関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

テーマにみる近代日本画 【泉屋博古館分館】

先週の日曜日に、六本木一丁目の泉屋博古館分館で最終日となった「テーマにみる近代日本画」を観てきました。この展示はすでに終わっていますが、今後の参考に記事にしておこうと思います。

P1120376.jpg


【展覧名】
 テーマにみる近代日本画

【公式サイト】
 http://www.sen-oku.or.jp/tokyo/program/

【会場】泉屋博古館分館
【最寄】六本木一丁目/神谷町


【会期】2013年6月15日(土)~8月18日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間30分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日14時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
最終日だったこともあり、意外とお客さんが多くてロッカーが埋まるくらいでした。まあ鑑賞には差し支えない位だったかな。

さて、今回は泉屋博古館分館が持つ近代の日本画をテーマ別に観ていくという内容となっていました。点数はそれほど多くありませんが、詳しくは章ごとに気に入った作品と共にご紹介しようと思います。


<人物画>
まずは人物画のコーナーです。人物画はその名の通り人間を主題とした絵画ですが、日本画では実際の人間だけでなく仙人・仙女・神話の女神などを描いた作品も含まれるようです。また、中国の故事にちなんだ人物画もこのジャンルに含まれ、女性を描いた作品は美人画とも呼ばれます。ここにはそうした様々な人物画が並んでいました。

[故事山水(故事人物)・道釈人物画・歴史画]
3 尾竹竹坡 「蜀三顧図」
これは三国志の「三顧の礼」のエピソードを主題にした2幅対の掛け軸です。右幅は馬に乗り笠と箕を被った三兄弟と雪の積もった木が描かれ、左幅には雪の積もる林間にある庵とその手前の小川にかかる橋が描かれています。微妙な濃淡で奥行きや雪の積もり方が表現されていて、寒い冬のしんみりした雰囲気と故事になぞらえた物語性が感じられました。

[美人画・道釈人物画]
6 小林古径 「人形」
これは黒いドレスを着て黒いヴェールを被った貴婦人風の青い目のフランス人形を描いた作品です。黒地に黒の花模様という難しそうな服を着ていますが、濃淡でしっかりとそれを再現しているのが目を引きます。また、この作品の手前にはモデルとした実際の人形も展示されていて、比較しながら鑑賞できたのが面白かったです。本物より絵のほうがしっとりとした気品が感じられるかな。解説によると、これは渡欧した際の娘へのお土産の品だったとのことでした。

9 上島鳳山 「十二月美人 二月 羅浮仙」
これは12幅対の掛け軸で、1幅に1ヶ月の題材となりそれぞれに1~2人の女性が描かれています。私が特に気に入ったのは2月で、ここには梅の仙女である羅浮仙が梅の木に腰掛けてやや上を見上げる感じで描かれていました。白い肌で帯を垂らし、夢見るような気だるい感じが何とも色っぽく感じられます。また、輪郭が強めの画風に思いましたが髪などはふわっと描かれているのも面白かったです。

[故事人物画・道釈人物画・歴史画]
20 原田西湖 「乾坤再明」
これは長い鉾を持った白い衣の女性が上を向いて微笑んでいる様子が描かれた作品です。首から肩には植物の装飾を付け、衣は透けるようで瑞々しい雰囲気があります。解説によると、これは天照大神が天岩戸から出てきた時の様子らしく、多分この女性が天照大神なのかな(もしくはアメノウズメ?) 足元には3羽の鶏の姿もあり、左から光が差して来る夜明けを感じさせる場面となっていました。
 参考記事:近代日本画にみる東西画壇 -東京・京都・大阪の画家たち- (泉屋博古館 分館)


<花鳥画と山水画の世界>
続いては花鳥画と山水画のコーナーです。花鳥画は草花・花木と鳥を主体とする東洋絵画の1部門で、吉祥の画題として大きく発展したようです。さらに細分化すると草花・花木だけの「花卉画」、鳥の代わりに昆虫を配する「草虫画」、犬猫など獣と組み合われた「れい毛画」と分けられるようで、それぞれ発展していきました。原則的に花鳥画は生きた生物をモチーフにしていますが、西洋の静物画では切り取られた草花や死んだ動物が基本であり、ここに東西の大きな違いがあるとのことでした。

[花鳥画・静物画]
26 高橋広湖 「水墨猛虎」
これは水墨の掛け軸で、かなり写実的に虎たちが描かれています。1頭はこちらをじっと見つめていて威厳があり、もう1頭は横になってコロコロした虎の子どもたちにお乳を飲ませているようです。虎の一家の絵とはだいぶ珍しいのでは?? 一家でいるので虎の親の緊張感と和む感じが渾然としていました。また陰影が濃く西洋風な写実となっている点も面白かったです。

28 岸田劉生 「四時競甘」
これは洋画家の岸田劉生の日本画の掛け軸で、縦に連なるようにブドウや桃、柿、ザクロ、琵琶?などの四季の果物が描かれています。その並び方が流れるようで、配置の妙が気に入りました。解説によると、1つの画面に四季の果物を配するのは東洋の花鳥画の特徴とのことです。色合いも流石といった感じでした。

30 望月玉渓 「白れい孔雀」
これは6曲1双の金屏風で、右隻は巨木の上にとまる真っ白な孔雀が描かれ、後ろを振り返っています。かなり立派な尾を持っていて純白な羽が凛々しく感じられました。一方の左隻では竹と牡丹の近くで右の孔雀を見上げるような孔雀が描かれています。こちらも結構写実的な感じですが、幻想的な雰囲気も感じることが出来ました。

[山水画・風景画]
34 東山魁夷 「スオミ」 ★こちらで観られます
タイトルはフィンランド語で「湖の国」という意味だそうで、フィンランド人は自分の国をそのように呼ぶそうです。この絵には森と横たわる川か湖のようなものが交互に描かれていて、全体的に往年の東山魁夷らしい深い緑が使われています。静けさや自然への畏怖が感じられるような幻想的な作品でした。

[花鳥画]
43 安田靫彦 「清香」
これは梅の木の先の方だけ描かれた、色紙くらいの大きさの作品です。白い花を咲かせていて、雄しべまで見えるような緻密な描き込みとなっています。まだ蕾もついていて、可憐な雰囲気かな。背景はやや暗めで、夜の梅を表現しているようでした。夜にどこともなく漂ってくる梅の香りをモチーフにしたようです。


ということで、それほど多くはありませんでしたが予想以上に楽しめる内容でした。もう終わってしまいましたが、またいずれ観られる機会もあると思いますので、その時を楽しみにしていようと思います。


 参照記事:★この記事を参照している記事
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