関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

タイ ~仏の国の輝き~ 【東京国立博物館 平成館】

記事にするまでちょっと間が空きましたが、7/30に東京国立博物館で日タイ修好130周年記念特別展「タイ ~仏の国の輝き~」を観てきました。

DSC05080.jpg

【展覧名】
 日タイ修好130周年記念特別展
 タイ ~仏の国の輝き~

【公式サイト】
 http://www.nikkei-events.jp/art/thailand/
 http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1848
 http://www.tnm.jp/modules/rblog/index.php/1/category/87/

【会場】東京国立博物館 平成館
【最寄】上野駅

【会期】2017年07月04日(火)~08月27日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
意外にもそれほど混むこともなく快適に鑑賞することができました。たまに人だかりが出来ている作品もありましたが、特に列を作ることもなく自分のペースで観ることができました。
さて、この展示はタイトル通りタイをテーマにした内容で、特にタイにおける仏教美術を中心に紹介していました。メモなど取らなかったのでちょっとうろ覚えなところもありますが、構成に沿って各章ごとに簡単にご紹介していこうと思います。


<第1章 タイ前夜 古代の仏教世界>
ここはまず最初に12世紀末頃の「ナーガ上の仏陀坐像」がお出迎えしてくれました。これは仏陀が修行している時に蛇の神ナーガが己の体を傘の代わりにして風雨から仏陀を守ったという逸話を主題にしたもので、7つの頭を持つ蛇が光背のようになっているのが非常に面白い仏像です。展示の最初からタイの仏教美術の粋を見せて貰った感じです。

そしてこの章ではタイの歴史の始まりをテーマにしていました。様々な国や民族が複雑に入り乱れていてこの展示を観ただけで歴史を把握するのは難しいですが、7世紀にタイにあったドヴァーラヴァティーという国から唐まで使者が来ていたという記録があるようです。かつてはこの国の存在を示す証拠が無かったのですが、銀貨が出てきて証明されたらしく、その銀貨なども展示されています。また、ドヴァーラヴァティーも仏教国だったのですが何故か法輪が厚い信仰の対象になったらしく、巨大な法輪が展示されていました。これが中々に装飾が細かく、大きさも相まって威厳が感じられます。(FFのボスにこんなのがいた気がする…w) 法輪は車輪が転がるように教えが広まることを示すそうですが、これほど法輪ラブな国は古今東西でもこの国だけじゃないかなw
他には8~9世紀始めころのプレ・アンコール時代と言われる時期の仏像などもありました。その時代の呼び名から分かるようにカンボジアの影響が強かったようで、カンボジアのクメール族が信仰していたヒンドゥー教の神が、タイにも伝わっていた様子が分かります。シヴァとパールヴァティーが合体した像とか、もはや仏では無いのもありましたが、日本に限らず仏教は各地の宗教と習合し取り込んでいるので、このような受容は割と納得できました。

ちなみにタイの仏教は上座仏教と呼ばれる出家して修行するスタイルの仏教で、大乗仏教が主流の日本とは異なります。現在でも成人すると出家して托鉢している僧はタイの街に沢山いるそうです。
 参考リンク:上座部仏教のウィキペディア


<第2章 スコータイ 幸福の生まれ出づる国>
こちらは「幸福の生まれ出づる国」を意味する「スコータイ」という1238年にタイ族がひらいた王朝についての章です。この王朝ではスリランカから来た上座仏教を厚く信仰していたようで、その仏像などが並んでいます。
この時代の仏像を観ると、日本の仏像と違って面長で、頭の上につぼみのような炎?があるのに驚きます。また、体も平面的というか滑らかな感じで、日本にある仏像とは趣が異なります。しかし微笑みを浮かべているアルカイックスマイルなどは古代日本の仏像に共通しているようにも思えました。割と日本と対比すると同じ所もあれば違う所もあって面白いです。
ここには一歩踏み出すような「仏陀遊行像」もありました。優美な姿でちょっと腰をくねらせて歩く姿が印象的です。これはこの章でも見どころじゃないかな。


<第3章 アユタヤー 輝ける交易の都>
ここは恐らく今回の展示でも最も豪華絢爛な作品が集まった章です。タイでは14世紀半ばから400年ほどアユタヤーという国が栄えたそうで、海洋貿易の拠点として中東や西洋とも盛んに交流をしていました。その貿易で莫大な富を築いたのですが、ここにはその輝かしい時代を象徴するような精巧で完成度の高い金色に光る仏具が並んでいました。いずれもラーチャブーラナ遺跡にある仏塔から出てきた出土品で、仏像、舎利塔、象の形の置物、金靴、金冠などなどどれも素晴らしい技術で作られています。この時代には上座仏教でありながらインドのバラモンの制度を取り入れるなど集権的な制度が整えられたそうで、そのせいか仏具もここまでの時代の作品に比べて一気にクオリティが上がったように思えました。


<第4章 シャム 日本人の見た南方の夢>
ここは日本とタイの繋がりについてのコーナーです。歴史に詳しい方はご存じかも知れませんが、江戸時代が始まった直後くらいに沼津藩の家臣だった山田長政は1612年に朱印船でタイ(シャム)に渡りました。山田長政は現地で日本人町を作っただけでなく、スペインとの戦いで武勇を上げアユタヤーの王の信頼を得て王女と結婚したという伝説もあるようです。しかし後に政争に巻き込まれて暗殺され、日本人町も反乱の恐れがあると焼き払われてしまうのですが、ここにはそうした時代の遺物が展示されていました。当時の世界地図や、渡海の朱印状、タイで作られた漆器など山田長政の時代の日本とタイの繋がりを感じさせる品々があります。この後の章に出てくるタイで作られた日本刀のように日本からタイへの影響もあれば、タイから日本に伝わった更紗のような品もあるようで当時の文化交流の様子が伺えました。


<第5章 ラタナコーシン インドラ神の宝蔵>
最後はラタナコーシン(インドラ神の宝蔵 という意味)という章で、タイとビルマ(ミャンマー)の戦争でアユタヤーの町が灰燼と化した後の復興の時代についてです。タイはアユタヤーの復興のために新しい都を現在のバンコクに置きクルンテープ(天人の都)と呼んでいたそうです。ここには19世紀頃の仏画や日本刀を模した装飾刀、象の上に座る為の鞍など多彩な品があるのですが、この展覧会で最も注目すべき「ラーマ2世王作の大扉」という作品がありました。この作品だけは撮影が可能なので、写真を撮ったのでご紹介。

とにかくデカいのに細かい! 5.6mもあるそうです。
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様々な動植物が彫られているのですが、欄間のようにくり抜いてあります。一歩間違えば崩壊しそうな繊細さ。

裏面も撮影可能。裏面は鬼神が描かれています。
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こんな巨大で見事なものを国王自ら作れるの?とちょっと疑いの目で観てしまうレベルw 中の方はくり抜いてあって、どうやって作っているのかも不思議に思えるのですが、他に同じようなものを作らせないために国王は使用した道具を全てチャオプラヤー川に捨てさせたという逸話もあるそうです。いずれにせよこれだけのものを観られるのは滅多にない機会だと思いますが、修復に日本も尽力しているそうでこうした機会に恵まれたのかもしれません。こちらはこの夏でも必見の作品だと思います。


ということで、タイの歴史と仏教についての展示となっていました。同じ仏教でも仏像の表現が日本とは異なっているのが面白かったです。造形も豊かで特にラーマ2世王作の大扉には圧倒されました。会期も残り少なくなってきていますので、ご興味ある方はお早めにどうぞ。

おまけ:
この日はちょうど上野公園でタイ・フェスティバルが開かれていました。
20170730 133726
私は地元でタイ料理を食べてから行ったので買いませんでしたが、タイ料理の屋台などもあり美味しそうな香りがしていました。
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