関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

【古代オリエント博物館】の案内 (2011年11月)

前回までご紹介した練馬区の展示を観た後、池袋に移動してサンシャインの中にある古代オリエント博物館を観てきました。この日は常設のみでしたが、ミニコーナー展示とクローズアップ展示には期間が設けられているようでした。

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【展覧名】
 ミニコーナー展示 「ハンムラビ法典がやってきた!」
 クローズアップ展示 「バーミヤーン遺跡の保存と修復写真展」

【公式サイト】
 http://www.sa.il24.net/~aom/tenji.html

【会場】古代オリエント博物館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】東池袋駅、東池袋四丁目駅、池袋駅


【会期】
 ミニコーナー展示:2011年9月10日~12月25日
 クローズアップ展示:2011年10月1日~11月27日
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 1時間00分程度

【混み具合・混雑状況(土曜日15時半頃です)】
 混雑_1_2_3_4_⑤_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_③_4_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_③_4_5_満足

【感想】
空いていてゆっくり観ることができました。

さて、この博物館は以前もご紹介しましたが、非常にさっくりとしたご紹介でしたので、今回はメモを取ってきました。今回は特別展ではないのですが、その分常設のコーナーをじっくり見ることができました。
 参考記事:地中海古代クルーズ -オリーブとワインと・・・(古代オリエント博物館)

<ハンムラビ法典がやってきた!>
まず最初はミニコーナー展示の「ハンムラビ法典がやってきた!」です。最初にハンムラビ王について説明があり、ハンムラビ王はバビロン第一王朝(紀元前2003年~前1595年)の6代目の王で、前1792年~1750年頃に在位しました。王になった頃のバビロンはさほど大きな都市国家では無かったようですが、灌漑設備や神殿建設を進めるなど内政を充実させたそうで、次いで巧みな外交で勢力を伸ばしていき、ついにはメソポタミアのほぼ全域を征服して行きました。そして誰もが知っている有名なハンムラビ法典がこの頃に作られたそうです。
この部屋の中央には3mくらいもある石碑が立っていて、その胴部分にはくさび文字が掘りこまれていました。これは有名なハンムラビ法典が刻まれた石碑のレプリカで、背面には有名な「目には目を 歯には歯を」という一説の部分(17段目196条~201条)が青いテープで囲ってあります。また、柱の正面上部には玉座に座る人と立って話している人が彫り込まれていました。
「目には目を 歯には歯を」と聞くとやられた分だけやり返せという法律かと誤解してしまいますが、実際には同害復讐の原則は加害者と被害者が共に上層の自由人であることや、本人による復讐ではなく代理人による執行であるなど複雑なルールだったようです。また、この柱のオリジナルは1901年頃にイランで見つかったのですが、何故イランで見つかったのかというと、紀元前12世紀ころにバビロニアに攻め込んだ際に持ち帰ってきたものがイランに運ばれたためのようでした。
この柱の周りにはパルミラ(シリア)、ウル(イラク)、ニムルド(イラク)、アブシンベル(エジプト)などの遺跡の写真があり、雰囲気が出ていました。


<シリア>
次に進むと、シリアの発掘のコーナーです。
ここには時代ごとに様々な壺があり、いずれも素朴な土器です。 当時の家を再現したような一角もあり、テル・ルメイラという土地の辺りの人々は今でも日干しのレンガに住んでいて、今も古代とあまり変わらぬ生活であると紹介されていました。
ここにはテル・ルメイラから出てきた家型の土器もあるのですが、これは紀元前1800年~1600年頃に作られたものだそうで、真っ先に日本の埴輪の家を思い出しました。時代と場所を超えて似たものがあるものだなあと不思議に思いました。


<最古のオリエント>
ここは文明以前のコーナーのようで、猿人、原人、旧人、新人などの頭蓋骨の模型や、磨製石器、色々な麦の穂、紀元5000年くらいのシリアの土偶などがありました。特に驚いたのは土偶で、女性の乳が強調されている点も含めて日本の土偶に似ていました。土偶って日本だけじゃなかったんですね…。


<メソポタミア>
ここは都市国家の基盤が築かれた頃のコーナーでした。灌漑に寄って農業が広まると、メソポタミアは麦と羊の生産力を背景にして都市国家へと成長していきます。神殿や宮殿を築きあげ、支配層から奴隷まで様々な階級が生まれ、法律もできました。商取引の際には印章を使うなど、様々な文化が発達していきます。
ここには粘土板もあり、紀元3200年頃に文字が登場したそうです。他にも当時の生活が分かるようなものがあり、スタンプのような印章や円筒形の印章、首飾り、壺などもありました。また、神像も展示されていて、バアル(天候の神。キリスト教だと悪魔扱いです)は異様に細かったり単純化されている様子が近代彫刻を思わせる造形でした。


<古代エジプト>
エジプト文明のコーナーには壺や壁画の一部、スカラベなどが展示されています。特に驚いたのはミイラの木棺で、大きな仮面のような彫刻が施されていて迫力がありました。変わった所ではミイラになったナマズなども展示されています。


<古代イラン>
続いては古代イランのコーナーで、ここには土器などが並んでいます。動物文や幾何学文が多く、単純化・文様化するデザインセンスを感じます。また、トキの形をした神像もあったので、動物が身近だったのかな? 他には青銅の剣や斧などの青銅器があり、金属の時代に入っていたようです。ちょっと先には鉄器もあります。


<キクラデス>
その次はキクラデス文明のコーナーがあり、大理石の壺などが展示されていました。優美なフォルムはこの博物館にあるものの中でも最も美しさを感じます。ここは点数が少ないですが好みです。


<東西文化の交流>
ここは東西の文明の交流のコーナーです。ギリシャ風の作品が並び、ヴィーナスとキューピッド、ぎょろっとした目が象嵌されたヘラクレスの胸像などが置かれています。しかし、これらはシリアから出土したもので、ギリシャやローマの神々が各地の神と同一視され受容されていることがわかります。例として、ヘラクレスがゾロアスター教の戦勝神と融合したり、ヘラクレスの棍棒やライオンの皮は仏教の執金剛神や八部衆に影響していることが紹介されていました。パキスタンから出てきたポセイドン像の頭部など、思った以上に昔から東西交流があったことを伺わせます。


<ガラス>
続いては古代のガラスコーナーです。ガラスは紀元2300年頃にメソポタミアで発明されたそうで、最初はラピスラズリや瑪瑙を真似た有色不透明のものだったようです。ここには前4世紀ころからの品が並んでいるのですが、1世紀頃のガラスにはマーブル模様の小壷があって驚きました。これは15世紀のヴェネツィアで「カルセドーニオ」、江戸時代に「練上手」と呼ばれた技法に似ていますが、1世紀頃に流行ったものだそうです。
 参考記事:あこがれのヴェネチアン・グラス ― 時を超え、海を越えて (サントリー美術館)

1世紀頃になるとシリア辺りで吹きガラスの技法も発明され、大量生産が行われるようになったようです。少し先には正倉院にも収められたガラスの器に似た作品もあります。


この先はコーナーの名前は忘れましたが、イランの陶器のコーナーもあります。馬や山羊の形をしたリュトンという宗教儀式用の器があり、中々面白い品です。


<ガンダーラ>
常設最後はガンダーラのコーナーでした、パキスタン北部の地域にあった国で、紀元前4世紀以降にギリシャ人の移住やイラン系クシャン朝の支配を受け、ローマとの貿易を行うなど様々な要素が混じっていて、さらに1~5世紀にはインドから伝わった仏教が栄えました。ギリシャ・ローマの神像彫刻の影響を受けて写実的な仏陀の像も作られ、ギリシャ風の顔立ちの仏像などもあるようです。ここには仏頭や浮き彫りの仏像などがあり、その一端を見ることができます。日本の仏像とはだいぶ趣きが違いますが、ギリシャ・ローマの彫刻が仏像に影響を与えているというのは面白いです。


<バーミヤーン遺跡の保存と修復写真展>
展覧の最後は小部屋でクローズアップ展示の「バーミヤーン遺跡の保存と修復写真展」となっていました。2001年にイスラム原理主義のタリバンによって破壊されたバーミヤン遺跡の写真があり、無残な様子となっています。他にも失われた仏画などもあったらしく、痛々しい写真が並びます。 また、破壊された後の保存運動の様子を撮った写真もあり、立ち直ろうとしている様子も伺えました。
 参考記事:仏教伝来の道 平山郁夫と文化財保護 (東京国立博物館 平成館)


ということで、それぞれ点数は少なめですが様々な文明の品々が展示されていて、文化の繋がりを感じることができる内容となっています。サンシャインは色々な施設があるので、ハシゴして見るのも面白いと思います。
 参考記事:プラネタリウム「満天」とナンジャタウン

この後、今年の夏にリニューアルしたサンシャイン水族館に行ってきました。次回はそれをご紹介しようと思います。
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評価




コメント
こんばんは
このエントリーに関係しているかはわかりませんがxxx者さんは30代のご様子なので、多分知っていると思うでしょうが、魍魎戦記マダラというマンガがありました。その漫画でラサ(赤)というマンガがありまして、シルクロードをさまようゲド・ユダヤ(聖神邪)という人物が主人公の面白い左から読む日本語版の本があります。よろしければご参考までに。

まだこれからも読むつもりでいます。
2011/11/15(火) 18:32 | URL | アレサ #-[ 編集]
Re: こんばんは
>アレサさん
コメント頂きありがとうございます。
その漫画は初めて知りました。シルクロードを題材にした作品は結構色々ありますが、ロマンを掻き立てられるためでしょうかね。
機会があったら観てみようと思います。
2011/11/16(水) 01:16 | URL | 21世紀のxxx者 #-[ 編集]
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