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貴婦人と一角獣展 (感想前編)【国立新美術館】

前回ご紹介した展示を観た後、国立新美術館で「フランス国立クリュニー中世美術館所蔵 貴婦人と一角獣展」を観てきました。メモを多めに取ってきましたので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。

P1110019.jpg

【展覧名】
 フランス国立クリュニー中世美術館所蔵
 貴婦人と一角獣展

【公式サイト】
 http://www.lady-unicorn.jp/
 http://www.nact.jp/exhibition_special/2013/lady_unicorn/index.html
【会場】国立新美術館 企画展示室2E
【最寄】千代田線乃木坂駅/日比谷線・大江戸線 六本木駅


【会期】2013年4月24日(水)~7月15日(月・祝) 
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
結構お客さんは多かったですが、作品自体が大きいので特に気になりませんでした。

さて、今回は中世ヨーロッパ美術の最高傑作の誉れ高い連作タピスリー「貴婦人と一角獣」を中心に、フランス国立クリュニー中世美術館の至宝42点を公開する展示となっています。この作品は過去に1度(1993~1994年)だけメトロポリタン美術館に貸し出された以外は門外不出だったのですが、展示環境の全面改修に伴い今回の展示が実現したようです。
「貴婦人と一角獣」は1500年頃に北フランスからネーデルラントにかけての地域もしくはパリで制作されたと考えられるそうで、19世紀始めにフランスのクルーズ県にあるブサック城で発見され、プロスペル・メリメやジョルジュ・サンドといった文学者が言及したことによって有名になったそうです。展覧会ではタピスリーと共に描かれたモティーフをテーマに沿って解読する構成となっていましたので、詳しくは章ごとに振り返ってみようと思います。


<貴婦人と一角獣>
まずは早速、「貴婦人と一角獣」のコーナーで、最初にこの作品にまつわる説明が並んでいます。

[作品の来歴]
この作品は19世紀初頭に初めて文献に記されたそうで、1841年には小説家で歴史的建造物保護局の視察官を務めていたプロスペル・メリメがブサック城を調査し、タピスリーの保存状態を案じて フランス国家が買い上げるべきとの報告書を提出したそうです。一方、メリメと同時代の小説家ジョルジュ・サンドは近くの館を相続していたので この作品にも慣れ親しんでいたようで、執筆活動によってこのタピスリーの存在を広く知らしめたそうです。そしてこうした尽力もあり1882年には25500フランで国家買い上げとなりました。

[注文時期と注文者]
注文時期と注文主については大きな論争になったようですが、現在では1500年頃と推定されていて、その根拠として草花に散りばめられた千花文様(ミル・フルール)と呼ばれる背地が15世紀末から16世紀初頭のタピスリーに顕著な様式であることが挙げられるようです。また、画中の貴婦人の衣装や装身具も1500年頃の流行に合致すると考えられているようです。 注文者は連作6面のいずれにも頻出する3つの三日月を配した紋章によって、ル・ヴィスト家と特定できるそうで、この一族は15~16世紀にかけてパリで司法官として活躍した名家のようです。そして特に1500年に同家の当主となったアントワーヌ2世・ル・ヴィストが注文主の可能性が高いと考えられているようです。

[下絵制作と製織]
このタピスリーの下絵制作と製織についてですが、下絵を担当したのは「アンヌ・ド・ブルターニュのいとも小さき時祷書の画家」と呼ばれる芸術家と推定されるようです。この画家はその名の由来となった「アンヌ・ド・ブルターニュのいとも小さき時祷書」をはじめ、いくつかの優れた彩色写本を手がけていたらしく、1490~1508年にパリで活躍していました。 一方、最終工程の製織をした場所は特定できないようですが、フランスからフランドルにかけての地域か、パリと考えられているようです。

[作品に込められた意味]
1921年に美術史家のA.F.ケンドリックが論証して以来、このタピスリーの6面のうちの5面は五感を寓意的に表すとの見方が広く受け入れられているそうで、最後の第6の場面は五感を越えた第六感の表現と考えられるようです。五感を越え自己を制する心、愛の感受を司る心などと読み解くことができらしく、道徳性と世俗性の結び付きは1500年頃の知的芸術環境に特有のものだそうです。また、獅子と一角獣はル・ヴィスト家を示唆する動物で、ル・ヴィスト家の紋章の役割も担っていたとも考えられるとのことでした。

と、こんな感じで予備知識を仕入れてから、1辺が3.5~4mもある6面のタピスリーがぐるりと取り囲む部屋を鑑賞しました。


A 「貴婦人と一角獣 触覚」 ★こちらで観られます
赤地と植物紋を背景に、右手で三日月模様の旗を持ち 左手で一角獣のツノを触っている貴婦人が描かれた(織られた)タピスリーです。その左には獅子が座っていて、獅子と一角獣は三日月の紋章入りのケープを身に着けています。周りには4種類の実のなった木が描かれていて、首輪の着いた猿や鳥達の姿もあります。赤地に女性と一角獣、獅子、4本の木というのはこの後に出てくる他の作品と共通しているようで、いずれの作品も平坦で遠近感や陰影は感じられず、花々は色鮮やかながら押花のように観えました。解説によると、この作品で一角獣に触れる仕草は触覚を示すと考えられるようです。また、物質世界より精神世界(魂)に近い感覚のほうが次元が高いと考えられていたらしく、この展示でもそれに基づく順序で並んでいるとのことでした。

B 「貴婦人と一角獣 味覚」 ★こちらで観られます
背景は赤地と植物紋で、貴婦人と侍女、両脇に長い竿の旗を持つ獅子と一角獣が描かれています。貴婦人は侍女が差し出した豪華な器から砂糖菓子を右手でつまんで、左手の上では鷹がそれを食べているようです。手前では猿がそれを真似して何かを食べていて、これは味覚の寓意と考えれるようです。 先ほどの作品でも服装は豪華でしたが、こちらは顔は同じでも違った装いをしていて、よく観ると全作品で違っているようです。ポーズと相まって優美な雰囲気があります。一方、両脇の獅子と一角獣は前足を上げてケープをはためかせ、獅子は舌まで出すなど動的な印象を受けました。静と動の対比のようになっているのが面白いです。 ちなみに女性のドレスの裾には上を見上げる子犬の姿が… 何とも可愛らしい犬ですw

この辺で気がついたのですが、三日月の文様は半端じゃない押されっぷりですw これでもかと三日月が出てきます。これはどう考えても注文主と関係がありそう。

C 「貴婦人と一角獣 嗅覚」 ★こちらで観られます
こちらは先程の味覚と似た構図で、侍女の差し出す花かごから花をつまんで花輪を作っている貴婦人が描かれています。その背後では花かごから花を取り出して匂いを嗅ぐ猿の姿があり、これは嗅覚と考えられるようです。両脇には旗を持つ獅子と一角獣が描かれているのですが、これは先程と打って変わって置物のようにちょこんとした印象を受け、顔も穏やかに観えました。 他と比べて静かな雰囲気の作品です。解説では2層になっている女性たちの服装について言及していました。

D 「貴婦人と一角獣 聴覚」 ★こちらで観られます
台の上に東洋風の敷物を敷き、携帯用の小さなオルガンを乗せて立ったまま演奏している貴婦人が描かれた作品で、これは聴覚を表しているようです。オルガンの裏では侍女が吹子のようなものを操作してサポートしていて、両脇には獅子と一角獣が旗を持っています。しかし、一角獣は寝そべって前足で押さえる感じで、ライオンも座るような姿勢で持っていて、リラックスしたように見えてのんびりした印象を受けました。また、解説によるとこれまでの作品に比べてモチーフ同士が重なり合うような感じになっているらしく、確かに四隅の木が旗に隠れているなどギュッと詰まった感じでした。
よくよく観るとオルガンの上にも獅子と一角獣の装飾があるのも面白いw

E 「貴婦人と一角獣 視覚」 ★こちらで観られます
金銀細工の鏡を持ち、一角獣を抱き寄せて鏡を見せる貴婦人が描かれた作品で、これは視覚を表すようです。一角獣は貴婦人の膝の上に前足を置いて鏡を見ているようで、左には旗を持った獅子の姿があり、獅子は何故か左の方によそ見しているような感じです。一角獣の穏やかで賢そうな顔が印象的でしたが、鏡にうつるユニコーンはやたら小さくて不自然に見えましたw また、ここまで4本あった周りの木はこの作品では2本しかなく、貴婦人・一角獣・ライオンで三角形になる構図となっているのも面白かったです。

F 「貴婦人と一角獣 我が唯一の望み」 ★こちらで観られます
こちらは他の5点よりもやや大きめの作品で、侍女の差し出す宝石の入った箱に手を寄せる貴婦人が描かれています。背景には青緑のテントがあり、そこから出てきたように思えるかな。両脇では獅子と一角獣がそのテントの裾を持ち上げつつ旗を持っていて、獅子は口を開けています。解説によると、テントの上部には「我が唯一の望み」という銘文が「A」と「I」に挟まれて書かれているらしく、この2文字は注文主と妻のイニシャルではないかとのことでした。また、この作品は五感を支配する心を表しているとのことで、言葉的に妻への愛を題材にしているのかな?と思いました。なお、こちらも三角形の構図となっていて、その配置も興味を引きました。


ということで、長くなってきたので今日はここまでにしておきます。最初に目玉作品が来るのですが、その圧倒的な大きさと緻密さに驚かされました。後半は検証や同時代の作品などが展示されていましたので、次回はそれについてご紹介しようと思います。


  → 後編はこちら


 参照記事:★この記事を参照している記事

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