関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

現代の写実。ホキ美術館名品展 (感想前編)【ホキ美術館】

先週の水曜日に、有給休暇をとって千葉県の土気にあるホキ美術館で「現代の写実。ホキ美術館名品展」を観てきました。メモを多めに取ってきましたので、前編・後編に分けてご紹介しようと思います。

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【展覧名】
 現代の写実。ホキ美術館名品展

【公式サイト】
 http://www.hoki-museum.jp/exhibition/index.html

【会場】ホキ美術館
【最寄】土気駅


【会期】2012年5月26日(土)~11月11日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(平日14時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
平日に行ったこともあり、空いていてゆっくり観て周ることができました。私は電車とバスで行ったのですが、東京からのアクセスは中々大変な所にあるので平日は空いているのかもしれません。ただ、たまに団体さんに出くわすこともあったので、その時だけはちょっと賑やかな感じでした。

さて、このホキ美術館は写実絵画専門の美術館で、約2年ほど前にオープンしました。今回の展示はその中でも人気の作品や話題にされることが多かった作品を集めた展示となっていて、ベスト版的なニュアンスのようでした。ギャラリーは1~9まであり、1階のギャラリー1(約60点)だけが特別展で、ギャラリー2~9は常設となっているのですが、この記事では特別展と常設展をまとめてご紹介しようと思います。出品された作品のリストは無く、解説は少なめだったので、私のてきとーな感想のみです^^; なお、以前もご紹介した作品も何点かありますが、改めての感想として再度書いておこうと思います。

 参考記事:
  ホキ美術館開館記念特別展 感想前編(ホキ美術館)
  ホキ美術館開館記念特別展 感想後編(ホキ美術館)
  

<ギャラリー1 現代の写実。ホキ美術館名品展>
まずは今回の特別展です。基本的に現代の日本の風景・人物などが写実的に描かれた作品が並んでいて、ここ数年以内に描かれたものも多く含まれています。

小尾修 「遠い記憶」
膝を曲げて胎児のようなポーズでクッションに横たわる裸婦を描いた作品で、真上から観たような構図で描かれています。裸婦は血管まで分かるような綺麗な肌で、滑らかさと無垢な印象を受けました。四角い画面に丸いクッション、ジグザグの身体というように構図も計算されているとのことでした。

卯野和宏 「雲を追う」 ★こちらで観られます
右下で白いシャツの男性が背を向けていて、その目の前に平野が広がっているような光景を描いた作品です。これは作者自身だそうで、表情は見えませんがどこか驚いたような仕草に見えました。右には木々も描かれ、地平線は低めで空の広さを感じさせます。空の雲も含めて写実的な画風ですが、幻想的でシュールさすら感じるようなところが面白かったです。

生島浩 「Card」 ★こちらで観られます
椅子に座って机に肘をつき、手に持ったカードをじっくり見ている女性を描いた作品です。占いなのか神妙な表情で見ていて、静けさが感じられます。背景は暗く、女性には強い光が当たっているのが劇的な雰囲気となっていました。また、机の上には天球儀や時計などがあり、質感豊かです。そのアイテムのせいか昔のオランダ絵画を彷彿としました。

島村信之 「紗」
クリーム色の背景に、顔に手を当て仰向けで寝ている裸婦が描かれた作品です。女性は腰から下には薄く透明な布をまとっていて、天女のような神秘的な雰囲気がありました。全体的に柔らかめの色使いで、温かみも感じます。解説によると、安らぎをイメージしているようでした。

石黒賢一郎 「VISTA DE NAJERA」
ヨーロッパの田舎町を高い位置から見下ろすように描いた作品です。薄い黄色というかモノトーン写真のような感じで、写実性が高くてさすがに写真かと思いましたw モノトーンなのに瓦や背景の岸壁の地肌の質感が伝わってきて、遠くの山は霞んで見えるのも面白かったです。

この近くには島村信之 氏によるホキ美術館の館長の肖像もありました。

石黒賢一郎 「存在の在処」 ★こちらで観られます
黒板のある教室?の壁を背景に、横向きで腕組をしているトレーナーを着た初老の男性を描いた作品です。これは高校教師だった画家の父をモデルにしているそうで、遠くを見るような表情からは哀愁を感じました。また、黒板に書かれた文字はまさにチョークで書いた文字そのものと言った感じで、黒板の拭き跡も含めて見事な表現力でした。黒板の下に小さな兎のシールが貼ってあるなど、遊び心もあるようです。

五味文彦 「林檎とメロン」
黒を背景に、器に入った沢山の林檎、台の上のレースに置かれたパン(ちょっと食べかけ?)、白い水注、右下にもパンとそれに隠れるように3/4もカットされたメロン、右下にマスカットらしきものも描かれています。全体的に実物以上に質感があるのではないか?というくらい鮮やかな色合いで、非常に細やかに描かれていました。横長の画面にものが並ぶ構図が面白く、ほんの少しだけ黒の部分に反射や影があるのも繊細な表現でした。

この辺は五味氏の作品が多く展示されていました。

芳川誠 「九匹の使者」
棚田と山を背景に、手前にアスファルトの道が敷かれ、道脇のオレンジのカーブミラーの下に7匹の猫たちが集まっている様子が描かれています。寝っ転がったり伏せていたり、こちらを伺っている猫もいて可愛らしいです。タイトルの通り、さらに2匹の猫が画面の中に描かれていて、田んぼの間を歩いているようでした。農家や犬を散歩している人、飛んでいる鳥の姿もあり、のんびりした雰囲気です。ミラー越しに犬の尻尾みたいなのが写っているのが気になる…w 

この作品の下には犬を描いた作品も一緒に並べられていました。

塩谷亮 「giugno」
薄くてヒダのあるベージュの服を着た女性を描いた作品で、横向きで描かれています。そのお腹はポコッと膨らんでいて妊娠しているのかな? お腹を押さえて下の方を向き、背中に左手を当てています。アンニュイな雰囲気もありましたが、どことなく艶めかしさもあり、女性の神秘性が感じられました。、

青木敏郎 「椿・レーマ杯・染付皿」 ★こちらで観られます
黄色の文様のついた赤いテーブルクロスに花瓶が置かれ、そこに花が入っている様子を描いた作品です。周りには染付の皿やグラスなどもあり、様々な質感の品が並んでます。また、花は赤やピンクで、いくつかテーブルの上にも落ちているようでした。右からは照りつけるような日差しがあり、その明暗や質感の表現使い分けが面白く感じられました。

この近くにも青木氏の作品がありました。同じテーブルクロスを使って綺麗な三角形を形作るような構図が興味深かったです。

磯江毅 「ESPANTARAJAROS」
白い壁を背景に、2羽の灰色の羽根の鳥が足に紐を付けられて吊り下げられている様子が描かれた作品です。立体感もあるので白い壁に飾ったら本物と錯覚するかも?? どこかファブリティウスの「ごしきひわ」を思い起こしました。
 参考記事:マウリッツハイス美術館展 (東京都美術館)

廣戸絵美 「廊下」
両脇に扉のある通路が描かれた作品で、床は白黒の市松模様となっています。壁は打ちっぱなしのコンクリートで、無機質な感じを受けます。通路の奥には光があたり床が照り返しているので、暗さはそれほど感じないかな。また、シンメトリーの構図で奥行きがあり、吸い込まれそうな感じでした。

この隣にあった山本大貴の「静寂の声」というギターを弾く女性を描いた作品も好みでした。背景にアンリ・マティスの絵が描かれています。


<ギャラリー2 常設展>
ギャラリー2からは常設で、森本草介 氏という画家の作品が長い部屋の両脇にずらっと(30点程度)並んでいました。特に裸婦の後ろ姿やフランスの田舎町を描いた作品が多いようでした。

森本草介 「窓からの光」
右手を曲げ、顔だけ横を向いて背を向けた裸婦が、腰の下あたりに薄い布を巻いている姿が描かれた作品です。背景は陰影のみで、女性の右側から陽を受けているのが分かります。また、女性は背骨や肩甲骨など、骨や肉付きが分かるほどつぶさに表現されていました。、やや曲線が多いのが優美な雰囲気です。

森本氏は後ろ姿が好きなのか、後ろ姿の裸婦の作品はかなりありました。

森本草介 「休日」 ★こちらで観られます
テーブルに向かって椅子に座り、編み物をしている女性を描いた作品です。右から柔らかい日差しが差し込み、穏やかな雰囲気が漂います。手元を真剣に見つめる女性は静かで、画面の中で手だけが動いているような印象を受けました。画風や構図はまったく異なりますが、どことなくフェルメールを想起させる主題に思いました。

この近くにあった「カウチのポーズ」という作品もどこか伝統絵画を彷彿とさせるものがありました。

森本草介 「ペリゴールの村」
かなり横長の画面で、高い教会の尖塔を中心に赤い屋根の家が立ち並ぶ様子(恐らくヨーロッパの風景)が描かれた作品です。手前は広々とした野原で、背景にはなだらかな丘も描かれていて、昔から変わっていなさそうな風景です。落ち着いた色合いと相まって穏やかで時間が止まったような雰囲気がありました。

森本氏はこれ以外にもヨーロッパの田舎を描いた横長パノラマの風景画は何点かありました。


ということで、以前観た時も感じましたが写実といっても一様ではなくそれぞれに個性が感じられるのが面白いところです。身近なテーマも多く思わず微笑んでしまう作品がいくつもありました。後半にも面白い作品が多く展示されていましたので、次回は最後までご紹介しようと思います。 



   → 後編はこちら



 参照記事:★この記事を参照している記事

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■2011/9/29
「週刊文春 10月6日号」に掲載されました
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