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【東京国立近代美術館】の案内 (2014年01月)

もう2週間ほど前のことですが、竹橋の東京国立近代美術館で展示を観てきました。その際、常設を観てきましたので先にご紹介しておこうと思います。なおこの常設は期間があり既に終了しておりますが、写真を撮ってきましたのでそれを使ってご紹介していきます。

 ※ここの常設はルールさえ守れば写真が撮れます。(撮影禁止の作品もあります)
 ※当サイトからの転載は画像・文章ともに一切禁止させていただいております。

【展覧名】
 所蔵作品展 MOMAT コレクション

【公式サイト】
 http://www.momat.go.jp/Honkan/permanent20131022.html

【会場】
  東京国立近代美術館 本館所蔵品ギャラリー

【最寄】
  東京メトロ東西線 竹橋駅


【会期】2013年10月22日(火)~2014年1月13日(月)
  ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間45分程度

【感想】
今回は特別展が最終日1日前だったこともあって非常に混んでいました。今回も観てきた順にご紹介していきます。

参考記事:
 東京国立近代美術館の案内 (2013年09月)
 東京国立近代美術館の案内 (2013年03月)
 東京国立近代美術館の案内 (2012年02月)
 東京国立近代美術館の案内 (2011年12月)
 東京国立近代美術館の案内 (2011年06月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年12月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年09月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年05月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年04月)
 東京国立近代美術館の案内 (2010年02月)
 東京国立近代美術館の案内 (2009年12月)


平福百穂 「丹鶴青瀾」
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これは大正天皇の結婚25周年の献上品として描かれた作品で、おめでたい鶴をモチーフに堂々たる雰囲気です。金の流れや翼を広げた鶴が動的な感じで、深い青にも目を奪われました。
この近くには同じく平福百穂の代表作「荒磯」もありました。

萬鉄五郎 「太陽の麦畑」
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強烈な色彩が印象的で、いかにもゴッホから影響を受けた感じがします。しかし当時はモノクロの複製図しかなかったそうで、色彩の強さやマチエールまでも本家に近いものを感じるのには驚きます。力強い生命感が感じられました。

木村荘八 「虎の門付近」
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これは先ほどの萬鉄五郎も参加していたヒュウザン会で発表された作品で、やはりゴッホからの影響を元に制作されているそうです。私にはゴッホというよりはフォーブに見えるかな。太い輪郭や単純化が面白い作品でした。

川瀬巴水 「[日本風景集II 関西篇]より 紀州 瀞(とろ)」
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大好きな川瀬巴水の風景画。木版とは思えないほどの色彩と、叙情的な光景に郷愁を誘われました。
 参考記事:馬込時代の川瀬巴水 (大田区立郷土博物館)

杉浦非水 「帝都復興と東京地下鉄道」
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広告デザインの草分けともいえる杉浦非水の作品。関東大震災は1923年、銀座線開通は1927年でこの作品は1929年なので、いずれからも少し経ってからの時期かな。当時最先端のアール・デコの雰囲気が何とも好み。強調された遠近感が面白い作品でした。

長谷川利行 「カフェ・パウリスタ」
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パウリスタとはサンパウロっ子という意味で、1911年の開店の当時から人気で今でも銀座で続いているカフェを描いたものです。これは長らく行方不明だったのがテレビで鑑定に出されて再び世に出たそうで、なんでも鑑定団かな?w 下宿の家賃代わりにおいて行ったそうです。やや抽象的ですが色合いや単純化が好みで、どことなく佐伯に近いものを感じました。

津田青楓 「ブルジョワ議会と民衆生活 下絵」
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そびえる国会と小さな民家が描かれた作品。タイトルからして反体制的なニュアンスが感じられるかな。小さな家はセザンヌ風にも見えます。国会の上の辺りの空が区切られているのが謎でした。

津田青楓 「犠牲者」
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これは蟹工船で有名な小林多喜二が虐殺されたことに触発されて描かれた作品。キリストの磔刑に匹敵するものを目指したそうですが、何とも無残で痛々しい感じです。津田はこうした作品を描いていたこともあって家宅捜索され一時勾留されていたこともあるのだとか。メッセージ性が強い作品でした。

植田正治 「少女四態」
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これは先日ご紹介した植田正治の代表作。現実の風景なのにどこかシュールに感じられるのが面白い作品です。
 参考記事:生誕100年!植田正治のつくりかた 感想前編(東京ステーションギャラリー)

中西利雄 「夏の海岸」
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色鮮やかな水彩が爽やかな雰囲気の作品。デュフィのような軽やかさが感じられました。

中西利雄 「婦人帽子店」
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こちらも中西利雄の作品で、華やかな作品。帽子の配置が流れるようで、帽子掛けの垂直や水平線、帽子の曲線など構図も見ていて面白く感じました。

鈴木誠 「皇土防衛の軍民防空陣」
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終戦の年に描かれた作品。棒を持つ女性や指揮する兵隊が英雄的に描かれているので、末期の戦争画かな? こんな状況でもプロパガンダ的な作品が作られているというのは現代の感覚からすると異様な感じを受けました。

小野竹喬 「雨の海」
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画面の高い位置に描かれた島が船のようにも見えるかな。手前の潮の流れの描き分けや雨の表現などがしんみりとした雰囲気に思えました。
 参考記事:生誕120年 小野竹喬展 (東京国立近代美術館)

落合朗風 「浴室」
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日本画とは思えないほどモダンな作品。裸婦はゴーギャンを彷彿とさせる豊満な雰囲気で、画面には幾何学的な構成があるように思えました。

榎本千花俊 「銀嶺」
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何気ない一瞬の表情が何とも美しい作品。1942年の作品なので戦時中だと思いますがそうとは感じない優美な印象を受けました。点描のような背景も気になります。


ということで、今回もまだ観たことがない作品がいくつもありました。この美術館の常設も行く度に発見があるので、特別展などで足を運ぶ際には常設も観ることをお勧めします。
この日は特別展も観たので、次回はそれについてご紹介の予定です。

 
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