関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

草間彌生 永遠の永遠の永遠 【埼玉県立近代美術館】

日付が変わって昨日となりましたが、日曜日の午後に埼玉県立近代美術館へ行って「草間彌生 永遠の永遠の永遠」を観てきました。

P1010305.jpg P1010322.jpg

【展覧名】
 草間彌生 永遠の永遠の永遠

【公式サイト】
 http://www.asahi.com/kusama/
 http://www.momas.jp/3.htm

【会場】埼玉県立近代美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】北浦和駅

【会期】2012年4月14日(土)~5月20日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日14時半頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
この美術館がこんなに賑わっていたことってあるかな?と思うくらい沢山のお客さんがいて、会場のあちこちに多くの人がいる感じでした。しかし、今回の展示は作品が大きめなので自分のペースで観て周ることができました。

さて、今回の展示は80歳を超えても旺盛な制作意欲を見せる草間彌生の個展となっています。草間彌生は1950年代にニューヨークに進出したのを機に世界的にも注目を浴びる前衛芸術家で、特に水玉をモチーフにした作風で有名です。
 参考記事:
  草間彌生 ボディ・フェスティバル in 60's 展 (ワタリウム美術館)

今回は入口から草間彌生の作品が並んでいました。これは「新たなる空間への道標」
P1010309.jpg
いくつか写真を撮っても良い作品(彫刻作品のみ)があり、ここに載っているものはOKなものだけです。

エントランスホールにも「新たなる空間への道標」がありました。
P1010342.jpg
ついでにこの美術館でチケットの行列用のポールが立ってるのを初めてみましたw

こちらはロッカー室の前にあった「明日咲く花」
P1010313.jpg

「明日咲く花」の裏側。
P1010351.jpg

吹き抜けには六本木アートナイトにもあった巨大な「ヤヨイちゃん」が浮かんでいました。
P1010314.jpg
写真だと分かりづらいですが、地下1階から3階まである吹き抜けなのでかなりの大きさです。
 参考記事:
  六本木アートナイト2012 (前編)
  六本木アートナイト2012 (後編)

展覧会場の前には草間彌生と記念撮影できるところがありました。
P1010318.jpg


ここからが本番です。草間彌生は松本の裕福な家に生まれ、幼少期の水玉の幻覚体験が元になり、恐怖から逃れるために10代から絵を描き始め、以後70年に渡って網目や水玉のパターンを使った作品を残しました。特に1957年(28歳)から15年間に渡るニューヨークでの活動は現代最先端として世界的に注目をあつめるきっかけとなりました。2004年からは新しく平面への仕事(絵画作品)に取り組み、「愛はとこしえ」と「わが永遠の魂」の連作を作ったようです。展示は主にこの2つの連作が中心で何点か彫刻作品がある感じでした。詳しくは気に入った作品と共にご紹介しようと思います。


<わが永遠の魂>
まずは「わが永遠の魂」のコーナーです。

51 草間彌生 「心が傷んだときの自画像」 ★こちらで観られます
正方形の大きなキャンバスに大きな両目と鼻のようなもの、周りには縞々の突起のようなものが外側に向かって連なっています。目のモチーフはあっても抽象的で、赤のみで凄いインパクトです。周りにも細かい目のようなものが描きこまれているのがちょっと怖い作風でしたw

この辺には黄色地に黒や黄緑地にピンクというように、かなり対比的で強い色使いの作品が並んでいます。目や水玉をモチーフにした作品も多く、文様が画面を埋め尽くすような一種異様な抽象画が並んでいます。

85 草間彌生 「思い出」
円や 植物か微生物を思わせる不定形のモチーフがたくさん描かれた抽象画です。絵の縁にはノコギリの歯のようなギザギザが描かれ、青地を背景に赤と白で描かれています。白地に赤い水玉など派手な印象を受けます。何を描いたものかは分かりませんでしたが、圧倒される世界観でした。
少し進むと人の横顔をモチーフにした作品も多くなってきます。


解説によるとこの連作は死や宇宙もテーマにしているようで、音声解説を借りると本人の言葉でそれを聴くことができました。中でも「自分が死んだ後も世界は何事もなく進行していく」という言葉が印象的でした。草間彌生は永遠に生きていたいけれども、それは出来ないことであり、死を恐れず克服すると考えているようです。死んだ後に自分の作品に感動してくれる人がいたら嬉しいとも語っていました。


<幸福の彫刻たち>
会場の中盤と終盤あたりには立体作品もありました。カボチャ型の作品も撮影可能です。

103 草間彌生 「大いなる巨大な南瓜」
P1010319.jpg
これは2012年六本木アートナイトで国立新美術館にも置かれていたので観た方も多いのでは? このカボチャが初めて作られたのは1999年の直島の海岸のものらしく、草間彌生はカボチャの可愛らしい造形に惹かれているようです。(実家の畑でも作っていたそうで、幼い頃から惹かれていたそうです) そこに自分の強迫観念である水玉を描いてできたのがこの作品のようでした。やや強烈な感じもしますが何とも存在感があり、鑑賞していた周りの子供たちも興奮気味でした。人気の作品のようです。

この後、また少し「わが永遠の魂」が続いていました。


<新作ポートレート>
こちらは数点あった2011年に描かれた肖像のコーナーです。自画像などもありました。

100 草間彌生 「青春を前にした我が自画像」
大きなキャンバスに女性(自分)の胸像が描かれた作品で、銀色と黒だけとなっています。顔や女性の周りには沢山の水玉模様が描かれ、服は格子状になっていて、瞳の部分には鏡が嵌めこまれていました。青春というには灰色でどこか悲しげな印象を受ける作品に思えるかな。後のほうで少女時代はあまり幸せではなかったという解説もありました。

この近くにも2点ほど顔を描いた作品がありました。


<愛はとこしえ>
一番奥の方は白黒の「愛はとこしえ」の連作のコーナーです。これは2004年から描いた50点の連作で、ここには30~40点程度が展示されています。いずれも白地に黒のマーカーで即興で描いたドローイングを元にシルクスクリーンにしたもののようです。「Love forever(愛はとこしえ)」という言葉は1966年の個展「エンドレスラブショー」で配った円形のカードに書かれたもので、これまでも何度か使われたフレーズとのことでした。

27 草間彌生 「朝が来た。(TWST)」
人の横顔が幾重にも並んでいるような作品です。その横顔にはびっしりと目のようなものが描かれている部分もあり若干怖いものを感じますが、不思議と愛嬌もあるかな。

このシリーズも水玉や植物か微生物のようなもの、目、ノコギリの歯を思わせるモチーフなどがぎっしりとかかれていました。たまに女の子が描かれている作品があるなど可愛らしさを感じるものもあります。とにかく、この部屋の密度は高いですw


<わが永遠の魂>
ここから先も「わが永遠の魂」の連作です。この連作は2009年から描かれ始め今でも増えているようです。解説機で聞ける草間彌生の言葉から察するに、絵の具が乾く時間すらも惜しむように早く沢山の絵を描きたいようで、死ぬまで描き続けるという自身の言葉を体現しているようでした。また、生前のジョセフ・コーネルと深い親交があり、彼が死ぬ際に残した「死は隣の部屋に行くようなもの」という言葉に強く影響を受けたというエピソードも紹介していました。草間彌生は死を恐れず克服するという考えも作品で表現しているようです。
余談ですが、解説機では自作の歌を自分で歌っているのも聞くことができました。詩を朗読してたりもするので、今回の展示は解説機があったほうが世界観に浸れるかもしれません。

70 草間彌生 「地球の中で」 ★こちらで観られます
真ん中に赤い四角(角は丸っぽい)があり、その中には目や人の顔のようなものが描かれています。四角の外側には黄色い視覚があり、その内と外にはノコギリの歯のようなものが描きこまれている抽象画です。ここまでもこうした画風を観てきましたが、かなり強烈な色とモチーフで、一層に印象に残りそうな感じでした。ちょっと離れてみると旗のデザインのようにも見えたかなw

57 草間彌生 「果てしない人間の一生」 ★こちらで観られます
こちらも水玉や人の横顔、微生物や毛虫のようなもの、目など、ここまで観てきた作風の絵ですが、今までの作品とちょっと違って観えました。というのも、限られた色数で描かれている作品が多いですが、これは白地に赤・青・緑・黄色・紫など色とりどりで、明るく楽しげな印象を受けました。
なお、先程も少し触れましたが草間彌生は少女時代はあまり幸せではなかったので、青春へのあこがれを作品で表現しているという解説もありました。


<幸福の彫刻たち>
最後は空間そのものを楽しむ作品が並ぶコーナーとなっていました。

106 草間彌生 「魂の灯」
こちらは部屋の内部を鑑賞するというインスタレーションのような作品です。中に入れる人数に限界があるので、列に並んで5人ずつ1分くらい鑑賞するように係員に整理されていました。(3分くらい並びました) 中に入ると内側は鏡張りで、点滅しながら色が変わる球体が吊り下げられています。青・緑・赤など色が変わっていくとそれが無限に広がる水玉のようで、草間彌生らしくて幻想的な空間となっていました。
解説によると、1966年の個展「草間のピークショー」で「愛はとこしえ」という作品が出品され、それは6角形の部屋で中は鏡張りで点滅する電球が取り付けられていたそうです。(それは小窓から覗く仕様らしい) これは生と死の境目の境地を表現したものだそうで、反復と増殖は草間彌生のテーマでもあるとのことでした。万華鏡の中に入ったような印象を受ける作品です。

104 草間彌生 「チューリップに愛をこめて、永遠に祈る」
最後は白地に赤い水玉のチューリップが並ぶコーナーでした。
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ニューヨークで活躍していた1962年からソフトスカルプチャーという立体作品を作ったようで、画家からエンバイロメンタル(環境)彫刻家に脱皮したと認識していたようです。
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ポップで可愛くもあり、ちょっと毒々しさもありで面白い空間です。

会場を出ると特設のショップもありました。かなりの盛り上がりをみせています。
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1Fのミュージアムショップも盛り上がっていたし、大人気ですね。

地下には13分の映像もあり、草間彌生の最近の製作の様子を観ることが出来ました。絵を描いていなかったら自殺していたという言葉もあるとおり、逆説的に彼女は死ぬまで製作を続ける意志を持っていそうでした。


と言うことで、最近の草間彌生の活動を知ることができる内容となっていました。もうすぐ会期が終わってしまいますが、現代アートが好きな方は観ておいて損はないと思います。
この後、常設にも草間彌生の作品がありました。次回はそれを含めて常設をご紹介しようと思います。


 参照記事:★この記事を参照している記事


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評価




コメント
No title
 GWの前半にこの展覧会に行きましたが、この時は意外と空いてましたよ。
 ヤヨイちゃんの画像いいですね!!私も全身を撮ろうといろいろ試しましたが、撮れなかったのでうらやましいです~
2012/05/14(月) 21:26 | URL | だまけん #-[ 編集]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2012/05/14(月) 22:52 | | #[ 編集]
No title
こんばんは。
今週行こうと思っていました!
期間が短かったのですね…平日に行きますが混んでそうですねぇ。
アートナイト行けなかったのでヤヨイちゃんや黄カボチャ楽しみです!!
2012/05/15(火) 00:07 | URL | naotomomo #-[ 編集]
Re: No title
>だまけんさん
コメントいただきありがとうございます。
私が行ったのはもう残り1週間だったということも込み具合の違いの原因かな。
ヤヨイちゃんは至近距離だと全身撮るのは結構大変ですよねw
六本木の時よりも近くで見られたし、足の裏まで水玉なのはちょっと面白かったです。
2012/05/15(火) 10:28 | URL | 21世紀のxxx者 #-[ 編集]
Re: 似た記事を見つけてきました
>満月さん
コメントいただきありがとうございます。
この場を知らない第三者のサイトのURLを載せることは避けたいので、非表示にさせて頂きます。

草間彌生は今も精神病院で活動しているそうですが、死ぬまで時間があまりないと1枚でも多く描こうとしているようです。その懸命な姿勢も驚きですが、ネガティブだった少女時代の記憶を芸術に昇華させたのは賞賛すべきですね。
2012/05/15(火) 10:32 | URL | 21世紀のxxx者 #-[ 編集]
Re: No title
>naotomomoさん
コメントいただきありがとうございます。
私が行ったのは休日でしたが、平日はどうかな? 若者が多めでした。

今回は美術館中が草間彌生に染まっていて面白いと思いますよ。
全く同じものかは分かりませんが、アートナイトを見逃した方にはチャンスですよね^^
是非楽しんできてください。
2012/05/15(火) 10:34 | URL | 21世紀のxxx者 #-[ 編集]
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