関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

華麗なる日本の輸出工芸 ~世界を驚かせた精美の技~ 【たばこと塩の博物館】

前回ご紹介したパルコファクトリーの展示を見た後、たばこと塩の博物館で「華麗なる日本の輸出工芸 ~世界を驚かせた精美の技~」を観てきました。

P1190524.jpg

【展覧名】
 華麗なる日本の輸出工芸 ~世界を驚かせた精美の技~

【公式サイト】
 http://www.jti.co.jp/Culture/museum/exhibition/2011/1104apr/index.html

【会場】たばこと塩の博物館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店

【最寄】】渋谷駅


【会期】2011年4月29日~7月3日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間50分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日14時頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
そこそこお客さんが入っていましたが、空いていてゆっくり見ることができました。

今回の展示は明治時代頃から海外に輸出された工芸品をテーマにした内容となっています。明治維新の頃から日本は外貨獲得のため、さまざまな海外向けの工芸品を作成したそうで、横浜を中心に昭和初期にかけて大量に輸出されたそうです。特に明治初期から中期にかけて輸出された品は人気を呼び、ジャポニスムのブームを引き起こしました。
今回はそうした時期の輸出品が200点ほどならんでいて、いくつかのジャンルに分かれて展示されていました。詳しくはいつもどおり気に入った作品を通じてご紹介しようと思います。なお、似たような名前の作品が多いので、作品番号も付与しておこうと思います。


<冒頭>
2 「長崎青貝細工花鳥図ビューロー」
黒漆に螺鈿?の引き出しのついたビューローです。孔雀や草花が描かれ、これでもかとキンキラキンに光っています。ちょっとやり過ぎじゃないかって感じがしますがw 派手好きな外国人には受けが良かったのかな?
隣にも棚の工芸品が展示されていました。

126 「桔梗・鳥・霊獣図蒔絵洋櫃」
これは明治ではなく桃山時代の洋櫃です。いかにも宝箱という形をしていて、螺鈿が貼られ、桔梗や鹿が描かれています。これは南蛮貿易の頃の品で、たぶん以前ここで見たものと同じじゃないかな??
 参考記事:阿蘭陀とNIPPON ~レンブラントからシーボルトまで~ (たばこと塩の博物館)


<芝山細工> ★紹介ページ
続いて芝山細工のコーナーです。芝山細工とは貝や珊瑚、象牙、べっこうなどを用いて、漆器や象牙面に花鳥や人物の文様を象るもので、江戸時代に考案されました。最初は小物中心でしたが、明治には外国人の好みに応じて大型の作品も作られるようになったそうで、ここにも大型の作品が展示されていました。

8 「芝山細工四季花鳥図屏風」
4曲の衝立です。1扇ごとに木にとまる尾の長い鶏と鷹?の彫刻が貼り付けられています。非常に細やかで色も塗られ、手が込んだ感じがしますが、美術品としてはいまいち緊張感がない感じがするような…。(普段の展示で見ているのは帝室技芸員などの作品なので比べるのは酷かもしれませんがw)
この辺には衝立が並んでいました。一級の美術品ではなさそうですが、高そうな感じがします。

19 「芝山細工花蝶図飾盆」
これも芝山細工で、白い草花をあしらったお盆です。所々が螺鈿となっていて、意匠は写実的ですが優美な雰囲気がありました。
この辺は芝山細工の飾り額や箱などが多数展示されています。


<輸出漆器> ★紹介ページ
続いては漆器のコーナーです。ポルトガル、スペインとの貿易の頃から蒔絵や螺鈿の輸出が始まり、西洋でも人気を博しました。1609年にオランダとの交易が始めると、さらに人気と評価が高まり、漆器は「ジャパン」と呼ばれるほどだったようです。ここにはそうした品が並んでいました。

30 「牡丹に獅子・蝶図蒔絵箪笥」
タイトルの通り、牡丹や蝶、伏せている唐獅子などが象られた蒔絵のタンスです。金色の部分が多く、側面に家紋のようなものがあったり、びっしりと文様などが埋め込まれています。非常に豪華な雰囲気があり、これも派手好きな外国人には受けがよさそうでした。
他にも扇面散らしや宝尽くしといった古くからの題材の作品や、日本の風景や花鳥の意匠の作品など、漆器がずらりと並んでいます。まあ、いかにもお土産ものというものもありますが、日本らしさが感じられます。


<日本の古写真>
漆器のコーナーの辺りから、作品の上の方に古い日本の風景を撮った写真が並んでいます。これらには手作業で色がつけられていて、絵画と写真を合わせたような雰囲気があります。主に横浜で製作されたそうで、横浜写真と呼ばれお土産として外国人の人気を博したそうです。 川辺や藤の咲く場所など、綺麗な風景が多く展示されていました。


<横浜・富士山商会>
展示の中盤あたりに、明治から昭和20年代後半頃までに販売されたさまざまなお土産ものを売る店を仮定したコーナーがありました。ここには蒔絵の印籠、麦藁細工、寄木細工、九谷焼、有田焼、車の玩具(模型)などがところ狭しと並んでいました。何だか観光地に来た気分になりますw


<輸出陶磁器> ★紹介ページ
続いては陶器のコーナーです。陶器については1650年ごろにオランダに1452個の陶器が輸出されたという記録があるのが始まりのようです。その後、取り扱いが増えていき一時期は年間に4~5万点もの作品が輸出されたそうで、特に有田の金襴手が花形だったそうです。明治維新後は瀬戸焼や九谷焼、墨田焼などを生産して輸出したらしく、横浜では真葛焼が外国人の人気を集めたようです。
 参考記事:日本磁器ヨーロッパ輸出350周年記念 パリに咲いた古伊万里の華 (東京都庭園美術館)

51 「横浜絵付薩摩焼人物図大花瓶」
金色の大きな花瓶で、側面にたくさんの武者たちが描かれています。非常に細かく龍や文様なども施されていますが、何かいまいち足りない感じがします。豪華なんだけど美術品特有の気品がもうちょっと欲しいと言うか…。

61 「九谷焼美女喫煙図コーヒーセット」
日本風の美女が描かれたコーヒーセットで、お盆も含めて6点セットとなっています。いずれも同じ場面が描かれ、金色の文様で飾られていました。これは結構趣味が良い感じで好みでした。外国向けだけど意匠は日本という面白い作品です。

この辺りには寄木細工の机なども展示されていました。今回の展示で一番面白かったのが寄木で、最後にコーナーもあるので後述します。


<その他の輸出工芸> ★紹介ページ
ここには今まで紹介した以外の工芸品が並んでいました。べっこう細工の箪笥、象牙の箪笥、七宝、会津漆器などがあり、会津漆器にはキリストの磔刑像や書見台などもあって面白いです。


<寄木細工> ★紹介ページ
最後は寄木細工のコーナーです。寄木細工は古くはシリアで4000年以上前から作られていたそうで、それがシルクロードを通り中国経由で1350年頃に日本にも伝わってきました。その後、日本各地で作られていたそうですが、徳川家光が浅間神社を作る際に集めた職人たちによって始められたとされているようです。江戸後期には盛んに輸出されたようですが、1940年の大火と1945年の戦災で職人は絶えてしまったのだとか…。

117 「寄木細工壁付飾棚」
さまざまな文様でできた寄木細工の棚です。幾何学的なパターンや草花を模したものなど模様は様々で、非常に複雑な造りとなっています。これは中々見事で、職人技のすばらしさがよく分かりました。
他にも大きな寄木の棚や衝立があり、最後のこの章が一番面白く感じられました。


と言うことで、美術品のようなものもあればお土産もののようなものもありといった感じで、大きく感動する品はありませんでしたが、参考になる展示となっていました。こういう作品がジャポニスムを生んだのかと思うと歴史の流れを感じます。 三菱一号館美術館でもジャポニスム関連の展示が始まるようですので、こちらも参考にしてみるのも面白いかと思います。
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コメント
No title
こんにちは
工芸品、いいなぁ

わたしはやっとレンブラントに行ってきました!
会期終了2日前に滑り込みましたよ~^^;

xxxさんは2回目行きましたか?
2011/06/13(月) 15:09 | URL | アスカリーナ #BWgGc7Fk[ 編集]
Re: No title
>アスカリーナさん
コメントありがとうございます^^
私は結局1回だけでした。良い作品もあったのでもう1回行けば良かったなあ…。
ラスト2日くらいだと混んでたんじゃないでしょうか?

次の注目は何と言ってもワシントン・ナショナル・ギャラリー展ですね。
今週末に行ってきます
2011/06/14(火) 00:05 | URL | 21世紀のxxx者 #-[ 編集]
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