関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

日本美術院の画家たち 【山種美術館】

前回ご紹介したサントリー美術館と同じ日に、山種美術館の「日本美術院の画家たち」も見てきました。

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【展覧名】
 日本美術院の画家たち

【公式サイト】
 http://www.yamatane-museum.or.jp/exh_current.html

【会場】山種美術館
【最寄】JR・東京メトロ 恵比寿駅
【会期】2010年11月13日(土)~12月26日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間20分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
混んでいるわけではありませんが、結構お客さんが入っていました。
さて、さっそく内容についてですが、タイトルどおり日本美術院の画家たちの作品を集めた展示となっています。元々、山種美術館は日本美術のコレクションが充実していますが、今回の展示は明治から平成にかけて、院展の出品作を中心に素晴らしい作品が並んでいました。詳しくはいつもどおり気に入った作品をご紹介していこうと思います。

菱田春草 「月四題のうち 夏」 「月四題のうち 秋」
2幅の掛け軸です。タイトルから恐らく4幅セットなのではないかと思いますが、この日観たのは夏と秋でした。夏はぼんやりした靄がかかったような中、柳?が垂れていて、背景に大きな月が靄に溶け込むように描かれています。 秋は葡萄とその葉っぱが描かれ、背景に大きな月が描かれ、こちらもぼんやりした感じとなっています。葡萄の葉はにじみがあり、これは琳派の「たらしこみ」の技法であると解説されていました。繊細な濃淡が見事で、ぼや~っとした情感が素晴らしかったです。これを描いた頃には視力が衰えていたようですが、まったくそうには思えなかったです。

小茂田青樹 「丘に沿える道」
埼玉県の狭山付近を描いた風景画です。緑や青の丘陵が広がり、見下ろすように村の家々も描かれていて、所々に黄色く染まる畑も目に鮮やかです。目の前に広がるような臨場感があり、装飾性も感じられました。 ちなみに小茂田青樹は速水御舟と同じ日に画塾に入ったのだとか。

速水御舟 「朝鮮牛図」
横向きの黄色っぽい牛を描いた作品で、全体的に柔らかい印象を受けました。牛はやけに絵の左のほうに立っていて、右には余白があります。解説によると、これは一歩踏み出した感じを出すための表現とのことでした。なお、当時これと共に「供身像」(赤主体の作品)、「樹木」(緑主体の作品)という、3原色の対比となる3点を院展に出したそうです。

小林古径 「清姫のうち 日高川」 ★こちらで観られます
能の題材で有名な道成寺の物語を描いた8枚の作品がずらりと並んでいました。これは今回の展示のポスターにもなっている作品で、以前にもご紹介したかな。 十二単の女性が髪と着物をなびかせて川に向かっている作品です。それ以外にも龍のような蛇となった清姫が鐘に巻きつくシーンなどもあり、鬼気迫る感じもしますが、どこか気品がある作風です。古径はもっと自由に描きたかったとも解説されていました。
 参考記事:大観と栖鳳-東西の日本画 (山種美術館)

この辺には大観の屏風と掛け軸などもありました。

速水御舟 「翠苔緑芝」 ★こちらで観られます
以前ご紹介した4曲1双の屏風です。右隻は金地にビワ、ツツジ、緑の苔などが描かれ、苔の上に猫が転がっています。左隻は芝の上で寝転ぶウザギとアジサイが描かれていて、どちらも琳派のような装飾的な雰囲気があります。この作品は御舟にとっても自信作だったようで、この美術館でも屈指の名作じゃないかと思います。
 参考記事:速水御舟展 -日本画への挑戦- (山種美術館)

この辺には奥村土牛の「鳴門」や写生帖なども展示されていました。
 参考記事:生誕120年 奥村土牛 (山種美術館)

小倉遊亀 「舞う(芸者)」
2枚セットの大きな作品で、どちらも金地に踊る舞妓が描かれています。左は扇子を持った手を挙げる紫の着物に赤い帯の舞妓、右は振り返るようなポーズの黒い着物のの舞妓が描かれていました。デフォルメされ絢爛な感じがしますが、微笑むような表情などから楽しげな雰囲気も感じました。

平櫛田中 「雲林先生」
こちらは絵画作品ではなく着色された人物木像です。雲林先生と言うのは中国の4大画家の1人らしく、着物に黒い頭巾を被り、手には巻物と瓶を持っています。細かく写実的な彫りで表現されていて、特に顔は清廉な人柄を思わせる表情をしていました。この作品にはモデルがいるらしく、「烏有先生」という作品とよく似ているとのことでした。

横山大観 「春の水・秋の色のうち 春の水」 「春の水・秋の色のうち 秋の色」
2幅セットの掛け軸で、右に春、左に秋が展示されていました。春は畔に桜が咲く大きな川に、切り出した木材をいかだにして運んでいる4人の男が描かれています。秋は川とその脇で馬に乗って狩猟する2人の男と、紅葉が描かれていました。どちらも爽やかで気品を感じる色合いでした。日本の四季の美しさが伝わってきます。

守屋多々志 「聴花(式子内親王)」
4曲の屏風です。画面一杯に描かれたデフォルメされた桜の下、十二単の貴族風の女性が座っています。どうやらこの女性は歌人として有名な式子内親王らしく、着物は華やかですがどこか儚げな感じがしました。 また、周りを囲うような桜は、何故かくすんだような色をしていたのですが、元々こういう色だったかはわかりませんでした。解説によるとこれは式子内親王の歌にちなんだ作品のようでした。

安田靫彦 「平泉の義経」 ★こちらで観られます
老いた藤原秀衡と若い源義経を描いた絵です。目が強く、威厳のある秀衡と、まだ幼い感じもありつつも凛々しい義経の対比が面白かったです。
 参考記事:ゆめやかた [夢館奥州藤原歴史館]の案内 (番外編 岩手)

吉田善彦 「尾瀬三趣のうち 水辺の夕」
尾瀬の湿原を描いた2枚の作品です。ぼんやり淡い色彩で描かれ、霧で霞んでいるような感じがします。静かで雄大さを感じる作品でした。

この辺は大きな作品が多かったです。院展の出品作だからかな?

岩橋英遠 「暎」
山に沈む太陽を背景に、夕日に染まる田んぼを描いた作品です。手前に大きく翼を広げて飛ぶ鳥が描かれ、水面に影を落としています。作品自体が大きいせいもあり、その場にいるようで、赤が心に染み渡る感じでした。

森田曠平「夜鴬 アンデルセン童話集より 隣国よりの贈物」
ナイチンゲールの物語を描いた作品で、会期によって場面替して展示しているようです。私が見たのは、沢山に人々が並び様々な贈り物や珍しい動物(ラクダや豹?)を皇帝に献上する様子が描かれた作品です。行列の先頭にはお盆に載ったゼンマイ仕掛けのナイチンゲールが描かれ、宝石がちりばめられた金色をしていました。絵全体も華やかで、色とりどりで楽しそうな感じです。しかし、本物のナイチンゲールは密かに逃げてしまうようです。 この前後の場面のコピーも見たのですが、できれば全部一気に観たかったw

この辺には鵜を描いた作品や山の宝塔を描いた作品もあり、どれも好みの作品でした。ここら辺で第一会場は終わりで、第二会場の小部屋は平山郁夫のコーナーでした。

平山郁夫 「バビロン王城」
6曲の屏風です。レンガ造りの大きな建物が画面いっぱいに描かれていて、イシュタル門空中庭園といったバビロンの城の内部も描かれているようです。非常に堅牢な印象を受ける壮大な作品ですが、これは想像して描いたもののようでした。平山郁夫と言えば青が印象的な日本画を思い浮かべるので、これはちょっと驚きでした。

平山郁夫 「阿育王石柱」
真っ青な背景に茶色の石柱がぽつんと立っている作品です。柱の頭には3頭のライオンが描かれ、まさにそびえるといった趣がありました。実景を元にしていると思いますが、背景のせいか現実を超えたような幻想的な雰囲気がありました。


ということで、山種美術館の珠玉のコレクションを拝むことができました。つい最近見た作品も結構ありましたが、これだけ素晴らしい作品であれば何度観ても楽しめます。近代日本画が好きな方は特に面白い内容じゃないかな。お勧めです。
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