関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

京都 細見美術館展 PartⅡ 琳派・若冲と雅の世界 【そごう美術館】

前回ご紹介した横浜ランドマークタワー近くのカフェでお茶をした後、横浜に移動してそごう美術館で「京都 細見美術館展 PartⅡ 琳派・若冲と雅の世界」を観てきました。

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【展覧名】
 京都 細見美術館展 PartⅡ 琳派・若冲と雅の世界

【公式サイト】
 http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/archives/12/0526_hosomipart2/index.html

【会場】そごう美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】横浜駅


【会期】2012年5月26日(土)~7月16日(月・祝)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
空いていてゆっくり観ることができました。

さて、この展覧会は京都にある細見美術館のコレクションを2期に分けて展示するもので、こちらが2期目となります(私は1期は行けませんでした) 2期は大和絵を中心に、特に琳派と若冲の作品が目玉となっていました。テーマによって章分けされていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介しようと思います。
 参考リンク:
  京都 細見美術館 公式サイト
  京都 細見美術館展 PartⅠ 都の遊び・王朝の美 -美を愛でる、京を知る-


<祈りの美>
まず最初は仏画のコーナーです。平安から鎌倉時代の作品や近代の模写などが並んでいました。

46 「六観音像のうち 十一面観音、如意輪観音」 ★こちらで観られます
これは東寺の西院御影堂に伝わった14世紀の作品で、右に十一面観音、左に如意輪観音が展示されています。十一面観音は3段に11の顔があり、座った姿で描かれています。鮮やかでありながら柔らかな色彩は生気を感じました。澄んだ目をした表情も良かったです。
一方、如意輪観音は4本の腕のうち1本は頭を支えていて、首を傾げて悩んでいるような優美なお馴染みのポーズです。片膝を立てているのがちょっと色っぽく思えました。
解説によると、これは元は6幅対だったそうですが、そのうちの馬頭観音は14世紀後半には損失していたようです。六観音は六道に苦しむ人々の救済のために密教に起ったもので、鎌倉前半期の作品は珍しくこの作品も貴重なものだそうです。
 参考記事:【番外編】 教王護国寺 (東寺)の写真 【京都】

43 田中親美 「平家納経(模写)」
これは大正時代に模写された平家納経の写しで、中でも分別功徳品(ふんべつくどくほん)という法華経が描かれた作品が好みでした。大和絵で平安貴族が描かれているのですが、料紙に箔を散らすなど非常に豪華な雰囲気です。経箱の模作も一緒に展示されていました。


<王朝の雅と源氏絵>
続いては安土桃山時代の土佐派や江戸時代の住吉派の作品が並ぶコーナーです。

58 土佐光吉 「源氏物語図色紙 初音」 ★こちらで観られます
これは正方形の小さめの作品で、源氏物語の第23帖「初音」(光源氏が明石の君の元を訪れるシーン)を描いています。大和絵で、斜め上から見通すような視点で金雲が立ち込める平安貴族の家の中が描かれ、光源氏とそっぽを向いている明石の君の姿があります。2人の近くには草子が投げ出されたような感じで転がっているのですが、これは紫の上の養女となった明石の姫君(明石の君の娘)を想って悲しみに暮れている様子を表しているそうです。また、右上に描かれた白梅は清廉な空気を捉えているとのことで、雅な雰囲気がありつつも登場人物の心情や季節感を表しているようでした。

この近くには夕顔をモチーフにした螺鈿の蒔絵もありました。こちらもきらびやかで美しい作品です。

64 住吉如慶 「きりぎりす絵巻」
これは擬人化された虫たちの物語の絵巻で、玉虫姫と蝉の右衛門守の婚礼の様子が描かれています。トンボみたいな男性がいたり十二単の女性たちの顔はネズミみたいに見えるかなw 次の巻では輿入れの行列のようなものが描かれ、ガマガエルに乗ったりナメクジに車を引かせたり、トンボや蝶のような者もいて、江戸時代風の格好をしていました。意外と細かく描かれていて、画中画などもしっかりしていました。面白い発想の作品です。

近くには鎌倉時代の伊勢物語の断簡や、冷泉為恭の「年中行事図巻」などもあります。


<華麗なる琳派>
続いては今回の目玉となる琳派のコーナーです。宗達からはじまり、光琳、抱一、其一、守一あたりまでの作品が並んでいました。
 参考記事:
  酒井抱一と江戸琳派の全貌 感想前編(千葉市美術館)
  酒井抱一と江戸琳派の全貌 感想後編(千葉市美術館)
  琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第1部 煌めく金の世界 (出光美術館)
  琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第2部 転生する美の世界 (出光美術館)
  琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派― 第2部 転生する美の世界 2回目(出光美術館)

1 本阿弥光悦・俵屋宗達 「忍草下絵和歌巻断簡」
光悦が書、宗達が画を担当した2人の合作です。下に曲線を描く忍草と、上に垂れてきている藤が描かれ、金泥・銀泥が使われています。そこに光悦の書が書かれ、非常に落ち着きと軽やかさを感じる作品となっていました。まさに雅といった雰囲気でかなり好みです。

この近くには伊勢物語を描いた宗達の作品もありました。

3 俵屋宗達 「双犬図」
白い犬と黒い犬が寄り添って寝ている様子が描かれた作品です。白い犬の前足が黒犬の首に回っているのが何とも可愛い…。全体的に簡素な表現でデフォルメされていて、黒い犬の背中にはたらし込みのような表現もありました。上の方には賛もあったけど読めなかったw

5 尾形光琳 「宇治橋図団扇」
団扇に橋と川が描かれた作品です。大胆にトリミングされたような構図で、橋も川も単純化されていますが、銀泥の渦や金泥が相まって優美な雰囲気がありました。この構図やデフォルメのセンスは流石です。

8 渡辺始興 「簾に秋月図」
この絵師は狩野派から琳派の画風になった人です。これは掛け軸で、大きな満月を背景に桔梗やススキ、フジバカマが描かれ、手前には簾が描かれています。簾が満月を隠す構図が面白く、透けて見える様子が風流でした。斜めに伸びる秋草も気品があり秋の風情を感じます。

12 酒井抱一 「槇に秋草図屏風」 ★こちらで観られます
これは小さな2曲の屏風で、菊や萩、桔梗などの秋草と、槇の木が描かれています。草花が密集するように生い茂っているためか、鮮やかさと絢爛さがありました。解説によると、これは光琳百図の後編に載っているらしく、光琳の作品を写したものだそうです。原図に比べると、花を整理し余白を広く取っていて、花1つ1つを丁寧に描いているとのことで、そのせいかリズミカルな印象も受けました。
 参考記事:KORIN展 国宝「燕子花図」とメトロポリタン美術館所蔵「八橋図」  (根津美術館)

16 鈴木其一 「藤花図」 ★こちらで観られます
縦長の掛け軸に、吊り下がる長い3本の藤の花が描かれています。紫色の濃淡で描かれ、意外と写実的に見えるかな。よく観るとたらし込みの技法も使われているなど琳派の特徴も観られました。金地に紫が映えて華やかな作品です。

19 鈴木其一 「紫陽花四季草花図」
アジサイ、朝顔、ススキ?などの草花が描かれた作品で、タイトルにもなっているアジサイが特に美しく観えます。ゆるやかな曲線や対角線上に伸びる朝顔など、構図も心地よく感じられました。

13 酒井抱一 「鹿楓図団扇」
これは団扇で、表に振り返る鹿、裏に赤く染まる楓が描かれています。どちらもデフォルメされていて、特に曲線が優美に感じられます。後面の楓の木の幹の表現などはどっしりした雰囲気もあって好みでした。

18 鈴木其一 「水辺家鴨図屏風」 ★こちらで観られます
これは6曲の屏風で、金地を囲むように青緑の曲線が描かれ、それが水辺を表現しているようです。そこに沢山のアヒルたちが思い思いに過ごす様子が描かれ、中にはこちらにお尻を向けているアヒルもいて可愛らしいです。のびのびとした雰囲気がありつつ、琳派らしい気品もある作品でした。

26 鈴木守一 「業平東下り図」
これは其一の作品を手本にした掛け軸で、富士山を背にして振り返る馬に乗った在原業平と、従者が描かれています。色鮮やかで雅な雰囲気があります。さらにこの掛け軸の表装の部分には、燕子花や楓、桜など四季の草花が描き表装されていて絢爛な雰囲気でした。その意匠も含めて面白い作品でした。
 

<若冲の魅惑>
続いては江戸時代の京の画家、伊藤若冲のコーナーです。

 参考記事:
  伊藤若冲 アナザーワールド (千葉市美術館)
  伊藤若冲 アナザーワールド 2回目(千葉市美術館)
  

35 伊藤若冲 「仔犬に箒図」
立てた箒の元で寝そべる白い犬を描いた作品です。デフォルメされた丸っこい犬は目が鋭いけれども可愛らしい雰囲気です。箒には筋目描きの技法が使われているんじゃないかな? 全体的に簡素でのんびりした作品でした。
この近くの「瓢箪・牡丹図」も好みでした。

32 伊藤若冲 「雪中雄鶏図」 ★こちらで観られます
これは若冲がまだ家業をつとめていた30代前半の頃の最初期の作品で、雪の降り積もる竹林の中、地面を見つめる尾の立派な鶏が描かれています。非常に精密で色の取り合わせも見事に思いますが、どことなくその後の作品群とは違った雰囲気を持っているように思いました。周りの竹が何故かジグザグに伸びているのもちょっと意味深で興味をひかれます。

36 伊藤若冲 「鶏図押絵貼屏風」
これは6曲1双の押絵貼りの水墨の屏風で、1扇に1羽ずつ鶏が様々なポーズで立っています。尾の流れるような表現には大胆さと緻密さが同居していて、濃淡の使い分けも見事でした。デフォルメの面白さもあり、これはかなり好みでした。左4扇にはヒヨコもいて可愛かったです。

この作品の近くには若冲のフォロワーのような絵師の作品もありました。


<かざりの意匠>
最後は調度品のコーナーです。ここは個別作品のメモは取らなかったのですが、蒔絵の重箱、弁当箱、茶釜、蒔絵の文台、唐織、蒔絵の長持、釘隠しなどの作品が並んでいました。工芸品も洒落た意匠の作品が多くて楽しめました。


ということで、琳派も若冲も好きな私にとっては面白い展示となっていました。細見美術館は他にも色々良い品を持っているようなので、いずれ1度は訪れてみたいと思わせました。

 参照記事:★この記事を参照している記事


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