関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

尾張徳川家の至宝 【江戸東京博物館】

先週の日曜日に、両国の江戸東京博物館で「尾張徳川家の至宝」を観てきました。この展示は期間中に作品の入れ替えがあり、私が観たのは2013/1/13時点の内容でした。

P1080154.jpg

【展覧名】
 尾張徳川家の至宝

【公式サイト】
 http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/exhibition/special/2012/01/index.html

【会場】江戸東京博物館
【最寄】JR両国駅/大江戸線両国駅


【会期】2013年1月2日(水)~2月24日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
予想以上に混んでいてガラスケースの品の前などには人だかりができるような感じでした。自分のペースでの鑑賞が難しいくらいで、ちょっと大変。

さて、今回は名古屋にある徳川美術館が所蔵する尾張徳川家ゆかりの道具の展覧会となっています。武具や芸能、琴棋書画といった武士にとって大切な品々が並ぶもので、国宝を含む230点もの名品が集まっています。そのジャンルによって3つの章と特別展示のコーナーに分かれていましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。なお、冒頭に書いたように展示品は期間によって入れ替わるようなので、お目当ての品がある方は出品リストを確認の上お出かけすることをお勧めします。
 参考リンク:出品リスト


<第一章 尚武 太刀や鉄砲などの武具>
まずは武具が並ぶコーナーです。大名は武力で支配権を確立した武士であり、常に戦いの準備は怠りなく進められていたようです。ここには御三家の所蔵品に相応しい、勇ましくも華麗なる品々が並んでいました。

7 「銀溜白糸威具足」 ★こちらで観られます
これは尾張徳川家初代の義直(家康の9男)が好んだ具足です。全体的に銀色で、格式と華やかさを感じます。また、頭に赤い丸い飾りがあり、正月飾りを彷彿としました。

この辺には家康や義直の肖像や、鞍・鐙などの馬具、弓・矢筒・矢なども並んでいました。

15 「太刀 銘 来孫太郎作(花押)正応五年壬辰八月十三日」
鎌倉時代の刀鍛冶 来孫太郎(来国俊)の太刀で、家康の遺品として義直に伝わったものです。孫太郎の銘が入った刀は他に例が無く貴重な品だそうで、細めの波紋で気品ある雰囲気がありました。よく観ると刃先にヒビのようなものがあるような…。

この辺には村正や虎徹、正宗など有名な刀匠の刀が並んでいました。中には戦闘に使われたものもあるようで、刃毀れしているものもあります。

46 「火縄銃 三匁五分筒 銘 完(宍)粟鋳鍛三重張 慶長拾六年十月吉日日本清堯(花押)」
これは長い砲身の火縄銃で、やや細身の銃に見えます。筒元に葵の紋や亀甲紋が象嵌されていて、作者はその出来栄えの良さに満足したのか銘まで入っているようです。これも家康からの遺品(お分け物)らしく、鉄砲なのに優美な雰囲気がありました。

この辺はいくつかの鉄砲があり、他には 刀掛け、兵糧入れ、火消しの羽織なども並んでいました。


<第二章 清雅 茶の湯・能・香>
続いては芸能に関するコーナーです。江戸時代は伝統文化である茶の湯や能、香といった芸能が重視され、中でも茶の湯は武家の故実・礼法として修めるべき教養とされました。また、能は徳川幕府の式楽に位置づけられ、公式行事における重要な演目となったようです。ここにはそうした芸能にまつわる品々が並んでいました。

78 「古銅砧形花生 銘 杵のをれ 名物」 ★こちらで観られます
筒状の首で根元のあたりが壺のように膨らんでいる花生けで、口のあたりに2つの獅子の顔?がついています。黒く渋い色合いをしていて、「名物」とされ戦国時代から珍重された品らしく、一時期は秀吉の前で家康との囲碁の勝負に勝った石川貞清に拝領されたそうです。しかし、石川貞清は関ヶ原の戦いで西軍につき敗れてしまい、処刑される立場になった際、この花生けと金1,000枚を差し出すことで命だけは助かったそうです。渋い品だな~と観ていましたが、これが武将の命を救うほどの価値があったのかと思うと、急に重みを感じましたw うーん、我ながらに権威主義で見る目がないw

65 一休宗純 「初祖菩提達磨大師」
これは一休さんで有名な一休宗純が書いた掛け軸です。「初祖菩提達磨大師」と書かれているのですが、竹筆で書かれたらしく、荒々しく力強い勢いが感じられました。自由奔放だったという人物イメージと重なるかも。

この辺は釜や水差しなどと共に掛け軸も何点か展示されていました。

86 「古瀬戸肩衝茶入 銘 横田 大名物」 ★こちらで観られます
こちらは縦長の茶入で、表面は錆びた鉄のような渋いこげ茶色をしています。足利義政や織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といった名だたる武将の手を渡った「大名物」とされる品らしく、中にはへらの跡があり、それが豪快な印象を与えるようです。展示では中を観ることはできませんでしたが、侘びた雰囲気がありました。

この近くには天目茶碗なども展示されていました。

110 是閑吉満 「能面 近江女」
少し口を開けて微笑んでるように見える女の能面です。これはやや年増の女性なのか頬にほうれい線のようなものがあるものの、気品がある顔立ちをしているように思いました。
この辺には能面が並んでいました。中には面白い顔をしたものもあります。

117 「紅・白段金霞枝垂桜に扇文唐織」 ★こちらで観られます
これは能装束で、沢山の花や少し開いた扇の模様が散らされています。若い女役のためのものらしく、赤みがかった色合いと相まって非常に華やかな雰囲気がありました。ちなみに中年以上の役は紅色を使わない紅無と呼ばれる装束を着るのだとか。

この辺は能装束や扇、小鼓、笛なども並んでいました。その先は香に関するコーナーです。

150 「銀檜垣に梅図香盆飾り」
銀でできた香盆と香道具のセットです。表面には葵の紋や亀甲紋なども表されていて、細やかな細工となっています。銀の落ち着いた色合いも美しく、優雅な雰囲気がありました。

この辺には扇、雀、亀、金のシャチホコなど変わった形の香合や、蘭奢待(らんじゃたい)などの香木もありました。
 参考記事:香り かぐわしき名宝 (東京藝術大学大学美術館)

180 「秋の野蒔絵十種香箱」 ★こちらで観られます
これは蒔絵の重箱で、その中に入っている組香の道具も展示されていました。袋や札などがあり、これを使って香木の種類を当てる勝負をするようです。蒔絵には秋草が表されていて、流麗で雅やかな雰囲気がありました。


<至宝>
続いてのコーナーは至宝と名付けられ、特別出品の品が並んでいました。

2 「初音の調度」 ★こちらで観られます
これは貝合わせの貝を360組も納めていた二合一対の蒔絵の貝箱で、作者は信長・秀吉・家康に仕えた幸阿弥家です。尾張家2代の光友が結婚した際(当時 数えで15歳)に、花嫁の千代姫(徳川家光の長女で当時 数えで3歳!)が嫁入り道具として持ってきた調度品らしく、梨地に源氏物語の「初音」のシーンが描かれていて、紫の上の邸宅が表されています。よ~~~く観ると初音の帖の唄も書かれているらしく、ひらがなが溶け込むように散らされているようです。これは分かりやすい豪華絢爛かつ重厚な品で、徳川家の威光が感じられました。

1-1 「源氏物語絵巻 柏木(三) 詞一・二 絵」 ★こちらで観られます
これは源氏物語の絵巻で、私が観たときは、柏木と女三宮の間に生まれた薫の祝いの儀式のシーンが展示されていました。屋敷の中で光源氏が薫を抱きかかえ、周りには2人の女性が描かれています。その右には金箔を散らした紙に字が書かれていて、経年によって劣化しているように思いましたが、華やかで王朝文学に相応しい格式の高さを感じました。


<第三章 教養  琴棋書画>
最後は教養に関してのコーナーです。江戸時代の大名は和歌や文学など教養を身につけるのが良いとされ必須の徳目とされたそうです。ここにはそうした作品が並んでいました。
まず、琴、将棋盤、碁盤、双六盤、書が書かれた屏風など琴棋書画に関する品が並んでいました。少し先に行くと屏風絵などもあります。

227 狩野探幽 「四季花鳥図屏風」
これは6曲1双の横長の屏風で、左隻には渓流がありそこに集まる鳥や木々などが描かれています。その流れに沿って花が咲いていたり月が出ていたりしていて、四季の移り変わりも表しているようです。繊細で抑えられた色調が静かな印象で、情緒ある画面となっていました。

この近くにあった215 本阿弥光悦「新古今和歌集抜書」なども好みの作品でした。また、その後には尾張家の子女が描いた作品が並び、中にはプロの絵師が描いたものかと思うような作品もありました。彼らは狩野派に学んでいたそうです。

そして最後は源氏物語の本や画帖、書の規範となる古筆手鑑などが並んでいました。


ということで絢爛豪華な品々が並ぶ展覧会でした。流石は御三家の筆頭に伝わるだけあり、重厚な文化が感じられます。とは言え、若干テーマが漠然としていたためか豪華な品々が並んでいるだけのような気がするかな…。基調な品が多いだけにもうちょっと展覧会自体の趣向も凝らして欲しかった。


 参照記事:★この記事を参照している記事

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■2011/9/29
「週刊文春 10月6日号」に掲載されました
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