関東近辺の美術館めぐり ~美術・美景・美味を楽しむブログ~

悠久の光彩 東洋陶磁の美 (感想前編)【サントリー美術館】

前回ご紹介したフジフイルムの展示を観た後、サントリー美術館で「大阪市立東洋陶磁美術館コレクション 悠久の光彩 東洋陶磁の美」を観てきました。情報量の多い展示でメモを多めにとってきましたので、前編・後編に分けてご紹介しようと思います。

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【展覧名】
 大阪市立東洋陶磁美術館コレクション 悠久の光彩 東洋陶磁の美

【公式サイト】
 http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/11vol07/index.html

【会場】サントリー美術館  ★この美術館の記事  ☆周辺のお店
【最寄】六本木駅/乃木坂駅

【会期】2012年1月28日(土)~4月1日(日)
 ※営業時間・休館日・地図・巡回などは公式サイトでご確認下さい。

【鑑賞所要時間(私のペースです)】
 2時間00分程度

【混み具合・混雑状況(金曜日18時半頃です)】
 混雑_1_2_3_④_5_快適

【作品充実度】
 不足_1_2_3_④_5_充実

【理解しやすさ】
 難解_1_2_3_④_5_明解

【総合満足度】
 不満_1_2_3_④_5_満足

【感想】
金曜の夜に行ったのですが、結構お客さんがいました。とは言え鑑賞に支障があるわけではなく自分のペースで観られました。 …と、普通の人の倍くらいゆっくりメモを取りながら観ていたら閉館時間になってしまい、半分くらいしか観られませんでしたw その為、後半部分は後日改めて観に行っています。

さて、今回の展示は大阪市立東洋陶磁美術館の中国と朝鮮の磁器コレクションを展示する内容となっていました。大阪市立東洋陶磁美術館は1982年に住友グループから寄贈された「安宅コレクション」を中心に設立されたそうで、その後も個人コレクターの寄贈を核としてコレクションを増やし、1996年~98年ころには「李秉昌コレクション」が加わり現在は4000件もの作品を所有しているそうです。今回の展示では、そのうち国宝2件 重要文化財13件を含む136件を展示していました。上階が中国磁器、下階が朝鮮磁器となっていましたので、今日は中国磁器のコーナーで気に入った作品と共に展覧会の様子をご紹介しようと思います。


<第1章 中国陶磁の美>
まずは中国磁器のコーナーです。日本で陶磁器を愛好しだしたのは遅くとも7~8世紀初頭の頃だそうで、唐三彩などが賜物や贈物とされたようです。 やがて貿易で青磁や唐時代の白磁などがもたらされるようになったそうですが、10世紀後半は中国の越窯の一時的な衰退で輸入が下火になったようです。11世紀後半には再び活発に貿易が行われ、宋国との貿易で中国南部の白磁が多く渡ってくるようになったそうで、鎌倉幕府が成立した13世紀になると白磁に加え青磁の輸入も復活しました。また、12世紀末からは日本でも中国陶器を模した古瀬戸も制作されるようになったようです。
13世紀後半~14世紀前半が輸入の最盛期だったらしく、中国磁器は高級品の名をほしいままにし、油滴天目や木葉天目といった名品も宋時代の時期に伝わってきています。日本の室町幕府の時代には中国磁器の優れたものを選び、序列がつけられるなど焼き物の美の規範が整ったそうです。
ここにはそうした中世頃迄の中国磁器が並んでいました。

1 「緑釉楼閣」 後漢時代 ★こちらで観られます
4階建ての楼閣を陶器で作った作品です。上下2層に分かれているらしく、墓に埋葬された品のようです。1階の部屋の中には墓の主らしき人物がいて、4階のテラスの部分にや2階の辺りには弓を構える人や楽器を奏でる人の姿もありました。全体的に歪んで見えますが、かなり大きめでよくこれだけのものを陶器で作ったものだと驚かされます。現在は淡い緑色をしていますが、昔は濃い緑釉だったらしく墓の中で変色したとのことでした。

9 「加彩宮女俑」 唐時代
肩が張った細い胴体の女性の形の陶器で、これも埋葬品だそうです。色も塗られていたそうですが、だいぶ剥落しているように観えます。舞を踊る女性らしく、スタイルがスマートで優美な雰囲気がありました。

[緑 緑釉陶器と三彩]
緑釉と、鉛釉に酸化鉄を加えた褐釉は三彩の基本だそうで、ここには唐三彩の作品が並んでいました。

3 「三彩貼花宝相華文壺」 唐時代
下の方にすぼんでいく形の唐三彩で、緑、茶色、白いまだらが模様をつけています。解説によると、まだら地の色の所は蝋を塗って釉薬を弾いているそうです。また、中央には幾何学的で花のようなメダイヨンがあり、これは西域の意匠を取り入れているとのことでした。当時の長安は100万の人口のうち外国人は1万人に達していたようで、国際交流を感じさせます。ちょっと色が強くて日本人の感性とは違うようにも思いました。

この辺には獅子の形の三彩もありました。

[青 青磁の広がり]
続いては青磁です。青磁は植物の灰を媒溶剤に用いる「灰釉」に酸化鉄を加えた青磁釉の焼き物で、酸素が不十分な状態で焼くと青くなり、酸化が進むと黄色っぽくなりそうです。ここには様々な青磁が並んでいました。

15 耀州窯 「青磁刻花牡丹唐草文瓶」 北宋時代
背が低く、あまり下ですぼまっていない変わった形の青磁器で、側面にびっしりと植物の文様が大胆に描かれています。これは「片切彫」という彫刻してそこに厚く釉薬をかけている技法らしく、シャープな陰影が出せるそうです。その陰影のせいか、立体的があり透明感もあるように思えました。

14 「青磁天鶏壺」 南北朝時代
壺の注ぎ口が鶏、把手の上の方が龍のような形をした青磁の壺で、こうした形の壺を「天鶏壺」と呼ぶそうです。(この作品では実際に鶏の口には穴が開いていないそうです) 全体的に淡い緑が美しく、細かいひびのような模様がついていました。意匠と質感が面白い作品です。

17 汝窯 「青磁水仙盆」 北宋時代 ★こちらで観られます
楕円形で底の浅い盆です。非常に爽やかな青色で、上品な雰囲気があります。形もシンプルに観えましたが、近代の陶芸にもにた美しさがありました。
なお、これは汝窯というところで焼かれたもので、汝窯の作品は今では100点もない貴重なものだそうです。北宋時代に宮中の御用品を焼いていた窯のようですが、長い間その場所すら謎で、今なお謎が多いようです。

この辺は淡い青~緑の青磁が並んでいました。

21 龍泉窯 「飛青磁花生」 元時代
これは国宝で、細い首と豊満な胴を持つ青磁の壺です。その側面のラインが優美で、所々に褐色のまだら模様がつきアクセントとなっていて面白かったです。これは確かに名品だと思います。

[白 白磁と磁州窯]
続いては白磁のコーナーです。白磁は白色の素地に高温で還元焼成して、無色透明になる釉薬をかけた磁器で、宋時代の中国は黄金期だったそうです。特にクリーム色の定窯と青味を帯びた青白磁の景徳鎮窯という2つの名窯があったそうです。

26 定窯 「白磁刻花蓮花文洗」 北宋時代
ボウルのような形の白磁の器で、上部の淵は金の輪(覆輪)が被せられています。内側と側面には薄く蓮の花が彫られていて、これは片切彫で表現しているようです。乳白色で象牙のような柔らかい色が上品で、かなり薄手らしいのに側面と内側を彫っているのが技術の高さを伺わせるようでした。

29 景徳鎮窯 「青白磁瓜形水注」 北宋時代
8つの花びらのような形の胴を持つ細い注ぎ口の水差しです。先ほどの定窯の白磁と比べると、同じ白でも青っぽい色味で、静かで月光のような雰囲気があります。こちらもまた色の美しさが際立った作品でした。

この先には黒釉やエメラルドグリーンの色をした作品などもありました。また、一度素地に釉薬を塗り、そこを削って文様を出す掻落しの技法による作品もありました。解説によると、この技法は長期にわたって各地で繰り返されたそうです。

34 吉州窯 「木葉天目茶碗」 南宋時代
真っ黒で小さな底面の器で、口の部分は広くなっています。黒い内側には金色の葉っぱがあり、葉脈がわかるほど細かくリアルに表れています。これは鉄分の高い葉をつけて焼いたものらしく、色も葉の形も見事に黒地に映えていました。
なお、「天目茶碗」というのは天目山で修行をした禅僧が、このような茶碗を持ち帰ったことに由来するそうです。

35 建窯 「油滴天目茶碗」 南宋時代 ★こちらで観られます
これは国宝で、表面に油の水滴がついたような斑模様がびっしりと並んだ黒い茶碗です。斑の部分は輝くようで、底の辺りはキラキラ光って見えます。淵には金の覆輪も付けられ、誰がどう観てもお宝とわかりますw 今回の展示の中でも一際素晴らしい作品でした・

[藍 青花と瑠璃釉]
白地に酸化コバルトを含んだ顔料で文様を描き、その上に透明釉をかけて高温で焼いたものを青花と呼びます(日本の染付と同じ) これに酸化コバルトを加えると藍色に発色する瑠璃釉になるそうです。元時代14世紀に景徳鎮窯で完成され、1400年代後半にかけて優美な様式になっていったそうです。

38 景徳鎮窯 「青花牡丹唐草文盤」 元時代
直径40cmを超える非常に大きな皿です。円形の中には牡丹の花の模様が描かれ、優美な雰囲気とリズム感がありました。表現も緻密で流石といった感じでした。

44 景徳鎮窯 「青花龍波濤文扁壺」 明時代
平たい円形の胴と首を持つ扁壺という形の青花です。青で荒れ狂う波が表現され、その上に白抜きで三本爪の龍の姿が描かれています。振り返るような感じで目だけ青く、ちょっとトボけたような表情が面白かったです。動きがあって豪快な作品です。


この辺には江戸時代頃の中国磁器との関わりについての説明ボードがありました。17世紀になると日明貿易によって中国陶磁器の主流は青花や五彩となったらしく、景徳鎮の青花は15世紀以降大量に日本に輸入されたそうです。そうした品は日本の伊万里の誕生にインスピレーションを与えるなど大きな影響を与えたそうです。

[彩 五彩と金襴手]
焼き上がった白磁の表面に、赤、黄、緑などの色絵の具で文様を描き、低い温度で焼くと五彩となるそうです。官窯でも民間の流行やスタイルを取り入れて華美になっていったそうで、明時代の後半になると景徳鎮でも五彩に金を加えた金襴手が作られ始めたそうです。そしてそれも官窯に影響を与えたとのことでした。

56 景徳鎮窯 「黄地紅彩龍文壺(「大明嘉靖年製」銘)」 明時代
赤地に黄色で模様が付けられた壺です。5本爪の黄色い龍が空を飛んでいるので皇帝の品かな? この龍も結構とぼけた顔をしていて親しみがもてました。色はちょっとキツめに思えましたが、自由な雰囲気がありました。

52 「法花花鳥文壺」 明時代
かなり大きな壺で、ターコイズブルーをしています。側面には木に留まる2羽の鳥が表現されていて、この部分は盛り上がっていました。これだけ大きい作品は珍しいらしいそうですが、その色と大きさでかなりのインパクトがありました。

60 景徳鎮窯 「五彩牡丹文盤(「大明萬暦年製」銘)」 明時代 ★こちらで観られます
円形の盤に赤い牡丹と緑や青の葉っぱが描かれたカラフルな作品です。水彩画のような鮮やかさがあり、華麗な雰囲気がありました。

66 景徳鎮窯 「五彩金襴手瓢形瓶」 明時代
八角形のひょうたん型の壺で、側面に赤、緑、金でミリ単位の細かい文様が描かれているのが驚異的です。さらにここには金彩の文字も書かれているそうですが、私の目では観えませんでしたw 色鮮やかでかなり派手な作品です。

この近くには参考として古九谷などもありました。

ということで、今日はこの辺にしておこうと思います。中国と日本の陶器を通じた交流も伺わせる内容で、かなり参考になる展示でした。あまりにゆっくり周ったので半分程度観たところで閉館となってしまいましたw 後日改めて残りを観てきましたので、次回はその時のメモを使って後編をご紹介しようと思います。


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