関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

大正イマジュリィの世界 デザインとイラストレーションのモダーンズ 【松濤美術館】

つい先日の土曜日に、渋谷の松濤美術館に行って「大正イマジュリィの世界 デザインとイラストレーションのモダーンズ」を観てきました。

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【展覧名】
 大正イマジュリィの世界 デザインとイラストレーションのモダーンズ

【公式サイト】
 http://www.city.shibuya.tokyo.jp/edu/koza/11museum/tenrankaisyosai.html#15
 http://www.city.shibuya.tokyo.jp/est/museum/index.html

【会場】渋谷区立松濤美術館 ★この美術館の記事  ☆周辺のお店

【最寄】神泉駅/渋谷駅


【会期】2010年11月30日(火)~2011年1月23日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間20分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
 混雑_1_2_③_4_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
思った以上にお客さんがいて、混んでいるというほどではありませんが、賑わっていました。

今回の展覧会は「大正イマジュリィの世界」ということですが、そもそもイマジュリィってなんだ?と思ったら、これはフランス語でイメージ図像を指す言葉だそうです。「デザインとイラストレーションのモダーンズ」の方が今回の展覧会の趣旨としてわかりやすいかな。大正期のポスターや本の装丁・挿絵などから雑誌や絵葉書など、様々なところに使われたイラストを展示する内容でした。 2部構成で、地下が第1部、2Fが第2部となっていて、全部で約300点と非常に点数も多い充実の内容となっていました。あまりメモを取らなかったので、今回は1点ずつ紹介するのではなく、会場の雰囲気がどんな感じだったか、ざっくりご紹介しようと思います。


<第1部 大正イマジュリィの13人>
まず1部ですが、ここには13人の作品が並んでいました。最初にあるボードでは白樺派の「真善美」というのを説明していましたが、特に分からなくても問題ありません。

[藤島武二]
まずは洋画家の藤島のコーナーです。杜若を図案化したものや、本の表紙や装丁、カレンダーなどがありました。藤島作品は様々なところで観ますが、こうしたものは初めて観るものが多く、作風も様々で新鮮味がありました。こういう仕事もしていたのかと、参考になります。

[杉浦非水]
続いて杉浦非水です。大正時代のポスターと言えばこの人抜きには語れないかな。三越のポスターやアール・ヌーボー/アール・デコ風のポスターなどが並んでいました。この人の作品は単純化された中にも独特の暖かみのようなものを感じます。
 参考記事:所蔵作品展 アール・デコ時代の工芸とデザイン (東京国立近代美術館 工芸館)

[橋口五葉]
この人は「我輩は猫である」の装丁にも関わったそうです。もともと日本画の橋本雅邦に師事し、後に洋画に転向しています。浮世絵の研究もしていたとのことで、浮世絵風の作品やアール・ヌーボー風など、様々な画風を見せてくれました。

[坂本繁二郎]
牛や馬の画家として認知されている画家だけに、やはり牛を描いた作品などがありますが、油彩と何か違いを感じます。郷愁を誘う雰囲気は共通するけど色合いとかかな。これも参考になるコーナーでした。
 参考記事:
  東京国立近代美術館の案内 (2010年09月)
  ポーラ美術館の常設

[竹久夢二]
私はあまり好みではないですが、この人も忘れてはいけない存在ですね。レコードのジャケットなどが展示されていて、夢二らしい作風の作品が多かったと思います。

[富本憲吉]
この人はバーナード・リーチとも交流のあった陶芸家です。結構、素朴というかプリミティブというか(同じかw)、力強さを感じる作品が多かったかな。

[高畠華宵]
このコーナーは線が細い女性像が多く、いずれも目が色っぽいのが良かったです。妖艶な雰囲気すら漂っていました。大正時代の絵を漠然とイメージすると、日本画とも洋画とも言えないこの人の画風はそれに合っている気がします。

[広川松五郎]
本業?は染色の人です。本の各ページの上部が影絵のようになっているカットなどが展示されていました。デザイン的で線の細い感じを受けました。

[岸田劉生]
岸田劉生のコーナーもありました。洋画で有名な人ですが、ここに並んだ作品はどちらかと言うと日本画作品の方に近い画風だったように思いました。麗子っぽい子供もよく描かれていましたw
 参考記事:没後80年 岸田劉生 -肖像画をこえて (損保ジャパン東郷青児美術館)

[橘小夢]
この人は初めて知ったのですが、素晴らしいですね~。繊細で優美な女性像が多いのですが、妖しい!w 耽美で艶やかで怪奇で…。洋画を黒田清輝に、日本画を川端玉章に学んだそうですが、師匠たちとはだいぶ違いましたw 今後もっと沢山作品を観たくなりました。

[古河春江]
古河春江もあってちょっと驚き。独特のシュールな感じも少し感じますが、よく観る絵画作品とはまた違った感じかな。結構、よく観る画家でもイマジュリィとなると違って見えるのが面白いです

[小林かいち]
この人は最近再評価(むしろ再発見)されつつある謎が多い画家なのですが、夢二からの抒情画やアールヌーボーが合わさったスタイルの作品が並んでいました。忘れ去られていた人ですが、夢二より断然好みです!w 色彩感覚が美しく、優美でありながら静けさ・儚さを感じます。特に絵封筒の作品が良かった。2009年にこの人の展示があったのをスルーしたのが悔やまれます…。今後の発見にも期待です。

[蕗谷虹児](ふきやこうじ)
この人も抒情画の画家です。夢二と似た画風かな。私はそんなに好みではないのでさらっと流してしまった^^;


<第2部 さまざまな意匠>
続いて2階の第2部は意匠によってコーナーが分かれていました。

[エラン・ヴィタルのイマジュリィ]
エラン・ヴィタルとは「生への跳躍」や「生への飛翔」という意味らしく、生きることへの衝動のようなものだそうです。ここには本が並び、植物を描いたものが多かったかな。 生き生きした感じでした。

[子ども・乙女のイマジュリィ]
このコーナーは子ども向けの品々に描かれたイマジュリィが並んでいました。この時代に生きていない私でもどこか懐かしいものを感じるのは何故だろう…。

[浮世絵のイマジュリィ]
ここは小村雪岱や鏑木清方の作品などが並んでいました。どちらもかなり好みなので嬉しい。 雪岱の装丁は独特の儚さを感じます。
 参考記事:
  清方/Kiyokata ノスタルジア (サントリー美術館)
  小村雪岱とその時代 (埼玉県立近代美術館)

[京都アール・デコのイマジュリィ]
関東大震災後の一時期、大阪・京都が日本の中心となった時期があったそうで、ここにはそうした時代のアール・デコ風の作品が並んでいました。気品を感じる作品があったように思います。

[震災のイマジュリィ]
このコーナーは関東大震災をテーマにした作品が並んでいて、壊滅した町並みや被災の様子を伝える作品などがありました。

[怪奇美のイマジュリィ]
ここは妖しい雰囲気の作品が並んだコーナーでした。まあ、妖しさで言えば地下の展示のほうが印象に残っていますが。

[尖端都市のイマジュリィ]
このコーナーは印象が浅くてあまり思い出せませんw 復興したイメージの作品だったかな。

[新興デザインのイマジュリィ]
ここは幾何学的なキュビスムを思わせるデザインなどが並んだコーナーでした。デュフィの書があったのもここだったかな。

[大衆文化のイマジュリィ]
ここも記憶が薄いので何ともいえないw 観た時は2階も良い作品が多いな~と思ったのですが、どうも地下の展示ばかりが心に残っています。


ということで盛り沢山かつ個性的な内容で、特に地下の1部は非常に楽しむことができました。橘小夢と小林かいちという素晴らしい画家の作品に出会えただけでも大きな収穫でした。
もうすぐ会期が終わってしまいますので、気になる方はお早めにどうぞ。


おまけ:円形の中庭の中心
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