関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

筆あとの魅力─点・線・面 【ブリヂストン美術館】

前回ご紹介した展示を観る前に、ブリヂストン美術館で「ブリヂストン美術館コレクション展─印象派から抽象絵画まで 筆あとの魅力─点・線・面」を観てきました。

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【展覧名】
 ブリヂストン美術館コレクション展─印象派から抽象絵画まで 筆あとの魅力─点・線・面

【公式サイト】
 http://www.bridgestone-museum.gr.jp/exhibitions/

【会場】ブリヂストン美術館
【最寄】JR東京駅・銀座線京橋駅・日本橋駅・都営浅草線宝町駅


【会期】2013年1月8日(火)~3月10日(日) 
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日16時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていてゆっくり観ることができました。

さて、この展示はコレクション展示で、いつもの常設作品をテーマを決めて紹介するものです。今回は点・線・面ということで、コレクションの中からそれらが特徴的な作品を集めた内容となっていました。常設中心の展示ですので、以前ご紹介したコレクション展示の記事と同様に、常設の中で「初めてみる作品」か「最近入れ替わって展示されたと思われる作品」を中心にいくつかご紹介しようと思います。(代表的なコレクションというわけではありません。代表的なものは公式ページで確認できます)
 参考リンク:現在展示中の収蔵作品


<点>
まずは点が描かれている作品のコーナーです。点描画などが並んでいました。

7 パウル・クレー 「島」 ★こちらで観られます
これはいつも展示してありますが、点という観点から観たことがなかったので、このコーナーにあってなるほどと思いました。
赤や青の色の上に小さな点が規則正しく並び、そこに黒っぽい線が交錯するように描かれた作品で、これは島を描いたもののようです。抽象的ですが赤は陽の光、青は海なのかな? 解説によると、音楽に関心の強かったクレーはポリフォニー(多声楽)という音楽の方法論を絵画で実践しようと試みていたそうです。ポリフォニーとは異なる旋律が自らの持ち味を失うことなく同時に進行している音楽のことだそうで、ここでは色彩・太い線・点という3つの要素が調和しているとのことでした。…確かにそう言われてみると3つとも持ち味を持ったままお互いで絵を成立させているように見えます! これはかなり腑に落ちる解釈でした。

この辺にはゴーギャンやシニャック、岡鹿之助などの点描作品が並んでいました。

3 アンリ=エドモン・クロス 「シャンゼリゼで」
こちらは恐らく初めて観たと思います。色の薄いリトグラフで、木々の下で休んでいる女性たちと行き交う馬車馬などが描かれています。クロスらしい点描を使って描いていて、細部はよく分からないものの穏やかな雰囲気がありました。


<線>
続いては線描に特徴がある作品のコーナーです。

10 猪熊弦一郎 「夜の猫」
これも初めて観ました。黄色を背景に単純化された2匹の猫が向き合い、足元は水場なのか反射してその姿を写しています。しかし何故か反射と実態の若干ポーズが違っていて奇妙な感じです。また、今回のテーマである線は、影を線描で表現したりひっかくような線などがあり、全体的に自由奔放な印象を受けました。解説によると、これは具象から抽象への過渡期の作品とのことです。
 参考記事:
  猪熊弦一郎展『いのくまさん』 (そごう美術館)
  猪熊弦一郎展『いのくまさん』 (東京オペラシティアートギャラリー)

15 パウル・クレー 「ホフマン風物語の情景」 ★こちらで観られます
黄色と茶色の色面を背景に、人物やハシゴ、植物、建物らしきものなどが描かれた作品です。ちょっと悪戯書きのような感じかなw しかし全体的に楽しげで、温かみのある色合いでした。 解説によると、ホフマンはドイツの幻想小説家らしく、この絵には音楽的なリズムがあるとのことでした。

13 ジャン・フォートリエ 「人質の頭部」
深い青緑の画面の上に、長方形か楕円のような形の肌色の盛り上がりがあり、そこに黒い線で何かが描かれています。抽象的過ぎて何を描いているのか最初は分かりませんでしたが、これは人の顔を表しているそうです。解説によると、フォートリエはナチスへの反抗組織であるレジスタンスに参加していたらしく、追われる中で虐殺される人々を目の当たりにし、こうした「人質」シリーズを手がけたそうです。その為か厚く塗り重ねられた上に描かれた線は苦悶の表情に見える気がしました。中々恐ろしいエピソードのある絵です。

ここには他にカンディンスキーの作品などもありました。


<面>
続いては色面のある作品についてのコーナーです。

26 ハンス・ホフマン 「Push and Pull Ⅱ」
緑、ピンク、赤などの幾何学的な模様(色面)と、引っかき傷のようなものが沢山描かれた背景?の作品です。かなりの厚塗りで、筆跡や絵の具の塊などもあり勢いを感じます。解説によると、タイトルのプッシュアンドプルとは、1950年代にホフマンが美術教師としてアメリカの次代を担う芸術家達に教えた美術理論の1つらしく、「面」として浮かび上がる画面内の要素が押したり引いたりしあうように見える視覚的効果のことだそうです。この作品でも色の面とそれ以外の所に分かれているのは目に付くかな。ちょっと観ただけでは中々難しい作品ですが、理論を聞くと何となく意図が表れているように観えました。

28 セルジュ・ポリアコフ 「コンポジション」
上半分を深い赤、下半分は群青や紫、茶色などが描かれた抽象画です。筆跡が残っているザラザラした質感で、色は強いものの落ち着いた感じを受けます。解説によると、作者は1950年代初頭までギター奏者として生計を立てていたことから、この作品にも音楽との深い関わりがあると考えられているそうです。この作者は音の強弱や響きあいのような形態、色彩、繊細な筆致のハーモニーが特徴とのことでした。

ここにはセザンヌや藤島武二の作品もありました。


<常設>
コレクション展は入口の2部屋だけで、他は通常通りでした。

116 ピエール・ボナール 「海岸」
これは以前見た気もしますが、メモしてきました。
奥に海とそこに浮かぶ舟、欄干を挟んで手前には海際の道が描かれています。右下のあたりには歩いている犬の姿もあり、ちょっと可愛いw 道の薄いピンクや舟のピンク、空のピンクなど、全体的にピンク~紫がかった色合いから温かみを感じました。

105 アドルフ・モンティセリ 「庭園の貴婦人」
これも久々に観るかな。4人の女性が庭で話をしている様子が描かれた作品で、重厚かつ暗めの色使いで、ぐにゃぐにゃした感じの描写となっています。もはや抽象画のように見えるくらいの異様さですが、離れて観るとぼんやり神秘的な雰囲気がありました(近づくと細部はよく分からないw) モンティセリはゴッホに影響を与えた画家で、アル中だったと記憶しています。

144 安井曾太郎 「桜」
これは初めて観ました。青空を背景に咲く桜の木々が描かれた作品で、花はまさに桜色で爽やかな印象を受けます。ちょっとうねうねした感じがするかな。明るく華やかな雰囲気がありました。

146 梅原龍三郎 「椿」
縦長でクリーム色を背景に、青色の花瓶に入った赤い椿が描かれています。ややぼんやりした感じですが、緑と赤の補色関係のせいか花の赤が目につくかな。画面からはみ出すほどの花にはボリューム感がありました。


ということで、今回も良質なコレクションを観ることができました。基本的にはコレクション展示は常設作品を視点を変えて構成していますが、毎回面白いテーマで参考になります。


 参照記事:★この記事を参照している記事



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評価




plantica/nomadic 【ポーラミュージアム アネックス POLA MUSEUM ANNEX】

この前の日曜日に、銀座のポーラミュージアム アネックスで最終日となった「plantica/nomadic」を観てきました。(この展示は既に終了しています)

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【展覧名】
 plantica/nomadic

【公式サイト】
 http://www.pola.co.jp/m-annex/exhibition/archive/detail_201212.html

【会場】ポーラミュージアム アネックス (POLA MUSEUM ANNEX)
【最寄】東京メトロ 銀座駅・銀座一丁目駅 JR有楽町駅


【会期】2012年12月19日~2013年1月27日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間10分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日 時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_②_3_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていて貸切状態でした。

さて、この展示は若手華道家の木村貴史 氏が2007年に結成したplantica(プランティカ)というユニットによる展示となっていました。planticaと木村貴史 氏は国内外で活躍して注目されているそうで、表現の場をストリートに求めるなど従来の生花の枠を越えた作風のようです。展示会場には少数の作品しかなかったので、さらっと簡単に雰囲気だけご紹介しておこうと思います。

まず入口の辺りには垂れ幕が並び、それぞれが路上に置かれた大きな生花?の写真となっていました。中には椅子が突き刺さったようなものもあり、驚かされます。

そして部屋の中にはそれらの写真に写っていたのと似た大きな作品がありました。生花と言うより大きな木の幹を活けたような大きさで、その枝葉の間に黄色いプラスティック?の椅子や自転車が突き刺さっていました。何故そのようなものを刺しているのかは分かりませんでしたが、インパクトがあります。しかし、これが意外と調和しているように見えるのが不思議で、一体感がありました。

この辺には映像もあり、様々な背景に置かれた作品を流していました。

もう1点、ひしゃげた空き缶に入った枯れた花も展示されていました。両方捨てたれたものを使った作品ですが、寂しげな感じがして、これも意外なほどに調和しているように思いました。その発想と美意識が面白い作品です。


ということで、斬新な華道を観ることができましたが、映像や垂れ幕を除けば2点しかなかったのですぐに見終わってしまいました。私は華についてはまったく分からないのですが、伝統を持ちつつ異質なものを取り込んでいる感じを受けました。もう終わってしまいましたが、記憶に留めておきたいと思います。


 参照記事:★この記事を参照している記事




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評価




東洋館リニューアルオープン 【東京国立博物館 東洋館】

前回ご紹介した東京国立博物館本館の隣のお店でお茶した後、東洋館へ行って「東洋館リニューアルオープン」を観てきました。

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【展覧名】
 東洋館リニューアルオープン

【公式サイト】
 http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1563

【会場】東京国立博物館 東洋館
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)


【会期】2013年1月2日(水)~2013年3月31日(日)
  ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日16時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
こちらは空いていましたが、時間があまりなかったので早足での鑑賞となりました。

さて、今回の展示は「東洋館リニューアルオープン」というタイトルがつけられていますが、どこまでがその内容かは判別できませんでした(要するに東洋館の常設展示?) しかし、この東洋館は2009年の6月から休館だったので、およそ3年半の時を経て綺麗になって帰ってきました。休館し始めたのがこのブログを開始してちょっとした頃だったので、今回初めて取り上げることになります。今回も写真を撮ってきましたので、いくつか気に入った作品をご紹介していこうと思います。

 ※ここの常設はルールさえ守れば写真が撮れます。(撮影禁止の作品もあります)
 ※当サイトからの転載は画像・文章ともに一切禁止させていただいております。

 参考記事:
   東京国立博物館の案内 【建物編】
   東京国立博物館の案内 【常設・仏教編】
   東京国立博物館の案内 【常設・美術編】
   東京国立博物館の案内 【2009年08月】
   東京国立博物館の案内 【2009年10月】
   東京国立博物館の案内 【2009年11月】
   東京国立博物館の案内 【秋の庭園解放】
   東京国立博物館の案内 【2009年12月】
   東京国立博物館の案内 【2009年12月】 その2
   東京国立博物館の案内 【2010年02月】
   東京国立博物館の案内 【2010年06月】
   東京国立博物館の案内 【2010年11月】
   博物館に初もうで (東京国立博物館 本館)
   本館リニューアル記念 特別公開 (東京国立博物館 本館)
   東京国立博物館の案内 【2011年02月】
   東京国立博物館の案内 【2011年07月】
   東京国立博物館の案内 【2011年11月】
   博物館に初もうで 2012年 (東京国立博物館 本館)
   東京国立博物館140周年 新年特別公開 (東京国立博物館 本館)
   東京国立博物館の案内 【2012年03月】
   東京国立博物館の案内 【秋の庭園解放 2012】
   東京国立博物館の案内 【2012年11月】
   博物館に初もうで 2013年 (東京国立博物館 本館)


まず1階は中国の仏像のコーナーです。

「観音菩薩立像」
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入口にある大きな観音菩薩。見上げるような大きさです。微笑みに気品を感じます。

「菩薩立像」
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これは6世紀頃のもの。台座に結縁した人たちの名前があるのだとか。この手は与願印かな。

2階に進むと、インド・パキスタンなどのコーナーです。

「如来坐像」
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2~3世紀頃のガンダーラの仏像。顔の彫りが深くて向こうの人たちの顔っぽいです。

「男神立像」
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インドの10世紀頃の作品。色っぽいと思ったけどこれは男の神でした。

さらに奥は西域のコーナー

「舎利容器」
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非常に豪華な雰囲気の舎利容器。色鮮やかで側面の絵も見事です。

続いては西アジア・エジプトのコーナー。ここにはミイラなども置いてあります。

こちらはタイトルを忘れましたがエジプトの神様です。
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神殿にきたかのような配置が面白い。

「舟の模型」
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紀元前2000年頃の品。あの世で乗る為の舟のようです。結構精巧にできていました。

「ヘラクレス像」
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1~2世紀頃のイラクから出土した品。ギリシア神話のヘラクレスがイラクから出るというのが興味深い。造形も大胆で力強いです。

「橙色土器 山羊頭形リュトン」
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前6~8世紀のイランの品です。宴席のための酒器らしく、ユニークな形をしています。


続いて3階は中国の品々が並んでいます。

「馬冠」
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これは馬の頭の上に乗せる飾りで、解説では恐ろしい顔をしているとのことでしたが、愛嬌のある可愛いお面に観えましたw

「三彩鎮墓獣」
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お墓を守る三彩の像。こちらは本当に恐ろしい雰囲気で威嚇していました。

3階から4階に向かう途中、アジアの占いのコーナーがありました。
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これはその1つの夢占い。

大きな猫の夢を観たことがある方の運勢や如何に??
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クッションを裏返すと「大きな収穫があるだろう」とのことでした。
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何種類かあるのでひっくり返して遊ぶと面白いです。

4階も中国のコーナーで、石碑や書画が並んでいました。

伝 宋汝志「雛雀図」
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可愛らしい雛雀たちが描かれた作品。結構写実的で微笑ましい光景でした。

この部屋には中国の文人の書斎の再現などもあります。
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すっきりした雰囲気です。机の上には玉で作られた品なども置かれていました。

趙孟? 「楷書玄妙観重脩三門記巻」
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これは1288年に寺院の記念碑を作る際に書かれた品。書のことはよく分からない私でもこの字は非常に美しく感じました。

続いての5階も半分くらいは中国の品が並びます。

「花鳥堆朱長方箱」
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13世紀の南宋時代の箱。これは漆を塗り重ねてそれを彫っているという恐ろしく手間のかかっている品。 鳳凰らしき2羽の鳥も象られて豪華な感じ。

最後は朝鮮のコーナー

「毘盧遮那仏立像」
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これは奈良の大仏と同じ毘盧遮那仏が立った像ですが、頭が大きめに見えました。顔は何か考えている表情かな?


時間がなくて地下は行けませんでした。


ということで、かなり久々に東洋館を観ることができました。ここは品揃えが幅広すぎて今まであまり興味がわかなかったのですが、今回の展示を観て面白いと感じることができました。まだ地下を観ていないので、近いうちに再訪したいと思います。




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評価




ゆりの木 【上野界隈のお店】

前回ご紹介した東京国立博物館の本館の展示を観た後、東洋館との間にある「ホテルオークラレストラン ゆりの木」というお店でお茶してきました。

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【店名】
 ホテルオークラレストラン ゆりの木

【ジャンル】
 レストラン/カフェ

【公式サイト】
 http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=124
 食べログ:http://tabelog.com/tokyo/A1311/A131101/13129190/
 ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 上野駅(JR・東京メトロ・京成)

【近くの美術館】
 東京国立博物館(館内)
 東京都美術館
 国立科学博物館
 国立西洋美術館
 東京藝術大学大学美術館
 黒田記念館
 上野の森美術館
 東京文化会館
 上野動物園
  など


【この日にかかった1人の費用】
 850円程度

【味】
 不味_1_2_3_④_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_3_④_5_快適

【混み具合・混雑状況(日曜日16時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
意外と空いていてゆっくりすることが出来ました。

さて、このお店は東博の本館と東洋館にあり、立地としては最高のところにあります。その為、いつも混んでいて中々行く気がしなかったのですが、今回は空いていそうだったので足を運んでみました。記憶が定かではないのですが、ここには以前もお店があったと思うのですが、いつの間にか(2011年3月頃)ホテルオークラの運営するお店に代わっていたようです。(何年か前までの上野公園のカフェはレベルが低いイメージがあったのも今まで行かなかった要因の1つですw また、オークラのカフェにはちょっと微妙な店もあるので、警戒していましたw)

中に入るとこんな感じ。
P1080344_20130128014033.jpg
洒落ているとは言えませんが、広々として庭園を臨むこともできます。

この日はシフォンケーキセット(850円)を頼みました。行くのが遅かったので普通のケーキセットは売り切れでした。
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まずはシフォンケーキ。
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こちらは甘めだけど上品な感じで、ベリーのソースの香りが良くて美味しかったです。

飲み物はコーヒーにしました。
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酸味があるまろやかな味で、苦味はあまりなく軽やかでした。


ということで、2年間も警戒しまくっていたのですが、意外と美味しくて驚きました(失礼な客ですみません^^;) 他のメニューは試してみないと分かりませんが、とりあえずコーヒーが満足できたのでまた使ってみようという気になりました。東博はちょくちょく寄るし体力を使うので、ここでの休憩は重宝しそうです。




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評価




飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡― 【東京国立博物館 本館特別5室】

先週の日曜日に上野の東京国立博物館で「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡―」を観てきました。

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【展覧名】
 東京国立博物館140周年 特別展「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡―」

【公式サイト】
 http://enku2013.jp/
 http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1556

【会場】東京国立博物館 本館特別5室
【最寄】上野駅(JR・東京メトロ・京成)


【会期】2013年1月12日(土) ~ 4月7日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
 混雑_①_2_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
会場は本館の大階段裏の特別5室で、そんなに広いところではないこともあってか非常に混んでいて、あちこちで人と接触するような感じでした。大きめの作品が多いですが、それでも場所によっては中々観ることができないので、自分のペースで観るのはちょっと大変でした。

さて、そんな大盛況な今回の展示は、江戸時代の僧の円空の仏像が並ぶ内容となっています。円空は美濃国の生まれで、生涯で12万体の仏像を作るという願掛けをして、10万体以上の作品を作った(現存は5000体)とされる人物で、来歴の詳細はよく分からないところも多いようですが、僧侶になって間もない1666年には北海道に渡り、その前後に北海道や東北で仏像を残したそうです(現在でも50体以上が残っている) 同じように東日本各地に円空仏が残っているのですが、近畿より西の足跡はないそうで、円空仏が特に多いのは3000体を超す愛知と1600体の岐阜で、今回の展示では飛騨に残された仏像がメインとなっています。展覧会は特に章分けなどは無かったのですが、気に入った作品をいくつか挙げながらご紹介していこうと思います。

 参考記事:円空 こころを刻む -埼玉の諸像を中心に- (埼玉県立歴史と民俗の博物館)


3 円空 「賓頭盧尊者坐像」 ★こちらで観られます
坊主頭の人物が座っている木像で、顔は微笑みを浮かべちょっと首を傾げているような姿をしています。円空独特の深い彫りで、特に衣の辺りは大胆な感じがするものの、全体的には穏やかな雰囲気があります。身体のあちこちが黒光りしているのですが、これは撫で仏と呼ばれて人々に撫でられたためだそうです。また、墨で瞳、朱で唇に彩色した痕跡があるようです(←よく観ても分かりませんでした…w)が、円空は彩色した例がないので他の人が後に描いたのではないかとのことでした。円空の仏が人々の信仰の対象として愛されていたことが伺われます。

11 円空 「護法神立像」
2体対の2mを超す縦長の木像で、見上げるような大きさです。目が吊り上がり怒っているような恐ろしい顔をしていて、胸の前で笏を持ちその下は長い衣を着ています。衣の部分はギザギザした力強い表現で、木目や年輪がそのまま出ているのが驚きです。解説によると、これは邪気が村に入るのを防ぐための守り神ではないかとのことでした。入口辺りで早々に圧倒されます。

30 円空 「不動明王立像」 ★こちらで観られます
右手に剣、左手に羂索を持つ不動明王像で、眼と口を釣り上げていて顔は一際深い彫りとなっています。これは1本の木から作られたそうで顔と剣はくっついていますが、胸のあたりはその間が繰り抜かれています。また、鱗のような衣の表現は円空独特のものらしく、力強い雰囲気が増しているように思いました。敵を威圧するような存在感です。

23 大森旭亭 「円空像」 ★こちらで観られます
これは円空の晩年の姿を描いた肖像画で、関市弥勒寺に伝来したものを模写したものです。オリジナルは消失したのでこれが唯一の円空像だそうで、念珠と独鈷杵を持って岩を背に座る様子が描かれています。頭には五仏を表す頭巾のようなものを被り、口の歯は所々抜けているなど、ちょっと変わった風貌をしています。解説によると、円空は村人から名前や生まれ、宗派などを訊かれても答えず、「我、山岳において多年仏像を作り、その地神を供養するのみ」と答えていたそうです。円空はストイックな感じの人だったのかな。どういう人物だったかイメージできる作品でした。

この肖像の上には「一心」という円空が木っ端で書いた書があったのですが、ギリギリ読めるくらいでした。一心とは仏教であらゆる現象の根源にある心のことだそうです。

5 円空 「三十三観音立像」 ★こちらで観られます
ずらりと並んだ簡素な観音像で、三十三観音と呼ばれていますが現存は31体となっています。(病気を治すとされて、病人が出ると枕元に置いていたそうで、いつの間にか2体消えてしまったようです。) それぞれの身体や顔つきが少しづつ違っていて、大きさもまちまちです。胸のあたりで手を組んでいる様子がデフォルメされていて、烏帽子のような頭なので神像のようにも観えました。素朴な感じの彫りですが、穏やかな表情をしていて、木目の出方も面白かったです。横から観ると背中の方は平らなのがわかります。

40 円空 「今上皇帝立像」
長い烏帽子の人物が立っている像で、横一文字の目をしていて静かな雰囲気をたたえています。解説によると、背中に「飛騨で1万体、全部で10万体作り終わった」と銘文が書かれているそうですが、これは1万とは読めないという説もあるそうです。ちなみに30年で10万体というと1日に10体のペースになりますが、簡素な木っ端仏もあるので不可能ではないのではないか?とのことでした。後ろに周って鑑賞することもできるけど、私には全く読めませんでしたw

8 円空 「不動明王および二童子立像」 ★こちらで観られます
不動明王と右に矜羯羅童子(こんがらどうじ)、左に制多迦童子(せいたかどうじ)が立っている木像です。不動明王は右手を握っていて、手には穴が開いているので以前は剣を持ち、背中にも光背があったと考えられるそうです。その顔は牙を生やして目が釣り上がっているけど、それほど恐ろしい感じはしないかな。二童子は普通、矜羯羅童子は小心で制多迦童子は意地悪な姿で表されることが多いそうですが、制多迦童子は確かにニヤッとした感じがするものの、矜羯羅童子のほうは澄ました表情をしているように観えました。 また、解説によるとこの3体は1本の木で出来ていて、丸太を薪割りのように縦に割り、半分を不動明王、もう半分をさらに半分に割って二童子にしているそうです。不動明王は木の表側に彫られているのに対して、二童子は木の芯の方を彫っているなど、興味深い違いがあるようでした。

1 円空 「両面宿儺坐像」 ★こちらで観られます
これは今回のポスターにもなっている作品で、斧を手に持ち座る「宿儺(すくな)」という像です。宿儺の顔の隣にはもう1つの顔があり、激しい表情を浮かべています。この宿儺は日本書紀では人々を苦しめる怪物で、背中合わせに2つの顔を持ち、4本の腕で弓を使うとあるそうですが、これはそれとは異なる姿で表されているようです。宿儺は飛騨の千光寺の周辺では救世観音の化身で千光寺の開祖と伝わっているそうで、恐らく宿儺は朝廷に従わなかった飛騨の豪族と考えられ、飛騨の英雄として斧を持たせたのではないかとのことでした。渦巻く光背やゴツゴツした台座も含めて激しくも神秘的な雰囲気の像でした。

この近くには小さめの像もありました。狐の顔をしたユニークな像も好みでした。

2 円空 「金剛力士(仁王)立像 吽形」 ★こちらで観られます
これは大きな頭で2m以上ある仁王像で、牙が生えていて笑っているような怒っているな表情に見えます。解説によるとこれは生えている木に直接ノミを入れて像を彫ったらしく、後に書かれた「近世畸人伝」という本には円空がこの作品を作る様子が書かれているそうです。横から観ると渦巻くような耳があり、ボロボロになっているところもあるような…。今から200年くらいまえに木が腐ったので切り倒してこうして保管されたとのことでした。それにしても生木に彫るとは豪快ですね。

27 円空 「柿本人麿坐像」 ★こちらで観られます
これは身体を崩して斜めになって座る柿本人麿の像で、烏帽子をかぶり微笑みを浮かべています。服のヒダがリズミカルに感じるのは円空独特のものだと思いますが、こうした崩した姿勢で作られるのは伝統的なもので、円空もそれに従って作ったそうです。何とも人が良さそうな感じが出ていて、解説によると円空は柿本人麿に敬意を表していたらしく、自分でも和歌を1600首詠んでいたそうです。円空が和歌をやるとは知りませんでした。結構多才な人なんですね。

4 円空 「歓喜天立像」
象の顔と人間の身体をもつ男女の神が抱きあう様子が彫られた小さめの像で、お互いに背中に手を回しています。この歓喜天(かんぎてん)は男女二尊で一体らしく、この像を本尊とする祈祷は秘密にしなければ効果は出ないとされるため、像も秘仏にされることが多いそうです。この像も7年に1回しか公開されないもので、しかも厨子に入っていない状態で公開されるのは非常に貴重な機会のようです。象というより馬のように観えましたが、簡素ながら抱きあう感じが出ていて、穏やかな雰囲気がありました。

33 円空 「千手観音菩薩立像」 ★こちらで観られます
沢山の手(30本くらい?40本は無さそう)を持ち、頭に化仏を乗せる千手観音像で、足元には僧侶の像も彫られています。穏やかな微笑みを浮かべて胸の前で手を合わせ、お腹の辺りの腕には宝珠を抱えているのですが、他の手には持ち物がありません。とは言え、ここまで観てきた仏像の中では一番手間がかかっていそうな細かい彫りで、優美な雰囲気すらありました。解説によると、本体と手は別の木で作られているそうで、手は後付されているそうです。また、円空は他にも2体の千手観音像が現存しているようですが足元に僧がいるのはこれだけのようで、貴重な作例のようでした。

この両脇にあった34「聖観音菩薩立像」35「龍頭観音菩薩立像」も見事でした。また、近くには小さな迦楼羅(かるら)像があり、カラスのような顔をしているのが面白かったです、

ということで、それほど点数は多くないものの密度の高い展示で非常に満足できました。円空の仏像は荒削りに見えて精神性を感じられるところが魅力ではないかと思います。会期も長いので、興味がある方は是非どうぞ。混んでいるけどお勧めの展示です。


 参照記事:★この記事を参照している記事


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評価




白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ (感想後編)【Bunkamuraザ・ミュージアム】

今日は前回の記事に引き続き、Bunkamuraザ・ミュージアムの「白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ」の後編をご紹介いたします。前編には白隠の生い立ちなども記載しておりますので、前編を読まれていない方は前編から先にお読み頂けると嬉しいです。

 前編はこちら


P1080325.jpg P1080327.jpg

まずは概要のおさらいです。

【展覧名】
 白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ

【公式サイト】
 http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/12_hakuin/index.html

【会場】Bunkamuraザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅/京王井の頭線神泉駅

【会期】
 前期:2012年12月22日~2013年01月21日
 後期:2013年01月22日~2013年02月24日
  ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日17時半頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
今日は残りの半分についてです。後半も引き続き、脱力系あり豪快さありの面白い作品がテーマ別に並んでいました。


<布袋>
布袋は白隠の題材の中で最も自画像的な傾向が強いものらしく、自由自在に遊ばせているそうです。ここには布袋を始め、様々な神仏やキャラクターの作品が並んでいました。

42 白隠慧鶴 「すたすた坊主」 ★こちらで観られます
右手に笹、左手に桶を持ち、ほとんど裸で歩く腹がでっぷりした坊主を描いた作品です。その顔はニコニコしていて、何とも愛嬌があります。解説によると、すたすた坊主というのは当時の最下層の坊主で、大道芸や物乞いをしたり、金持ちの商人の代わりに寺社にお参りに行ったりしていたそうです。ここでのすたすた坊主は布袋でもあり自画像でもあるそうで、デフォルメされたキャラクターと言った感じでした。漫画のような楽しい作品です。
これは以前に観た記憶があるけど同じものかな? 記憶に残りやすいキャラクターですw
 参考記事:諸国畸人伝 (板橋区立美術館)

この隣にはややスマートな体型のすたすた坊主の作品もありました。

44 白隠慧鶴 「布袋吹於福」 ★こちらで観られます
これは2幅対の作品で、右幅にはキセルを持って煙を吐く布袋が描かれています。その煙は左幅までつながっていて、左幅で煙がおたふくに変化している様子が描かれています。おたふくは足のほうが細くなった幽霊みたい(もしくはランプの精みたい)な感じで、「寿」の文字だらけの着物を着ていました。2人とも笑顔で楽しげな雰囲気があり、キセルを吸っているなど布袋は自画像的な意味がありそうでした。解説によると、これは絹本に描かれていて、大名が絹を持って行って描いて貰ったのではないかとのことでした。

53 白隠慧鶴 「鍾馗鬼味噌」 ★こちらで観られます
すり鉢に4匹の鬼が入っていて、それを剣ですり潰そうとしている大きな鍾馗が描かれた作品です。その隣では鍾馗の息子が鉢を押さえていて、賛には「鬼味噌ばかりは擦りにくいものだ」と「父さん、鬼味噌をちょっと舐めてみたい」とあるそうです。中々ユーモアを感じますが、ちょっとショッキングな感じかなw 解説によると、鬼は煩悩や邪念の象徴だそうで、漫画のように見えても白隠の深いメッセージがこめられているとのことでした。鬼味噌の味… 何だか渋そうw

57 白隠慧鶴 「関羽」
黒く長いヒゲでやや前屈みの関羽を描いた肖像で、矛を持ち左手は印を作るような手つき(前編の大燈国師がしていた手つきと同じ)をしています。これは60代の頃の作品のようですが、周りの作品に比べて精緻に描かれていて、色も付けられているのでちょっと違った雰囲気に観えました。画面を埋め尽くすような感じで迫力のある作品です。

この近く3幅対の七福神の作品などもあり、そこでは毘沙門天だけが鍾馗に代わっているというちょっと変わった組み合わせとなっていました。

61 白隠慧鶴 「渡唐天神」
これは現存する最大の白隠禅画で、黒々とした太い輪郭の衣を着て、薄く細い線で描かれた顔をしている天神像です。その線の太さのギャップに違和感を感じたのですが、実はこの衣(と冠)の部分は文字になっていて、全体で「南無天満大自在天神」を組み合わせているようです。隣に対応表があったのが分かりやすくて、確かに文字になっているのが分かります。解説によると、これは縦2m以上の大きさで礼拝の対象として描かれたのではないかとのことでした。

この近くには寿の字を宝船にした作品もあり、文字絵は白隠の表現の1つなのかもしれません。


<戯画>
白隠の作品は一見軽妙で滑稽な感じでも様々な表現の工夫があり、絵と賛には元となる教典や故事、和歌、流行歌などの下敷きがあるそうです。ここにはそうした様々な意味を持ちつつ楽しげな戯画が並んでいました。

74 白隠慧鶴 「富士大名行列」
大きな白い富士を背景に160人以上もの大名行列が細かく描かれた作品です。これは達磨の絵を描いてほしいと頼まれて描いたものだそうで、富士山は達磨、すなわち真理そのものであると言っていたそうです。また、大名行列は富士山を観ていないようで、画面の中で富士を見ているのは2人だけらしく、よく観ると茶屋で座っている僧と崖の上から見ている僧だけが富士を眺めているようでした。これには真理に目を向けない大名、民衆を省みない政治への批判の意味などが込められているそうで、白隠はそういった趣旨の本を書いて発禁処分も受けているとのことでした。一見すると綺麗な富士の絵ですが、そんなに深い意図があるとは…。さすが稀代の僧と言われるだけの人物です。

73 白隠慧鶴 「吉田猿候」
刷毛目のような表現で描かれた体毛の猿が、手を伸ばして書を書いている様子が描かれた作品です。「吉田のゑんこう つれづれ草を~」と書いているようで、この猿は徒然草の吉田兼好のことのようです。白隠は吉田兼好を嫌っていたそうで、こうした作品がよく描かれているようですが、結構可愛らしい愛嬌のある猿でしたw 何で嫌いだったのかは分からず。

76 白隠慧鶴 「びゃっこらさ」
白い狐が飛脚のような格好で走っている様子が描かれた作品で、担いでいるものには鬼の手が括りつけられています。タイトルの「びゃっこらさ」というのは白狐(びゃっこ)と「やっこらさ」という槍踊り歌の一部を合わせてもじったものだそうですが、鬼の手の意味のほうは分からないようです。ニヤッとした感じの表情で、全体的に軽妙な雰囲気があります。何故か「赤飯」と描かれている服を着ているも何か意味がありそうでした。

この近くには池大雅が画を描き、白隠が賛を書いた合作もありました。池大雅29歳、白隠67歳の頃の作品です。


<墨蹟>
最後は書のコーナーです。白隠は禅画と共におびただしい数の墨蹟を残しているそうで、若いころには様々な書風を学んでいたそうです。しかし、書が尊ばれるのは技術を越えた書き手の人間力によるものだと気づき、それ以降、一旦書いたものの上に塗り重ねたり、墨点を散らすなど、もはや書ではないグラフィックな造形へと変わっていったようです。ここにはそうしたユニークな書が並んでいました。

90 白隠慧鶴 「金毘羅山大権現」
「金毘羅山大権現」と書かれた墨蹟で、金毘羅あたりまでは大きな字で書かれているのですが、大のあたりからスペースが無くなって、急に字が詰まってきているのが微笑ましく思えますw この隣にあった秋葉山大権現と書いた作品でも同じように最後は寸詰まりになっているのでこれは白隠の癖のようでした。ちょっと脱力系の作品ですw

95 白隠慧鶴 「百寿福禄寿」 ★こちらで観られます
これは最晩年の83歳の頃の作品で、100種類もの字体で「寿」の文字と、中央に福禄寿の姿が描かれています。寿は規則正しくびっしりと並んでいて、互い違いに濃い文字と薄い文字となっていました。中にはこれは文字なのか?というくらいぐにゃっとしたものもあるかなw 解説によると、百寿はおめでたいものなので注文されてよく書いたそうですが、通常は中央に大きく寿の字があるだけだそうで、福禄寿がいるのは貴重とのことでした。

104 白隠慧鶴 「常」
これは「若し人 菩提の道を成せんと欲せば 尋常須らく勤めて無盡燈を挑ぐべし」と書かれた書で、修行を怠るなというメッセージのようです。目を引くのは「常」という文字で、非常に長い縦棒が下に伸びています。こうした縦棒を長く引くような表現の作品を晩年は量産したようで、隣には「道中工夫」の中の字が縦に伸びた作品も展示されていました。特に強調したい文字だったのかな。

108 白隠慧鶴 「隻手」 ★こちらで観られます
こちらは書というよりは絵で、大きく手を開いた様子が書かれています。これは白隠の考案した「隻手の音声」という禅問答を端的に表したものらしく、両手で叩けば音がするが、片手だけだとどんな音がするかということを示しているそうです。叩くというよりは開いて見せているような手つきに見えるかな。結構インパクトのある作品でした。

最後には「無」と書かれた墨蹟に斑点が散りばめられた作品や、○を書いた作品などもありました。


ということで、非常に楽しめる展示でした。白隠は僧侶であるため、その絵は単に面白いだけでなくしっかりとしたメッセージがこめられているようでした。あまりに良かったので、置く場所も無いのに図録を買ってしまいましたw
 機会があれば後期も観に行きたいところです。


 参照記事:★この記事を参照している記事



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白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ (感想前編)【Bunkamuraザ・ミュージアム】

前回ご紹介したカフェでお茶した後、Bunkamuraザ・ミュージアムで「白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ」を観てきました。充実した内容でメモも多めに取ってきましたので、前編・後編にわけてご紹介しようと思います。なお、この展示は前期・後期で展示替えがあるようで、私が観たのは前期の内容(既に終了)でした。

P1080323.jpg

【展覧名】
 白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ

【公式サイト】
 http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/12_hakuin/index.html

【会場】Bunkamuraザ・ミュージアム
【最寄】渋谷駅/京王井の頭線神泉駅


【会期】
 前期:2012年12月22日~2013年01月21日
 後期:2013年01月22日~2013年02月24日
  ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日17時半頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
お客さんは多かったですが、混んでいるというほどでもなく快適に観ることができました。

さて、今回の展示は江戸時代の僧である白隠慧鶴(はくいんえかく)の個展となっています。白隠は臨済宗の中興の祖でもあり、500年に1人の英傑と讃えられ、現在の臨済宗の僧侶たちの系譜を遡ればすべて白隠に行き着くほどの重要な存在だそうです。白隠は沼津で生まれ、幼い頃にお寺で聞いた地獄の話におののいたのがきっかけで、15歳の時(1685年)に出家したそうで、青年期は全国を行脚し厳しい修行をしていたそうです。そして42歳で悟りを開き、それ以降は民衆を救うために全国を行脚し、説法をしたり仏の教えを説くために書画を描いたそうです。その作品の多くは各地の寺院や個人のコレクションとして散在し、一般の観客の目に触れる機会は少なかったのですが、今回は大作を中心に100点あまりが展示されて史上最高の白隠展となっているようでした。構成はテーマごとに分かれていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。


<出山釈迦>
まずは苦行をやめて山を出る釈迦を描いた作品のコーナーです。白隠が描く釈迦のほとんどは山中で修行する姿か出山の釈迦らしく、白隠自身も苦しい修行を経験していたために自らの姿と重ねたのではないかとのことです。ここにはそうした釈迦を描いた作品などがありました。

1 白隠慧鶴 「隻履達磨」
こちらは冒頭にあった作品で、後の方に達磨のコーナーもあるので、ハイライト的な作品として冒頭にあったのかもしれません。
これは右手で靴を持ち、ぬっと現れたかのように描かれた達磨の肖像です。頭が大きく目がギョロっとしていて、これは達磨が亡くなって3年後に西域を旅する人の前に現れたとされる達磨のようです。その時、旅人が尋ねると、達磨はインドに帰る所だと告げたそうで、後に旅人が中国の墓を調べた所、中にはもう片方の靴だけ残っていた… という話です。非常に太い輪郭の服を着ていて、顔は色が薄めですが靴とピアスの色は濃くなっていました。解説によると、これは幽霊なので身体を薄くしているそうです。また、よく観ると下書きの細い線も残っていて、それはわざと残しているとのことでした。異様な迫力があり、さっそく白隠の世界に引きずり込まれましたw

このテーマの達磨は以前に他の作品を観た記憶がありました。
 参考記事:細川家の本棚から ~中国古典籍の世界~ (永青文庫)

2 白隠慧鶴 「出山釈迦」
ガリガリで肋骨が浮き出ているほど痩せた釈迦の姿を描いた作品で、髪やヒゲも伸び放題といった感じです。しかし背景には光輪があり、眼は穏やかそうな印象を受けます。細かく淡い顔の表現に対して、衣は非常に大胆な太い輪郭線が使われていて、それがますます対比的で釈迦の顔がか細く観えました。解説によると、こうした白隠の釈迦図では賛が短いのが特徴で、仏祖への屈折した思いの反映ではないかとのことでした。

この隣にも出山釈迦図が並んでいて、鱗のような毛が描かれているのが特徴的でした。


<観音>
続いては白隠の描く題材の中でも特別な存在である観音についてのコーナーです。白隠の描く観音はほとんどが瞑目しているか極端に伏目がちになっているそうです。また、その顔はやや下膨れで中年女性のような容貌で、いつも決まった表情をしているそうです。白隠にとって、観音は母の面影ではないかとのことで、ここにはそれを感じさせる作品も並んでいました。

6 白隠慧鶴 「蓮池観音」 ★こちらで観られます
蓮の花が咲く池の畔で、肘をついてそれを眺めている?観音が描かれた作品です。非常に繊細に描かれていて、一見して他の作品との作風の違いを感じます。優美な雰囲気があり、こちらの作品には下書きも残っていないそうです。こうしたことからも観音は特別な画題だったと考えられ、観音は絹に描かれることもしばしばあったそうです。また、右にある賛には、「民衆を救うはずの菩薩が別世界で骨休めしているとは!」と叱責するような内容が書かれているとのことでした。

この辺には頬杖をついた同じポーズの観音を描いた作品もありました。また、近くには13「地獄極楽変相図」という地獄と極楽を描いた作品もありました。

14 白隠慧鶴 「南無地獄大菩薩」
これは非常に太く強い黒で書かれた書です。南無地獄大菩薩と書かれているのですが、最後の薩の字はスペースが足りなくなったのか、結構窮屈な感じがしますw この言葉は地獄こそ菩薩だという考えを示しているそうで、これは白隠の対極主義の現れと考えられているそうです。白隠は晩年に地獄も極楽も表裏一体という局地に達したのだとか。

書(墨蹟)に関しては展覧会の最後のコーナーにもあるのですが、最後の文字が窮屈になるのは白隠の癖なのかも…w また次回に詳しくご紹介しようと思います。


<達磨>
続いては白隠が最も大量に描いた画題である達磨のコーナーです。達磨は禅宗の開祖であるためか、現存で300点以上の作品を残しているそうで、ここにも様々な作風の達磨像が並んでいました。

18 白隠慧鶴 「半身達磨」
これは35歳ころに描いた最初期の作品です。腕を組む達磨の像で、白隠にしては繊細な感じをうけます。チラッと横を見る視線などが神経質そうに見えるかなw 解説によると、悩める白隠の様子が伝わってくるそうで、衣の線などは一見豪快に観えて臆病に描かれているとのことでした。また、賛の書風も上手く見せようとしているとのことです。まだ悟りの前の作品だけに俗っぽいのかな?w

この隣にも30代の作品がありました。こちらも繊細かつ神経質そうな印象を受けます。また、近くにあった40代の時の達磨も貧相な感じかな…。白隠は遅咲きで60代ころから本格的に絵を描くようになったそうで、豪放な晩年のイメージとのギャップのせいか、若いころの作風は弱々しい感じすら受けました。

15 白隠慧鶴 「半身達磨」 ★こちらで観られます
これは最も有名な作品で、真っ黒を背景に 縦長の頭の達磨が朱色の衣を着た姿で描かれ、その朱と黒のコントラストが鮮やかに感じられます。大きな目、広いおでこ、大胆で流れるような衣のひだなど、豪放かつ闊達で まさに傑作と言える作品です。解説によると、左上にある白字の賛「直指人心、見性成仏」はロウを塗って墨を弾いているのではないかとのことで、その意味は「まっすぐに自分の心をみつめて、仏になろうとするのではなく、本来自分に備わっている仏性に目覚めなさい」というものだそうです。また、この作品には落款が無いのも特徴とのことでした。

この隣にはこれとよく似たモノクロの達磨像がありました。そちらの落款により、83歳の作であるとわかり、先ほどの作品も同様に83歳の作と考えられるようです。84歳で亡くなっているので、最後までこうした傑作を描いたエネルギッシュな人だったのかな。

25 白隠慧鶴 「眼一つ達磨」
これはやや薄めの墨で描かれた、目が一つ目小僧のようになった達磨?の肖像です。その周りは賛で埋め尽くされているのですが、研究者でもまだ解読できていないそうです。…というか、簡素化しすぎて読めない字ばかりですw 愛嬌のある作品ですが、何でこんな変わった達磨を描いたのだろうか…w


<大燈国師>
続いては大徳寺の開祖の大燈国師を描いた作品のコーナーで、白隠は禅宗の祖師の中でも大燈国師に対してとりわけ愛着を持っていたそうです。大燈国師は悟りを開いた後も京の五條の橋の下で 物乞いに混じって20年も暮らしていた人物で、ここにはその様子を思わせる作品が並んでいました。

31 白隠慧鶴 「大燈国師」
ボロボロの服を着て左手で袋を持ち、右手は印を組むような手つき(親指と人差し指・中指を合わせるような手つき)で手を差し出しています。髪はボサボサで目は鬼気迫るものがありました。解説によると、これは天皇が大燈国師を召抱えようとした際、役人が大燈国師を探すために好物の瓜を並べたところ、禅問答をしてくる物乞いがいて、それで大燈国師だと分かったそうです。これはそのシーンを描いているらしく、その手つきも何らかの意味が考えられるようですが、不明のようでした。なお、この手つきは他の作品でも見られるので、ちょっと気になります。

この辺には白隠の使った団扇やキセル、筆なども展示されていました。

35 白隠慧鶴 「自画像」
これは袈裟をまとった姿の自画像で、頭は坊主で目が怖いw 何処となく不動明王を連想する姿に観えました。解説によると、白隠の没後に弟子が書いた賛があり、2幅描かれたうち1幅は弟子に与え、残ったもう1幅がこの作品で、没後に見つかったとのことでした。


ということで、今日はここまでにしようと思います。予想以上に楽しめる展示で、後半もますますユーモア溢れる作品がありました。次回は後半の展示についてご紹介しようと思います。


  → 後編はこちら



 参照記事:★この記事を参照している記事



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カフェ タカギクラヴィア 【渋谷界隈のお店】

前回ご紹介した松濤美術館の展示を観た後、bunkamuraに向かう途中で見つけた「カフェ タカギクラヴィア」というお店でお茶してきました。

P1080320_20130123002450.jpg

【店名】
 カフェ タカギクラヴィア

【ジャンル】
 カフェ

【公式サイト】
 http://www.cafetakagiklavier.com/cafe_f.html
 食べログ:http://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13129672/
  ※営業時間・休日・地図などは公式サイトでご確認下さい。

【最寄駅】
 京王井の頭線神泉駅/渋谷駅

【近くの美術館】
 松濤美術館
 Bunkamuraザ・ミュージアム
 戸栗美術館
  など

【この日にかかった1人の費用】
 800円程度

【味】
 不味_1_2_③_4_5_美味

【接客・雰囲気】
 不快_1_2_③_4_5_快適

【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【総合満足度】
 地雷_1_2_3_④_5_名店

【感想】
満席近かったですが、特に混雑感もなく快適にお茶することができました。

このお店は松濤美術館から東急の方に歩いて行くと道沿いにあるお店なのですが、今まで何度か通っていたのに気が付きませんでした。半地下みたいになっている所なので、ちょっと見落としそうになります。

中はこんな感じ。あまり広くは無いですが落ち着いた雰囲気です。
P1080311.jpg
ピアノが置いてあり、店内にはピアノのBGMが流れているなと思ったら、ここはピアノの販売や調律を行うタカギクラヴィアという会社のカフェのようです。そのためか、ここではFM YOKOHAMAの「ピアノワイナリー」という番組の収録が行われる日もあると書いてありました。また、近くには松濤サロンという小規模なコンサートホールもあるそうです。

 参考リンク:
  タカギクラヴィア
  松濤サロン

この日、タルトとコーヒーのセットにしました。
P1080312.jpg

まずはコーヒー。
P1080316.jpg
こちらはやや温度が低めで、苦味と軽い酸味がありました。

こちらは林檎のタルト
P1080315.jpg
こちらは温かくて、結構甘めでした。まあ、普通のタルトかな


ということで、ピアノのBGMを聴きながらゆっくりとお茶することができました。それほど高くもないし、隠れ家的なところで落ち着きたい時に良さそうなお店です。この辺は良いカフェが多いので何処に行くか迷ってしまいますが、そのうちまた寄ってみたいと思います。




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シャガールのタピスリー展 二つの才能が織りなすシンフォニー 【松濤美術館】

先週の土曜日に、渋谷の松濤美術館に行って「シャガールのタピスリー展 二つの才能が織りなすシンフォニー」を観てきました。

P1080307_20130122002507.jpg

【展覧名】
 シャガールのタピスリー展 二つの才能が織りなすシンフォニー

【公式サイト】
 http://www.shoto-museum.jp/05_exhibition/index.html

【会場】松濤美術館
【最寄】神泉駅/渋谷駅


【会期】2012年12月11日(火)~2013年1月27日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構多くの人で賑わっていましたが、作品自体が大きいので特に支障もなく自分のペースで観ることが出来ました。ただ、館内が異様に寒くて難儀しました… 昼間は外より寒かったんじゃないかなw

さて、今回の展示はシャガールの作品をタピスリーにしたものが並ぶ展示となっています。サブタイトルになっている2つの才能というのはシャガールと、その作品をタピスリー化したイヴェット・コキール=プランス氏(女性)のことで、彼女はシャガールが最も信頼したタピスリー作家だそうです。イヴェットのタピスリーはシャガールの絵画の本質を失うこと無く、色彩やリズム、大胆な構図がそのまま写し取られ、時には絵画以上にシャガールそのものといえるものもあるようです。

展覧会内ではあまり詳しい解説などはありませんでしたが、驚かされる品がいくつもありましたので、いつもどおり気に入った作品と共に各コーナーの様子をご紹介していこうと思います。
 参考記事:シャガール 愛をめぐる追想 日本未公開作品を中心に (日本橋タカシマヤ)


<サーカス>
まずは地下階からで、最初はサーカスに関する作品のコーナーです。

T-03 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「サーカスI」
これは縦2.3mもある大きなタペスリーで、赤い馬?の上で足を挙げて踊る女性が描かれています(織り込まれています) オレンジや紫など色鮮やかな色が使われ、まさにシャガールの絵がそのままタペスリーになったような色彩感覚です。隣には同じ絵のリトグラフも展示されていたのですが、再現率が高くてまた驚かされました。 躍動感と華やかな雰囲気のある作品です。

T-11 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「アルルカン」
これは縦3m以上 横5m以上ある大型タペスリーで、花嫁や逆立ちする女性、エッフェル塔とパリ、馬?、頭が逆さになった人、花束、楽器を弾く人などシャガールの作品でお馴染みのモチーフがリズミカルに並んでいます。こちらも華麗な色彩が音楽的に感じられて、そのハーモニーが非常に美しい作品でした。大きさにも圧倒されますが、糸を1本1本織りこんで作っているかと思うと途方も無い労力ですね…。
解説によると、これを織るためにコプト織りや中世ルネッサンス織りなど、技術のことごとくを惜しみなく用いたようでした。

この作品の反対側にはサーカスやダンスを題材にしたリトグラフが展示されていました。

T-13 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「ダンス」
これもタペスリーで、黄色を背景にバイオリンを弾く牛?の頭の赤い人物や、花束を差し出す青い女性、裸婦を抱きしめる男性などが描かれています(織りこんであります) 背景には人々と町並みもあり、全体的に補色関係の色合いとなっているためか一層に明るく観えて幸せそうな雰囲気がありました。この色合が実にシャガールらしさを出しています、


<聖書>
続いては聖書の物語のシーンを描いた作品が並ぶコーナーです。

T-10 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「平和」
これはこの展示で一番大きな作品(縦4m以上、横6m以上)で、青を背景に沢山の人々やライオン、蛇などが織られています。淵をグルッと囲むように人々が配置されている為か、被昇天図を見ているような気分になりました。中には磔刑のキリストや降下されたキリストらしき人物、ダビデらしき人物などもいて、聖書との関連性を意識させました。

この近くにはモノトーンな色使いのタピスリーもありました。地下階はこの辺りまでで、2階の展示室に続きます。2階のエントランスにはシャガールのモニュメンタルな作品の写真が並んでいました。オペラ座の天井画をはじめステンドグラスなどの写真があります。

<色の分割>
ここから2階の内容で、まずは色面の分割についてのコーナーです。シャガールは1つの色を基調として、その上で様々な色を散りばめるという手法を好んで使いますが、大胆な構成で色を分割した作品もあるそうです。ここにはそうした作品が並んでいました。

T-07 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「青と黄色の横顔」
これは縦長のタペスリーで、中央あたりを境に左右に大きく色が分けられていて、右が黄色、左が青と緑というように、色面が大胆に分かれています。黄色の右半分には人々やラッパ?を吹く人などが織られ、左半分には大きな人の横顔と正面向きの顔があり、色もわかれています。色の分割も大胆ですが、そのモチーフも左右でだいぶ違っていて、インパクトがありました。
この隣には同じ作品のリトグラフもあり、比較することができました。

この先のガラスケースの中にはイヴェットが使ったタペスリーを織る道具が展示されていました。また、伝統的なゴブラン織りの図解書もあったのですが、そこに描かれたものと似たものがイヴェットの道具にはあるとのことでした。


<雄鶏と恋人たち>
続いては雄鶏と恋人という、これもまたシャガールお得意のモチーフについてのコーナーです。恋人は愛の象徴をして描かれているようです。

T-09 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「赤い雄鶏」
横たわる裸婦と、背後から顔を寄せる赤いフードの男が織られたタペスリーです。その左には巨大な雄鶏の姿があり、上の方には牛か馬のような頭も織られています。全体的に暗めの色合いで、裸婦と雄鶏が特に目を引きました。神秘的な雰囲気の作品です。

この近くにはエスキース(構想)もありました。さらに左側に人物がいるなど、完成作とは違った印象をうけました。

T-15 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「黒い手袋」
男性と女性の顔がくっついて一体化しているような感じの人物が描かれたタペスリーで、タイトルになっている黒い手袋は下の方で本を広げています。また、右下あたりにはパレットと筆があり、左側には街の様子が描かれています。詳しいことはわかりませんでしたが、パレットがあるので画家自身なのかな?
この隣にはこのタペスリーの為の原寸大の下絵もありました。その作成手順は、まず作品を撮影し、モノクロの左右反転写真を最終的なタペスリーのサイズに引き伸ばした後、そこに色の指定などのメモを入れていくようです。この作品自体はかなり大きいのに、色のブロックわけは非常に細かくなっていて、メモは小さすぎて読めないほどでしたw


<花束と人物>
続いては花束をモチーフにした作品のコーナーです。花束は妻のベラとの思い出に結びつく重要なモチーフらしく、恋人時代にベラから花束を貰ったのがきっかけのようです。

T-16 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「花の中の少年」
葉っぱに囲まれ所で少年がラッパを吹いている様子が織られたタペスリーです。山羊や鳥の姿などもあり、全体的に温かみを感じる色合いでした。何処と無く幸せそうな雰囲気です。

近くには花束をモチーフにした作品も並んでいました。

<地中海の青>
最後は海に関する作品のコーナーです。ユダヤ人のシャガールは、戦後に亡命先のアメリカから戻った後、南仏に住んでいたそうで、ここにはその時代の作品が並んでいました。

T-14 マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス 「天使の湾」
花束を持つ人魚が織られたタペスリーで、周りは深い青で、背景には湾曲する浜があり空には満月が浮かびます。人魚は赤い髪で、花束を持っているものの表情は浮かないように観えました。
この近くにはこうした海の絵を描いた作品が並んでいるのですが、同じ港湾を背景にしたものが数点あり、同じ場所から描いたのかも?? また、隣にこちらのリトグラフもありましたが、リトグラフより色が深く感じられました。


帰りに入口付近で数分のVTRを見ました。イヴェットは絵を理解するために自らも絵を描いたりしていたようで、そのプロフェッショナルぶりに感心します。そのまま絵を写し取るのではなく、何がシャガールなのかをよく知っていたからこそ、こうした作品が生まれたのだろうと容易に推し量れました。


ということで、大作タピスリーが並ぶ展示で驚かされました。これだけの大型作品が一堂に会する機会は中々ないと思いますので、シャガールが好きな方は是非どうぞ。


 参照記事:★この記事を参照している記事



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【江戸東京博物館】の案内 (2013年01月)

前回ご紹介した江戸東京博物館の特別展を観た後、常設展も観てきました。(閉館が近づいていたので、企画展を中心に絞って見て行きました。) ここの常設はルールを守れば写真を撮ることが出来ます(企画展はNGの時もあります)ので、今回も撮ってきた写真と共にいくつかご紹介しようと思います。

 参考記事:
 江戸東京博物館の案内 (2012年12月)
 江戸東京博物館の案内 (2012年09月)
 江戸東京博物館の案内 (2011年10月)
 江戸東京博物館の案内 (2011年06月)
 江戸東京博物館の案内 (2010年03月)
 江戸東京博物館の案内 (東京編 2009年12月)
 江戸東京博物館の案内 (絵画編 2009年12月)
 江戸東京博物館の案内 (江戸編 2009年12月)


常設の中にある企画展では「浮世絵の中の忠臣蔵-江戸っ子が憧れたヒーロー -」と「笑う門には福来る」という2つの展示が行われていました。今回の展示は写真OKでした。
P1080156.jpg

【展覧名】
 浮世絵の中の忠臣蔵-江戸っ子が憧れたヒーロー-
 笑う門には福来る

【公式サイト】
 浮世絵の中の忠臣蔵:http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/exhibition/project/2012/12_1/index.html
 笑う門には福来る :http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/exhibition/project/2012/12_2/index.html

【会期】2012年12月11日(火)~2013年1月27日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。


<笑う門には福来る>
まずは年末年始に相応しい「笑い」に関する表情豊かな作品が並ぶ企画展です。

月岡芳年 「風俗三十二相 かわゆらしさう 明治十年以来内室の風俗」
P1080169.jpg
眉を剃った女性が子供をあやしている様子。めちゃめちゃ可愛がってる感じが出てます!w 子供の表情も甘えるような感じで微笑ましい光景です。
 参考記事;
  没後120年記念 月岡芳年 感想前編(太田記念美術館)
  没後120年記念 月岡芳年 感想後編(太田記念美術館)

歌川房種 「七福人宝之入船」
P1080179.jpg
七福神が揃って宴会をしている様子を描いた作品。毘沙門らしき神はちょっと怖い顔ですが、他は笑みを浮かべ楽しそうです。お正月ならではの題材でした。

歌川広重 「有掛絵 奴姿の福助」
P1080186.jpg
ちょっとキモ可愛い福助!w 福助は寛政年間(1789~1801年)に人形が売り出され、1804年頃に江戸で流行したそうです。何だか楽しそうな顔をしていて憎めません。

葛飾北斎 「北斎漫画」
P1080192.jpg
これは北斎漫画のうちの一遍で、踊る姿が描かれています。様々なポーズのデッサン集的な感じかな。軽やかで動きを感じます。
ちなみに北斎漫画はこれだけではなく様々な物が描かれた作品で、海外でも高い評価を受けています。例えばエミール・ガレのガラス器などには北斎漫画をそのまま転写したようなものもあり、後世への影響も大きかったようです。


<浮世絵の中の忠臣蔵-江戸っ子が憧れたヒーロー->
続いては忠臣蔵のコーナー。忠臣蔵の討ち入りは旧暦の12月14日なので、ちょうど今頃かな。こちらでは実際の赤穂事件に関するコーナー(泉岳寺のコーナー)もあったのですが、赤穂事件を下敷きに作られた浄瑠璃や歌舞伎の「仮名手本忠臣蔵」についての作品が多く並んでいました。

こんな感じで歌川国芳の「誠忠義士伝」の50点が揃いでズラッと並んでいます。
P1080229.jpg

歌川国芳 「誠忠義士伝 大星由良之助」
P1080222.jpg
大星由良之助の実際の人物は大石内蔵助です。凛々しくて意外と若い!w 非常に立派な姿で描かれています。

歌川国芳 「誠忠義士伝 高野武蔵守師直」
P1080231.jpg
こちらのモデルは敵役の吉良上野介。今まさに殿中で斬られそうになる場面を描いたもの。怖がっている様子がよく出ていました。

歌川国芳 「誠忠義士伝 塩谷判官高貞」
P1080235.jpg
こちらのモデルは浅野内匠頭。師直(吉良)を斬りかかろうとしている様子。観えない左手に刃があるのかな。

河鍋暁斎 「元禄日本錦 堀部安兵衛武庸」
P1080254.jpg
こちらは国芳の弟子の河鍋暁斎の忠臣蔵。四十七士の一番の剣客で人気を誇る人物です。色鮮やかで勇ましい雰囲気。

「忠臣蔵五段目組上二枚続」
P1080256.jpg
こちらともう1枚の作品がセットになって、組み立てると忠臣蔵の場面が3Dになるという仕掛けです。実際に作ってみると…↓

こんな感じに仕上がるようです。
P1080259.jpg
昔の雑誌の付録にこんなのあった!w 意外と臨場感があって面白いです。


<常設>
企画展をじっくり観ていたら閉館まであと数分となってしまったので、今回は常設はかなりの早足で見て来ましたw せっかくなので歌川国芳の一門の作品をご紹介。

歌川芳虎 「子供遊び凧あげくらべ」
P1080264.jpg
歌川国芳の弟子の歌川芳虎の作品。凧揚げはお正月らしい題材ですが、凧に書いてある文字は「綿」とか「すし」とか「塩」など、妙に生活感溢れる文字です。実はこれは物価の高騰を風刺したもので、書かれているのは価格が上がったもののようです…w 師匠譲りの反骨とユーモアを感じます。

川瀬巴水 「東京十二題 浅草観音の雪晴」
P1080303.jpg
何とも清々しい雪の後の晴れた境内を描いた作品。この色使いが非常に好みです。やはり巴水は素晴らしい…。
 参考記事:馬込時代の川瀬巴水 (大田区立郷土博物館)


ということで、今回の企画展は結構参考になって面白かったです。勿論ここにはこれ以外にも幅広い展示物があるので、長居しても飽きないところです。行く度に毎回発見があるところなので、江戸東京博物館に行く際には常設も見て回ることをお勧めします。



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