関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

藝「大」コレクション パンドラの箱が開いた! 【東京藝術大学大学美術館】

先週の土曜日に東京藝術大学大学美術館で 藝「大」コレクション パンドラの箱が開いた! を観てきました。この展覧会は前期・後期で展示品が変わるようで、私が観たのは前期の内容でした(この記事を書いている時点で既に後期の内容となっています。)

20170805 145646

【展覧名】
 東京藝術大学創立130周年記念特別展
 藝「大」コレクション パンドラの箱が開いた!

【公式サイト】
 http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2017/collection17/ 
 http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2017/collection17/collection17_ja.htm

【会場】東京藝術大学大学美術館
【最寄】上野駅

【会期】
 第1期:2017年7月11日(火)~8月6日(日)
 第2期:2017年8月11日(金)~9月10日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
それほど混むことなく快適に鑑賞することができました。

さて、この展示は1887年に東京美術学校として始まり130周年を迎えた東京藝術大学の粋を集めたコレクション展で、過去の卒業生たちの作品なども展示されているという幅広いジャンルの内容となっています。卒業生の作品は開校当時の横山大観や下村観山などだけではなく、現在も活躍している/これから活躍が期待できる作家まで、様々です。そうした多岐に渡る作品がテーマごとに章分けされていましたので、簡単に各章についてご紹介していこうと思います。(特にメモなどは取ってきませんのでちょっとうろ覚えの所もありますw)

<名品編>
まずは地下の展示室に名品のコーナー(一部は3階だったかも)があり、ここは飛鳥時代の仏像、平安時代の鏡、狩野永徳や池大雅など過去の巨匠、高橋由一や浅井忠、狩野芳崖など近世の画家といった感じで日本美術のダイジェストのような感じでした。(狩野永徳や狩野芳崖の悲母観音などは前期しか無いようですが、逆に後期は俵屋宗達や尾形光琳、伊藤若冲など人気の巨匠の作品が観られるようです)
他にも全員ビッグネーム揃いと言った感じで流石は日本最高峰の芸大といった感じですが、ここで一番観たかったのは小倉遊亀の「径」でした。左から順に傘を持つ母親、子供、犬が並ぶ様子がリズミカルで微笑ましい作品です。割と見る機会はありますが、何度観ても心が和みます。

<パンドラの箱>
ここは今回のタイトルのパンドラの箱についての豆知識みたいな感じかなw 原典では箱というよりは瓶みたいなものだったようですが、似た響きの匣にすり替わって行ったそうです。その小瓶や、何故かマルセル・デュシャンのレディ・メイド(既製品)のトランクなどが展示されていました。ある意味、マルセル・デュシャンは芸術の歴史のパンドラの箱を開けてしまった人かもな…等と考えながら観ていました。

<美校の仏教彫刻コレクション>
ここは白鳳時代や天平時代に作られた仏像(の破片)などが展示されていました。これはそれほど見どころに思えなかったので、ちょっと記憶にないw

<「平櫛田中コレクション」展示活動の歩みと関連作品>
ここは自身が彫刻家であり東京美術学校で教授として後進を育てた平櫛田中のコーナーです。平櫛田中は優れた彫刻を生徒達の参考になるように集めていたようで、ここにはそうしたコレクションと自身の作品がありました。特に素晴らしいのは平櫛田中の「活人箭」で、これは弓を引いたポーズの禅僧を彫ったもので、「この矢は人を殺す矢か、活かす矢か」と禅問答して矢を捨てさせたという故事に主題したものです。これを観た岡倉天心(東京美術学校の開設者で平櫛田中の師)は平櫛田中を高く評価するようになったそうです。
 参考リンク:三平開胸 コトバンク

<卒業制作-作家の原点>
ここから3階に移動し、近代絵画から現代アートまで並ぶ展示室になります。タイトル通り卒業制作が並び、まずは横山大観、山口蓬春、和田英作といった東京美術学校時代に卒業した巨匠たちの卒業制作絵画などが並びます。しかし進んでいくと割と知られていない卒業生の作品も多くあり、絵画だけでなく彫金や牙彫(一時期だけ牙彫を教えていたらしい)など様々な作品があり、この章の最後の方には首都高を擬人化した女の子のキャラクターの動画などもありました。(一見すると萌えアニメみたいだけど、そこは芸大だけあって様々なスケッチなど入念な準備が伺える制作過程も併せて展示されていました) 中々カオスな空間になっていますが、これだけ幅広い人材を排出してきたのだというのが一目で分かるかも。

<現代作家の若き日の自画像>
ここは現在活躍している作家たちが残していった自画像が並んでいます。松井冬子 氏などは現在の作風を予見させるようにも思えましたが、村上隆 氏などは思ったよりも渋い感じの自画像でした。 ある意味「らしさ」を感じたのは会田誠 氏で、キャンバスに文庫本が4冊貼り付けてありましたw 本のタイトルは失念しましたが、よっぽどの愛読書なら確かに自画像と言えるかも。こういう発想は流石です。 また、ちょっと名前を忘れましたが、無数の携帯(ガラケー)に自分の写真を表示させたものをうず高く積み上げている作品などもインパクトがありました。

<真似から学ぶ、比べて学ぶ>
この章は何故設けたのか意図がよくわからなかったのですが、鈴木春信の画風を真似て描いた司馬江漢の美人画や、狩野芳崖の悲母観音の下図、菱田春草による徽宗皇帝が描いた絵の模写などがありました。芸術は真似から始めると言いますが、それを言いたいわけでも無さそう。

<石膏原型一挙開陳>
ここは日本で彫刻指導をしたヴィンチェンツォ・ラグーザや、高村光太郎らの石膏の原型などが並んでいました。ヴィンチェンツォ・ラグーザなんて実際の人から型を取ったんじゃないかと疑いたくなるくらいリアルな人物像ですw 結構数もあって見応えのあるコーナーでした。

<藝大コレクションの修復-近年の取り組み>
ここは最近の作品修復を紹介するコーナーで、どこをどう直したという解説付きでヴィンチェンツォ・ラグーザの騎馬像などがありました。彫刻作品などは、持ち物が失われてしまうパターンは多いのかもしれません。 ここで驚きだったのは青木繁の傑作「黄泉平坂」が展示されていたことで、とても得した気分になりました。

<新収蔵品紹介>
ここは平櫛田中の大谷米太郎像のみでした。後期はそれも変わるようです。

<藤田嗣治資料>
ここは晩年はレオナール・フジタとしてフランスに帰化した藤田嗣治のコーナーです。戦時中に軍に協力して絵を描いていたのが戦後になって批判されたこともあり、フランスに帰化するために旅立ったのですが、その頃の手紙などが並んでいました。

<記録と制作-ガラス乾板・紙焼き写真資料から見る東京美術学校>
これは東京美術学校の時代の写真やガラス乾板が並ぶコーナーです。セントルイスやシカゴの万博への出品の様子なども写っていました。


ということで、東京藝術大学が守り・育ててきた様々な芸術を一気に観られる展示でした。ただの名品展ではなく最近の作家も紹介されているのが目新しかったですが、幅が広すぎてちょっとカオスかもw いずれ、それぞれ個別に紹介されるような展示を観てみたいと思わせる内容でした。


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2017/08/13(日) 08:41 | | #[ 編集]
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