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生誕250周年 谷文晁 (感想後編)【サントリー美術館】

今日は前回の記事に引き続き、サントリー美術館の「生誕250周年 谷文晁」の後編をご紹介いたします。前編には初期からの流れなども記載しておりますので、前編を読まれていない方は前編から先にお読み頂けると嬉しいです。


  前編はこちら

P1120450.jpg

まずは概要のおさらいです。

【展覧名】
 生誕250周年 谷文晁

【公式サイト】
 http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2013_3/index.html

【会場】サントリー美術館
【最寄】六本木駅/乃木坂駅

【会期】2013年7月3日(水)~8月25日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
前編では2章の集古十種の編纂に関する作品なども紹介しましたが、後半では同様に谷文晁が行った一大事業や広い人脈についてを取り上げていました。


<第3章 文晁と「石山寺縁起絵巻」>
谷文晁が仕えた松平定信は、古文化財の保存・整理・分類からさらに一歩進めて、過去に失われた作品の復元にも着手していったそうです。その中に「石山寺縁起絵巻」の補完という事業があり、1805年に石山寺座主 尊賢の強い願いに応えて、松平定信がお抱え絵師の谷文晁をこの事業に抜擢し、取り組みました。この「石山寺縁起絵巻」は1324~1326年に7巻セットとして企画されたもので、この時点では巻6と巻7は詞書のみ存在していて絵は欠いていたようです。ここにはその「石山寺縁起絵巻」が展示されていました。

98 谷文晁 「石山寺縁起絵巻」
これは前述の通り7巻から成る絵巻で、石山寺の歴史や霊験についてをまとめた内容となっています。ざっくりと各巻を説明すると、

巻1
聖武天皇の勅願で開かれ、初めて涅槃会を行っている様子。舞楽を踊っている場面が展示されていました。

巻2
万葉集の歌の読み方について従事していた人物が石山寺に祈願したところ、その帰りに馬方との会話で読み方を閃くという霊験の話が描かれていました。

巻3
更級日記の作者である菅原孝標女が、石山寺に参詣した際に逢坂の関で風雨が強くなって心細くなったという話が描かれていました。

巻4
1078年に石山寺が炎上したが、本草の観世音菩薩像のみが助かった時の様子が描かれ、炎の中で光輝いている場面が展示されていました。

巻5
所領争いをした人が所領公認の院宣の巻物を貰ったものの、川に落としてしまい 石山寺で祈ったところ、夢で宇治川の辺りで魚を買うようにとのお告げを受けた。その通りに魚を買うと、腹の中から院宣の巻物が出てくるという霊験の話が描かれています。丁度魚の腹を割いて巻物を持って喜んでいるところが展示されていましたが、魚に対して巻物がやけに大きく見えましたw

巻6(谷文晁のオリジナル)
源頼朝の命を受けて謀反を打ちに来た中原親能は、まず石山寺で戦勝祈願をすると、その加護があって屋敷を焼き討ちすると風にのって激しく燃え盛ったという霊験の話で、炎が吹き荒れているダイナミックな場面が展示されていました。

巻7(谷文晁のオリジナル)
1299年に亀山法皇と後宇多上皇が参詣した時の様子が描かれ、門の前に沢山の人だかりができている様子が展示されていました。この時、上皇たちは寺の縁起を観覧した際に1匹の蜘蛛が紙面の上を這ったそうで、その文字をたどると「宣帰当寺永年昌栄」(この寺に帰依すれば永遠に栄える)となぞったという話があるようですが、そのシーンは展示されていませんでした。

これら1~7巻は谷文晁の考えは入れず、伝統に則って描くようにと松平定信から言いつけられていたようですが、それでも谷文晁の個性と挑戦が出ているとのことでした。表現自体は大和絵っぽいですが、炎の燃え盛る様子などは近代的に見えました。

この近くにはほぼ同じ構図の「石山寺縁起絵巻 巻六・七」もありました。


<第4章 文晁をめぐるネットワーク――蒹葭堂・抱一・南畝・京伝>
最後は谷文晁の人脈のコーナーです。集古十種の編纂のために大坂を訪れた際、当時の文化ネットワークの中心人物である木村蒹葭堂(きむらけんかどう)を出会ったそうで、その親交は亡くなるまで続いたそうです。また、江戸琳派の絵師 酒井抱一、狂歌師で戯作者の大田南畝(おおたなんぽ)、山東京伝などと親しく交流し、合作も残しているようです。さらに谷文晁は優れた教育者であり、渡辺崋山など優れた弟子を輩出したそうで、ここにはそうした交流を示す品々が並んでいました。

99 谷文晁など 「花鳥人物画帖」
当時人気の絵師や文化人の絵や書を集めた84図から成る画帳で、展示されていたページには酒井抱一による雉図、亀田鵬斎の山水図、狩野探船の竹月図、大田南畝の書が描かれていました。画風はバラバラですが、当時の画壇の交流の様子が伺えました。

この近くには谷文晁も絵を描いた江ノ島までのガイドブックみたいな作品もありました。また、少し先には養子の谷文一、実子の谷文二、弟の島田元旦、先妻で従兄弟の谷幹々の作品もあり、谷文晁は画家一家であったことが伺えます。谷文晁は、文二は文一には及ばないと評価していたようです。

108 谷文晁 「花鳥図藁・過眼図藁」
古画の縮尺模写を始めとする縮画や文書の写しなどの本で、木村蒹葭堂の肖像が展示されていました。やや笑っている表情で、優しそうな印象を受けるかな。後に生前のスケッチを元に肖像画が作られたそうです。その表情から良好な関係が伺えました。

この近くには谷文晁の絵を木村蒹葭堂が写した伊豆の風景画もありました。

116 谷文晁・酒井抱一画/亀田鵬斎賛 「老梅図」 ★こちらで観られます
梅の枝先が描かれた作品で、薄っすら長く伸びた枝は酒井抱一が描き、別の枝を谷文晁が描き加え、書家で儒学者の亀田鵬斎が漢詩の賛を寄せています。解説によると、この3人は下谷辺りに住んでいて、下谷の三幅対と呼ばれるほど終生の親交を結んでいたそうです。近くでよく見ても違いを判明するのは結構難しかったですが、琳派風の雰囲気に思えました。

この隣には琳派風の谷文晁の作品もありました。酒井抱一がまとめた尾形光琳百図の序文にも谷文晁が関わっているようで、思っていた以上に酒井抱一と仲が良かったようでした。

少し先には歌川広重の画中画に谷文晁の落款がある作品もありました。八百善(やおぜん)と谷文晁の交流は江戸の人によく知られていたそうで、それを絵に取り入れているようでした。

137 野村文紹 「写山翁之記」
下谷にあった写山楼と名付けられた谷文晁の画塾を描いた作品です。中央に谷文晁が座り、周りには後妻と弟子、息子や孫の姿もあります。また、門前の様子も描かれ非常に賑わっていた様子が伺えました。

この近くには弟子の模写作品もありました。谷文晁はまず古画を模写させ、次に実物の形象を極めさせ、最後に写生を超越して個人様式を完成させるように指導していたようです。


ということで、もう終わってしまいましたが参考になる展示でした。谷文晁がここまで様々なことを手がけていたというのは初めて知りました。今後の鑑賞の際にもまた違った視点で観ることができそうです。



 参照記事:★この記事を参照している記事

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