関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

日本磁器ヨーロッパ輸出350周年記念 パリに咲いた古伊万里の華 【東京都庭園美術館】

先日ご紹介した松岡美術館に行った後、近くの東京都庭園美術館に移動して「日本磁器ヨーロッパ輸出350周年記念 パリに咲いた古伊万里の華」を観てきました。この日はお金を使わないというコンセプトで美術館を巡っていたので、ここも「ぐるっとパス」を使って入場料を払うことなく観てきました。

参考:ぐるっとパスの公式サイト 

P1080901.jpg P1080906.jpg



【展覧名】
 日本磁器ヨーロッパ輸出350周年記念 パリに咲いた古伊万里の華

【公式サイト】
 http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/koimari/index.html

【会場】東京都庭園美術館
【最寄】目黒駅(JR・東京メトロ) または 白金台駅(東京メトロ)
【会期】2009年10月10日 ~ 2009年12月23日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(日曜日16時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
今年はオランダとの国交開始から400年という記念すべき年なので、美術展もオランダ関係が多いのですが、これもオランダ後援の展覧会で、予想以上に貴重な作品が並んでいました。

いつもなら気に入った作品を章ごとにご紹介するところですが、リストをもらえませんでした(><) そこで、音声ガイドで説明があった(というか作品名の入った紙が持ち帰れた)作品についてご紹介しようかと思います。
リストが無いので、どこで章が変わっているかわかりませんが、流れとしては以下の4つの章に分かれていました。

 <第1章 欧州輸出の始まりと活況(寛文様式1660~70年代)>
 <第2章 好評を博した日本磁器の優美(延宝様式1670~90年代)>
 <第3章 宮殿を飾る絢爛豪華な大作(元禄様式1690~1730年代)>
 <第4章 欧州輸出の衰退(享保様式1730~50年代)>


展示されている順序は概ね章にそった感じですが、序盤は謎の順序でした(見所的な意図なのかな?) とりあえず観た順にご紹介します。

「色絵花鳥文蓋付大鉢」 ★こちらで観られます(4章) 
金の幹の桜の枝に鳥が留まっている様子や、松が描かれている鉢です。それにルイ15世時代の金属細工が施されていて、西洋と東洋が融合している感じでした。貴族の持ち物らしい豪華な雰囲気です。

「染付牡丹文蓋付大壷・大瓶」 ★こちらで観られます(3章)
藍色の模様の大きな壷。5点セットで中国の景徳鎮みたいな感じです。中国は一時、国内の政治不安で輸出を減らしていたようですが、その後本格的に再会して伊万里と激しい競争になったそうです。

「染付漆装飾花束菊文蓋付大壷」 ★こちらで観られます(3章)
高さ90cmもある大きな壷。陶器に漆細工が施されています。最初から漆を塗るように作られているという説明がありました。豪華な品で、ヨーロッパの国王クラスの注文のようです。同じ工房で作られた「金彩菊花短冊花束唐草文大皿」も近くで展示されていましたが、そちらも見事でした。

「染付鯉蓮波文手付水注」
鯉の頭がモチーフになった水差しで、面白いです。藍色の濃淡で描かれていた染付けも見事でした。

「染付岩牡丹鳳凰柘榴文八角蓋付大壷・大瓶」
ろくろで丸く作った後、へらで角をつけた5点セットの作品。柘榴と鳳凰が描かれています。全体的に高い完成度を感じました。キリッとした感じです。

「色絵甕割人物文八角皿」
乳白色の皿に余白を大きく取った色絵が描かれていて、典型的な「柿右衛門様式」の特徴が観られます。司馬光という人の故事が題材となっていて、大カメのハマってしまいこのままでは溺死しそうな子供を、少年時代の司馬光がカメを割って助ける様子を描いています。カメから水が流れ出した様子や、すっぽりハマった友人を引っ張り出そうとしている子供も描かれていました。色彩も赤が鮮やかで、私のイメージする伊万里っぽい感じだったw

「色絵唐人邸内図大皿」
色絵の大きな皿です。輸出用で緑や水色なども使われていて「金襴手様式」という様式のようです。この「金襴手様式」は、乳白色ではない染付素地に赤や金を多用する様式で、中国の景徳鎮の影響を受けたらしいです。でもこの作品は金は少なめだったかな。カラフルで美しかったです。

「色絵菊文蓋付双耳鉢」
取っ手のついたヨーロッパ向けの壷。金や赤をふんだんに使って、菊などが描かれています。全体的にこってりした雰囲気でヨーロッパの人が好きそう。
名前は分かりませんが、近くにあったカップのセットは受け皿に花びら形の穴を開けていたりして優雅で可愛かったです。

「染付芙蓉手花鳥文大皿」
1660年頃の初期の輸出用作品。中国の明(みん)末期の景徳鎮を模倣したものらしいです。かなり大きい皿で、これが最大級の大きさのようです。青一色で、岩にとまる鳥や飛ぶ鳥、牡丹などが描かれていました。

「染付山水唐人物文輪花大皿」
花びらの形をした皿です。型打成形という技法で作られているそうです。その名から察するに叩いて型を作ったのかな? 皿には中国の風景が描かれていて、表現力や技術の高さは既に凄いものがありました。

「色絵棕櫚草花文髭皿」
円形の一部が半円状に欠けてる(満月がちょっと欠けた感じ)の形をしたお皿です。何故そんな形をしてるのかと思ったら、欠けている部分に首を入れて髭をそり、その皿で落ちる髭を受けるそうです。形も面白いですが、金と赤が多い色絵が華やかでした。

「色絵牡丹文手付杯」
輸出用の柿右衛門様式のビールジョッキです。そんなものまであったのか!?と驚きましたw ビールは昔も庶民の飲み物でしたが、これは上流階級のものです(当然ですねw) 簡素な感じで牡丹が真っ赤に描かれていて、いかにも柿右衛門という雰囲気でした。好みです。

「色絵邸宅牛文蓋付大壷」
輸出用の大壷です。輸出時代の前期は中国の風景を描いたものが多かったようですが、後期は中国との競争に勝つために、日本の風俗を題材にした作品が増えたそうで、これもそういった品です。蓋の上には遊女が載っていて、描かれた屋敷や草花は日本風でした。
この頃、景徳鎮は逆に伊万里の色絵を参考にしていたらしく、それらは「チャイニーズイマリ」と呼ばれてたそうです。日本は鎖国してた割りに、パクりパクられの厳しい競争をしてたんですね。

「色絵花鳥文蓋付壷」
これは初期の輸出品で、被せ蓋のついた中型の壷です。ぼかしの技術(ぼかしダミ)が使われ、鳥や木の葉に立体感を出していました。

「色絵花鳥文皿」
初期の色絵としては珍しく、薄い黄緑や薄い黄色などで爽やかな皿です。中国の芙蓉手模様が使われていると解説されていました。

「色絵粟鶉文コーヒー・ポット」
台形のコーヒーポットで、下の方に金属の蛇口がつけられています。薄い金色の側面と金の蛇口がよく合っていて、東西の融合を感じました。また、周りにはティーカップもありました。輸出品の中で量的に多かったのはティーカップらしいです。

「染付柘榴仏手柑VOC字文大皿」
柘榴の絵が描かれている大皿で、真ん中にオランダ東インド会社のVOCマークが描かれています。(参考:オランダ東インド会社のwiki) 
この皿は中国のものを意識して作られたようで、隣には似たような景徳鎮の皿があり比較して観ることができます。うーん、この2枚なら景徳鎮の方が好みかもw 中国はコストが安くて競争がますます激しくなったそうです。

「色絵傘持婦人文大皿」
橋を渡る遊女とお付きの禿が描かれている大皿です。禿が傘を持って遊女の頭の上にさしていて、優美な雰囲気が漂います。また、全体を亀甲地文で囲っていて、非常に鮮やかな赤が印象的でした。

「染付牡丹文大瓶」 ★こちらで観られます
大瓶に、流れるような曲線をしたバロック様式の金属の台と注ぎ口が付いています。この作品の周りにも、同じように金属の取っ手や台が付いた皿や花瓶があり、いかにヨーロッパ貴族の間で珍重されていたかよくわかりました。

「色絵法螺貝形置物」
法螺貝の形の置物で赤い巻貝が立っていました。形が面白いw
また、周りには、大きな鯉に抱きつく子供の置物や、鯉にまたがる子供、滝を登る鯉など面白い意匠の作品が多かったです。

「色絵鯉滝登り牡丹獅子文蓋付角瓶」 ★こちらで観られます(4章) 
四角い形の瓶で、滝を登る鯉が描かれています。非常にカラフルで派手な感じがします。黒地の部分が見られるのですが、これは漆との合作からより漆に近い表現が求められた結果らしいです。マリア・テレジアのコレクションなどにロココ様式の飾りをつけた同じような作品があるらしいです。


ということで、逆に日本では中々観られなそうな輸出品の伊万里が多い展覧会でした。中国との競争なども面白いエピソードで、今後の鑑賞にも参考になりそうです。
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