関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

愉快な家-西村伊作の建築 - 展 Houses for Comfort 【INAXギャラリー】

先週の土曜日に、京橋にあるINAXギャラリーで、「愉快な家-西村伊作の建築 - 展 Houses for Comfort」を観てきました。

P9030456.jpg P9030460.jpg

【展覧名】
 愉快な家-西村伊作の建築 - 展 Houses for Comfort

【公式サイト】
 http://inax.lixil.co.jp/gallery/exhibition/detail/d_001816.html

【会場】INAXギャラリー  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】銀座線京橋駅 都営浅草線宝町


【会期】2011年9月1日(木)~2011年11月19日(土)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 0時間45分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日16時頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_③_4_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
いつも通り空いていて、自分のペースでじっくりと観ることができました。

さて、今回の展示は西村伊作という建築家について取り上げた内容となっています。私はこの人のことを全然知らなかったのですが、ポスターを見て気になったので観にいってみました。入り口に簡単な経歴が書かれていて、それによると西村伊作は1884年に熊野川河口の新宮に生まれたそうです。両親を亡くしたことから、熊野川の遥か上流の奈良下北山村桑原にある母方の西村家を継ぎ、質素な暮らしだったようですが地主となったようです。当時この辺は林業が盛んで、杉やヒノキを筏に組んで流して運んでいたそうで、こうした新宮の川べりには川原家(かわらや)と呼ばれる商家が軒を連ねていたそうです。この川原家はすぐに解体できる造りで、川が増水したら材木にバラして家具と一緒に高いところに上げて水が引くと戻したそうです。最近、和歌山で水害がありましたがこの辺は昔からそういうことが多かったのかな? すごい生活の知恵があったみたいです。
また、当時の紀州の人たちは川は遠い海外まで続いているという心持ちがあったらしく、西村の父方の叔父も海外で医者となり、新宮に戻って医者をやりつつ文芸作品を翻訳するような社会正義を求める人だったそうです。しかし大逆事件に関わったようで、最期は死刑になったのだとか・・・。 そしてこの事件を受けた西村伊作はショックで健康を損なったらしく、肺結核で佐野という海辺の村の林に「ポータブルハウスという持ち運び可能な家を建てて養生したそうです。後に体調が回復すると新宮の自宅に移築にし、ゲストハウスにしたようですが、この設計にあたっては米国の建築などから着想を得た他、子供時代から親しむ川原家の構造もその原型として意識していたと考えられるようです。
設計家としての西村伊作は今までにない発想を持っていたようで、プロテスタントの父の影響を受けて家長中心の間取りを廃して家族団らんを大切にしたそうです。居間中心の造りを実践したらしく、今回の展示でもそういった作品の写真が並んでいます。また、西村伊作は文化学院の創設者でもあり、柔軟で独創的な教育者だったそうです。油絵や陶芸もたしなんでいたようなのでマルチな人間だったのかもしれません。文化学院の建物は後のコーナーでも紹介されていました。

展覧会の入口付近には西村伊作の自宅の写真がありました。洋風で白壁の2階建てで、瀟洒な印象を受けます。また、伊作がデザインして妻が製作した子供服の復元も並んでいました。花柄と青地のワンピースで前がリボンのようになっているのと、オレンジの服にチェック状で帯のように浮かんでいるワンピースです。斬新な感じで家族思いであったことが伺えました。

少し進むと10分程度の建築作品の映像が流れていました。幾何学的でシンプルさを感じるものの、洒落ていて適度な風格のある作風のようでした。特に紀南教会と文化学院は好みです。(両方後で紹介されています)

この辺にはスケッチ帖や著書があり、家の概観や棚の図面で数字まで書き込まれていました。著書の中には1919年発行の「楽しき住家」の本もあり、これは自邸を3軒作った経験を基に設計した日本人向けの洋風住宅と 新しいライフスタイルを紹介した内容で、当時人気を博したそうです。他に、アメリカの建築雑誌も数点展示されていました。

この近くには化粧台も展示されています。箪笥の上面が緑のタイル張りになったような鏡台で、直角の多いすっきりした印象でした。これは主寝室に置かれていたそうです。
他には自宅の写真や平面図、水周りの設備なども描かれていて、自宅Ⅲの1/20の模型もありました。また、その近くにはリクライニングチェアと肘掛け椅子が置かれていました。水色で四角く、これもシンプルな形です。

その次は文化学院(現 ルヴァン美術館)の建物のコーナーです。この学校は1921年に建てられたらしく、娘が中学に進学する際に入れるべき学校が無いと言って半年ほどで自ら開校したそうです。教育理念は自由教育で、生徒一人一人の個性を尊重し自発的に創造性を発揮するような指導は当時革新的だったらしく、教授陣には与謝野寛(与謝野鉄幹)、与謝野晶子、画家の石丸柏亭、陶芸家の富本憲吉、音楽家の山田耕筰といった錚々たるメンバーがそろいました。しかし、この校舎は1923年の関東大震災で焼失してしまったそうで、その後1997年に伊作の孫で建築家の板倉竹之助という方が軽井沢で再建されたようです。この辺にはその写真が並び、英国コテージ風の白く優美な外観となっていました。
 参考リンク:ルヴァン美術館の公式サイト

ここから先は主に建築作品の写真が並びます。

少し進むと倉敷教会の写真と1/50の模型があり、こちらはスロープ昇って2階から入る面白い造りとなっていました。中は結構シンプルな造りのようですが、外観はどっしりした印象を受けました。

その次は紀南教会の写真です。内部は白壁で、天井から球体の照明が規則正しくいくつも並んでいます。参列者用の木の椅子も含めて簡素ですが、美意識を感じます。建物全体を俯瞰すると十字架の形に見えるとも解説されていました。
この辺にはバンガロー風の建物の作品の写真もありました。

一番奥のあたりには玄関用の飾り家具などもあり、前田慶治邸という家のコーナーです。この人は朝鮮で成功した農場主らしく、水洗トイレやセントラルヒーティングなどを装備した豪邸のようでした。

最後は若竹の園という倉敷の保育園の写真のコーナーです。水平垂直、三角などのシンプルで装飾性の少ないデザインで、バンガロースタイルとなっていました。近くには子供用の椅子も展示されていました。


ということで、実際の作品は少なかったですが、その理念などまで分かる展示となっていました。身の回りに西村伊作の建築があればもうちょっと感じるものがあったかも。今後の参考となりそうな展示でした。


<黒崎香織 -SOMETHING TO SEE-展 Kurosaki Kaori Exhibition>
続いて、INAXギャラリー2で同時開催の「黒崎香織 -SOMETHING TO SEE-展 Kurosaki Kaori Exhibition」も観てきました。
P9030457.jpg


 会期:2011年9月1日(木)~9月28日(水)
 公式サイト:http://inax.lixil.co.jp/gallery/contemporary/detail/d_001942.html

ここは写真を撮っても良かったので、ちらっと展示風景だけご紹介するとこんな感じです。
P9030458.jpg

大きな作品が7点あり、いずれも半紙に描かれているようです。静物や身近な現代日本の風景を描いているのですが、実際の風景とは違う幻想性があります。巨大に描かれた昆虫をモチーフにした作品が多かったかな。クレパスで描いた色合いも独特でした。


この日はガレリアセラミカは展示替えのため閉室していました。9/6から「福岡さゆり」展が開催しているようですので、こちらに行かれる際には3部屋とも観て回ることをお勧めします。
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