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竹内栖鳳展 近代日本画の巨人 (感想前編)【東京国立近代美術館】

10日ほど前の土曜日に、竹橋の東京国立近代美術館で「竹内栖鳳展 近代日本画の巨人」を観てきました。この展示は前期・後期に分かれていて私が観たのは前期の内容でした。メモを多めに取ってきましたので、前編・後編に分けてご紹介していこうと思います。

P1120805_20131001232845af4.jpg

【展覧名】
 竹内栖鳳展 近代日本画の巨人

【公式サイト】
 http://seiho2013.jp/
 http://www.momat.go.jp/Honkan/takeuchi_seiho/index.html

【会場】東京国立近代美術館
【最寄】東京メトロ東西線 竹橋駅


【会期】
 前期:2013年09月03日(火)~09月23日(月)
 後期:2013年09月25日(水)~10月14日(月)
  ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日11時半頃です)】
 混雑_1_②_3_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_4_⑤_満足

【感想】
結構混んでいて、あちこちで人だかりができていました。特に1~2章あたりは小さめの作品が多いので列を組んで観るような感じでした。

さて、今回は近代日本画の巨匠 竹内栖鳳の大回顧展となっています。竹内栖鳳は京都に生まれ四条派の幸野楳嶺に学び、京都画壇の旗手となって後進に大きな影響を与えました。1900年のパリ万国博覧会の視察のため渡欧したこともあり、西洋の技法や円山派・四条派など様々な手法を元に西洋と肩を並べられるような美術を目指したそうです。今回は修行時代から晩年まで110点の作品が並ぶ大規模な展示となり、代表作も数多く並んでいました。展覧会は4章構成となっておりましたので、詳しくは各章ごとに気に入った作品と共にご紹介していこうと思います。なお、冒頭にも書きましたとおり、期間が前期・後期に分かれていますので、お目当ての作品がある方は事前に作品リストで確認しておくことをお勧めします。
 参考リンク:
  出品リスト

 参考記事:
  没後70年 竹内栖鳳 前期 (山種美術館)
  没後70年 竹内栖鳳 後期 (山種美術館)


<第1章 画家としての出発 1882-1891>
まず最初は画家としての修行からのコーナーです。竹内栖鳳(本名 恒吉)は京都の料理屋の息子として生まれ、その店にきていた常連が描いた燕子花の絵を見て、墨だけで表現できることに魅了されて絵の道を志しました。13歳で近所の土田英林(四条派の画家)に学んだ後、17歳の頃に幸野楳嶺に入門し、幸野楳嶺の厳格な指導のもと四条派の表現を学びました。幸野楳嶺は四条派の正当な後継者であり、四条派は円山派の写生に軽やかさを加えた画風で、まずはその師の手本を繰り返し模写することから始まったようです。竹内は師に付いて北越地方を回ったり古画を模写するなども行ったそうで、この頃の作品はそうした学習の成果を示すように伝統的な画題や伝統的な筆遣いで描かれているそうです。しかし一方では栖鳳ならではの瑞々しさも湛えているようで、ここにはそうした若いころの作品が並んでいました。

1 竹内栖鳳 「芙蓉」 ★こちらで観られます
これは幸野楳嶺に入門して翌年の作品で、墨のみで芙蓉の花が描かれています。何となく硬い印象を受けてその後の栖鳳の画風はあまり感じないかな。面白いのがこの絵の落款で、この頃はまだ「栖鳳」ではなく「棲鳳」という号を使っているのが分かります。この名前は竹内という実名から鳳凰が竹の実を食べるという伝説にちなんで幸野楳嶺がつけた名前で、後に改めて「栖鳳」となったようです。

この辺には模写作品などが並んでいました。

2 竹内栖鳳 「龍神渡御の図」
これは木目の出ている板に 雲に乗った天女のような人物が描かれた作品で、擬人化された魚たちも行列している様子が描かれています。上のほうにはオレンジの旗がなびき、背景の木目がまるで川のように見えるのが面白いです。解説によると、これは二条城の南側の神泉苑に奉納された絵馬らしく、力強い輪郭線を使っているものの軽やかな印象を受けました。

この近くには雪舟の模写や、動物や鳥、昆虫などの写生帳もありました。

10 竹内栖鳳 「観花」
これは扇を持って舞う骸骨が描かれた作品です。上を見上げていて画面外にある花を見ているのかな。解説によると、これは江戸時代の上島鬼貫の「煩悩あれは衆生あり 骸骨のうへを粧て花見哉」という句を絵画化したものだそうです。かなりリアルな骸骨で、解剖学的な正確さを求める為に病院から80歳を越えた女性の骸骨を特別に借りてきて描いたそうです。華やかなような不気味なような不思議な作品ですが、写生に対する意気込みが伝わるエピソードでした。


<第2章 京都から世界へ 1892-1908>
続いては西洋との関わりについてのコーナーです。明治25年(1892年)に竹内栖鳳は京都美術工芸品展に「猫児負喧」という作品(現存せず)を出品し、円山派・四条派・狩野派といった様々な流派の筆遣いを1つの作品の中で遣いました。しかし、それは「鵺派」(色々な動物の部位を持つ妖怪)と非難されたそうで、当時の画壇には受け入れられなかったようです。また、この時期から西洋画を意識した作品が多くなったようで、海外の美術文献の講読会を開いたり、万国博覧会出品や製造販売の為に海外進出を推し進めていた美術染色業界に関わっていたようです。
そして明治33年(1900年)にはパリ万国博覧会の視察で渡欧し、各地で多くの西洋美術に触れたそうで、帰国すると早速ヨーロッパの風景を西洋絵画的な写実性を帯びた表現で描き注目を集めたそうです。 しかし栖鳳が渡欧体験を通じて最も重視するようになったのは西洋の長所の実物に基づく写生に日本の伝統絵画が得意とする写意(対象の本質を描くこと)を融合させることにあったようで、ここにはそうした西洋との関わりを感じさせる作品が並んでいました。

7 竹内栖鳳 「百騒一睡」
これは以前の山種美術館の記事でご紹介しましたが、6曲1双の屏風でスズメたちが描かれています。左隻はスズメが藁に群がる様子が描かれ、飛んでいたり休んでいたりかなりの数が描かれていて、チュンチュンという喧騒が聞こえてきそうです。一方の右隻は数羽のスズメと目を閉じた洋犬が伏せている姿が描かれ、その周りには戯れる子犬の姿もあります。目を閉じた犬は瞑想しているかのような静かな雰囲気で、聖人のような知性が感じられます。一方のコロコロした子犬は円山応挙がよく描いた狗子図を思わせました。左右で動と静を対比しているのが面白く、「雀の栖鳳」と呼ばれたほど研究していた栖鳳ならではの作品です。

この隣にはリアルなライオンを描いた屏風もありました。これも左右で動と静の対比があります。

14 竹内栖鳳 「虎・獅子図」
金地に墨で描かれた6曲1双の屏風で、右隻に虎、左隻にライオンが描かれています。どちらも写実的で、虎は丸くなって横たわり、前足を舐める仕草をしていて、こちらをじっと見ています。特に毛並みの表現が見事で、緊張感ある顔も素晴らしかったです。一方左隻は岩に乗った横向きのライオンが描かれ、若干頭が大きく見えましたが写実的でふわっとしたたてがみが見事です。しかし岩は漢画のような表現で描かれていて「鵺派」と呼ばれたのも何となく分かる気がしました。

この近くには以前ご紹介した21「象図」もありました。この象はアントワープの動物園で写生したそうです。また、少し先には南画風の20「洞天鳴鶴・仙壇遊鹿」や、この美術館所蔵の28「飼われたる猿と兎」(★こちらで観られます)などもありました。
 参考記事:東京国立近代美術館の案内 (2010年04月)

M-12 竹内栖鳳/四代 飯田新七 「ベニスの月」 ★こちらで観られます
これは栖鳳の原画を元に作られたビロード友禅の作品で、どう見ても大きな水墨の掛け軸に見えますが、よくよく観ると織物だと分かります。ヴェネツィアの夜の景色が描かれ、黒々とした舟と霞むような丸いドームの建物があり、空には薄っすらと月が出ています。西洋画的な雰囲気もありますが詩情溢れる表現は流石といった感じで、さらにそれを友禅にしてしまう職人の技術にも大いに驚かされました。

この近くにもビロード友禅の作品がありました。この頃の京都は、陶芸・染色などの分野でいち早く新時代に相応しい技術を開発しようと積極的に外国人を招聘したり、伝習生をヨーロッパに派遣した他、万博などに参加して海外への販路を求め高い評価を得るなど旺盛な活動をしていたようです。その図案には多くの日本画家・洋画家が携わり、栖鳳もその1人として活躍したようです。そしてこうした仕事を通じて栖鳳は西洋諸国に肩を並べる日本画を目指すという広い視野を獲得できたと考えられるようです。

少し先にはその頃の手紙や意匠を描くために高島屋に2ヶ月間勤務した時の出勤簿などもありました。そんな時期もあったというのも驚きでした。


ということで、今日はここまでにしておこうと思います。本当に素晴らしい作品が多く、非常に充実しているが故に会期が短すぎるのが何とも惜しいところです。栖鳳の回顧展でこれだけ大規模なものは1957年以来とのことですので、日本画ファン必見の内容といえると思います。後編にも見どころが盛りだくさんでしたので、次回は晩年までの作品をご紹介しようと思います。


  → 後編はこちら



おまけ:
今まで「栖鳳」のイントネーションは「せい↓ほう↓」だと思っていたのですが、ガイド解説機では「せい↑ほう↑」と発音していて驚きました。何だか京都っぽいw 先日たまたま観た「美の巨人」では私の認識通りだったけど、どちらで呼ぶのが良いのだろうか…。


 参照記事:★この記事を参照している記事


 
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■2011/9/29
「週刊文春 10月6日号」に掲載されました
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■2009/10/28
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