関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

所蔵作品展 【損保ジャパン東郷青児美術館】

先週、寒空に雨が降りしきる中、損保ジャパン東郷青児美術館で「所蔵作品展」を観てきました。ここはいつも常設展示もありますが、これだけ一気に観られる機会は中々ないので、逆にちょっと楽しみにしていました。

P1100275.jpg


【展覧名】
 所蔵作品展

【公式サイト】
 http://www.sompo-japan.co.jp/museum/exevit/index.html

【会場】損保ジャパン東郷青児美術館
【最寄】新宿駅
【会期】2009年12月5日(土)~12月27日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
初日に行ったせいか、または寒い雨の日だったせいか、かなり空いていてゆっくり観ることができました。今回の展示では作品リストが無かったので、メモだけが頼りですが、いつもどおり章ごとに気にいった作品をご紹介します。

<Ⅰ 東郷青児とゆかりの洋画家>
やはりここの所蔵品で多いのは東郷青児氏の作品です。最初は東郷青児中心のコーナーでした。

東郷青児 「ビルヌーブ・ルーベ」
キュビスム風の家が三角形の塔のように積み重なっているかのように見えます。セザンヌからの影響を感じる作風でした。

東郷青児 「超現実派の散歩」 ★こちらで観られます
空中で両手をあげる人物が描かれています。体は真っ白で左手と右足だけ黒い、不可思議な超現実の人間です。頭上の三日月を掴もうとしているのかな? 意味はわかりませんが、どことなく懐かしいような、不安のようなものを感じます。

東郷青児 「鳥と少女」
白い鳥、鳥の巣に入った卵、身をくねった少女が描かれています。少女の指は長く、全身しなやかで少し萌えが入った東郷ならではの美女でした。女性の優美さと神秘性が強調されているように思います。

東郷青児 「思い出の街」
全体的に薄い朱色で、手前に手を交差させる朱色の服の美女が描かれ、背景にはビルのようなものが浮かんで見えます。その色から郷愁を感じ、時間が過ぎ去ったような雰囲気すらします。
なお、この絵の周りには同じ少女を描いたと思われる絵が4枚ありました。いずれも首が長めで目をつぶり睫毛が長い特徴がありました。

東郷青児 「日蝕」
左上にダイヤモンドリングが出た日蝕が描かれ、その先は闇が広がっています。そして中央辺りでは2人の裸婦が絡みつくようにポーズをとっています。この女性達が何を意味しているかわかりませんが、日蝕の神秘性に似つかわしい女性像でした。 この辺には歴史や地域を題材にした少女の絵がありました。こうしてよくよく見ると、東郷青児はローランサンやモディリアーニ、ピカソなどと共通の要素を感じます。

岸田劉生 「自画像」
初夏の頃にここで行われた岸田劉生展でも展示されていた作品。色々な意味で濃い作品で生命感を感じます。

井上覚造 「猟人日記」
石を組み合わせて作った門のような壁のようなものが立っていて、背景には湿原が描かれています。現実ではありえないバランス感で、背景とあわせてシュールな雰囲気でした。

<Ⅱ 日本画>
あまり点数はありませんでしたが、日本画のコーナーもありました。ここの作品は観たことない作品がほとんどだったかも。

山口華揚 「幻化」 ★こちらで観られます
草原で円になって飛び跳ねる2匹のキツネが描かれています。ぼんやりとした色彩で幻想的な雰囲気が漂います。大きなキツネの尻尾は柔らかそうなフワフワ感がありました。 また、この絵の隣にあった「猿」もよかったです、

東山魁夷 「潮音」
岩山と空かと思ったら、岩と海の波を描いた絵でした。うねる波の泡が流れるようで、岩は力強く険しい表情を見せます。右のほうで流れ落ちる水は、細かい観察眼を持って描かれているリアルさがありました。神聖な感じすら漂った作品でした。

平山郁夫 「ブルーモスクの旅」
つい先日亡くなった平山郁夫の作品。鮮やかな青い夜空と満月を背景に、モスクと塔が描かれています。空の星は無数にあり、静かな夜を思わせました。

<Ⅲ 海外の作家(1) グランマ・モーゼス>
この美術館はグランマ・モーゼスも常設でよく観られる画家です。去年の夏に、ここで「アンドレ・ボーシャンとグランマ・モーゼス展」が開催されていましたが、そこで観た作品も展示されていました。なお、本名はアンナ・メアリ・ロバートソン・モーゼスで、「おばあさん」の愛称で、グランマ・モーゼスと呼ばれます。

グランマ・モーゼス 「春うらら」
広い牧場の緑鮮やかな草原と、ピンクの花をつけた木(桜かな?)が描かれ、周りでは人々が踊ったり農作業をしています。絵自体が子供のように自由に描かれ可愛らしく、のんびりしていて幸福感が溢れていました。

グランマ・モーゼス 「夕暮れ、森のキャンプ」
刺繍でできた小さな絵です。山の上に昇る月と川の畔で赤々と燃えるキャンプの炎が心休まるような光景になっていました。

グランマ・モーゼス 「厩の屋根葺き」
これは何と91歳の頃の作品。手前の家の屋根で、4~5人の人が屋根葺きをしています。馬で荷物を運ぶ様子や、馬で畑を耕す様子などもかかれ、のどかな農村の風景が広がります。この作品も薄く鮮やかな緑が爽やかでした。

グランマ・モーゼス 「トロイの大火事」
屋根のついている橋が、黒煙をあげて燃える様子が描かれています。以前この絵を観た際の記憶によると、グランマ・モーゼスはこの火事のことを後々まで覚えていて、その記憶を頼りに描いた作品だったと思います(多分そうだったはずw) バケツリレーしている様子や、人々がかけつけてくる様子は緊迫していますが、画面の右側では平和な町並みが広がりギャップを感じます。この人には珍しくドラマチックな感じの絵です。

グランマ・モーゼス 「砂糖作り」
これは常設でよく観るんじゃないかな。一面が雪に覆われている中、小屋の前の広場に人々が集まって木(白樺?)から砂糖をとる様子が描かれています。大きな釜がたかれそこからパイプが伸びています。周りでは子供がはしゃいだり、荷物を運ばせたりと、お祭りのように賑やかで楽しげな雰囲気が漂っていました。

<Ⅳ 海外の作家(2) 印象派以降のフランスの画家達>
最後は王道の印象派以降のフランス画家の作品です。なんと言ってもここはゴッホのヒマワリで有名な美術館です。

ピエール=オーギュスト・ルノワール 「帽子の娘」 ★こちらで観られます
これも常設でよく観る作品。右横向きで、頬杖をつく帽子を被った女性が描かれています。肉感的でバラ色とも言われるルノワール独特の色合いで顔に生気と魅力を与えています。ルノワールの女性観がよく分かる作品だと思います。

ジョルジュ・ルオー 「悪の華 辱めを受けるキリスト」
版画作品です。頭の上で手を組むキリストが描かれています。ルオーらしい太い輪郭でかかれ、顔には深い悲しみの表情が見られました。

ジョルジュ・ルオー 「悪の華 悪魔Ⅲ」
これも版画です。中年くらいの男性の顔(顔だけ描かれています) ぎょろっと大きな目で、歯をむき出しにして何かを話しかけてくるようです。顔は実物大なのに目が異様に大きくインパクトがある作品でした。

最後にはいつもどおり、
 ポール・セザンヌ 「りんごとナプキン」 (戻ってきました)
 フィンセント・ファン・ゴッホ 「ひまわり」
 ポール・ゴーギャン 「アリスカンの並木道」
の3枚の特別室もあります。これも含めて今回はこの美術館の作品をじっくり見直すことができました。

ということで、若干脈絡のない展示内容だとは思いますが、今まで観たことのある作品が多くて、これはこういう絵だったなあと思い出しながら観ていました。ここの特別展に通い続けていない方にはちょっとわかりづらいかも?と思いますが、良質なコレクションで、観るだけでも楽しめるのではないかと思います。期間も短いので、そんなに盛り上がりそうもないですが、私にとっては面白い内容でした。

おまけ;あいにくの天気でしたが、この日の展望
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この日はこの後、初台のオペラシティに向かいました。
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