関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

毛利家の至宝 大名文化の精粋 国宝・雪舟筆「山水長巻」特別公開  【サントリー美術館】

先日、金曜日の夜にサントリー美術館へ行って、「サントリー美術館・東京ミッドタウン5周年記念 毛利家の至宝 大名文化の精粋 国宝・雪舟筆「山水長巻」特別公開」を観てきました。

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【展覧名】
 サントリー美術館・東京ミッドタウン5周年記念
 毛利家の至宝 大名文化の精粋
 国宝・雪舟筆「山水長巻」特別公開

【公式サイト】
 http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2012_02/?fromid=topmv

【会場】サントリー美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】六本木駅/乃木坂駅

【会期】2012年4月14日(土)~5月27日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(金曜日18時半頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
会期末が迫っていることもあってか、金曜の夜でも結構混んでいて 場所によっては列が出来るような感じでした。

さて、今回の展示はミッドタウンの5周年を記念した企画です。ミッドタウンは旧防衛庁跡地に建てられた複合施設ですが、さらに遡ると江戸時代は長州藩毛利家の下屋敷が置かれた場所でした。展示内容はまさにその縁を題材としていて、毛利博物館の所蔵する様々な作品が並び毛利家の威光を知ることが出来ます。中でも雪舟等楊の国宝「四季山水図(山水長巻)」はまさに圧巻の見所となっていました。
テーマによって6つの章に分けて展示されていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品を通してご紹介していこうと思います。


<第1章 戦国武将の雄 毛利元就から輝元まで>
まずは毛利家そのものについてのコーナーです。そもそも、毛利の先祖は源頼朝の側近として鎌倉幕府の基礎を固めた大江広元という人物で、その第四子の季光(すえみつ)が相模国毛利荘という地を受け継いだ時から毛利を名乗りました。そして季光の孫の時親(ときちか)の代で安芸国に移り安芸毛利の祖となったようです。その後、戦国時代になると有名な毛利元就が治め、その孫で秀吉の五大老であった毛利輝元の代を経て江戸時代となっても、有力な大名として続いていきました。
ここには主に毛利元就から輝元までの頃の品々が並んでいました。

2  「毛利元就画像」 ★こちらで観られます
折烏帽子をかぶり、丸に「一」と三つ星紋を 三つ盛にした模様の服を着た毛利元就が描かれています。細かく描かれ精悍な顔つきにみえるかな。上には洞春寺の開山の賛が書かれていました。

入口の辺には毛利元就の所用と伝わる鎧兜と軍旗がありました。元就は毛利家全72代のうち51代なのだとか。また、早く亡くなってしまった元就の息子で輝元の父である隆元の自画像もありました。

8 「菊造腰刀」 「菊造腰刀拵」
これは国宝の腰刀という短い刀とさやです。刀の側面には溝が彫られていて曲がりにくくなっているそうです。鞘は梨子地と言われる豪華で風格のある地となっていました。解説によると腰刀というのは鎌倉時代から室町時代に流行ったそうですが、残っているものは少なく貴重なものだそうです。

他には扇や印籠、法螺貝、軍配などもありました、

23 毛利元就 「毛利元就自筆書状(三子教訓状)」
毛利元就と言えば、「1本の矢では折れやすいが3本では折れにくい」といって息子3人の結束を促した逸話が有名ですが、これはその話の元となった手紙だそうです。14箇条3mもあるそうで、ちょっと墨にむらがある感じで書かれています。直接読むのは難しいので訳文もあるのですが、その話はどこにあるんだろ…と探したけどよく分からなかったw(ナナメ読みしたせいかもしれません)

この辺は自筆の書状などが並び、当時の歴史的な事件の証人とも言えるものや、心得を諭すものがありました。

29 徳川家康 「徳川家康誓紙(徳川家康起請文)」
徳川家康が書いた書状で、関ヶ原の後に毛利家に送ったものです。その中には防長(周防・長門)2国と毛利輝元・秀就の親子の無事を保証しているものらしく、もし破ったら梵天、帝釈天、四大天王、すべての神々(この後に様々な名前)から罰が下ると書かれています。また、誓約書の裏は護符になっているなど誓約の重さを感じさせます。解説によると、これによって毛利家は実質的に家康の配下になったようですが、これがあることで後々も領地など確保されたようです。

この近くには朝鮮や中国との関わりを示す印などもありました。


<第2章 「山水長巻」の世界 雪舟と水墨画>
続いて2章は今回の一番の見所となる雪舟の「四季山水図(山水長巻)」のコーナーです。これは山口を拠点とする大内氏の庇護の元で描かれたもので、やがて毛利家に伝わり門外不出として代々伝わったようです。
雪舟について簡単な説明もあり、雪舟は禅僧として相国寺に入り周文の画風を学んだ後、30代半ばに京都から山口に移ったようです。また、40代には明へ遣明使に従って明に渡って水墨画を学んでいます。「四季山水図(山水長巻)」は更に後の67歳頃の作品だそうで、16mもの画面に四季の移ろいや山水が描かれていました

37 雪舟等楊 「四季山水図(山水長巻)」 ★こちらで観られます
国宝の水墨画絵巻で、展示室に広げられて全場面を観ることが出来ました。連続した風景が続く作品で、右から 岩山を登る高士とお供、中国風の山や麓の家、やや緑色の松、橋を渡る2人の人物、芦のようなものが生えた水辺とたくさんの船、ゴツゴツした海岸の崖、塔、岩山、水辺と周りの村?、人々で賑わう所、城(屋敷?)のような所 と続いていきます。輪郭が太く、濃淡で岩山や水面などの雰囲気の違いを表現しているのが見事でした。かなり力強くダイナミックな巻物です。

38 伝 雲谷等顔 「四季山水図(副本)」
こちらは先程の雪舟を模写したものです。橋を渡る2人の人物が描かれたシーンが展示されていて、これだけ観たら確かに雪舟と思うかも?? オリジナルと比べるとちょっとデフォルメされているようにも思えるかな。別物とは分かるけど中々違いは説明しづらいですw
解説によると、これは毛利輝元が雲谷等顔に描かせたらしく、出来が良かったので雪舟の継承者として四季山水図の原本と雲谷庵(雪舟が晩年に住んだ庵)を与え、等顔は雲谷派の初代となったようです。しかし、最近の研究では息子の等益の作の可能性があると考えられているようでした。

この隣にも模写の作品があり同じ場面が展示されていました。

41 雪舟等楊/龍崗真圭(賛) 「摘星楼図」
これは掛け軸で、周文の様式を継承する山水図だそうです。切り立った岩山が描かれていて、先ほどの四季山水図と画風が同じようでちょっと違っているように観えます。繊細な感じで、画風を確立する前の作品のようでした。

この近くには元就の息子の隆元が描いた鷹の絵などもありました。隆元は歴代の中でも画技に秀でた人だったらしく、雪舟風でかなりの出来でした。序盤の自画像も良かったし、相当才能があったのかも。


<第3章 受け継がれた美意識 毛利家の典籍と絵画>
毛利家の前身の大江家は学問をもって朝廷に仕えていたそうで、その頃から様々な遺品やコレクションが毛利家に伝わっていたそうです。また、江戸時代には雲谷派を御用絵師にした上、狩野派や円山派の作品も集めたそうで、ここにはそうした貴重な品々が並んでいました。

まずは平安時代に大江氏が書き写した中国の正史の写しや、毛利元就が詠んだ歌をまとめたもの、源氏物語絵巻などが並んでいました。

60 雲谷等? 「八江萩八景図巻」
こちらは雲谷派4代目の作品で、水辺の村と背景の山々が描かれています。木々の描き方などは雪舟風に見えますが、どこか平坦な感じがするような…。ちょっと雪舟とは違った趣があるように思いました。

65 狩野芳崖 「福禄寿図」
狩野芳崖は明治期の画家ですが、長府毛利家の御用絵師の家に生まれたそうです。こちらは松の木の座る福禄寿が描かれ、その側には坊主頭の子が白鹿に触れています。空にはコウモリが飛んでいて吉祥のモチーフとなっているようです。濃淡の使い分けで強弱が付けられていて、見事な作品でした。それにしても、これは以前に泉屋博古館で観た寿老人とよく似ているように思います。(というか同じかと思いました)
 参考記事:
  近代日本画にみる東西画壇 -東京・京都・大阪の画家たち- (泉屋博古館 分館)
  新春展 春の妝(よそお)い (泉屋博古館 分館)

59 狩野探幽 「王昭君・桐鳳凰・松孔雀図」
これは3幅対の掛け軸で、中央に馬に乗り琵琶を弾く女性と槍を持った兵士ともう一人の男性が描かれています。右には桐の木の枝と鳳凰、左は松と立派な尾の孔雀が描かれ、どちらも優美でおめでたい題材となっているようでした。


<第4章 暮らしにみる大名文化 婚礼調度と雛飾り>
続いて下階に移動して4章は江戸時代の大名文化と婚礼調度、雛飾りなどのコーナーです。特に雛飾りはずらりと展示されていて目を引きました。

75 「次郎左衛門雛」
丸っこい顔の内裏雛と、五人囃子などからなる雛人形です。その丸い顔が特徴的で可愛らしさがありました。

この雛人形の前には蒔絵の籠や箱、書棚など本物と同じような材質のミニチュアがありました。そして、もう雛人形ももう一揃えあって、そちらは小さめで見事な細工でした。

少し進むと組香に使った香箱などもありました。

71 「梨地葵沢瀉紋散蓮池金銀蒔絵黒棚」
3段の蒔絵の棚で、お歯黒道具を飾っていたもののようです。葵の紋と毛利家の紋を散らし、蓮の池を題材にした絵柄となっています。水面に渦が文様のように描かれていて、その装飾的なセンスが面白かったです。

この先には囲碁や将棋の道具などもありました。


<第5章 能楽と茶の湯の世界 毛利家ゆかりの道具類>
続いては能と茶のコーナーです。江戸時代は能楽が幕府の式楽となり、各大名家で能が演ぜられたそうですが、毛利家に伝来した能面や能装束はひときわ優れたものだそうです。また、唐物趣味を反映して中国や琉球から伝わった天目茶碗や漆器類も充実しているそうで、ここにはそうした品が並んでいました。

まずは小袖が並び、徳川吉宗からもらったものや、豪華な打掛が展示されていました。部屋の中央あたりには茶碗や茶器が並び、萩焼の初期のものや天目なども並んでいました。 毛利輝元は利休に茶を学んだのでは?と考えられているそうです。

98 金春安勝 「小面」
可憐な乙女を表す小面というタイプの能面です。歯を見せて笑い若々しい感じで、優しそうな目をしていました。これは確かに良い面に思えます。

この近くには尉などもあり、いずれも表情豊かな面でした。

96 「鬱金濃茶段桜扇模様縫箔」
茶色と金の格子状の模様を背景に沢山の扇が刺繍されている能の衣装で、薄っすらと桜が咲いている様子もあって華やかな雰囲気です。広げてあったり畳まれている扇は1つとして同じ意匠がないというのも驚きでした。

この辺は能装束が並んでいました。


<第6章 毛利家と江戸麻布屋敷 近世から現代へ>
最後はミッドタウンの地にあった毛利屋敷に関するコーナーです。ミッドタウン建設の際の調査で発見された遺物なども並んでいました。

124 谷文二 「江戸麻布邸遠望図」 ★こちらで観られます
これは谷文晁の息子の作品で、毛利屋敷の東にあった庭園を描いた掛け軸です。谷文晁は文人画で有名ですがこれは大和絵風で、起伏に飛んだ地形に日枝神社江戸城、江戸の町などがかなり細かく描かれていました。

ここには他に、地鎮祭で使った貨幣や、鬼瓦、屋敷の内部の地図などもありました。


と言うことで、毛利家についてよく知ることができる展示でした。そしてやはり一番の見所であった雪舟は見事で、これを観られただけでも価値があったと思います。会期は残り少ないですが興味があるかたは是非どうぞ。

 参照記事:★この記事を参照している記事


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