色合いと月が神秘的な雰囲気を出している作品でした。

ルネ・マグリット 「夢」
以前、だまし絵展の時にもご紹介した作品です。裸婦の影が真っ黒ではなく、裸婦の正面の様子が映りこんでいるという不思議な絵です。その超現実的な背景も含めて夢の中にいるような不思議さがあります。
 参考記事:奇想の王国 だまし絵展(Bunkamuraザ・ミュージアム)

ルネ・マグリット 「大家族」 ★こちらで観られます
一昨年だったと思いますが、横浜美術館のシュルレアリスム展で観て以来の久々の再会でした。曇り空の海の上に、巨大な鳩の形に青空が出ているという絵です。何故、大家族という名前なのかわかりませんが、シュールさと爽やかさがあって好きな作品です。

<日本美術2 何を待つ?>
やなぎみわ 「夜半の目覚め」
今回の常設の中で1番の大作かも。非常に横長の写真作品で、大きく右、中央、左の3つに分かれます(繋がっています) 右は奥が見えないくらい長く続くショッピングセンターのような中国風の廊下に、沢山の女性の靴やバッグなどが散乱しています。そして所々に黒い帽子と真っ赤な服のバスガイドさんらしき女性達が立ってます。 中央は水族館のようなところに、赤や白の服を着たバスガイドらしき女性達が群がっていますが何をしているかはわかりません。左はショッピングモールの吹き抜けとエスカレーターの付近でガラスの柵にもたれかかるバスガイドらしき女性達がいました。全体的に鮮やかな色合いなのですが、女性達はどこか気だるく気ままな感じで、写真なのに非現実感がありました。

青木野枝 「Untitled (NA97-1)」
鉄でできた作品で、逆円錐を7個組み合わせて出来ています。上のほうは花のようで幾何学的な美しさがありました。

<世界の美術/デザイン2 何の生きもの?>
パウル・クレー 「都市の境界」
この美術館はクレーの作品を6点持っているそうで、今回は4点観ることができました。この絵はビルが規則正しく並び、途中からモザイク模様に溶け込んでいっているように観える作品です。薄く白っぽい色合いなのがそう思わせる1つの要素かも。面白いアイディアの作品でした。

ワシリー・カンディンスキー 「第1回ファーランクス展」
これはポスターのようです。装飾的な絵で槍を持つローマ(ギリシア?)兵のような人と、柱が描かれ、背景には城なども描かれていました。カンディンスキーというと白地の抽象画を思いつきますが、これは具象的でデザイン性がありました。こういうポスターを手がけているとは知りませんでした。

ドナルド・ブリュン 「ツヴィッキーの絹糸」
この辺には猫の絵が3枚あったのですが、特に気に入ったのは真ん中のこの作品。黒猫が赤い糸巻きをもっていて、その赤い糸が手や首に巻きついていますw デフォルメされた猫はなにやら満足そうな得意げな表情でした。可愛いです。

<宇都宮ゆかりの美術 どちらの肩に目を留める?>
斎藤誠治 「Belle of Romance」
片膝を立てて、肩に顔を乗せている裸婦の彫像です。大理石で出来ていて、所々にマーブル模様があり表面はなめらかでキラキラしています。そのせいか、近くで観ると生き生きした雰囲気がありました。


こんな感じで、常設は少ないながらも面白い作品に出会うことができました。
続いて、外の作品をご紹介します。

<屋外彫刻>
屋外にある作品の写真を撮ってきました。

左:クレス・オルデンバーグ 「中身に支えられたチューブ」
右:サンドロ・キア 「ハートを抱く片翼の天使」
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どちらも現代の作品です。チューブのほうはなんだこれ?!って面白さがありました。天使の方はハートが微笑ましいです。

屋内にも彫刻作品があったのですが、特別展のコーナーにあって、ここのコレクションなのか大原美術館のコレクションなのか分からなかったw そこには先日行ってきた川村記念美術館にもあったブールデルの「果実を持つ裸婦」などがありました。

おまけ。美術館の前にある広い野原。晴れていたらここでシートひいて寝たいw
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これにて宇都宮編は終了です。宇都宮への餃子と美術館の日帰り旅行は中々お勧めです。
帰りにも駅ビルの餃子屋さんで餃子を食べたのですが、そこはまあまあくらいのお店だったのでご紹介は見送りますw やはり食べるなら専門店かな。



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評価




joie de sens (ジョワ・デ・サンス) 【宇都宮美術館のお店】

宇都宮美術館で「大原美術館展」と常設を観た後、美術館内のカフェでお茶してきました。(今日は六本木アートナイトを観に行って忙しいので、常設の記事は次回にして先にこちらをご紹介します。)

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【店名】
 joie de sens (ジョワ・デ・サンス)

【ジャンル】
 レストラン/カフェ

【公式サイト】
 http://u-moa.jp/jp/shop_restrant/index02.html
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 宇都宮駅

【近くの美術館】
 宇都宮美術館の館内です。

【この日にかかった1人の費用】(※お酒は飲んでいません)
 650円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_3_④_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日16時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
カフェタイムのラストオーダーぎりぎりくらいに行ったせいか、店内はかなり空いていました。光が差し込み、中々良い雰囲気です。
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外の眺めも緑に囲まれて、落ち着いた雰囲気です。
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この日、「ベリーベリー」というラズベリーとブルーベリーのタルトのセットを頼もうとしたら売り切れだったので、「ポルトガルプリン」のセットにしました。
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プリンは濃厚でカラメルの風味も良くて美味しいです。そして、コーヒーも美味しい! 味が深くて好みでした。

こちらはかぼちゃのチーズケーキのセット。
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半生でとろっとした感じで、こちらも濃厚なお味です。 下のほうのタルト生地まで美味しい。 紅茶も良い香りでした。

コーヒーを飲み終わってから気づいたのですが、このお店には水出しコーヒーがあるようです。せっかくならこっちを飲めば良かったw 普通のコーヒーも十分美味しかったので、こちらも期待できそう。
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ということで、またもや「美術館のカフェは美味しい店が多い」という説の新たな1ページとなりましたw 郊外のカフェも頑張ってますね。上野とか見習って欲しい…。


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評価




大原美術館名品展 【宇都宮美術館】

宇都宮の街で餃子を食べた後、バスを逃したのでタクシーに20分くらい(3000円程度)乗って、宇都宮美術館へ行きました。今回のお目当ては「大原美術館名品展」でした。

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【展覧名】
 大原美術館名品展

【公式サイト】
 http://u-moa.jp/jp/exhibition/index02.html

【会場】宇都宮美術館
【最寄】宇都宮駅



【会期】2010年2月14日(日)~2010年4月4日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間40分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
着いて早々、14時からのギャラリートークが始まったので、参加して詳しい解説を聞いてきました。解説機とか無いのでトークはありがたかったです。まずは今回のテーマである大原美術館について説明していただきました。
 参考リンク:大原美術館

大原美術館は倉敷にある美術館で、大原孫三郎が昭和5年に建てた私立美術館です。この大原孫三郎は倉敷の実業家で、孤児院への寄付や奨学制の設立、社会問題の研究などの社会事業を行った偉人です。そして、この美術館にはもう一人、設立に大きく寄与した人物がいます。それは画家の児島虎次郎で、彼は東京藝術大学を2年(飛び級)で卒業したほどの才能の持ち主で、大原氏の奨学生でもありました。その縁がきっかけで2人は出会い、1歳違いであったこともあってお互いに親友のような付き合いになりました。(大原氏は、いったい何歳で奨学制を始めたのだろう…と思いながら聞いていました。)

児島虎次郎が勧業博覧会美術展で1等をとったことで、大原孫三郎は彼を援助し、ヨーロッパへ5年間留学させました。その留学中、フランスやベルギーで勉強していた虎次郎から手紙が届き、エドモン=フランソワ・アマン=ジャンの「髪」という作品を購入して欲しいと請われます。(★こちらで観られます) 当時、西洋画は写真や複製しか無い時代だったので、児島虎次郎は日本の画家達のために本物を見せたいと思い、大原孫三郎を説得したようです。大原氏もまた日本の画家達のためになるならと承諾し、これが大原美術館の第一歩となりました。 その後、児島虎次郎は一旦帰国し、再度ヨーロッパに行くのですが、今度は本格的な西洋画コレクションを進言しました。勿論、大原氏は承諾し、児島虎次郎に絵の選定を一任しました。2人の厚い信頼関係が伺えます。そして児島虎次郎はモネやマティスのアトリエに出向いて購入してきたようです。
やがて、1929年に惜しくも児島虎次郎は亡くなってしまうのですが、その翌年に大原氏は集めた作品と児島虎次郎の作品を大原美術館として公開しました。その後、大原孫三郎の息子の大原總一郎の代になると、大原總一郎は「美術館は生きて成長しいていくもの、倉庫のようであってはならない」とその時代のコレクションも集める方針を打ち立てました。そうした信念に基づき、新たなコレクションを追加しながら現在に至るようです。

ということで、大原親子や児島虎次郎の日本の画家のためにという心意気や、信頼関係など、感動的なエピソード満載のコレクション誕生のあらましを聞けました。うーん、それだけでコレクションも一層ありがたく見えてきたw その後も詳しい話をきくことができましたので、章ごとにご紹介しようと思います。

<第1章 西洋の近代美術>
大原孫三郎と児島虎次郎の2人が集めた作品が中心のコーナーです。(その後集められた作品もあります。)

クロード・モネ 「積みわら」 ★こちらで観られます
積み藁に腰掛ける2人の女性が描かれ、その積み藁は影の中にあります。背景には日の当たっている積み藁も描かれ、光の描写は流石です。のんびりと平和な雰囲気で、風が流れるような筆跡に思えました。
この辺にはピサロやシスレーの作品もあり、ピサロは児島虎次郎が買ってきた絵とのことでした。

ポール・シニャック 「オーヴェルシーの運河」 ★こちらで観られます
川沿いの風車を描いた作品。シニャックらしい色合いで全体的に薄い紫や水色に見えます。シニャックと言えば点描の技法ですが、この作品も大き目の点で描かれていました。

ピエール・ボナール 「欄干の猫」
ナビ派の作品が4点くらいあった中の1枚。パステル調の薄めの色彩で、画面の左下ぎりぎりに人の頭が描かれ、右上には柳、中央には欄干に乗った猫が2匹描かれています。解説によるとこの端を上手く使うところが日本画の影響を受けていることを物語っているようでした。風景を切り取ったような感じの絵に思えました。

アンリ・ル・シダネル 「夕暮れの小卓」 ★こちらで観られます
かなり気に入った作品。夕暮れの街と川の見えるテラスに椅子とテーブルが置かれ、その上には夕飯の後のティーセットのようなものがおかれています。背景は夜の帳が落ち始めた頃でしょうか、奥の家の灯りが灯っているのが温かみを感じます。誰もいないのに不思議と心が安らぐ作品でした。 解説によるとシダネルはこうしたプライベートな雰囲気の作品が多いのだとか。

シャルル・ゲラン 「タンバリンを持つイタリアの女」 ★こちらで観られます
左手でタンバリンを持ち、右手で頬杖をする赤い服赤い頭巾の女性像です。アカデミックな印象を受けましたが、解説によるとこの作品はセザンヌの影響を受けているそうです。その濃い色合いも相まって芯の強そうな女性に見えました。また、他にも面白いエピソードがあり、小磯良平もこの絵を観に来て感銘を受けて、どんな絵の具を使っているのか舐めてみたという伝説も聞けましたw 伝説の真偽はかなり怪しいと思われますが、当時の西洋画への渇望を伺わす話です。本当にコレクションが日本の画家の為になってるんですね。

フェルディナント・ホドラー 「木を伐る人」 ★こちらで観られます
スイスの画家の作品で、斧を振りかぶって木を切っている瞬間を描いていて、そのポーズから緊張感と力強さが伝わります。この人は当時のスイスのお札をデザインした人だそうで、そのお札にも木を伐る人をモチーフにしているのだとか。開墾はスイスの象徴的なシーンのようです。また、学芸員さんによると背景の空は白く雲は青く描かれ、両者が逆転したような色になっているところに、開墾する希望のようなものを感じるそうです。

アンリ・マティス 「マティス嬢の肖像」
マティスが娘を描いた絵です、黒い背景に白い帽子をかぶり、こげ茶色のマフラーのようなものを纏っていて全体的に暗色系になっています。娘の顔はこちらをキッとみる目が印象的です。解説によると、暗色が多いのに明るい感じがするそうで、白い帽子と顔、花飾りなどがそういう雰囲気を出しているように見えました。また、人物の周りに水色の線が描かれているのですが、これはもしかしたら青空が背景だったのでは?と考えられるそうです。確かにちょっと不思議な感じでした。


<第2章 日本の近代美術>
このコーナーは大原總一郎氏の時代のコレクションです。この方は先述の通り、新しいコレクションを収集し続ける方針を立てた人です。また、音楽が好きでギャラリーでのコンサートなども行っていたそうです。
大原美術館の日本近代画のコレクションは質が高く、量も日本近代美術の歴史を辿れるくらい豊富なのだとか。このコーナーにも素晴らしい作品が並んでいました。

児島虎次郎 「ベゴニアの畠」 ★こちらで観られます
先ほどご紹介したように大原美術館の貢献者である児島虎次郎のコレクションも豊富にあるそうで、これはベルギーに留学していた頃の作品です、木漏れ日の下、建物の影にいる2人と庭を描いていて、点描風に描かれた作風は印象派のような感じかな。朱のベゴニアと緑の対比や光の描写が素晴らしかったです。

児島虎次郎 「朝顔」 ★こちらで観られます
藤棚のような、植物が巻きついた棚の下で、浴衣の女性が片手を挙げて植物に水をあげている絵です。強い光が女性の浴衣を照らし、光が透けている表現が見事です。なんとも爽やかな作品でした。

満屋国四郎 「緋毛氈」  ★こちらで観られます
晩年の代表作だそうです。陰影が少ない色調で、2人の裸婦が赤い絨毯の上で横たわっています。また白黒の犬もいて、赤との対比が明るく見えます。他にも裸婦と赤、植物と赤など色の対比をよく感じる作品です。なお、この人もコレクションに関わったそうで、ルノワールに絵(現在、国立新美術館で展示されている作品)を依頼したのだとか。
 参考記事:ルノワール-伝統と革新 (感想前編) (国立新美術館)

萬鉄五郎 「雲のある自画像」 ★こちらで観られます
和服の男性の肖像です。背景は真っ青で、緑と赤の雲が浮いているように見えます。また、髪に紫色を混ぜるなど前衛的な雰囲気が漂っていました。筆跡も力強かったです。

岸田劉生 「静物-赤りんご三個、茶碗、ブリキ罐、匙」 ★こちらで観られます
精密描写の頃の作品のようです。質感まで伝わるような描写が見事だと思います。垂直、水平、円形など幾何学的な要素も感じる作品でした。
 参考記事:没後80年 岸田劉生 -肖像画をこえて (損保ジャパン東郷青児美術館)

小出楢重 「支那寝台の裸婦(Aの裸女)」 ★こちらで観られます
晩年の作品で、横たわる裸婦が描かれています。解説によると、理想化された裸婦ではなく実際の女性を描いているそうで、画家は親しみの中の美を重視していたようです。輪郭が太く、存在感を感じました。

安井曾太郎 「外房風景」 ★こちらで観られます
スランプを抜けて2年後の作品です。外房の湾内の風景が描かれ、鮮やかで緑がかった海や、手前には白い光が当たったような家々、奥には山々が描かれています。 色を整理して構図を練り上げて描かれているそうで、白と黒を上手く使って光の表現によるリズム感を出していると解説されていました。今回の展覧の中でも特に気に入りました。
 参考記事:安井曾太郎の肖像画 (ブリヂストン美術館)

梅原龍三郎 「紫禁城」
これは何度か観たことがあるかも。(似てる絵かな?) 緑の森の中に明るい朱色の屋根の宮殿がある絵です。 北京時代の作品で、思うが侭の個性で描かれているようです。
なお、隣には先述の安井曾太郎の作品があったのですが、安井曾太郎と梅原龍三郎はライバルといっても良い関係です。生家は両者とも京都で、安井は木綿問屋の息子、梅原は絹物屋の息子で、生まれも似ていますw 構成や色を練る理知的な絵の安井と、絢爛豪華で個性的な梅原、両者の違いは生家で触れた織物の違いとも関係があるのかも??といったところでしょうか。 なお、2人は同じタイミングで文化勲章を受章したそうです。

古賀春江 「深海の情景」
最晩年の作品です、上に太陽のような光が描かれ、その下の真っ暗な世界に魚や花、船、タツノオトシゴ、巨大な貝に挟まれた裸婦?(狐のような顔)などが描かれています。シュールな雰囲気とちょっと不安を覚える感じを受けました。なお、この裸婦のポーズは朝日グラフのダンサーの写真のポーズを使ったようです。

<第3章 民藝運動に関わった作家たち>
3章は民藝のコーナーです。民藝運動の作家も大原家と深い交流があったようで、15点程度展示されていました。

濱田庄司 「黒釉面取土瓶」
真っ黒な土瓶です。質素だけど艶やかな色合いです。
濱田の作品を観た大原孫三郎はたいそう気に入ったそうで、浜田の展覧会を開いたのだとか。濱田は益子(栃木)で活躍し栃木にゆかりがあるため5点ほどと多目に展示されていました。

棟方志功 「門舞神板画柵(10面)」
どーんと並んだ10枚の版画です。いかにも棟方志功といった輪郭が太く力強い版画が並んでいました。棟方志功は前述の濱田などに見出されたと解説されていました。

河井寛次郎 「緑釉六方鉢」
6角形の深い鉢です。その形と青色の釉薬が魅力的でした。

芹沢けい介 「団扇散らし模様屏風」
この人は大原美術館の工芸館のデザインをした人です。単純化された団扇が6個ならんでいる屏風で、ユニークな遊び心を感じる作品でした。


<第4章 現代美術>
さて、最後は現代アートのコーナーです。その時代の作品を集めるという方針は今でも続いているようですね。難解な抽象画も多いのですが、見るからに面白い作品もありました。
なお、まだ常設もあり先を急いでいたので、申し訳なかったですがこの辺でギャラリートークは抜けてしまいました。(トークは1時間くらいです)

やなぎみわ 「寓話シリーズ」
3枚ほどあった白黒写真のような絵のような作品です。小さなテントをかぶった人?や、豪華な首飾りをした老婆が杖を持って足を組んで座っている隣で、倒れているような裸婦が描かれています。 どういう寓話かわかりませんが、ちょっと怖いw

福田美蘭 「モネの睡蓮」
先月観た群馬県立美術館の常設でも気に入った作品が多かった福田美蘭の作品です。池の睡蓮が赤と白の花を咲かせています。また、建物が水面に映っていて、長方形のブロックがリズミカルに描かれていました。
 参考記事:群馬県立近代美術館の常設 【2010年02月】

山口晃 「倉敷金刀毘羅圖」
倉敷を俯瞰するような視点で描かれた1曲の屏風です。アクリルで細かく現代の倉敷の様子が描かれ、工場や港なども描かれていました。中々面白い作品です。

ということで、点数はそんなに多くないのにかなり満足できました。ギャラリートークも非常に明解で、学芸員さんが1つ1つの作品に詳しかったのも好印象でした。 大原美術館、いつか行ってみたいところです!

次回も引き続き宇都宮美術館についてご紹介しようと思います。


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評価




正嗣 宮島本店 【宇都宮界隈のお店】

最近よく遠征をしていますが、先週は宇都宮に行って、餃子と宇都宮美術館の日帰り旅行をしてきました。ちょうどお昼頃にJR宇都宮駅に着いたので、まずは目的の1つである餃子を食べに、少し歩いてJR宇都宮駅と東武宇都宮駅の中間くらいにある有名な「正嗣 宮島本店」というお店に行ってきました。
ちなみに街中にあったパンフレットで宇都宮が餃子で有名な由来を読んだ所、戦争の後に大陸から引き上げてきた人たちが餃子を作るようになったとのことでしたが、タクシーの運転手いわく「最近いきなり餃子とか言い出した」のだとかw どっちが正しいかわかりませんが今は名物になっているようです。

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【店名】
 正嗣 宮島本店

【ジャンル】
 餃子専門店

【公式サイト】
 ホットペッパーのページ
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 JR宇都宮駅/東武宇都宮駅



【近くの美術館】 どれも近いってほどでもないけど…。
 宇都宮美術館
 栃木県立美術館
 栃木県立博物館
 
【この日にかかった1人の費用】
 600円程度

【味】
 不味_1_2_3_4_⑤_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_②_3_4_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日12時頃です)】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
お店は思ったより簡単に見つかりました。何しろ長い行列があるので目立ちます。 この日はお天気も良かったせいか40~50分ほど並びました。(それでも、この近くにあるもう一つの人気店「餃子 宇都宮みんみん」」はこれ以上の長い列だったような。) 恐るべし餃子人気です。
さて、並んでいる時にこのような張り紙がありました。
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餃子専門店というだけあってこのお店には焼き餃子と水餃子とお持ち帰りしかありません。ビールやご飯も無く、餃子のみです。(水はあります) また、1人前6個で200円という激安価格でした。

ようやく食べられました。焼き餃子は2人前頼みました。
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かりっと絶妙な焼き具合で、あっさりしつつも味が深いのが美味しいです。思ったよりニンニクが控えめだったかな。

これは水餃子1人前。
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つるっとした喉越しでこちらも美味しいです。むしろ焼き餃子より美味しいかも。

ということで、並んだ甲斐のある美味しさでした。宇都宮に行ったらお勧めしたいお店です。
そしてこの後、宇都宮美術館へ行ってきました。このお店のすぐ近くに大きな交差点があるのですが、そこの宮島町十文字というバス停に「宇都宮美術館行き」が留まります。しかしこの宮島町十文字のバス停が同じ名前で2箇所あることに気づかず、目の前でバスを逃し、次のバスは1時間後…。仕方ないのでタクシーで宇都宮美術館に向かいました。タクシー代は3000円くらいです(><)

次回は宇都宮美術館についてご紹介しようと思います。


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カナダ大使館ポスター展 この10年 【カナダ大使館高円宮記念ギャラリー】

先日、平日のお昼休みにカナダ大使館の高円宮記念ギャラリーで「カナダ大使館ポスター展 - この10年」を観てきました。あまり調べずに行ったので、カナダのポスター展なのかと思っていたら…。これは美術展というのかな?w

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【展覧名】
 カナダ大使館ポスター展 - この10年

【公式サイト】
 http://www.canadainternational.gc.ca/japan-japon/events-evenements/gallery-20100217-galerie.aspx?lang=jpn

【会場】カナダ大使館高円宮記念ギャラリー
【最寄】青山一丁目/赤坂見附/永田町
【会期】2010年2月19日~4月15日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。



【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間15分程度

【混み具合・混雑状況(平日12時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_②_3_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_②_3_4_5_満足

【感想】
ここはいつきても貸切状態のようです。今回の展覧はカナダのポスター展ではなく、カナダ大使館でこの10年に行った展覧会のポスター展で、単に今までのポスター(30枚程度)を並べただけですねw まあ、せっかくなので観てきました。

「カナダと日本」展のポスター
3Dのような奥行きのある幾何学模様に所々写真が配されているのが面白かったかな。

「ジョン・ハウ:ファンタジー画の世界」展のポスター ★こちらで観られます
2006年の展覧で、これは観てみたかった。杖と魔女みたいな帽子を被り、マントをまとった老人が描かれていてファンタジーの世界のようで、面白そうでした。ロードオブ・ザ・リングのイメージ構想になった人らしいです。

「ヴィヴィアン・リース肖像画」展のポスター ★こちらで観られます
これも2006年の展覧。足と腕を組む赤い服の女性が大きく描かれ、背景は太陽のような光りが描かれ、プリミティブな生命力があるかな。これも観てみたかったです。

「グレッグ・アンガス展 ― 夢を見た、そこには君がいた」展のポスター ★こちらで観られます
これは以前ご紹介した展覧会のポスター。この人の作品は凹凸が厚いので、実物とポスターじゃ全然違うかな。やはりポスターじゃ駄目だw

ということで、あまりお勧めできない内容でした。まあ、全然人が来ていませんでしたので、カナダ大使館の建物内を見てみたいという人にはいいかもしれません。図書室も誰もいませんでした。

おまけ:カナダ大使館の入口。このポスターの小さいのも展示されていました。
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【川村記念美術館】の案内 (2010年03月)

今日は帰りが遅かったので、写真の記事にします。 前の記事と前後しますが、レストラン「ベルヴェデーレ」で昼食をとった後、ローランサン展常設を観る前に敷地内の庭園を散歩して写真を撮ってきました。以前も同じようにここをご紹介したこともありますが、季節の違いで咲いている花が違うと趣もだいぶ違いました。

参考記事:川村記念美術館の案内

まずは池の横からスタート。激しい風が吹いていました。
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これは緋寒桜かな? ちょっと深めのピンクの花が咲いていました。
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今回感動したのが、原っぱの横に咲いていた菜の花! 黄色が鮮やかで綺麗でした。
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アップ。
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菜の花とムーア。ムーアと菜の花
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奥の方はシーズンオフかな。手入れをしていました。
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ちょっとうら寂しいけど冬の叙情が漂います。
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大きなつぼみが咲きそうになっていました。これは10日くらい前なので、もう咲き終わってるかも。
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これも池の横で咲いてた花と同じかな。
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戻ってきました。何気なく作品が配置されています。右はバス停を降りて入り口に向かうところにある像です。(佐藤忠良「緑」)
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水辺には何匹かの水鳥が優雅にくつろいでいます。
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近寄ってきたのでアップ。この子は前もアップで撮った記憶がw
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ということで、庭園内も楽しめました。特に菜の花はこの時期だけのお楽しみかも。以前行った、ゴールデンウィークの方が様々な花が観られましたが、これはこれでよかったです。

この後、去年のように国立歴史民俗博物館にも行きたいと思っていたのですが、そんな時間はありませんでしたw 中々いけない場所だけに、ハシゴしたいのですが、車でないと厳しいかも。


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【川村記念美術館】の常設 (2010年03月)

「マリー・ローランサンの扇」を観た後、常設展も観てきました。ここは常設作品も素晴らしい作品が並んでいるのですが、今回は驚くような作品も観ることができました。

以前の案内記事:マーク・ロスコ 瞑想する絵画 (川村記念美術館)

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【公式サイト】
 http://kawamura-museum.dic.co.jp/collection/current.html

【会場】川村記念美術館
【最寄】JR佐倉駅 または 京成佐倉駅
【会期】 2010年2月17日(水)~3月28日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
ここの常設は部屋ごとにジャンルや時代が違い、様々な作品を観ることができる幅広いコレクションとなっています。
順路に沿って好みの作品をご紹介しようと思います。なお、現在展示されている常設作品を公式サイトで確認することができます。私が行ったのは2010年3月28日までの内容となっていました。


<101展示室 印象派の時代からエコール・ド・パリまで>
まずは印象派とエコール・ド・パリのコーナーです。現在、ルノワールは国立新美術館のルノワール展に出品していますが、モネやピサロ、マティス、ピカソ、シャガールなど有名どころが観られます。

アンリ・マティス 「肘掛椅子の裸婦」
曲線のあるソファに腰掛ける裸婦が描かれ、裸婦も身をくねらせ曲線的な美しさがあります。背景には紅白の縞模様のテーブルクロスや、アラベスクのような赤と黄色の模様が描かれ、色や曲線が呼応するようでした。

マルク・シャガール 「ダヴィデ王の夢」
これは以前の記事でもご紹介しました。シャガールは2点あったのですがこっちの方がシャガールっぽいかなと。
右下に竪琴を抱えたダヴィデ王、中央には白いドレスの花嫁、その足元にエッフェル塔、左の方にはロシアでの暮らしなど、シャガールの人生も伺えるような作品だと思います。

藤田嗣治(レオナール・フジタ) 「アンナ・ド・ノアイユの肖像」
注文主の見栄っ張りな苦情が多くて未完成となった作品。背景は真っ白で、黒髪で下に手をおろした女性が描かれています。背景が白いせいか逆に存在感が出ているかも。優美な曲線の肩や、手に持つ真っ赤なバラも目をひきます。着ているドレスは細かくレースの網目まで描いてあるのが驚きでした。目の大きさや額に文句を言われたようですが、良い絵だと思うんだけどなあw


<102展示室 レンブラント>
この美術館にきたら見逃せない作品が、この作品です。何度観ても素晴らしい。

レンブラント・ファン・レイン 「広つば帽を被った男」 ★こちらで観られます
優しい目をして微笑んでいる顔が温かみを感じさせます。光と影の表現は流石としか言いようがないです。生き生きとして質感豊かに描かれていて、眼福極まりです。


<103展示室 前衛の時代>
このコーナーは4~5点くらいかな。私には難解なコーナーですw

ラースロー・モホイ=ナジ 「スペース・モデュレーター CH 1」
光を表現した作品かな? 楕円の相似形のような図形に四角などを組み合わせていました。解説があっても理解するのは中々難しい…。


<110展示室 日本画>
今回、特に驚きがあったのがこのコーナー。4点しかありませんが、この部屋にある全ての作品が良かった! 私が行くちょっと前まで長谷川等伯の鳥鷺図屏風も展示されていたようです。

加山又造 「鶴舞」
4曲1双の屏風です。白黒で描かれていて、実物大くらいの鶴が5羽、はばたきながら踊るようなポーズをとっています。臨場感があり、瞬間を描いたような躍動感もありました。

尾形光琳 「柳に水鳥図屏風」
まさか光琳まであるとは…。2曲1双の金屏風です。デフォルメされた川の流れに鴨とおしどりが描かれています。左隻と右隻で風景が繋がっているようですが、季節が違っていて、左隻は冬で雪が積もり、右隻は紅葉しています。波や柳がリズミカルな曲線で、装飾性を感じる一方、リアリティのある部分もあり、響きあうような美しさがありました。

横山大観 「輝く日本」
6曲1双の大きな屏風です。左隻には雲間から頭を出す富士山が描かれ、雄大で神秘的な雰囲気を湛えています。左隻から右隻にかけて2羽の鶴が飛び、右隻には砂浜と大きな松が描かれていて、鶴が松の上で休んでいました。淡い色合いで爽やかさもあるように思いました。日本の心の故郷のような絵だと思います。


<104展示室 ダダとシュルレアリスム>
ここは前に来た時とあまり変わりなかったかな。マン・レイ、マグリット、エルンスト、ピカソなどがありました。やはり好みはマグリットです。


<105展示室 カルダー>
ここはアレクサンダー・カルダーの部屋になっていました。鉄と針金で出来たゆらゆら揺れる天秤のような作品2点や、赤い東京タワーの模型のような作品などが展示されていました。この人は彫刻は動かないという常識を覆して動く彫刻「モビール」というものを制作した人で、彫刻の森美術館とかでも作品を観たことがありましたが、こうして紹介されているのは初めて観ました。

 参考:アレクサンダー・カルダーのwiki


<106展示室 ロスコ・ルーム(シーグラム壁画)> ★こちらで観られます
この美術館が誇るコレクションの1つがマーク・ロスコの作品だけの部屋です。以前行ったときは閉まっていた(というか特別展で展示していた)ので、この部屋には初めて入りました。 作品は7枚だったかな、周りをぐるりとシーグラム壁画が囲んでいます。このシーグラム壁画は簡単に言えば、赤色で描かれた長方形のような絵です。相変らず抽象画はよく分かりませんが、この部屋に来るとその赤の深さに心が安らぐ感じがします。何か深遠なものがあるように思えるのが不思議な空間となっていました。


<200展示室 ニューマン・ルーム>
バーネット・ニューマン 「アンナの光」 ★こちらで観られます
これも以前ご紹介しましたが、巨大な赤の壁のような絵です。展示している部屋は真っ白で、赤と対比的になっています。また、階段を登ってくると正面に見えるのも素晴らしい演出です。 よく観ると絵の両端は白で、赤い部分も微妙に色の斑のようなものもあります。意図するところなどは作品を観ただけでは分かりませんが、その色の持つ迫力は近くで観るとよくわかると思います。 なお、タイトルは死んだ母親にちなんだ名前のようです。


<201展示室 第二次世界大戦以降のアメリカの抽象美術>
最後は抽象美術のコーナー。この美術館はこのあたりのコレクションも充実しています。

ブリジット・ライリー 「朝の歌」
淡い色で縦に波が描かれています。観ているとウネウネと波が動いて観えるw ちょっと酔いそうですが視覚の不思議を体験できました。

ロバート・ライマン 「アシスタント」
白地に真っ白な木の枝のようなものを描いています。左3分の1と右3分の2に分かれた画面構成で、右の方は3方向を塗り残しています。意図は謎ですが、その塗り残しや厚く塗られている部分から質感の違いなどを感じました。時々、美というのは何なのか分からなくなってきますw

また、ここはフランクステラの大型作品もかなり面白いです。真っ黒の縞模様だけの絵や、変形したキャンバスの絵、立体絵画など、絵画とは何か?とこれまた考えさせられる作品があり、その発想の豊かさに驚きます。
★こちらで観られます


ということで、常設もかなり楽しめました。特に日本画のコーナーは充実してた…。ここに行くのは大変ですが、それだけの価値があるコレクションだと思います。美術館のつくりも作品に合わせていたりして、素晴らしいと思います。


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マリー・ローランサンの扇 【川村記念美術館】

前回ご紹介した川村記念美術館のレストラン[ベルヴェデーレ]で食事をして、自然散策路を周った後に、今回の目的である特別展「マリー・ローランサンの扇」を観てきました。

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【展覧名】
 マリー・ローランサンの扇

【公式サイト】
 http://kawamura-museum.dic.co.jp/exhibition/index.html

【会場】川村記念美術館
【最寄】JR佐倉駅 または 京成佐倉駅


【会期】2010年1月26日(火)~3月28日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間40分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
作品点数はそんなに多くないのですが、諏訪のマリー・ローランサン美術館所蔵の作品が一気に観られる機会となっていました。普段なら常設から先に観て行くルートなのですが、美術館へ行ったらちょうど、14時から学芸員さんによる特別展のギャラリートークが始まるところだったので先にそちらに参加してきました。(ギャラリートークに参加した時は結構人がいましたが、それ以外のときは空いていました。) レクチャールームで受信機を借りて、それを通じてクリアに解説を聞くことができるのがありがたかったです。おかげで詳しい解説をメモすることができましたので、その内容を感想と共にご紹介しようと思います。

まずはマリー・ローランサンの生涯について説明して頂きました。マリー・ローランサンはパリで私生児として生まれました。私生児と言っても経済的に豊かで母親の教養が高かったようで、マリーはブルジョアのお嬢様の教育を受けていたようです。その頃、マリーは画家になりたいと思ったようですが、当時、画家は女性がなるものではないという風潮があったので、母親は陶磁器の絵付けの学校ならお嬢さんの教育としても問題ないと判断し、通わせたようです。 しかし、マリーはやはり画家になりたいと考え画塾に通うようになり、そこでジョルジュ・ブラックと会い、その後ピカソ達のアトリエに通うようになりました。ブラックとピカソと言えば、キュビスムの創始者ですが、マリー・ローランサンもその影響を受けました。また、キュビスムを擁護した詩人であり批評家であるアポリネールと出会ったのもこの頃で、やがて2人は恋人関係になります。アポリネールはマリー・ローランサンをよく誉めていたようで、それによって自信をつけた彼女は画家としてどんどん成長していきました。しかし、結局2人は別れてしまい、マリーは失意の中で自暴自棄になり、衝動的にドイツ人男性と結婚しました。第一次世界大戦が始まるとフランスとドイツは敵対関係となりましたので、2人はスペインに亡命しました。スペイン時代は夫婦愛も覚めてしまい孤独の時代だったようですが、その環境で作風も進化していきました。やがて戦争が終わると夫の故郷ドイツへ行き、その後離婚してフランスに戻り、人気画家として晩年まで活躍しました。展覧会の冒頭ではフランスに戻った頃にマン・レイ(シュルレアリスムの作家)が撮った写真なども展示されていました。

生涯の概要を聞いた後は各作品の解説を聞きました。特に章は分かれていなかったのですが、公式ページでは分けているようなので、一応分けておきます(区切りが間違っていたらすみません)

<初期(1913年まで)~パステルカラーの誕生>
「狩りをするディアナ」 ★こちらで観られます
これは恋人だった頃のアポリネールにおくった作品です。馬のような生物に座る裸婦が描かれ、周りで犬や猫のような生物が周りで走っているようです。(マリー・ローランサンの作品はこうした謎の生物がよく出てきます) ディアナの神話で言えば本来は鹿のはずですが、実はこれはマリー・ローランサンの好きなラマを描いているそうです。ラマ好きとは渋いですw そしてこのラマはアポリネールを示していて、周りにいる猫のような生物は自分の飼い猫なのだとか。神話を題材にプライベートな世界を取り入れた作品のようでした。まだマリー・ローランサンっぽさを感じません。

「パブロ・ピカソ」 ★こちらで観られます
ピカソの共同アトリエに出入りしていた頃に描かれた、横向きのピカソの肖像です。顔は横向きですが眼は正面を向いていて、この辺がピカソのキュビスムからの影響を感じさせました。

「アンドレ・サルモン」
サルモンもピカソ達の仲間で、彼を描いた肖像画です。ぱっと観た感じで浮世絵の役者絵のようで、日本の表現に関心があったことを感じました。

「エジプト風の横顔のアポリネール」
恋人のアポリネールの肖像なのかな?多分w というのもエジプト風にデフォルメされた狐のような顔になっています。この作品からエジプトの表現にも関心があったのが分かりますが、当時のキュビスムはエジプトを新しい芸術のシンボルと考えていたようで、やはりピカソやブラックとの交流の賜物のようです。それにしてもアポリネールは動物にされまくってますw

「扇」 ★こちらで観られます
マリー・ローランサンはエレガンスさを感じる扇をよく描いていたようで、彼女のシンボルとも言える存在であったようです。この絵は扇を持った女性が描かれ、全体的に緩やかな曲線の多い作品です。解説によると、ピカソやブラックのキュビスムのように対象を分解することはあまりせず、装飾的な曲線においてキュビスムを取り入れているそうです。 この作品くらいから徐々にマリー・ローランサンっぽさを感じる作品が多くなってきました。

「優雅な舞踏会あるいは田舎での舞踊」
非常に高い評価を受けた作品で、抱き合うように踊る2人の女性と、弦楽器を演奏する女性が描かれています。周りには直線、曲線、格子が多く使われ、グリーン、グレー、ピンクなど限られた色彩で表現されています。特に格子状に緑色の線が引かれている手法は、オルフィスム(キュビスムの一派)を取り入れている特徴があるようです。当時の最新様式を使いつつも彼女らしさを出しているということで初期の傑作と言えるようです。だいぶ彼女独自の個性も出てきたように思います。


なお、この辺りまで読んで分かるかと思いますが、初期はアポリネールやピカソ達との交流の影響が如実に現れています。しかし、そんな彼らとも別れの時が訪れます。そのきっかけは1911年の「モナ・リザ盗難事件」で、アポリネールやピカソは容疑者として警察に目をつけられます(それ以前にアポリネールの秘書がルーブル美術館から小品を盗んで、何も知らないピカソやアポリネールに渡していたという事件があったため、モナ・リザの件でも疑われたようです) 結局、アポリネールは無関係なのに何日か投獄されてしまいました。そして、それを聞きつけたマリーの母親は、あんな男と付き合うなというような事をマリーに言ったようで、アポリネールとは疎遠になっていったようです。 ・・・まさかそんな理由で別れたとは知りませんでした。ある意味、その後のマリー・ローランサンの人生はモナ・リザ盗難事件の副産物と言えるかも??
さらにその後、追い討ちをかけるように母親が死んでしまい、失意のどん底に陥っていくことになります。

「アンドレ・グルー夫人ニコル(旧姓ポワレ)」 ★こちらで観られます
淡い色彩で描かれた作品で、黒く細い馬?に乗るニコルという女性が描かれています。この人はファッションで有名なポール・ポワレの妹で、彼女とは親密な仲となっていきました。また、この頃からマリー・ローランサンはファッションインテリアを手がけるグループとも交流を深め、ピカソ達との距離も広がったようです。・・・こうして解説を聞きながら観ると、人生の岐路を目の当たりにしているかのように見えるのが面白いところです。

<スペイン亡命時代 1914年~1919年>
亡命時代の作品は5点ありました。キュビスムの名残は無く、色彩が深くなっていった傾向が見られるようです。

「囚われの女(Ⅱ)」 ★こちらで観られます
格子模様のピンクの薄いカーテンごしに、白い肌の女性がそっとこちらの様子覗っている姿が描かれています。2というタイトルですが、1もあるそうで、そちらはカーテンではなく鉄格子なのだとか…。よほど絶望したような時代だったのでしょうか。心なしか描かれた女性もはかなげです。なお、この頃の作品には格子状の模様がよく使われているようです。

「棕櫚のそばの乙女」
椅子に腰掛ける白い帽子の女性が描かれ、テーブルにはギターが置かれています そして、部屋?の中は植物の緑で埋め尽くされているようです。 解説によると、テーブルは不安定で、部屋を埋め尽くす緑には閉塞感が漂い、構図などから当時の不安な心理状態を窺い知ることが出来るそうです。流石にそこまで私には読み取れませんが、メランコリックな雰囲気が出ているのは何となくわかりました。

「鏡をもつ裸婦」
花飾りを頭に乗せて布を引き寄せる裸婦が描かれています。スペイン(確かプラド美術館だったかな?)でゴヤやベラスケスの作品を観て、それに影響を受けたのがこの作品から読み取れるそうです。
なお、この頃に日本人詩人の堀口大學と知り合ったそうで、堀口大學はアポリネールの詩の日本語訳を出版し、有名になったという余談もありました。

「小舟」 ★こちらで観られます
小舟に乗る2人の女性と、その周りを飛ぶ鳩?や水面から顔を出す白い謎の生物を描いています。この女性の1人は自分で、もう一人は先ほどご紹介したニコルだそうです。2人ともちょっと空ろで気だるい雰囲気に思えました。

「猫と女あるいは娼婦のプリンセス」 ★こちらで観られます
これはドイツにいた頃の作品だそうで、もうすぐフランスに帰れるという時期に描かれたせいか少し明るめになったようです。カーテンの間から猫を手に乗せた横向きの女性を観たような構図で、市松模様の袖とチョーカー?が目立ちます。この頃には格子模様から市松模様に興味が移ったようです。また、この女性の顔は画家自身の顔だちなのですが、タイトルは「娼婦のプリンセス」と刺激的です。これは当時、沢山の愛人を作っていたことの自虐的なものなのだとか。意外な側面ですw

<帰国後 1920年代~「緑の森」と乙女たち>
「ディアナ」 ★こちらで観られます
これはパリに戻ってきた頃の作品で、手を挙げている薄布の服の女性と鹿が描かれ、背景には幾何学的な家々や森も見えます。 明らかに伸びやかな雰囲気が出ていますw というのも、スペイン時代と違って空間を大きく取っている特長があるようで、それが開放感に繋がっているようです。
この頃はもう離婚しているようですが、ドイツに滞在している時に神秘的な森の魅力に目覚めたようで、この後は森を舞台にした作品が多かったようです。なお、1920年代は景気が良い時代でエコールド・パリと呼ばれる文化が華咲き、マリー・ローランサンも人気画家としての地位を確立していきました。

「お城の生活」 ★こちらで観られます
深い緑の森を背景に、淡い色彩で描かれた6人の女性が森で歩いたり馬に乗っている様子が描かれています。特に青いドレスの女性が目を引き、柔らかな曲線の姿勢が優美さを出していて、色彩には女性らしさを感じました。ちょっと憂いを含んだ表情をしていて、夢見るような絵の中にもストーリーでもあるのかな? 

<円熟期>
ここら辺で、いくつか面白いエピソードを聞くことができました。
1920年代は戦争に行った男性の代わりに女性が働いていたため、女子の社会進出が進んでいったそうで、マリー・ローランサンと同い年のココ・シャネルの注文もありました。しかし、ココ・シャネルは自分に似ていないとローランサンの絵をつきかえしたそうです。というのも、官能的に描かれた肖像は、女性も男性のように!と考えていたココ・シャネルの意に沿うものではなかったためのようです。それに対して、ローランサンはココ・シャネルを「田舎娘」と呼んだそうですw
作風のせいか、私はローランサンに対して夢見るお嬢様のイメージを持っていたのですが、実際はぶっとんだ所もあったようで、縄跳びしながらデートに来たとか、ピカソにラマの鳴きまねをして驚かせたとか、ケーキにしりもちをついたとか色々なエピソードがあるようです。 むしろおてんばな不思議ちゃん?w

最後は円熟期~晩年の作品が並んでいます。若い頃は黄色や赤は男性的な感じがすると考えてあまり使わなかったようですが、晩年になると使うようになりました。 (解説では男性へのコンプレックスが無くなったためか?と言っていました) そのため画面は明るくなり、また、目鼻が具体的になっていったそうです。これも心の安定がもたらしたものなのかも知れません。


「三人の乙女」 ★こちらで観られます
3人の乙女が顔を合わせて何か話しているように思える絵です。特に中央の女性の唇の鮮やかな赤が目を引きます。他にもヘアバンドのピンクや赤い服、緑の髪飾り、白い真珠の首飾りなど色彩が豊かでした。解説によると顔つきもふっくらとした現実味のある顔に変わっていったそうです。

「青い服のシュザンヌ・モロー」
書類?を読んでるシュザンヌ・モローという女性の肖像です。この人は家政婦だったのですがマリー・ローランサンが娘のように可愛がり、晩年は2人で暮らし、やがて養子となった女性です。2人揃って修道女のようで、昔のマリーと母親のようだったといわれたそうです。
マリーが他界した時、その遺産はこの人に受け継がれましたが、生活に必要な分以外は孤児や修道院のために寄付したそうです。また、遺言により棺にマリーが入ったとき、真っ白いドレスを着て、赤いバラをもち、アポリネールの手紙の束を入れて埋葬されたそうです。やはりアポリネールを愛していたのですね…。ちょっと泣けるエピソードでした。

この近くには挿絵も何点か展示されていました。

「自画像」 「自画像」 「帽子をかぶった自画像」
これは一番最初に飾られてある作品なのですが、あえて最後にご紹介します。というのも、この3点は描かれた時代が違い、人生を知った上で観るとより楽しめます。
1枚は初期の作品で、ちょっと暗い色調を背景に真正面を向いた自画像です。その後の作風と全然違い、まだまだこれからという感じです。
もう1枚はその4年後の作品で、単純化されキリっとした表情をしています。この頃がピカソたちとの交流の時代で、その影響や自信が出てきた感じを受けました。
最後はさらに20年後の44歳の頃の作品で、白い顔の幻想的で夢見るようなマリー・ローランサンらしいと感じる作品でした。自画像だけでもその当時の心の中まで分かるようで、この展覧会にきた甲斐がありました。

ということで、ギャラリートークのおかげでかなり深く楽しめました。そんなに点数は多くないのにこれだけ変遷を知ることが出来たのは貴重な経験となりました。(大体知ってたところと思い違いをしていたところもあったのも参考になりましたw) 今後はローランサンの作品をより楽しめそうです。もうすぐ終わってしまいますが、良い展示なのでお勧めです。

この後、常設展を観てきました。ここは常設も半端じゃない!w


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6/24くらいまでお休みいたします。
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21世紀のxxx者

Author:21世紀のxxx者
 
多分、年に70~100回くらい美術館に行ってると思うのでブログにしました。写真も趣味なのでアップしていきます。

関東の方には休日のガイドやデートスポット探し、関東以外の方には東京観光のサイトとしてご覧頂ければと思います。

画像を大きめにしているので、解像度は1280×1024以上が推奨です。

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