関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

古代カルタゴとローマ展 ~きらめく地中海文明の至宝~ 【大丸ミュージアム・東京】

もう東京では終わってしまいましたが、最終日1日前に大丸ミュージアム・東京で「古代カルタゴとローマ展 ~きらめく地中海文明の至宝~」を観てきました。ちょうど西洋美術館の「古代ローマ帝国の遺産 - 栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ-」をご紹介したので、他の展覧を後回しにして先にご紹介します。(まだまだ巡回するみたいだし) 今更遅いですが西洋美術館の展示と比較して考察すると非常に面白い内容でした。

P1080922.jpg


【展覧名】
 チュニジア世界遺産 古代カルタゴとローマ展 ~きらめく地中海文明の至宝~

【公式サイト】
 http://www.karutago-roma.jp/

【会場】大丸ミュージアム・東京(大丸東京店10階)
【最寄】東京駅
【会期】2009年10月3日(土)~10月25日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日17時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_4_⑤_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
大丸ミュージアムでこれだけの内容を観られるとは驚きでした。巡回先が多いせいか、会期がやたらと短かったのが残念です(この間のイタリア展もそんな感じでしたが…。) 私にとってローマ以上に知識が無く、カルタゴって何?って状態で展覧に行きましたが、この展覧で一気に知ることができました。

<第1章 地中海の女王カルタゴ>
まず、この章では「地中海の女王」と呼ばれるカルタゴの文化と、ローマとの争いについて紹介されていました。簡単にいうとカルタゴはフェニキア語で「新しい街」という意味で、現在のチュニジアの首都チュニス(北アフリカの地中海沿い)にあった文明です。 海洋貿易を元に繁栄を極めましたが、その頃台頭したローマと100年に及ぶ戦争(ポニエ戦争)になり、3度目の戦争で敗れ去りました。その後ローマ帝国の支配下の都市として再興するのですが、それは2章のテーマとなっていました。
この辺の経緯はこちらでも詳しく書いてあります。 http://www.karutago-roma.jp/special/carthage.html

1 「マスク」 ★こちらで観られます
ハニワ?w かなり大きなマスクで、目と口に穴が開いています。半月状の口を大きく開けて、叫んでいるような顔をしていました。隣には死者を守るマスクもありましたが、それはエジプト風だけどフェニキアっぽさもあるということでした。

59 「スフィンクス」
ライオンの体と女性の顔と乳房を持ったスフィンクス。ティアラをかぶり少しにこやかな顔に見えたかな。優雅な感じでエジプトのスフィンクスとは少し違っていました。

7 「奉納石碑」
縦長の石碑です。3段に分かれていて、上部は掌が書かれています。中部にはポニエ語で主神バアルとタニトへの誓願文、下部にはカヌーのような船が描かれていました。簡略化された感じでデザイン的にスタイリッシュな感じです。バアルと言えば、ベルゼバブとしてキリスト教の悪魔にされた神様かな?

57 「葬送用彫像:礼拝者」
墓の上に置かれた石灰岩の像で、理想化された死者(墓主)の姿らしいです。顔は細かいけれど胴は荒削りかも。当時の人の姿がよく伝わってくる石像でした。

28 「ハト形容器」
ハトの形をした水差しかな。背中から水を入れて口から出すんじゃないかと思います。ハトの形が面白くて可愛いです。隣には用途不明のイノシシみたいな置物もありました。面白い意匠で生活の余裕を感じます。

11-18 「マスク型ペンダント」 ★こちらで観られます
ずらっと小さなマスクの形のガラス製ペンダントが並んでいました。これは魔よけの効果があると信じられていたようで、埋葬品にされていたようです。やたらと目が大きくて宇宙人みたいな顔が面白いです。これだけガラスを加工できるのは高度なガラス技術を持っていた証拠みたいです。

47 「黒像式アンフォラ」
黒とオレンジのアッティカ陶器です。アッティカ陶器は何度か見たことがあるので、何故ギリシアの取手付壷がここに?と思ったら、これはギリシアからの輸入品らしいです。側面には盾と槍を持ったアテナと、兵士達が描かれていました。こういうアッティカ陶器は当時のカルタゴで人気があったそうです。ヨーロッパは昔から交易が盛んだったんですね。驚きです。

4 「女性頭部形マスク」
ダチョウの卵に彩色して作ったマスク。これも墓の副葬品として入れられたそうです。パッチリした目で、長いまつげも描かれていて可愛かったです。少女漫画のタッチみたいw

映像コーナー カルタゴの軍港
ここら辺で、映像のコーナーがあって、カルタゴの軍港について説明をしていました。カルタゴには形の違う2つの港があって、海に面した長方形の港と、その奥にある円形の港(ドッグ)を再現CGで解説していました。円形のドッグはまるで宮殿のようで、なんと最大220隻もの船を格納できたのだとか。ドッグの模型もありましたが、とても古代のものとは思えない壮大な建物でした。

40-41 「女性頭部形香炉」
ギリシアのデメテル女神と思われる女神の頭部を模した香炉です。頭の上に台のような冠を乗せていて、そこが炉になっています。均整の取れた彫りの深い美人でした。それにしてもギリシアの影響が強いですね。

38-39 「アシュタルテ女神像?」
愛と美の女神らしいので、イシュタル(アフロディーテ、ヴィーナス)のことかな? 響きとしてはキリスト教で悪魔化されたアスタロトみたいですね。 カゴのようなものを頭に載せている像でした。

51 「イシス女神小像」
エジプトの女神イシスの像もありました。小さくて墓の副葬品として墓を守る効果があると信じられていたようです。ギリシアだけでなくエジプトの文化も混じっているのが分かる像でした。

67 「奉納石碑」
この辺には8体の奉納石碑と骨壷などがありました。先ほどご紹介したものと同様に、手や誓願文や神のシンボルなどが描かれていました。1922年に見つかった遺跡で1000本以上もこうした石碑が見つかったのだとか。♀の形(アンク)やタントというシンボルなどが描かれていて、多様な文化と触れ合ってエジプトやギリシアの神も含めた多神教であったことが改めてよくわかりました。


ここら辺で、カルタゴの英雄ハンニバルについて説明がありました。ハンニバルは最強の将軍として名を轟かせ、ローマ軍に対し連戦連勝だったそうです。戦象と共にアルプス越えをして、イタリア半島に攻め込んだというエピソードもあるようですが、最後はアフリカで負けてしまい、第2次ポニエ戦争は敗北に終わりました。しかし、敗戦後も財政改革を行い賠償金問題を解決するなど軍師としても活躍し、改めてローマに恐れられる存在となりました。ハンニバルを恐れたローマは身柄の引き渡しを要求したのですが、それが決まったときにハンニバルは自ら毒杯を仰ぎ自害したそうです。

特別出展 「鎧」 ★こちらで観られます
これは前述のハンニバルの軍と関係があるのでは?と言われている金の鎧です。腹には女神ミネルバの顔、胸には2つの円形の胸当てがついていて、胸当ての間には花を模した部分もありました。豪華で芸術性も高い貴重な展示品でした。特別展示というだけあります…。

78 「有翼女性神官の石棺」 ★こちらで観られます
大きな石棺に彫刻された女性神官の像です。蓋はギリシア様式、女性神官はエジプト様式のモチーフ といった感じで、文化の融合が見られるという解説がありました。確かに今まで観たことが無いような、何かに似ているような、そんな感覚がありました。

79-86 「コイン」
金貨と銀貨です。それぞれ直径1cm未満から3cmくらいかな? 表面には女神の顔が彫られ、かなり精巧です。ローマ展でもコインを観ましたがこちらも負けていないです。文化レベルの高さが伺えます。


<第2章 ローマに生きるカルタゴ>
ローマとの3度の戦争に敗れ壊滅したカルタゴですが、初代ローマ皇帝アウグストゥスの時代にローマ統治下の都市として再建されました。その後大きな復興を遂げ、ローマ、アレキサンドリアに次ぐ第三の都市として「アフリカのローマ」とも呼ばれたほどだったそうです。

106 「マルクス・アウレリウス帝像頭部」
この像はストア派の哲学者でもあったローマ皇帝の頭部の像です。、立派な髭とカールした頭髪で、痩せた三角形の顔つきをしています。王と哲学者という2面を兼ね備えた風格が伝わってくるようでした。

117 「ヴィーナス像」
頭部と両腕の無い等身大のヴィーナス像です。西洋美術館の展示で観た作品と共通して、薄布をまとい衣のヒダが見事なところがローマ的な感じです。大理石のせいか一層清楚な感じがしました。 近くには頭部だけのヴィーナス像もありました。

127-146 「ローマ式ランプ」
様々なモチーフが彫刻されたランプです。コロシアムの剣闘士のようなモチーフが多かったかな。他にも妖怪のような顔や船と港の風景のようなモチーフもあって面白かったです。


さて、ここまでの内容も結構な驚きがありましたが、真の驚きは最後のコーナーです。 このコーナーはまるでモザイク壁画に囲まれているように素晴らしい壁画が何点も飾られていました。…これには本当に驚きました。よくこんな展示を実現したものです。
モザイクについてはこちらに詳しく説明されています。 http://www.karutago-roma.jp/special/mosaic.html

159 「水を注ぐ女神」「バラのつぼみを撒く女性」 ★こちらで観られます
縦2mくらいの大きなモザイク壁画の2枚組み。まるで額に入っているかのような枠が囲っています。「水を注ぐ女神」は、頭の上に花瓶を構えて水を注いでいる上半身裸の女神が描かれています。背を向けて腰をくねらせ、踊っているようなポーズです。衣が風になびく様な動きや構図も見事で、非常に優美でした。また、「バラのつぼみを撒く女性」も対になるように似たポーズで花を散らしている女神が描かれていて、こちらも素晴らしいです。この展覧でもかなり気に入った作品でした。

157 「ゾウとニシキヘビ」
象に巻きついた巨大なニシキヘビを描いたモザイク壁画です。象の腹からは血が滴る様子が描かれていてちょっとグロ怖い。狩猟をテーマにした内容らしいですが生々しい感じでした。

160 「ネレイスと海獣」
背を向けた裸のネレイス(ギリシアの海神ネレウスの娘)が、海馬ヒッポカンポスに載っているモザイク壁画です。イルカも右下のほうに見えます。これは水を題材にしているだけあって浴室に飾ってあったようです。ネレイスの緩やかなポーズが見事でした。

148-151 「野ウサギの追跡」「落馬する狩人」「野ウサギの捕獲」「狩猟からの帰還」
これは4枚セットのモザイク壁画です。落馬した瞬間や、野うさぎが猟犬に食いちぎられる様子など、狩猟の様子が生き生きと写実的に描かれていました。一気に観られるのが面白いです。

152 「メドゥーサ」 ★こちらで観られます
頭が蛇のメドゥーサが描かれたモザイク壁画です。普通、メドゥーサは恐ろしいものですがこの壁画はあんま怖くない。むしろ独特の美しさを持っているように思えました。どうやらカルタゴでは豊穣や魔よけとして好まれたようです。

ということで、素晴らしい内容でした。もうちょっと会期が長ければよかったのに勿体無いです。この後、岡山、岩手、京都、浜松、宮崎、名古屋と来年の11月まで長い旅に出るようですので、もし機会があったら行ってみると驚きがあると思います。
(巡回の日程などは公式サイトをご覧ください http://www.karutago-roma.jp/top.html


おまけ: ついでに大丸・東京の1Fにある、ねんりん家さんでバームクーヘンを買いました。10分くらい並ぶ人気店です。
 公式サイト:http://www.nenrinya.jp/

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買ったのはストレートタイプの小サイズ。1050円也。
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味が濃くて美味しかったです(><) 大丸ミュージアムのお土産に是非w
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評価




コメント
No title
チュニジアは一度行ってみたいとずーっと思ってる国だから、
とても興味のある展覧会です。。
でももう終わっちゃったんですね

なかなか美術を見に行けないけど、ここで色々と知る事が出来るから嬉しいな☆

今日も応援ポチ~^^♪
2009/10/28(水) 10:32 | URL | アスカリーナ #BWgGc7Fk[ 編集]
Re: No title
ご紹介が遅くなってすみません(><) 何しろ会期が短い展覧でした。 あれを観たらチュニジアもいつか行ってみたい…と思いました。 気候的にもいいところみたいですねー。

いつも応援していただき本当にありがとうございます!
アクセスはそこそこあるのですがあんまり反応がなくて、誰か読んでくれてるのか心配だったりしますw
こつこつ書いていきますので、興味のある展覧を探して観てください^^
2009/10/29(木) 01:17 | URL | 21世紀のxxx者 #-[ 編集]
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