関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

東京国立博物館の案内 【2012年11月】

前回ご紹介した東京国立博物館 本館特別5・4室の展示を観た後、常設も観てきました。今回も写真を撮ってきましたので、それを使ってご紹介しようと思います。

 ※ここの常設はルールさえ守れば写真が撮れます。(撮影禁止の作品もあります)
 ※当サイトからの転載は画像・文章ともに一切禁止させていただいております。

公式サイト
 http://www.tnm.jp/modules/r_exhibition/index.php?controller=hall&hid=12&date=

 参考記事:
   東京国立博物館の案内 【建物編】
   東京国立博物館の案内 【常設・仏教編】
   東京国立博物館の案内 【常設・美術編】
   東京国立博物館の案内 【2009年08月】
   東京国立博物館の案内 【2009年10月】
   東京国立博物館の案内 【2009年11月】
   東京国立博物館の案内 【秋の庭園解放】
   東京国立博物館の案内 【2009年12月】
   東京国立博物館の案内 【2009年12月】 その2
   東京国立博物館の案内 【2010年02月】
   東京国立博物館の案内 【2010年06月】
   東京国立博物館の案内 【2010年11月】
   博物館に初もうで (東京国立博物館 本館)
   本館リニューアル記念 特別公開 (東京国立博物館 本館)
   東京国立博物館の案内 【2011年02月】
   東京国立博物館の案内 【2011年07月】
   東京国立博物館の案内 【2011年11月】
   博物館に初もうで 2012年 (東京国立博物館 本館)
   東京国立博物館140周年 新年特別公開 (東京国立博物館 本館)
   東京国立博物館の案内 【2012年03月】
   東京国立博物館の案内 【秋の庭園解放 2012】


今回は1階の仏像のコーナーからぐるっと周る感じで観て行きました。時間があまりなかったので、ちょっと急ぎ足でした。一部、以前ご紹介したものも含まれていますが、なるべくまだ掲載したことがないものを中心に書いていこうと思います。

「菩薩立像」
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何とも優美な仏像。唇に彩色の上に薄い水晶板をあててさらに朱を塗っているそうです。

「十二神将立像」
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左から順に巳神(ししん)、未神(びしん)、申神(しんしん)、辰神(しんしん)、戌神(じゅつしん) 動きが豊かで面白い像で、慶派(運慶系統)の作品のようでした。

左:「厨子(愛染明王坐像付属)」 右:「愛染明王坐像」
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こちらの愛染明王はよく観るのですが、厨子は初めて観ました。厨子の裏側には水牛に乗る焔魔天と焔魔天曼荼羅が描かれているそうです。何度観てもこの像は迫力と生命力を感じます。

隣の蒔絵の部屋も見所が多いですが、今回は割愛します。

尾形乾山 「銹絵葡萄図角皿」
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尾形光琳の弟の乾山の皿。明治6年(1873年)のウィーン万国博覧会に出品されたそうですが、帰りに船が難破してしまい、水没していたものを引き上げたそうです。無事に戻ってきて何より。渋い味わいです。

「織部開扇向付」
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遊び心に富んだ面白い形の器。織部ならではの楽しさがあります。

この先には根付の特集もありました。こちらも面白い展示でしたが、写真が上手く撮れてなかった…w 続いては一気に進んで近代絵画のコーナーをご紹介します。

島崎柳塢(りゅうう) 「美音」
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この画家は川端玉章の弟子で、結城素明らと无声会(むせいかい)という団体を結成していたようです。人々が琴の音を聴いているとことのようで、全体的に凛とした雰囲気を感じました。

前田青邨 「神輿振」
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これは絵巻で、青邨の出世作だそうです。1177年に延暦寺の僧兵が神輿を奉じ京に乱入した事件を描いているらしく、町の人々が騒然とした感じが伝わってきました。

黒田清輝 「瓶花」
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これは黒田清輝っぽさがあまり感じられないのが気になりました。40代半ば頃の作品かな?

この辺で2階へ移動しました。

葛飾北斎 「諸國名橋奇覧・飛越の堺つりはし」
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諸國名橋奇覧シリーズの1枚。構図に斬新さを感じます。

歌川広重 「東海道五拾三次」
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有名な東海道五拾三次も数枚展示されていました。

「振袖」(白絖地楓竹矢来文字模様)
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こちらは源氏物語の若紫巻がモチーフの振袖。「若」「紫」とそのまま書いてあるのでわかりやすいw 色とりどりで秋の風情を感じさせます。

酒井抱一 「流水四季草花図屏風」
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これは四季の花々が描かれているようで、抱一らしい作風で雅な雰囲気がありました。

尾形乾山 「紅葉に菊流水図」
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こちらにも乾山の作品がありました。兄の作風とまた違った素朴な味わいがあるように思います。

尾形光琳 「拾得図」
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いつも一緒の寒山と拾得のうち拾得だけが展示されていました。寒山の幅もあるのかな?

狩野探幽 「果実図」
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こちらは3幅対。余白が多いためかポツンとしてちょっとシュールな感じにすら見えました。

円山応挙 「芦雁図襖」
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これは先日ご紹介した応挙館にある襖絵の一部。写実的で動きがあり、広がりを感じさせました。

狩野秀頼 「観楓図屏風」
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これは去年もちょうど今の時期に観たかな。(2009年にもご紹介しましたが再掲。)京都の高雄で紅葉を楽しんでいる様子で今の時期にぴったりです。色合いが鮮やかで何とも優美。


ということで、今回の常設も楽しむことができました。全部観る時間がなかったので、次に行くときはじっくり時間を取って観たいですw ここの常設は膨大な量があるので、いつ行っても新しい発見があります。



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評価




古事記1300年・出雲大社大遷宮 特別展「出雲―聖地の至宝―」 【東京国立博物館】

前回ご紹介した東京国立博物館の庭園を散策した後、最終日となった東京国立博物館140周年 古事記1300年・出雲大社大遷宮 特別展「出雲―聖地の至宝―」を観てきました。この展示は既に終了しておりますが、大人気の展示となっていましたのでご紹介しておこうと思います。

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【展覧名】
 東京国立博物館140周年 古事記1300年・出雲大社大遷宮 特別展「出雲―聖地の至宝―」

【公式サイト】
 http://izumo2012.jp/
 http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1473

【会場】東京国立博物館 本館特別5・4室
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)


【会期】2012年10月10日(水)~11月25日(日) 
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日14時半頃です)】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
最終日に行ったこともあり、かなりの混雑で入場規制がありました。10分ほど本館の外に並んで入ったのですが、中も満員電車のような混み具合でした。予想以上の人気ぶりにちょっと驚き。

さて、今回の展示は島根県の遺跡群と出雲大社に関する展示でした。今年は古事記が編纂されてちょうど1300年の記念の年だそうで、来年(2013年5月)には出雲大社で60年ぶりの「平成の大遷宮」が行われるようです。(遷宮というのは神社本殿の造営・修理の際にご神体を移すことで、定期的に行うものを式年遷宮と言います。出雲は約60~70年の不定期なので式年遷宮とは言わないようです。)

この展示はそれを機に出雲の至宝を一同に集め聖地出雲の実像に迫る内容となっていて、東京で出雲の文化をまとまった形で紹介するのは15年ぶりだそうです。詳しくは各章ごとにご紹介しようと思います。
 参考リンク:遷宮のwikipedia
 参考記事:伊勢神宮と神々の美術 (東京国立博物館)


<第1章 出雲大社の歴史と宝物>
まずは出雲大社に関するコーナーです。出雲大社は古くは杵築大社(きづきたいしゃ)とも呼ばれた日本で最も古い由緒ある神社で、創建の由来は古事記や出雲国風土記に語られるように神話の世界にまで遡ります。平安時代の社殿は奈良の東大寺大仏殿をも超える高さであったと伝えられているそうで、2000年に発掘された巨大な宇豆柱はその伝承を裏付けていると考えられるようです。ここにはその社殿の復元や、宇豆柱、大社の宝物などが並んでいました。

1 「銅戈・勾玉」 (島根・真名井遺跡出土) ★こちらで観られます
これは緑の翡翠の勾玉と銅でできた矛の先です。いずれも出雲大社の東方 約200mにある命主社の背後の大石の下から出土したらしく、銅戈は北部九州、翡翠は糸魚川(北陸)からもたらされたそうです。弥生時代に既に出雲は聖地だったことがわかるとのことで、そんな広域に渡って品々が集まってきていたことに驚きました。

3 「古事記 巻上」
これは有名な古事記の写本で近衛家に伝わるものだそうです。(江戸時代に写されたものかな?) 古事記は712年に天武天皇の命によって太安万侶(おおのやすまろ)が稗田阿礼(ひえだのあれ)の暗誦していたものをまとめたものもので、上巻(かみつまき)には日本誕生などの神話が書かれているようです。漢字で書かれていて、黒字や赤字で訓点や書入れがされていました。

この隣には江戸時代に写本された5「出雲国風土記」も展示されていました。また、江戸時代の絵巻の6「大山寺縁起絵巻模本 巻一」や、南北朝時代の9「後醍醐天皇兵革綸旨」、造営遷宮の記録をまとめた11「杵築大社造営遷宮勘例案」、鎌倉に書かれた12「出雲大社并神郷図」なども並んでいました。「出雲大社并神郷図」などは結構ボロボロで分かりづらかったですが、細かく杵築大社の様子が描かれていました。

「古代の出雲大社推定復元模型」 ★こちらで観られます
これはかつての出雲大社の本殿を復元した1/10の模型で、実物は高さ48m 階段の長さは109mだったという伝承があるそうです。1/10といっても見上げるような高さで、展覧会場にどど~~んとそびえているのは圧巻です。解説によると、平安時代(970年)に貴族の子弟の教科書として書かれた「口遊(くちずさみ)」には当時の大きな建物として「雲太(うんた =出雲大社)」 「和二(わじ =東大寺大仏殿)」 「京三(きょうさん =京都御所の大極殿)」と挙げられているそうで、当時の大仏殿は45mだったとされることからそれ以上の高さだったと考えられるようです。模型を観ると、非常に高い社とそこに繋がる長い長い直線の階段があり、その見た目だけでも神聖な感じがしました。それにしてもよくこんな大きな模型を展示できたものだと感心します。

14 「宇豆柱」 (島根・出雲大社境内遺跡出土) ★こちらで観られます
こちらが2000年に発掘された鎌倉時代の出雲大社本殿の柱で、3本の太い杉を束ねて1つの柱としています。1本1本も相当な太さで、側面には運ぶ時の縄を通す穴や柱を立てる時に隣とぶつからないように削られた跡もあるようです。木の塊のようにしか見えませんが、これが1本の柱であるなら本当に巨大な建物であるのは想像に難くないかな。まったく、恐るべき巨大建築の遺構です。

この近くには同じく出土した土器や手斧、釘なども展示されていました。

16 「玉勝間 巻之十三」
これは本居宣長の随筆で、左には図面があり寸法も記載されています。これは千家国造家から入手した出雲大社の図面を掲載したもののようで、その寸法があまりにも大きいので本居宣長も疑問に思い、「不明な点が多いがそのまま記載する」と書いてあるそうです。 …誰もがそんな大きな建物があるとはにわかには信じがたいだろうから、そう思うのも無理がないかも。 しかし最近の発見でこちらの信憑性も出てきたようでした。

この近くには小さめの出雲大社の模型もありました。また、次の部屋には三月会という毎年3月に行われていた出雲大社 最大の年中行事を描いた屏風18「三月会神事図屏風(流鏑馬図)」や、出雲の紋が入った蒔絵の文台と硯箱、出雲大社の宝物で仏教色一掃の際に流出した22「騎獅文殊菩薩像」なども並んでいました

第1会場の最後には約8分の映像があり、ここは2章の内容の予習となりました。ちなみに先ほどの出雲大社本殿の高さはビルの15階に相当するのだとか。桁外れに高いです。


<第2章 島根の至宝>
続いては同じ島根県で出土した品々が並ぶコーナーです。近年、荒神谷遺跡と加茂岩倉遺跡から出土した大量の青銅器は弥生時代の社会のイメージを大きく変えることになったようです。ここには、それらの遺跡から出土した青銅器や、制作当初に金色に輝いていたのが分かる復元装飾品、その他に神像などの島根に伝わる品々が並んでいました。

23 「銅鐸」 (伝出雲出土) ★こちらで観られます
出雲で出土したとされる銅鐸で、表面に顔が表されているようですがちょっと分かりづらいです。解説によると、この顔は邪悪なものを威嚇する表情をしていると考えられているようで、佐賀県で出土した銅鐸と同じ鋳型で作られているようです。出雲と佐賀・九州との関わりが気になってくる品でした。

25-1 「銅鐸」 (島根・加茂岩倉遺跡出土) ★こちらで観られます
このコーナーの最初の方には島根の加茂岩倉遺跡から出土した銅鐸がずらりと並んでいました。加茂岩倉遺跡からは1箇所で発見された中では最多の39個もの銅鐸が出土されたそうで、流水紋、大型袈裟襷紋、小型袈裟襷紋の3つに区分できるようです。ここには16個ほどあり、緑色に変色していて文様はわかりづらいですが、結構大きな銅鐸でそれだけの勢力を持った集団が島根にいたことを感じさせます。隣には金ピカの模造品があり、当時の様子がよく分かりました。

24-1 「銅剣」 (島根・荒神谷遺跡出土) ★こちらで観られます
こちらは荒神谷遺跡から出土した358本もの銅剣のうち42本が展示されていました。いずれも同じような形で50cmで500g程度らしく、344本の茎(なかご 剣の柄の部分)には×印はあったそうで、先程の銅鐸には×印はあったようです。こちらも元は金ピカだったようで模造品もありました。ちなみにこの358本というのは西日本全体の出土数よりも多かったらしく、この地域特有の剣で同じ鋳型で作られていて、剣としては使われていないようです。この量にも驚かされました。今回の展示は本当に出雲の凄さがよく分かります。

この近くには銅剣と一緒に出てきた銅鐸(6個中5個)や銅矛(16本中16本)も展示されていました。こちらも結構な大きさです。

27 「彩絵檜扇」
こちらは佐太神社の本殿に納められていた神宝の扇で、薄いヒノキ23枚を閉じて作られています。松、鶴、流水などが描かれていて、ちょっとボロボロですが絵は何とか判別できました。佐太神社も由緒ある神社ですが、そこの神宝を観られるとはこれまた貴重です。
この辺には佐太神社に奉納された室町時代の鎧もありました。兜に天照皇大神宮と彫られているのがカッコイイw 最後は神像が並んでいました。

36 覚清 「摩多羅神坐像」 ★こちらで観られます
島根の清水寺に伝わる神像で、歯を見せて笑い 手で何かを持っているようなポーズをしています。これは元は鼓を持っていたようで、それを叩こうとしているようです。芸能の神で大黒天が姿を変えたもののようでした。福を授かりそうな豪快な笑顔です。


ということで、あまり展示規模は大きくないものの大人気の展覧会で、驚くべき新発見の数々を目の当たりすることができました。もしかしたら歴史書が書き換わるかもしれないという証拠の品々が惜しげなく並んでいたのは貴重でした。


おまけ:
最近、観たい展示が多すぎで終わりそうな展示から順に慌てて行っている感じです。しばらくこの悪循環が続きそう…。なるべく話題の展示から先にご紹介していこうと思います。

 参照記事:★この記事を参照している記事


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評価




東京国立博物館の案内 【秋の庭園解放 2012】

この前の日曜日(2012年11月25日)に、上野の東京国立博物館に行って展示を観てきたのですが、その前に久しぶりに「秋の庭園開放」を観てきました。

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【展覧名】
 秋の庭園開放

【公式サイト】
 http://www.tnm.jp/modules/r_event/index.php?controller=dtl&cid=5&id=6323

【会場】東京国立博物館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)


【会期】
 2012年10月27日(土) ~2012年12月9日(日)

【感想】
この日は天気も良かったので快適に散策することができました。この庭園は年に2回、春と秋に庭園を開放するのですが、秋はちょうど紅葉の時期の頃に重なります。私は3年ぶりでした。
 参考記事:東京国立博物館の案内 (秋の庭園解放)※2009年

入口は2箇所あり、私は本館正面右手から入って行きました。本館と平成館の間にも入口があります。
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まずは「春草廬(しゅんそうろ)」が見えてきます。
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こちらは江戸時代に河村瑞賢が摂津淀川改修工事の際に建てた休憩所らしく、大坂、横浜、埼玉と転々としてこの場所に来たようです。

続いては転合庵(てんごうあん)を通ります。
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こちらは小堀遠州が京都伏見に建てた茶室で、京都から東京へと移され、寄贈されました。裏からだとわかりづらいですが、本館裏手の池の側に建っている小屋です。

転合庵の池側。いかにも茶室といった雰囲気があります。
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同じ場所から観る池。紅葉していて美しい光景です。
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こんな感じで色づいていました。まだしばらくは綺麗なんじゃないかな。
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続いてこちらは「六窓庵(ろくそうあん)」。江戸時代の茶人 金森宗和ゆかりの茶室で、奈良から移築されました。
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その先には「応挙館」があります。こちらも名古屋市郊外から移築されました。
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室内の障壁画が円山応挙の作であることから応挙館と呼ばれます。この日は予約制で中に入ることも出来るようでしたが、私は予約していなかったので入れずw

続いては「九条館」 こちらも京都御所内から移築されました。
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窓の外から中が観え、江戸時代前期の狩野派による楼閣山水図が障壁画となっているのが分かります。
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池をグルっと回って転合庵の向こう岸にきました。非常に美しい光景です。
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この近くには臨時の車の屋台も出ていて、休憩しながらお茶している人がいました。


ということで、静かな庭園を散策することができました。そして3年前撮ったのと全く同じ写真が多くて自分でも驚きましたw ちょうど紅葉の季節となっていますので、東京国立博物館に行かれる際には庭園も行ってみることをお勧めします。




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CAFE CELI(カフェセリ) 【恵比寿界隈のお店】

前回ご紹介した山種美術館の展示を観た後、恵比寿駅の近くのCAFE CELI(カフェセリ)というお店でお茶してきました。

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【店名】
 CAFE CELI(カフェセリ)

【ジャンル】
 レストラン/カフェ

【公式サイト】
 http://cafeceli.com/
 食べログ:http://tabelog.com/tokyo/A1303/A130302/13135155/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 恵比寿駅

【近くの美術館】
 山種美術館
 東京都写真美術館

【この日にかかった1人の費用】
 900円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_③_4_5_快適

【混み具合・混雑状況(日曜日15時半頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
結構お客さんが入っていましたが、特に混雑しているわけでもありませんでした。

このお店は去年(2011年)の年末頃に出来た新しいお店のようです。お店の中はこんな感じ。私はカウンター席に座りました。
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お店の入口で持ち帰りのケーキを売っていたのですが、どちらかと言うとランチメニュー中心のお店のようで、朝食サービスなどが人気のようです。

私はこの日、最高級ぶどう紫苑のジュレ(店内限定お試し価格100円)、本日のショートケーキ(500円)、コーヒー(300円)を頼みました。
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コーヒーはすぐ来たのですが、ジュレとケーキはやや時間がかかりました。不満というほどでもないですが、接客はちょっと素っ気ないかな。

まずは紫苑のジュレ
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葡萄が爽やかでゼリーやババロア?も美味しく、これで100円はお得でした。(お試しとあるので期間があるのかもしれません) 若干食べにくいかなw

続いて本日のショートケーキ。
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こちらは中に香り豊かな洋梨が入っていて、全体的には結構甘いけど重くはありませんでした。美味しいけどベリーが凍っていたのはちょっと残念。

飲み物はいつも通りコーヒー。
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こちらは軽い苦味とまろやかなコクがあって、結構どっしりしてるので好みの味でした。

ということで、意外と手頃な価格でゆっくりすることができました。この辺は美術館巡り以外でもよく行くので、また利用してみたいと思います。朝やランチがお得なようですので、次行く場合は試してみようと思います。



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評価




没後70年 竹内栖鳳(後期) 【山種美術館】

この前の土曜日に、恵比寿の山種美術館へ行って、会期末となった「没後70年 竹内栖鳳」の後期展示を観てきました。この展覧会は既に終わっていますが、後期も素晴らしい内容だったのでご紹介しておこうと思います。

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【展覧名】
 没後70年 竹内栖鳳

【公式サイト】
 http://www.yamatane-museum.jp/exh/exhibitions2012/70.html

【会場】山種美術館
【最寄】JR・東京メトロ 恵比寿駅


【会期】
  前期:2012年09月29日(土)~10月28日(日)
  後期:2012年10月30日(火)~11月25日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
最終1日前だったこともあって混んでいました。しかし、大型の作品も多いので何とか自分のペースで観られる程度だったかな。

さて、この展示はつい最近にもご紹介しましたが、前期・後期で入れ替えがあるので再度足を運んでみました。各章の構成や説明は以前と同じですので、今回は説明等は省略して、気に入った作品についてのみ記載しておこうと思います。(今回は後期のみ展示の品や以前ご紹介しなかった作品について書いていきます) 構成や説明を知りたい方は前期の記事をご参照頂けると嬉しいです。
 参考記事:没後70年 竹内栖鳳 前期 (山種美術館)


<冒頭>
まず冒頭は前期同様に「班猫」が展示されていました。何度観ても気品があって美しい猫です。


<第1章 先人たちに学ぶ>
続いては栖鳳の先人のコーナーです。

5 円山応挙 「龍ぎん起雲図」
暗闇から首を出している龍を描いた作品です。上の方に手があり、画面をうねるように渦巻いてます。目はギョロっとしていて険しい表情で、周りの雲は濃淡で表現し稲光もありました。解説によると、通常なら墨を塗り残して表現する目や稲光などのハイライト部分に白色を使い、墨もこすりつけるように馴染ませるなど従来にない手法を試みているようです。それが離れて観ると立体感の表出に繋がっているようで、異様な迫力がありました。

9 森狙仙 「春風猿語図」
桜の樹の枝に掴まって遊ぶ4匹の猿と、その猿にしがみつく1匹の仔猿が描かれた作品です。動きが豊かで猿のやんちゃな感じが出ていて、その毛並みはフワフワして可愛らしさもありました。解説によると、この絵師は狩野派に学んだのですが、応挙に影響を受けて写実的な動物画を手がけたそうです。特に猿が得意だったそうで、「猿描きの狙仙」として名を馳せていたとのことでした。

この辺には雀を描いた応挙の小さな襖絵もありました。


<第2章 竹内栖鳳の画業>
続いては今回の主役の栖鳳のコーナーです。

16 竹内栖鳳 「雲龍」
上方の雲の間から龍が出てくる様子を描いた作品で、周りは雲を引いているように観えます。顔は穏やかそうですが、細かく描かれて風格を感じさせました。解説によると、栖鳳は明治20年代に応挙の画風に倣った作品を制作していたようで、これもそれにあたるそうです。応挙と同じく毛に金泥を使っているようですが、墨線の上に金泥を重ねている点など、古典にアレンジを加えているとのことでした。確かに先ほどの応挙の作品にもちょっと似た雰囲気がありつつ別物のような感じを受けました。

18 竹内栖鳳 「百騒一睡」
これは6曲1双の屏風で、右隻は伏せて寝ている洋犬と、その周りで戯れている3匹の子犬達が描かれています。そして左の方からは4羽の雀が近寄ってきています。一方、左隻には凄い数の雀が描かれていて、稲を刈り取った後の田んぼに群れをなして集まっていました。雀達は様々な姿で描かれていて、タイトル通り騒がしそうな感じです。左右の対比が面白い作品でした。 なお、雀は栖鳳がライフワークのように描いていたとのことでした。

20 竹内栖鳳 「虎・獅子図」
こちらは6曲1双の金屏風で、右隻に寝そべる虎、左隻には岩に乗っているライオンが描かれています。いずれも実際の虎とライオンをリアルに描いていて、険しい表情で迫力のある雰囲気です。これは明治33年の渡欧の際にアントワープなどで初めて観た本物を熱心に写生したものがもとになっているようで、唐獅子や日本画の虎とは違う、真に迫るものがありました。

この先しばらくは前期展示とほぼ同じ内容でした。

35 竹内栖鳳 「柿の実」
これは前期にもありましたが改めてじっくり観てきました。簡素な画風で描かれた柿の枝と4つの柿の実の絵で、この章の前半にあるような写実的なものからだいぶ単純化が進んでいます。オレンジ色が深く生命力を感じさせ、大きく湾曲した枝の形も面白い効果を出していました。

44 竹内栖鳳 「みみづく」
これも前期にもあった掛け軸です。樹の枝にとまるミミズクが描かれていて、かなり簡略化され淡い色彩となっています。ミミズクのキョロっとした目が可愛らしく感じられました。この作品もデフォルメ具合が面白かったです。


<第3章 栖鳳をとりまく人々>
最後は栖鳳の弟子や同門の画家のコーナーです。とは言え、栖鳳の作品も混じって展示されています。

58 菊池芳文 「花鳥十二ヶ月」
この画家は幸野楳嶺の元で栖鳳と共に修行した人物で、この作品は後期では1~6月が展示されていました。特に好みなのは5月で、雲の中に現れた満月と、その手前で滑空している鳥が描かれています。余白の取り方や配置が面白く、広々とした空間を感じさせました。

29 竹内栖鳳 「蹴合」 ★こちらで観られます
これは2羽の軍鶏が向き合って戦っている様子が描かれたもので、足を出して相手を掴むように襲いかかっています。戦いの瞬間を捉えたような緊張感がありつつ、滲みを使った色とりどりの毛が華やかな雰囲気に思いました。

55 竹内栖鳳 「雄風」
これは2曲1双の屏風で、右隻はソテツの木の横でじっと左のほうを見ている虎、左隻はソテツの木の下で寝そべっている虎が描かれています。先ほどの虎の絵と違って、簡略化され淡い色彩で描かれていて、胡粉でもかかっているのか?というくらい柔らかい色でした。太めの輪郭線で描いているのも滑らかな印象を受けました。

続いて第二会場です。

26 竹内栖鳳 「絵になる最初」 ★こちらで観られます
紫の着物を脱ぎかけている女性が、口の前に左手を出して顔を隠し恥ずかしがっている様子が描かれた作品です。滑らかな肌で初々しい雰囲気の女性で、その仕草も可愛らしく見えます。また、着物は紫地に青や金銀泥で模様をつけ、華やかな雰囲気がありました。解説によると、この着物は人気が出たそうで、高島屋が「栖鳳絣(せいほうがすり)」として売りだしたそうです。この作品の隣には羽織に仕立て直した栖鳳絣も展示されていて、絵に描かれた模様が忠実に再現されていました。


ということで、後期も充実した内容でした。「絵になる最初」などもあったので、後期の方が好みの作品が多かったかも? 図録も1000円と手頃なものがあったので、図録を買いました。もう終わってしまいましたが、今後も参考になる展示でした。


 参照記事:★この記事を参照している記事


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評価




大正・昭和のグラフィックデザイン 小村雪岱展 【ニューオータニ美術館】

先日、平日のお昼休みに赤坂見附のニューオータニ美術館で「大正・昭和のグラフィックデザイン 小村雪岱展」を観てきました。

2012-11-21 13.30.37

【展覧名】
 大正・昭和のグラフィックデザイン 小村雪岱展

【公式サイト】
 http://www.newotani.co.jp/group/museum/exhibition/201210_komura/index.html

【会場】ニューオータニ美術館
【最寄】東京メトロ 赤坂見附駅・永田町駅


【会期】2012年10月6日(土)~11月25日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(平日12時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
お客さんは結構いましたが混んでいるわけではなく、快適に鑑賞することができました。
さて、今回の展示は小村雪岱という大正から昭和にかけて活躍した画家の個展です。小村雪岱は装幀、挿絵、舞台美術や商業広告で活躍した画家で、この時期は印刷の量産技術の発達で印刷美術の時代が到来していたようです。展覧会はテーマによって章分けされていましたので、詳しくは章ごとに気に入った作品と共にご紹介しようと思います。
 参考記事:
  小村雪岱とその時代 (埼玉県立近代美術館)
  大正イマジュリィの世界 デザインとイラストレーションのモダーンズ (松濤美術館)


<第一章 泉鏡花との出会い -- 花開く才能>
まずは小説家の泉鏡花との関係についてのコーナーです。小村雪岱は憧れていた泉鏡花と知遇を得て、1914年(大正3年)に出版された小説『日本橋』の装幀を手がけました。この装幀が好評を得たようで、小村雪岱は一躍注目を集めます。また、泉鏡花を介してその信奉者とも交流し、彼らの装幀も手がけるようになりました。そしてその付き合いは1928年に始まる「九九九会」へと発展し、そのメンバーには水上瀧太郎(小説家)、里見弴(小説家)、久保田万太郎(俳人・小説家)、鏑木清方(日本画家)、岡田三郎助(洋画家)、三宅正太郎(法曹界)らが名を連ねていたようです。この親睦会の名前の由来は9円99銭の会費からつけられたそうで、毎月23日の夜になると日本橋の料亭「藤村」に集まっていたようです。この会は泉鏡花が亡くなる年まで続けられ、この席に呼ばれた芸姑の中には美人画の元になっている人もいるとのことでした。この章では泉鏡花の装幀と共にそうした九九九会のメンバーの装幀本などが並んでいました。
 参考リンク:泉鏡花のwikipedia

小村雪岱 「星祭り」
これは入口付近にあった掛け軸で、地面に置いた黒いタライ?をしゃがんでじっと見つめる桔梗模様の着物の女性を描いた作品です。七夕の日に水を張って星を映して観ているところらしく、この女性は九九九会の馴染みの芸姑のようです。ほっそりした感じの色白の美人で、色っぽくて品がありました。背景は無く、じっとみつめて静かな雰囲気でした。

この近くには東京美術学校日本画科選科の卒業制作の「春昼」という作品もありました。その後はずら~っと本が並んでいます。

小村雪岱 「泉鏡花 著『日本橋』」 ★こちらで観られます
本が開いて展示されていました。表紙には横一直線に流れる川と、その上下に並ぶ沢山の蔵、川を行き交う何艘の小舟が描かれ、画面中に赤や紫の蝶が舞っています。その光景が可憐で幻想的な雰囲気です。一方、本の中には外から眺めた座敷の様子が描かれていて、誰もいない座敷の畳の上には鼓と三味線が置かれています。外は雨が降り、何とも風流で人のいた余韻が感じられました。この本だけでも好みの挿絵ばかりでテンションが上がりますw

小村雪岱 「泉鏡花 著『愛染集』」
これは見開きのページが開かれて展示されていました。中央に小さなお堀(水路)があり、右に背の高い屋敷?、左に雪の積もる道と低めの建物が描かれています。道には着物の女性が歩いていて、画面全体に白い点々があり、雪が静かに降り積もる様子を表しています。建物や構図に幾何学的な簡潔さがあり、空や建物は鉛色~黒の色面で表現されているためか、しんみりとした叙情性がありました。

小村雪岱 「紅梅図着物」
これは九九九会の席に呼ばれた芸姑のために小村雪岱が手描きした着物です。黒紋付で裾は鶯色となっていて、紅梅が描かれています。清廉な印象を受ける意匠となっていました。

小村雪岱 「里見弴 著『多情仏心』」
これは本の見開きで、大きな屋敷を斜め上から見た構図で描かれた作品です。外は夜なのか、家の中からは障子越しの光が感じられます。非常に大胆な構図が面白く、すっきりした感じなのに情感がありました。解説によると、里見弴とは泉鏡花の紹介で知り合い、この多情仏心の新聞連載を始めるにあたり小村雪岱を強く推薦してもらったそうです。そして小村雪岱はこれを契機に挿絵画家としての活躍が始まりました。

この部屋の中央にも本がありました。

小村雪岱 「泉鏡花 著『紅梅集』」
窓が3つあるガランとした部屋の中に、青い獅子舞の面?だけが置かれている様子が描かれた作品です。これは以前見た覚えがありますが、何ともシュールな雰囲気が印象深く、他の作品とは違った魅力がありました。


<第二章 舞台とのかかわり -- 戯曲本と舞台装置原画>
続いて2章は舞台との関わりについてのコーナーです。小村雪岱は1924年(大正13年)の「忠直卿行状記」を皮切りに200あまりの芝居の舞台装置を手がけたと言われているそうです。歌舞伎の仕事を多く行った他、前進座、新国劇、新派などの舞台装置にも関わりました。今では原画や記録写真で当時の様子を想像するしかないようですが、舞台の情感を余すこと無く伝える装置を数多く手がけ、名優たちからの信頼を得たようです。ここには装幀した戯曲や役者の自伝などと共に舞台装置の原画が並んでいました。

小村雪岱 「『東京の昔話』舞台装置原画」
横長の4枚の舞台原画で、それぞれの場面になっています。川の近くの家々を背景にした場面、川にかかった橋が背景の場面、長屋を改造した道具屋の場面、中央に鳥居があり奥に並木と石灯籠が続く神社の場面 となっていて、いずれもその場の情感を感じさせる絵となっていました。若干、暗い雰囲気に思えるかな。

この辺には戯曲の本などが展示されていました。

小村雪岱 「『一本刀土俵入』舞台装置原画」
これも4枚セットの作品で、江戸時代頃を思わせる家々が並ぶ様子や、ススキの野、船のとまる川辺、森の中の小屋などが描かれています。野や川はのどかでしみじみした雰囲気なのですが、家々を描いた作品では漆喰壁に鶴が描かれているなど、細部までこだわりを感じさせました。この家の描写は今でも踏襲されているのだとか。

この部屋の中央にも戯曲の本や舞台の写真の本などが並んでいました。

小村雪岱 「演芸画報」
この章の最後あたりの壁には11点ほど「演芸画報」という冊子が並んでいました。いずれも着物の美人が描かれているのですが、特に好みだったのは「演芸画報第32年第8号」で、楓模様の着物に蝶柄の帯をした女性の後姿が描かれていました。膝を曲げて首を垂れ、何とも色っぽい仕草で、気品のある女性像でした、

この隣には掛軸の作品もありました。


<第三章 挿絵 -- 共鳴する画文>
続いて3章は挿絵のコーナーです。初めて挿絵を手がけたのは1922年の時事新報に掲載された里見弴 著『多情仏心』(1章でご紹介した作品)ですが、コンテによる洋画風の挿絵は賛否両論があったそうです。小村雪岱の模索はその後も続き、次第に線描を主体とした表現へと集約していったそうで、1932年~1938年にかけて挿絵の仕事は最盛期を迎えました。特に1933年9月から東京朝日新聞に連載された「おせん」の挿絵で成功し、挿絵画家としての地位を確立したようです。ここにはそうした挿絵の原画などが並んでいました。

小村雪岱 「おせん 挿絵下図」
これは東京朝日新聞に連載された「おせん」の挿絵の下絵で、6点あった中で特に面白いのは第28場面でした。画面全体に傘をさした沢山の人々が並び、中央の2人だけが傘から顔を覗かせています。その為、自然と視線がそこに向うと共に、周りの円を重ねた構図が幾何学的で非常に面白く感じました。

小村雪岱 「お伝地獄 挿絵原画」
こちらも何点か原画があったのですが、一際目を引いたのは川の場面でした。細い白い線で波を表した真っ黒な川の中、中央に川から出された女性の足だけが描かれています。足には若干角度がつけられていて、泳いでいるのかな?? 白く艶かしい足で異様な妖しさがありました。

この辺には「突っかけ侍」という本とその挿絵原画も並んでいました。


<特集 -- 装幀の妙>
奥の小部屋は特集コーナーとなっていて、1~3章で紹介しきれなかった小村雪岱の装幀本の中から、代表的な作品が並んでいました。小村雪岱の意匠の源泉となっているのは大和絵や浮世絵、伝統的な江戸小紋や古代中国・ペルシャ文様などだそうです。ここにはそうした要素を感じさせる作品も並んでいました。

小村雪岱 「白石実三 著『瀧夜叉姫』」
長い黒髪の十二単の女性の後ろ姿が描かれたもので、十二単が表紙の両面にわたって広がり、しなやかな髪と共に妖しく気だるい雰囲気を感じます。背景には何もなく、ぼんやりした暗闇があるのも神秘的でちょっと不穏な感じすらありました。

この部屋もずらりと本が並んでいました。

小村雪岱 「村松梢風 著『梢風情話集』」
これは見開きが展示されていて、対角線上に雪の積もる大きめの通りが描かれ、その両脇には雪をかぶった家々が立ち並んでいます。道には2人の女性だけぽつんと描かれ、右上の家の2階からそれを見ている?人の姿もありました。しんしんと雪が降り積もり、ちょっと寂しげな感じもしますが冬の情感がよく表されていました。


<資料/その他>
最後に資料としてわかもと製薬が販促用に作った団扇や、弟子が作った木版画などがありました。こんな団扇が貰えるなら薬も買いたくなるかもw


ということで、久々に小村雪岱の作品を楽しむことが出来ました。どことなく郷愁を誘う独特の画風が耽美で好みです。この記事を書いた時点でもう残り半日となってしまいましたが、間に合いそうな方は是非どうぞ。


 参照記事:★この記事を参照している記事



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評価




Tokyo Midtown Award 2012 【東京ミッドタウン】

前回ご紹介したFUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)の展示を観た後、同じミッドタウンの地下で開催されている「Tokyo Midtown Award 2012」を観てきました。

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【展覧名】
 Tokyo Midtown Award 2012

【公式サイト】
 http://www.tokyo-midtown.com/jp/award/

【会場】東京ミッドタウン プラザB1F メトロアベニュー
【最寄】六本木駅/乃木坂駅


【会期】2012年10月26日(金)~11月25日(日) 
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間20分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日17時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
ここは通路のようなところなので、混んでいるというわけでもなく、ゆっくりと観ることが出来ました。

さて、この展示はミッドタウンで毎年開催されている公募展で、アートコンペとデザインコンペに分かれ、ミッドタウンの開発コンセプトである「JAPAN VALUE(新しい日本の価値・感性・才能)」を基軸に、第一線で活躍しているアーティストやキュレーターが審査しているそうです。今年は「安心」をテーマに1318点もの応募があったらしく、デザインコンペの受賞作が並んでいました。過去の受賞作品も一緒に展示されていたので合わせてご紹介しようと思います。


<2008年度デザインコンペ受賞作品 テーマ「Japanese New Souvenir 日本の新しいおみやげ」>
まずは2008年の受賞作のケース。2007年にミッドタウンが出来て、その1周年で開催されたそうです。この時のテーマは日本の新しいおみやげ。

鈴木啓太 「FUJIYAMA Glass(冨嶽百九十三景)」 (2008年 審査員特別賞/水野学賞)
DSC_23216.jpg
グランプリではないのですが、これは商品化された実物を見たことがあります。このコンペから出てきたんですね。非常にユニークで日本らしさを感じられます。このアイディアは本当に凄い。


<2009年度デザインコンペ受賞作品 テーマ「Japanese New Gift 日本の新しい手みやげ」>
続いての2009年のテーマは日本の新しい手みやげ。

南政宏 「チョンマゲ羊羹」 (2009年 グランプリ)
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思わず吹き出してしまったのがこの羊羹。たしかにチョンマゲの形をしています。 これは頭に付けたくなるのでは…w


<2010年度デザインコンペ受賞作品 テーマ「On the Green」>
2010年のテーマは「On the Green」 この年のテーマの意図はよく分かりません…。

斉藤秀幸 「パラシュートカメラ」 (2010年 準グランプリ)
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この年の受賞作で面白そうだったのはこちら。投げて落ちてくるまで写真を撮り続けるカメラのようです。どんな写真が撮れるのか試してみたい。


<2011年度デザインコンペ受賞作品 テーマ「5」>
昨年のテーマは「5」で5にまつわる様々な品が並んでいました。

藤本聖二 「縁起のいい豚貯金」 (2011年 グランプリ)
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50円と5円の穴あき通貨を貯金する豚さん。「ぎんとん」と「きんとん」という名前で、これは今年の10月に商品化されたようです。観ていて微笑んでしまうような遊び心を感じます。
 参考リンク:【デザインコンペ】2011年グランプリ受賞作「縁起のいい貯金豚」が商品化されます。


<2012年度デザインコンペ受賞作品 テーマ「安心」>
そして、今年のテーマは「安心」です。安心を込めた様々な作品が並んでいました。

市田啓幸 「おまもりカイロ」 (2012年 グランプリ)
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これはお守りのように見えて携帯用カイロ。受験はちょうど冬だしこれは人気が出そう! 「安心」というテーマの捉え方も面白いです。審査員の方から、使いきっても結果が出るまで捨てるのを躊躇うし、結果が出たら記念に取っておくだろうとあったのも妙に納得しましたw。

太田耕介/櫻井一輝/池ヶ谷貴徳 「とんでいけ ばんそうこう」 (2012年 準グランプリ)
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「痛いの痛いの飛んでけ」という言葉が絆創膏になったような秀逸な作品。これは子供は喜ぶのでは? 大人が使ってもお洒落で可愛いかも。これも商品化しないかなあ。

三田地博史/小山田拓司 「打虫刀」 (2012年 佐藤卓賞)
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2012年の中で、一番笑ったのがこちら。刀の鍔のようなものに新聞紙を丸めて入れて虫を叩くという作品。虫を発見してから詰めるのか、いつも詰めて置いておくのか、そのまま雑誌で叩いたほうが早いのでは?と色々とツッコミたくなるけど、妙に気に入ってしまいました。シンプルなだけにアイディアが光ります。


ということで、素人目にも非常に楽しい作品が並んでいました。これは商品化して欲しい!というのもありましたので、今後も楽しみです。もう会期末となっていますが、近くに行く機会があったら覗いてみると面白いかと思います。


 参照記事:★この記事を参照している記事



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星野道夫 アラスカ 悠久の時を旅する 【FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)】

前々回前回とご紹介した根津美術館の展示を観た後、千代田線で乃木坂に移動して、ミッドタウンにあるFUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)で「星野道夫 アラスカ 悠久の時を旅する」を観てきました。

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【展覧名】
 星野道夫 アラスカ 悠久の時を旅する

【公式サイト】
 http://fujifilmsquare.jp/detail/121116012.html

【会場】FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)
【最寄】六本木駅/乃木坂駅


【会期】2012年11月16日(金)~2012年12月5日(水)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間20分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日17時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_4_⑤_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
日曜の夕方だったにも関わらず、結構多くの人で賑わっていました。しかし写真自体が大きめなので、そんなに混雑した感じでもないかな。

さて、今回の展示は星野道夫 氏という大自然を撮った写真家の展覧会となっています。この方は1996年に取材中に亡くなってしまったようですが、今なお多くのファンを魅了しているそうで、アラスカやロシアのカムチャツカ チュコト半島などの雄大な自然や人々の暮らしを写したものが展示されていました。私は逆回りで観てしまったようですが、簡単に展示の様子を振り返ってみようと思います。


まず会場の外周にクジラを撮った写真が並んでいました。ダイナミックにジャンプしていたり、沢山集まっている様子が撮られています。また、その近くには海岸を埋め尽くすように無数のセイウチが昼寝している光景を撮った写真もあり、その数に驚きました。…むしろちょっとキモいw

少し進むと生まれたての真っ白なタテゴトアザラシの赤ちゃんの写真がありました。つぶらな瞳の可愛さがヤバイ!w 他にもムースという大きな角の鹿(ヘラジカ)や、アラスカの人たちが毛皮を着て生活している様子などもあります。

その近くにはまるで遺跡のように空に向かって並んで立つクジラの骨(肋骨)の写真もあり、何とも神秘的な雰囲気です。 また、ワタリガラスを創造主とする部族に関するコーナーがあり、ワタリガラスのトーテムポールや森の写真がありました。こちらも神聖な雰囲気が漂います。他にもオーロラの写真などもあって幻想的なコーナーとなっていました。

その先には、ホッキョクグマのコーナーで、親子の写真や、子供たちがじゃれあう様子、寝ている様子などキュートな写真が並んでいました。これは白熊好きにはたまらないと思います。そしてその近くには1996年の撮影日誌や愛読書、調査報告書や手紙が並んでいました。

この辺にはカリブーという鹿を撮った写真もあったのですが、セスナで上空から写真には驚きました。すごい数の鹿たちが大移動しています。また、氷で出来たトンネルや森に咲く花々、氷河、フクロウがレミングスを狩ってくわえている写真など、自然の雄大さ・力強さが感じられました。その後にもクジラ漁やカリブー猟、リス、ホッキョクギツネ、ドールシープという真っ白な山羊、鮭をくわえたグリズリーなどの写真もありました。こちらも現地の空気が伝わってきそうな真に迫るものがあります。


ということで、北極の自然の美しさや動物の可愛らしさを堪能することができました。ここは無料で観られるし、11月末までは以前ご紹介した展示も同時開催していますので、近くに寄ることがあったらチェックしてみると楽しいかと思います。

 参考記事:マグナムを創った写真家たち~キャパ、カルティエ=ブレッソン、ロジャー、シーモア~ (FUJIFILM SQUARE フジフイルム スクエア)


 参照記事:★この記事を参照している記事



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ZESHIN 柴田是真の漆工・漆絵・絵画 【根津美術館】

前回ご紹介した根津美術館の紅葉を観た後、同じ根津美術館で「特別展 ZESHIN 柴田是真の漆工・漆絵・絵画」を観てきました。この展示は前期・後期に分かれているようで、私が観たのは前期の内容でした。

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【展覧名】
 特別展 ZESHIN 柴田是真の漆工・漆絵・絵画

【公式サイト】
 http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html

【会場】根津美術館
【最寄】表参道駅


【会期】
  2012年11月01日(木)~11月25日(日)
  2012年11月27日(火)~12月16日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構お客さんが多くて、細かい作品の周りなどはちょっと人だかりができるくらいでしたが、ほんの少し待てば自分のペースで見て回ることができました。

さて、今回の展示は幕末から明治にかけて蒔絵師として、また絵師としても活躍した柴田是真についての展覧会となっています。柴田是真は文化4年(1807年)に江戸に生まれ、11歳の時から蒔絵の技を習得して、16歳からは四条派の絵画を学びました。特に蒔絵では従来は分業されていた下絵から蒔絵までの製作工程を自らの手で一貫して行い、洒脱でウィットに富んだデザインと漆芸技術を融合させたそうです。さらに、蒔絵絵という絵画と蒔絵の技を併せ持った作品を作り絵画・工芸の枠を越えていくことになります。今回はそうした品々140点を一同に集め、全貌をたどる内容となっていましたので、詳しくはいつも通り気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。

 参考記事:柴田是真の漆×絵 (三井記念美術館)


<漆工>
まずは漆工(蒔絵)工芸品が並ぶコーナーです。

21 柴田是真 「扇面蒔絵書棚」
これは是真の漆工作品としては最も大きな作品で、全体を黒漆で覆った引き出しのついた書棚です。棚板と天板があり、棚板には扇が「青海波塗り」という技法(変塗の1種で波の文様を表すもの)で表され、波と岩が描かれています。周りには虹色に光る螺鈿が散らされ、落ち着いた雰囲気と高い技術を感じました。

この隣にも同様の棚がありました。また、金属の青銅の色と質感を出した「青銅塗り」という変塗の作品なども並んでいました。

13 柴田是真 「軍鶏蒔絵文箱」
これは竹を籠目模様に編んだような蓋と、箱の底に軍鶏が描かれている文箱です。恐らく閉じると軍鶏が網籠の中に入っているような感じになるのだと思います。その意匠も面白いのですが、軍鶏がかなり精密に描かれていて、離れると肉眼では観えないような細かさなのも驚きでした。

この辺にはいくつかこうした文箱がありました。

68 柴田是真 「鉋屑漆絵菓子器」
黒い蓋付きの容器で、木目に見える塗り方をした地に、表面と側面にカンナくずがクルクルと丸まっている様子が表されています。螺旋状となっていて、地がかすれて見える所があり、それがカンナくずの薄い部分を表しているように見えるのが面白いです。どうしてこんな意匠にしようと思ったのだろうか?という点も含め、遊び心を感じました。

この辺には箱の作品が多いようでした。その後は頓骨(とんこつ)という食べ残しを持ち帰るための小さな容器などが並んでいました。

1 柴田是真 「青海波塗柳流水蒔絵重箱」
これは5段の重箱でそれぞれの段の色が違っているという変わった作品です。黒、灰色、深紅、オレンジ、藍色?など色は違いますが、蓋から側面を通り底に向かって川が繋がって描かれています。金銀の蒔絵で柳などが表され、重厚かつきらびやかな雰囲気がありました。

3 柴田是真 「烏鷺蒔絵菓子器」 ★こちらで観られます
これは2つの四角が重なったような形をした菓子容器です。それぞれの面には真っ黒なカラスと、銀色っぽいサギがぎっしり描かれていて、その対比が目を引きます。容器の形も意匠も変わっていて驚きの作品でした。

87 柴田是真 「鬼鍾馗蒔絵印籠・酒瓢蒔絵根付」
印籠の側面が彫り抜かれ、そこに鍾馗?が描かれています。そしてその前に格子状の細い棒があるので、まるで小さな庵の中から鍾馗が外を見ているようなデザインでした。また、裏も4つ足の生き物?のシルエットが格子の中に入っていました。発想が面白い作品です。

この辺の部屋の中央には印籠が並んでいました。

19 柴田是真 「朝顔蒔絵小蓋」
倒れた円筒型の木?の側面から朝顔が生えてくる様子を蒔絵で表した作品です。黒く艶のある花、金から黒色で変色した感じに表された葉っぱ、優美な曲線を描く蔓など、朝顔の美しさを素材や技法の使い分けで表現した感じを受けます。構図も中央よりやや右寄りに花が配置されているなど、面白さを感じました。

この辺にはキセル筒や香合などもありました。

18 柴田是真 「凧蒔絵煙草盆」
角が丸まった四角く黒いお盆で、底の部分に艶のある黒でカラスの形をした凧が描かれています。その喉元と腹あたりから金の糸が伸びていて、糸を辿って行くと盆の側面にある糸巻きに繋がっています。その意匠も面白いですが、黒地に黒のカラスを質感の違いで表現されているのも驚きました。

47 柴田是真 「紅葉狩蒔絵板戸」
木の板に蒔絵を施したもので、岩と岩の間に枝を掛け やかんをぶら下げてモミジで焚き火をして湯をわかしている様子が表現されています。やかんは非常に質感があり、その下の火も写実的に感じます。煙や周りの岩などまるで絵画そのものといった表現力でした。

この辺で一旦前の方に戻って行きました。(ガラスケースから見ていくと部屋の逆側の作品を見落としそうになるw)

9 柴田是真 「業平蒔絵硯箱」 ★こちらで観られます
これは是真が尾形光琳の硯箱を譲り受けた際に模造した作品で、烏帽子をかぶった在原業平が描かれた品です。隣にはその元になった作品もあったのですが、かなりそっくりで忠実に再現しているようです。解説によると、狩衣を錫の板を貼って表したオリジナルに対して、こちらの作品では錫の粉や灰ずみで表しているそうです。これも是真の卓越した技術を感じる作品でした。

62 柴田是真 「瀬戸写茶入」
朱色の小さな茶入で、どうみても陶器で出来ているように見えます。しかし、実はこれは竹で出来ているそうで、漆で土の肌合いや釉薬の色・質感を表現しているようです。こうした作品を「騙し漆器」と呼ぶそうで、すっかり騙されましたw 遊び心がありそれを可能にする技術に驚かされる作品です。


<漆絵>
続いては漆で絵を描いた作品のコーナーです。

55 柴田是真 「果蔬蒔絵額」
栗、梨、かぼちゃ、柿、ブドウなど秋の野菜や果物が描かれた作品です。青銅塗を背景に、油彩画のような色合いで描かれ、見た目は静物画そのものです。柿の側面には小さな蟻が這っているなど、自然への愛着も感じられました

54 柴田是真 「枇杷烏蒔絵額」
オレンジのビワの実がなる枝と、そこにとまる真っ黒なカラスが描かれた作品です。背景も黒っぽく、フチを銀蒔絵で縁取り、ビワの木はそのフチを飛び出して描かれています。これは「描き表装」という掛け軸の枠まで自作する手法の応用のようですが、だまし絵的な感じです。緊張感のあるカラスの顔やビワの鮮やかさなど、絵としても面白い作品でした。

126 柴田是真 「漆絵花瓶梅図」
これは縦長の作品で、紫檀の板に梅を活けた花瓶が描かれています。…というのは騙されていて、実は木製のように見えるのは変り塗の一種の「紫檀塗り」を使って描いているようで、さらに枠の木目も「木目塗り」となっているようです。どう見ても木目にしか観えないですが…w これも騙されて驚きました。解説でトリックアート的と説明していましたが確かにそういう要素もあります。

125 柴田是真 「漆絵秋色野辺茸狩図」
真っ赤になった葉をつける楓の木から吊るされたヤカンとキノコが描かれた作品です。ヤカンの下には火があり煙をだしているのですが、その煙には濃淡があり空気に溶け込むような感じを見事に表現していました。色鮮やかで線の細い描写は絵画にしか観えないですが、漆でこんなにも透明感を出すとは…。解説によると、漆では光沢を抑えて表現するのは難しいらしく、この作品ではその技法が使われているようでした。

この部屋の中央には漆絵の小さな画帖がありました。花鳥風月が描かれ、その多くは雅さがありました。また、写生帖もあり海老やキノコを超細密かつ正確に描いていました。高いスケッチ力がよく分かる品です。


<絵画>
最後の部屋は絵画作品が並んでいました。冒頭に書いたとおり、是真は絵画も修行したのですが、円山派と四条派の画家について学んだ是真は、絵師として屏風など大画面の作品も手がけていたようです。

137 柴田是真 「正月飾図」
朝日が昇る光景を描いた掛け軸の前に、海老と扇子をつけた正月飾りが掛けられたような感じの作品です。これは前述の「描き表装」の技法で、むしろ絵の旭日よりも表装の正月飾りの方が主役のようになっているのが面白かったです。もしや写生帖にいた海老かな?w

この辺には「鯉図屏風」という6曲1双の屏風もありました。鯉たちがのんびりしていて、ほのぼのした雰囲気を受けました。また、「雛図」(★こちらで観られます)という、夫婦雛と描き表装で雛道具を描いた作品がありました。

139 柴田是真 「師承過去帖」
これも描き表装の作品で、中央には紫の地に金字で5人の師匠の戒名が書かれています。一方、表装の部分には極楽を思わせる光景が広がっていました。解説によると、師匠の1人の岡本豊彦の戒名が分からないうちに是真も亡くなってしまったようで、未完成となっていたのを後に長男が深川本誓寺の住職に書を依頼して完成させたそうです。

130 柴田是真 「瀑布図屏風」
6曲1双の水墨の屏風で、左右の滝から水が流れ、凄い勢いを感じます。また水煙が烟るような感じや岩肌などが緻密に表現されていました。画技でも高い力量を感じさせます。


ということで若干解説は少なめでしたが、やはり是真は凄い…と感嘆する内容でした。ただ技術があるだけでなく茶目っ気のある遊び心が感じられるのも面白いところです。ちょうど紅葉の時期と重なっていたので、合わせて楽しめました。



 参照記事:★この記事を参照している記事




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【根津美術館】の紅葉 2012年11月

今日は久々の写真の記事です。先週の日曜日(2012年11月18日)に、表参道の根津美術館に行って展示を観てきたのですが、その前に庭園を散策して紅葉の写真を撮ってきました。

DSC_23123.jpg

この美術館には広大な庭園があって、四季を通じて美しい草花を観ることができ、特におすすめは今の時期の紅葉です。この時期になると公式サイトのトップで見頃かどうかをアナウンスしてくれます。去年は行かなかったのですが、例年に比べると若干今年は早いような気がします。

 参考リンク
  公式サイトTOP

 参考記事:
  根津美術館の紅葉 2010年12月
  根津美術館の紅葉 (2009年)

適当に撮った順にご紹介します。こんな感じでちょうど見頃の木もありました。
DSC_23127.jpg

何度行っても、ここが東京のど真ん中とは思えないほど深山の趣きです。
DSC_23131.jpg DSC_23137.jpg DSC_23139.jpg
この辺りはまだ色づいてない感じ。

この日は快晴で気持ちの良い天気でした。若干、逆光気味。
DSC_23140.jpg

色鮮やかで目を楽しませてくれます。
DSC_23143.jpg

赤も気品のある赤で何とも風情があります。
DSC_23156.jpg DSC_23162.jpg

ここには池や小川もあり、そこにも紅葉が反射しています。
DSC_23179.jpg

ちょっとごちゃごちゃしてしまったw 青空だったので色が映えて良かったです。
DSC_23183.jpg DSC_23191.jpg

こちらも水辺。今回は色づいているところを掲載していますが、過去の自分の写真と比べてももうちょっと色づく木が増える気もします。
DSC_23200.jpg

最後にごちゃごちゃした写真3連発w
DSC_23202.jpg DSC_23204.jpg DSC_23207.jpg


ということで、今年も紅葉狩りは根津美術館で済ませましたw まだこれからという感じの木もあったので、今週末あたりもまだ楽しめると思います。ちょっと天気が心配されますが、ご興味ある方はチェックしてみて下さい。 (この記事を2013年以降に観た方は、公式サイトで見頃を確認してお出かけすることをお勧めします。)




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■2011/9/29
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■2009/10/28
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