関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

もてなす悦び - ジャポニスムのうつわで愉しむお茶会 【三菱一号館美術館】

前回ご紹介したカフェでお茶した後、三菱一号館美術館で「もてなす悦び - ジャポニスムのうつわで愉しむお茶会」を観てきました。

P1200149.jpg

【展覧名】
 もてなす悦び - ジャポニスムのうつわで愉しむお茶会

【公式サイト】
 http://www.mimt.jp/omotenashi/

【会場】三菱一号館美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】東京駅・二十橋前駅・有楽町・日比谷駅
【会期】2011年6月14日(火)~ 2011年8月21日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間30分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日16時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
意外にも空いていて、ゆっくりと観ることができました。

さて、今回の展示は「ジャポニスム」に関する作品を並べた展覧会となっています。ジャポニスムとはずばり「日本趣味」を指す言葉で、19世紀後半にパリ万博などをきっかけに広まった美術のムーブメントです。当時のヨーロッパの美術界にとって、日本美術との遭遇は相当にセンセーショナルなものだったようで、その熱はこの展示でもわかるようになっていました。詳しくは各章の様子と共にご紹介しようと思います。
 参考リンク:ジャポニスムのwikipedia


<プロローグ あさがおの間> ★こちらで観られます
まずは朝顔をモチーフにした作品が並んだプロローグです。朝顔はエライザ・シドモアという女性記者がナショナル・ジオグラフィック誌に菊よりもずっと日本独特の花として紹介したのをきっかけに、欧米でも人気を博したそうです。

最初の小部屋には、柄の部分に朝顔をかたどった銀のフォーク・ナイフ・スプーンなどがありました。中々可愛らしくて洒落ています。

エルネスト・シャプレ 「ガーデン用置物 井戸に朝顔」
こちらは小部屋の奥にあった作品で、井戸の形をした焼き物です。側面に朝顔が巻き付く様子が表され、日本の「あさがおに つるべとられて もらい水」を髣髴すると解説されていました。この頃、小泉八雲やチェンバレンらによって日本の民話は翻訳されていたそうで、それをモチーフにした作品も多いそうです。(桃太郎や浦島太郎も翻訳していたようです) 日本文化を深く理解していたことを思わせる作品でした。

ルイス・コンフォート・ティファニー 「朝顔形コンポート」「朝顔形鉢」
こちらは入口のある部屋にあった作品です。朝顔の花のような形のガラスの器で、半透明の乳白色をしていて、中にも朝顔が表現されているなど、優美な雰囲気のある作品でした。
この辺はガラス器のコーナーで、紫の朝顔のガラス器なども良かったです。

「浮世絵・絵本展図録」
日本の浮世絵が表紙となっている図録です。これは日本美術商がパリで開催した大浮世絵展の図録で、和紙に刷られた30部限定の品だそうです。表紙には朝顔があり、こちらも日本に対する深い造詣を感じさせるチョイスでした。
なお、この展覧会の主催者はジャポニスムの立役者が名を連ねているようです。


<第1部 欧米の世紀末を彩った「日本」>
前述の通り、万博で日本美術が紹介されてジャポニスムが広がっていったわけですが、その潮流が出来るまでには万博だけでなく多くの画商や批評家の地道な啓蒙活動も寄与しているそうです。
当時のヨーロッパでは美術品と日用品は別のものと考えていたので、日用品にも美術的な要素を加えた日本の作品は斬新だったようです。また、左右非対称のアシンメトリーのモチーフや花鳥といった自然の美しさへの眼差しも、ヨーロッパに大きな影響を与えていくことになります。

<第1章 ジャポニスムの到来> ★こちらで観られます
ここには日本の陶磁器に関する本が並んでいました。また、ジークフリート・ビングによる浮世絵が表紙の「芸術の日本」という雑誌がずらっと並び、北斎などお馴染みの作品も表紙になっていました。
さて、このジークフリート・ビングという名前を聞いてピンと来た方は相当な美術通だと思いますが、この人は後に自分のギャラリーを「アール・ ヌーヴォー」(新しい芸術)と言う名前としました。それがアール・ ヌーヴォーという一大ムーブメントに繋がっていくわけで、アール・ ヌーヴォーは間違いなくジャポニスムから直結していることが、ここの展示からも分かるかと思います。

その他にも北斎漫画とそれを図案とした西洋陶器も数点ありました。また、日本的なモチーフの西洋磁器、ティーセットもあり、さらに次の部屋では海外の窯が日本の伊万里焼を模して作った作品などもありました。これは伊万里そのものに見えるくらい質が高くて驚きます、


<第2章 ジャポニスムの茶会> ★こちらで観られます
続いての大部屋は今回の一番の見所です。部屋の中にテーブルセットがどど~んと置いてあって、これだけでも貴族の茶会に紛れ込んだような気分になれますw テーブルウェア、器、ランプ、ナイフ、フォーク、グラス等々、いずれも工芸品というよりは美術品としての気品を持った作品で、非常に華やかな雰囲気があります。
解説によると、19世紀後半にイギリスでアフタヌーンティーの習慣もはやったそうで、インドでも紅茶を栽培するようになったようです。こうした茶会では当時力をつけたブルジョワなどの奥さんがプロデュースして、羨望の目を集めていたようです。 これだけ趣味の良いお茶会だったら誰もが驚嘆すると思いますw 当時のケーキを再現した写真などもあって美味しそうでした。

この部屋の反対側にはカップとソーサーのコーナーもありました。虫や花鳥、扇といった日本を思わせる文様で、これまた優美な作品ばかりです。 部屋の出口あたりにはドアノブなどまで展示されていましたw


<第2部 もてなしの品々が誕生するまで>
続いての2部はヨーロッパで日本の技術や意匠を再現・取り入れる試みについてのコーナーです。多くは日本人は携わることなく生まれたようでした。

<第3章 イギリスの陶磁器界の創意工夫> ★こちらで観られます

「ガーデン用腰掛 籠目と花唐草」
これは庭園に置かれた俵型の椅子?です。日本の染付けのような時期に格子状の帯があり、そこに草花が描かれています。この色合いや質感・模様・形は日本風ですが、西洋的なものも感じ、非常に華麗な雰囲気がありました。
これは「ミントン社」で作られた作品で、この辺はこうした製作会社の詳細な説明もあり参考になりました。この章の最初のあたりにはミントン社による七宝のような作品もあり、こちらも日本の七宝をよく研究していたようで驚きました。

次の部屋にはウィリアム・ロウという人の水彩の複製画が壁一面に並んでいました。これは磁器製作の作業場の様子を描いたもので、土を取って、運んで、砕いて、轆轤で回して、成型して、絵付けして、釉薬をかけて、焼く という一連の流れを描いたもので、当時の工房の様子がよくわかりました。

ロイヤル・ウースター社 「唐草文双耳扁壺」
ピンク色の地に金色の葉っぱが細かく描かれた、丸く平たい胴に筒状の首の壷です。非常に繊細な出来で、既に日本と西洋が融合したような新しい文化を感じました。
この部屋にはロイヤル・ウースター社の作品が並んでいて、結構日本っぽい作品もありました。

休憩室にも少し展示があり、コレクターの家の写真などが並んでいます。こんな家に住んでみたいものですw


<第4章 アメリカの銀器が写した日本の自然> ★こちらで観られます
続いては下の階で、銀器を題材にしたコーナーです。この頃、西洋諸国は陶器に関して東洋に遅れをとっていたわけですが、銀器は既に完成の域に至っていたそうです。
こちらにはトンボやアヤメ、鯉?などが施された銀器が並び、特にティファニー社とゴーハム社が多いようでした。

「芭蕉句入花瓶 古池やかわず飛びこむ水の音」
古池や~で始まる有名な芭蕉の俳句が日本語で書かれた銀の花瓶です。耳の付いた長方形をしていて、まさにその句を絵にしたような光景が銀で表現されていました。静けさや詩情まで伝わってきそうで、よくぞここまで日本のことを研究したものだと思いましたが、解説によると日本の職人が関わっているようでした。

この辺にはスプーンやカップ、ひょうたん型のトレイなども展示されていました。


<エピローグ 私だけのジャポニスム> ★こちらで観られます
最後はジャポニスムの影響を受けた小物などが並ぶコーナーでした。
銀のティーセット、ペーパーナイフ、はさみ、ライター、トレイ、ウィスキー入れなどが並んでいます。他にも花瓶やステッキ、タイル画などもあり、生活のあらゆるものにジャポニスムが広がっていったことがよくわかりました。


ということで、静かで優雅な時間を過ごせた展覧会でした。ここは建物自体も美術品のようなものなので、空いていると非常に良いロケーションです(混むと大変ですがw) 私が行ったときは6時までとなっていましたので、閉館時間にはお気をつけください。
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